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メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

のはらのおへや ポプラ社の絵本 5 みやこし あきこ/作 ポプラ社

2025-02-14 16:05:04 | 
2011年初版


「作家別」カテゴリー内に追加します


最近は、私みたく、絵本を読む大人も増えているけれども
こうした素朴なお話しを子どもはどう感じるのかなあ

おかっぱの黒い髪と赤いワンピースが可愛いさっこちゃん
ほっぺが赤いのは健康な証拠

引っ越してすぐ、お隣りを訪ねて挨拶する積極的な性格
同じ年ごろの女の子が隣りにいたら、毎日遊ぶよね
優しそうな両親、広い自分の部屋があるのも羨ましい

赤、緑、黄色の3色刷り
色づけ部分はデジタルぽい

印刷すると、質感が変わるから
原画で観たら鉛筆のタッチがより鮮明に分かる気がする



【内容抜粋メモ】
さっこちゃんは引っ越してきて
隣りに住む同じ年の女の子が気になるが
家には誰もいない様子









野原でタンポポをつんでいると猫が通る
木の影にカゴがあり、中にはかわいいおままごとセットが入っている
その上にタンポポやクローバーの花を飾る










おかあさんに呼ばれておやつを食べて
自分のおもちゃを持って行くと
おままごとセットがキレイに並べてある

隣りに住むようこちゃんがお花のお礼を言って
花かざりを頭につけてくれる

2人はすぐに仲良くなって、おままごとをして遊ぶ











ウィローデールの手漕ぎ車 またはブラックドールの帰還 エドワード・ゴーリー/著 河出書房新社

2025-02-13 17:45:30 | 
2024年初版 柴田元幸/訳

「作家別」カテゴリー内の「エドワード・ゴーリー」に追加します


久々、図書館でゴーリーを見かけて
ハマってた頃からしばらく経って
読んでいない新作がいくつかあることに気づいた

3人の男女が手押し車で旅に出て
いろいろ不穏な場面に遭遇し
トンネルに入ったまま帰らない話
相変わらず意味不明







クルマを運転していた男性は崖から落ちて死んでるし
ネリー、ディックも切羽詰まった状況











ヒトのたどる道を端的に描いたとも言える?
いや、そんな深堀りは必要ないな

ヒトの手で描いたと思えない緻密な線画と
荒唐無稽なアナグラムを楽しむ1冊




■訳者あとがき
本作は女優リリアン・ギッシュに捧げられている
ゴーリーはギッシュとグレタ・ガルボを崇拝している











卒業の夏 福武文庫 ペイトン/著 福武書店

2025-01-30 17:22:59 | 
1990年初版 久保田輝男/訳

体重90キロ超えのいかつい脳筋タイプの主人公が
ピアノを弾かせたらスゴイってギャップに惹かれて一気読み

あとがきにもある通り、ホールデン・コールフィールドを思い出す

続編『ベートーヴェンの肖像』もぜひ読みたいと思って調べたけれども、邦訳はないみたいで残念


【内容抜粋メモ】

登場人物
ペン(パトリック・ペニントン)
ベイツ 親友 気が弱いが歌が上手い
スミートン ケンカ相手

ビーハイブ中学
クロッカー 音楽教師
マシューズ 体育教師

ミッチェル 新任の巡査
ウエスト警部

シルヴィア 歌の上手い少女



体が大きく、つねにトラブルを起こすペンに教師らもお手上げ
長髪を切るようずっと注意しているが聞く耳持たず

通知表もひどい結果 体育と音楽だけは得意
(1つでも秀でた才能、好きな科目があるなら、それを伸ばせばいいよね

教師:ペニントンがああなのは両親のせい

母はアイルランド気質で頑固一徹
父はすべて腕力でけりをつけるタイプ

母はペンに小さい頃からピアノを習わせていた
とっくに退学になってもいいのに、勉強を続けさせたのも母親

ベイツは歌が上手く、テレビに出たいと夢を話すが、緊張しいで気が弱く
人前に立つのがニガテ



老船マチルダ号を巡って、ペンとスミートンはいつもケンカをしている
新任の巡査ミッチェルがケンカを見て、早速ペンに目をつける

ハームズワース少佐がケンカの原因はペンだとミッチェルに教える
ペンは腹いせに少佐のジャガーのタイヤをへこませる

スミートンは少佐のジャガーにタールで4文字言葉を塗り、ペンのせいにする
弁償の勘定書きが父に送られ、バイトをして金を作らなければならないが
小さな町でペンは嫌われていて仕事も見つからない

ペンはスミートンと仲間を泥の中に落として復讐する
ミッチェルが逮捕しようとして、ウエスト警部がなんとかおさめてくれる

ペンはオークホールの少年院送りだけは恐れている
ウエスト警部:お前は頭が悪いわけじゃない もう少し頭を働かせるんだな

酒場で人手が足りないのを知って、コップ洗いのバイトを見つける
古ぼけたピアノを弾くと、18歳になったら店で弾いてくれと頼まれる

酒場主人アーサー:公民館で水曜の夜、フォークソングを演ってる
ペンはそこで痩せた金髪の少女シルヴィアの歌を聴き、参ってしまう



クロッカー先生はノースエンドの音楽祭でメンデルスゾーンの
♪アンダンテとロンド・カプリチオーゾ を弾けと命令する

クロッカー:職員会議で決まったことだ 毎日少なくとも3時間練習すること

級長マクスウェルは、音楽会で歌う老歌手テイトを出し抜くために生徒でいろいろ計画し
ベイツにも歌うようすすめるが、酒の助けが必要だとアドバイスするペン

スミートンがマチルダ号に乗り込んできてひどいケンカの後
エンジンが止まり、座礁してしまう

船について少しでも知識があるのはペンだけ
みんなびしょ濡れになって帆を動かして、なんとか岸にたどり着く



ペンの長髪が職員会議で問題となり
髪を切るまで運動競技から締め出そうと決まる
教師の間で、ペンが髪を切るか切らないかで賭ける

ペンは担任“ぐしょぬれ”が嫌う♪ターナンバウム を弾いて嫌がらせをする

ペンはテイト氏や他の生徒の余興の伴奏も頼まれるが
スミートンはベイツとペンを物置に閉じ込める

ペンは満潮を待って物置からダイブして脱出し、父のオートバイを無断で借りて
無免許でベイツを乗せて猛スピードで飛ばして、なんとか間に合う

ベイツはマクスウェルらに散々飲まされ
べろんべろんの状態でペンの楽譜めくりを命じられる

ベイツの滅茶苦茶ぷりが生徒らに大好評で拍手喝采となり
気をよくしたテイト氏はアンコールに何度も応える

ベイツを何度も励まして、歌わせると校内は感動でしずまる
客席にシルヴィアも観ていて、2人の演奏を褒める

ペンはお茶に誘うが“ぐしょぬれ”がわざと小僧扱いして校長室に呼ぶ
ミッチェルはオートバイが盗まれ、壊された事件の犯人がペンと疑い事情聴取する
ペンは音楽会に父がオートバイに乗せてくれたとウソをつく

帰宅すると父はオートバイの件で殴りつける

ウエスト警部:
悪い家庭の見本みたいなものさ
親身になって相談にのる相手がいない

シルヴィアはトールチェスターのフォーク大会にペンらを誘う
ピアノのコンテストと同じ日のため、ペンはフォーク大会に行くと決意する



ペンはミッチェルに呼ばれ、物置から水に飛び込み、アリバイを証明して見せるが
ベイツはウソがつけないため、父のオートバイに無免許で乗ったのがバレる

マシューズはペンが水泳大会に出場できないのを知ってて見学に来いと命令する
最後の400mで勝たなきゃ4連覇できないと分かるとペンを無理やり出場させる

ライバルのパークサイド中学のピタスンは全英代表になったほどの選手だが
見事ペンが優勝する

マシューズは妻が妊娠中とか、家を抵当で手に入れたばかりで職を失いたくないと打ち明け
ペンに髪を切らせる



ペンはこれまでの恨みを晴らすため、バケツに汚物を入れて
“ぐしょぬれ”の頭からかけるというオーソドックスなイタズラをする

担任はペンの手をムチで打つ
“ぐしょぬれ”:ムチだけで済むと思ったら大間違いだぞ
ペンは“ぐしょぬれ”の鼻をあかすためにピアノのコンテストで優勝してやると誓う

ベイツとマチルダ号に乗ると、クロッカー夫人と出くわし
夫が帰らないから探してほしいと頼まれる

ボートの中で心臓発作を起こして倒れているクロッカーを見つけるが
またマチルダ号を浅瀬に乗り上げてしまい、ベイツにボートをこいで戻るよう指示し
自分は近くに来た少佐の船に助けてもらう

コンテストにギリ間に合い、我を忘れて弾き、見事優勝するペン
シルヴィアも聴いていて褒める
シルヴィアはパークサイド中学の学生で、水泳大会でペンを応援したと話す

家に招待され、気さくな両親にピアノを弾いてくれと頼まれて
クタクタで空腹なのも忘れて3時間も弾く



家に帰ると、ピアノの名教師ハンプトンが来ていて
ゆうべシルヴィアの家の上の部屋でペンのピアノを聴いて
奨学金でロンドンへ行き、ピアノを勉強しないかと誘う

ベイツはクロッカーを救ったヒーローのようにマスコミに取り上げられているのをペンに謝る
ハンプトンは父、ウエスト警部も説得する

クロッカーもハンプトンを知っていて、ペンが本格的にピアノの道に行くのを喜ぶ

校長もペンをほめたたえ、1曲弾いてくれといきなり頼む
校長:君の好きなのでいい
ペンはアンチぐしょぬれの♪ターナンバウム を弾く

マクスウェル:この後が大変だぞ
ペン:平気さ オレにはする仕事がある オレは出て行く





論創海外ミステリ 121  ヴィンテージ・ジュヴナイル ナンシー・ドルーの事件簿 歌うナイチンゲールの秘密

2025-01-29 12:06:12 | 
キャロリン・キーン/著 論創社
2014年初版 小笠原由美子/訳

キャロリン・キーンて共同執筆なのか/驚
ヴィンテージ・ジュブナイルのほかの作品も気になる








メインの王子さま探しだけでも大変なのに
連続スリも周りで起こりすぎだし
ファッションモデルをしたり、デートしたりで大忙し!
息つくヒマもないほどてんこ盛りにしなくてもいいのだが



【内容抜粋メモ】

登場人物
ナンシー・ドルー:リヴァーハイツに住む高校生 探偵としても活躍している
カーソン・ドルー 父 弁護士
ハンナ・グルーエン 家政婦
ベス・マーヴィン 親友
ジョージ・フェイン 親友
ヘレンコーニング 旧友
ネッド・ニッカーソン BF

マリー・アレクサンドラ
アンナ メイド
ファーバー 骨董商

フランシス・ボーム 財布をすられた青年
デイヴィッド・ドーランス スリとそっくりな青年
キャサリン・コフナー デザイナー志望
エリントン 商業デザイナー
コルドヴァ




ナンシーは父の誕生日プレゼントになにか特別なものを贈りたいとデパートを物色している

アレクサンドラという老女が体調を崩して家まで送ってあげる
お礼に繊細な細工がほどこされたイースターエッグを見せてくれる
父の誕プレにファーバー氏の骨董店をすすめる

道でスリ事件を目撃
逃げた犯人はすった財布を落とし、被害者フランシス・ボームに返す際に見えた
名刺の文字を記憶するナンシー
少年の写真はアレクサンドラの屋敷で見たのと同じ

ファーバーさんは、アレクサンドラはさる国の王妃で革命時に家族を失い
孫だけが乳母といっしょに逃げ延びて、今も探していると話す
フランシスがその孫なのか?
ナンシーはきっと探しあてると約束
ファーバーはお礼に父への誕プレ用にジェントルマンズ・ボックスをあげると約束
イースターエッグをつくったのは宝石職人の父

またスリを見かけて追うも、ボートでスリを働き逃げてしまう



アレクサンドラにお茶に招待され、イースターエッグの仕掛けからナイチンゲールが出て来て
フシギな歌を歌うのを見せてくれる

名刺の住所を割り出し、行ってみると、フランシスは引っ越した後
またスリを見かけてアパートまで追うと女が出てきて
夫にはやくざ者のいとこコルドヴァがいると話す

ヘレンが訪ねてきて、若きデザイナーのキャサリンを紹介する
彼女のデザインしたドレスを着て、ファッションショーに出る約束をするナンシー
キャサリンはナイチンゲールの歌を聞いて「手がかりは宝石箱に」と言っていると教える

父にアンティークの銃を売ろうとしていたドーランスがスリそっくりで驚く
間違えないように、白いハンカチを振ると合図を決める



フランシスが狂暴なシェパードを連れてナンシーを訪れる
亡くなった乳母の手紙を証拠と認め、行方不明だった王子マイケルだと思われるが
念のため、屋敷の貴重なものは隠しておくようアンナに伝える

またスリが起きるが、追った男が白いハンカチを振ったため
また人違いだったとガッカリするナンシー

アレクサンドラからドレスに似合う高価なアクセサリーを貸してもらうがそれもすられてしまう
貸したのは模造品と明かすアンナ

ネッドとデートに行き、観覧車が止まってしまうハプニングはいる???

アレクサンドラは孫が戻って大喜びで、晩さん会を開くが
マイケルは元王子とは思えない不作法者で、キャサリンをしつこく口説く

ナンシーがネッドらとピクニックに行った先でも
マイケルは失礼な態度で嫌がられて置いていかれる
ここでもナンシーは湖に落ちた少年を助けて、商業デザイナーのエリントンと出会う



マイケルはアレクサンドラの宝石を持ち出し、質に入れて多額をもらい
祖母には少額しか渡さない詐欺を働いていることが分かり
アレクサンドラの体調は悪くなるばかりとアンナは心配する

アレクサンドラの一番の宝は従僕の像で
バネを押すと宝石が出る仕掛けになっている
ナンシーはナイチンゲールが歌っていたのはこの像のことではないかと推理する

ファッションショーでもスリが起きて、ドーランスがいたため
こんなに何度も同じ現場に2人がいるのはおかしいと疑う










従僕の像の仕掛けを解いて、乳母のメモが見つかる
ファッションショーのグランプリはキャサリンに決定

エリントンからストローライド(藁をしいた荷車に乗って、夜に遠乗りすること)に誘われるが
待っても来ないため探しに行く

マイケルの足裏を見て、王子じゃないと分かり、警察に逮捕される
アレクサンドラとアンナは彼の仲間に縛られて、屋敷内の宝石類が盗まれている

食事に入った店にまたドーランスが現れ、警官に逮捕させる
彼とコルドヴァは2人でスリをしていた

マイケルが乳母の手紙を奪った相手はエリントン
コルドヴァを捕まえ、縛られているのを助けて、足裏に王子の印を見つける



エリントンはキャサリンと婚約
アレクサンドラは本物の孫との再会を喜ぶ

父の誕生日パーティーにファーバーからもらったジェントルマンズ・ボックスをあげる
これにも仕掛けがあり、中からメモが出てくる

この後、「盗まれた楽譜」という事件にかかわることになるナンシー




訳者あとがき
リヴァーハイツはアメリカ中西部にある架空の町

ナンシーシリーズの生みの親は、エドワード・L・ストラテマイヤー
1906年に創作集団ストラテマイヤー・シンジケートを設立し
同じペンネームで複数のゴーストライターが書くという仕組みをつくった

その正体が明らかになったのは、1980年の裁判がきっかけ
出版権をめぐって証人として現れたのは、ゴーストライターの1人ミルドレッド・A・ベンソン

25作目までのほぼすべてはミルドレッドが書いたので
25作目までが価値があると言う愛好家もいる
本作は20作目

作品に出て来る革命は1917年のロシア革命を暗示していると思われる
悲劇の最期をとげた皇帝ニコライ二世の一家を意識している



快活な女子探偵ナンシー・ドルー 美土内登(児童ミステリー研究者)
シリーズ初作は『古時計の秘密』1930年
これまで222作品書かれた

血なまぐさい残酷な場面は排除され、安心して読めるのが特徴
溌剌とした活発な高校生が主人公なのも人気の要素

相手役の特徴が強いのもポイント→今作のアレクサンドラ
古き良きアメリカが描かれ、懐かしさも感じられる











よるのかえりみち みやこし あきこ/作 偕成社

2025-01-26 17:52:25 | 
2015年初版

光と影の描き方が効果的
暖色に照らされた部屋の中にいろんな人たちの暮らしがあるのが分かる

忙しい昼間と違って穏やかな時間が流れる夜
モフモフな動物たちがとにかく可愛い

建物や家具などは洋風でオシャレ


【内容抜粋メモ】
たくさん遊んだ子どもが母親に抱かれて家路へ向かう
お店も閉まっているし、通りは静か









明かりに照らされた室内が見えて
料理をしてたり、電話をしてたり
1人でゆっくりしてる人、パーティーで楽しそうな人々









父親も迎えに来て、子どもはベッドに寝かされる







パーティーにいた人たちは家に帰るのかな
終電で家に帰る人もいるのかも
いろいろ想像しながら眠りにつく













ブラックウッド館の謎 文学の扉 17 キャロリン・キーン/作 金の星社

2025-01-24 17:10:11 | 
1985年初版 同年 第2刷 前田三恵子/訳 佐藤弘之/画家

大人気の「ナンシー・ドルー・ミステリー・シリーズ」を久々に見つけたv
やっぱり面白くて、一気読みしたけれども
細々とした説明が多すぎてごちゃごちゃしてる感もあった
まだまだ和訳されてないナンシーシリーズも読みたいなあ


「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー参照



ネットで調べてたら、実写もあった/驚

『ゴシップガール』のジョシュ・シュワルツが手掛ける新感覚ミステリー『ナンシー・ドリュー』がU-NEXT独占で日本初上陸

美少女探偵ナンシー・ドリュー



【内容抜粋メモ】

登場人物
ナンシー・ドルー 探偵好きな少女
愛犬 フォックステリアのトーゴ
カーソン・ドルー 父 弁護士
ハンナ・グリューン 家政婦
ジョージ 親友
ベス・マービン 親友 ジョージのいとこ
ネッド・ニッカーソン BF

プットニー夫人
ハワード・ブレックス ニセの宝石づくり
ジョンソン ハワードの雇い主
ホワイト ベスの家の掃除夫
ローラ 娘
マクギニス警部



宝石商フリーマンが来て、プットニー夫人の相談に乗ってほしいと頼まれる
手入れをしてほしいと言われて持ってきた宝石を見たら全部ニセモノだった
警察に届けたほうがいいとすすめたが、話してはいけないと口止めされている







主人ヘンリーは数か月前に亡くなり、盗まれるのを恐れて、家にある宝石を全部ケースに入れて
森の中に埋めたが、今朝掘り返して宝石商に持っていったらニセモノと分かった
数週間前、ヘンリーの霊魂が宝石を埋めるように言いに来たのがきっかけ

早速、埋めた場所に行ってみると、女性の悲鳴が聞こえてクルマが走り去るのを見る
その間、現場で見かけた金属のかけらが消え、男の足跡がついていた

ナンシーは宝石店を巡り、ハワード・ブレックスを探すといいと言われる
ニューオリンズで宝石のデザイナーをしていたが、詐欺で逮捕され、釈放された



ナンシーは親友のベスとジョージを助手にして、いっしょにニューオリンズに飛ぶ
黒髪の女がベスに話しかけ、ホテルはどこかと聞く

ハワードの雇い主ジョンソンにニセモノの宝石を見せると
同じ職人が作ったものだと教えてくれる

黒髪の女が3人を尾けていると分かり、逆にあとを尾けると
「永遠の調和教会」という看板のビルに入り、降霊会をしていて
肖像画が動き出すのを見る







霊魂と連絡をとれるという男に会いに写真スタジオに行き
ナンシーが写真を撮ってもらうと「依頼人の頼みに用心せよ」という警告文が写る
暗室にも黒髪の女がいるのを見る

写真技師が頭を殴られて倒れ、ナンシーが消えて驚くが、その後ぐったりして帰ってくる
地下室に連れていかれ、ヒモで縛られていたのを脱出してきた(そんなカンタンに!



ベスはお掃除に来ているホワイトさんの娘ローラの様子がおかしいとナンシーに相談する
工場で働き、かなり稼いでいて、母に給料を渡していたのに、全く渡さなくなり
いつもボンヤリしているという
ナンシーがわけを聞いても話してくれない

プットニー夫人はヘンリーは地面に木の枝を3本組んで目印にしていたと話す
森に確認しに行くと、金髪の若い女性サディが木のうろに札を入れるのを見る
現場を離れて、もう一度見ると、札はなくなっている

ネッドにピクニックに誘われ、事件のあらましを話す
川にローラが入っていくのを見て助け出す 催眠術にかかっている様子







ジョンソンから手紙が来て、掃除夫がスリーブランチ(3本の枝)牧場の株を買うよう
手紙を受け取っていたと書いてある
調べてみると、そんな牧場は存在しない

プットニー夫人にも聞くと、同じ詐欺に遭っていた
それもヘンリーの霊が教えてくれたと信じきっている
ナンシーが忠告したのも聞かず、また降霊会に行って
持ち合わせのお金を霊媒に渡してしまう



新聞に広告を出してサディに会って聞くが教えてくれない
ナンシーは自らおとりとなって手紙を書いて木のうろに入れると
「ハンフリーの木に行って指示を得よ」という返事が来る

図書館で調べると、その木の下で昔、決闘が行われ
その時死んだジョナサンの幽霊がブラックウッド館に出るという噂があると知る

3人でブラックウッド館に行くと、幽霊がオルガンを弾くのを見て駆けつけると消えている
幽霊を信じないナンシーはどこかに秘密の出入り口があるはずだと思う







夜、ネッドといっしょに行くと、館で降霊会が行われている
2人は泥沼にハマってしまい、ボートのロープでなんとか引き上げる

プットニー夫人はまた降霊会に出て、50ドル渡したと話す
(詐欺に遭う人って本当にこういう人たちなのかもしれないな

ドルー氏はマクギニス警部に頼んで館の令状をとってもらう
みんなで調べに行くと、館から手押し車でなにかしら持ち出した跡がある

古いオルガンは鳴らないが、裏に象牙の鍵盤があった
その奥にやはり秘密のドアを見つけて入ると、何者かに懐中電灯を叩き落される

ドルー氏のクルマが盗まれ、それで盗品を運んだと思われる
森にも落ちていた金属の破片は手品師が使うインチキの道具だった
ドルー氏のクルマは隣の州で乗り捨てられていた









黒髪の女が郵便局でフランク・イーガン宛ての郵便物を取りに来て
再び偽名を使ってシカゴに飛んだ

ナンシーはそれを利用して、プットニー夫人、ローラ、サディに手紙を出す
サディから返事が来て、孤児のためにお金を払うという手口の詐欺にひっかかっていると分かる

サディをニセの降霊会に誘い、ネッドが祖父のフリをして
これ以上金を払うんじゃないと忠告する



ブラックウッド館の近くに怪しい小屋があり、手押し車の跡もある
プットニー夫人がクルマに乗って通りかかるのを見る
ここでもナンシーは誰かに殴られて気絶し、愛犬トーゴが見つける









プットニー夫人のクルマのナンバーを調べると
数か月前に亡くなった男のクルマのものとすり替えられていた
それを夫人に証明しようとしてガレージに戻るとナンバープレートは元に戻っている

刑事にプットニー夫人を見張らせるが、急に荷物を持って出かけた
ローラも消えた



ナンシーと同じベンチに座った婦人の娘ネリーも同じ手口の詐欺に遭っていると分かる
シカゴでプットニー夫人の宝石が見つかるが、一番大切な真珠と指輪が見つからない

プットニー夫人の別荘に行ってみると、お手伝いとして雇われたローラもいる
ローラにもニセの降霊会を使って正気に戻す

夫人は銀行で株券、証券などを出していた
ナンシーはようやく州警察に協力を頼み、犯人の1人が逮捕され
写真技師に似てると気づく

写真技師の本名はジョー・ブレックス
ハワードには2人の弟がいて、母とともにニセの降霊会をして騙していた

逮捕されていたジョン・ブレックスは警備員も騙して脱走
一味の女が手伝ったと思われる

ナンシーはまた館に行き、秘密のエレベーターを発見するが
ハワードとジョンに見つかる









3本の枝は3人兄弟を表すもの
ナンシーはまた眠らされ、エレベーターに監禁されるが、みんなに助け出される

犯人グループは逮捕され、プットニー夫人らをナンシーの夕食に招待する
夫人は感謝の気持ちにカメオの指輪をナンシーにあげる









訳者あとがき
キーン女史の本名はハリエット・アダムズ
ニュージャージー生まれ 他に4つもペンネームを持つ
いつも子どもたちの意見を聞き、子どもこそ最大最良の批評家だと言っている







ピアノはっぴょうかい みやこし あきこ/作 ブロンズ新社

2025-01-23 17:21:30 | 
2012年初版

前髪ぱっつんの女の子がカワイイ
こんなに広いホールのステージで大勢の前で弾くなんて
緊張しいな私には絶対ムリだな

それに、ピアノのお稽古が流行っていた時
私の両親は子どもの習い事にまったく関心がなかったし


【内容抜粋メモ】
初めてのピアノ発表会に来たももちゃん
緊張で顔がコワくなってる・・・







次の出番を舞台袖で待っている
だいじょうぶ、だいじょうぶ と心の中で繰り返す

足元にこねずみがいて、自分も発表会があるから観に来てと誘われる







小さなドアを抜けると、、、
たくさんのネズミたちが客席で観ている前でサーカスが始まる
手品を披露したり、歌手が歌ったり、バレリーナが踊ったり















こねずみが不安そうなので、ももちゃんはいっしょにステージに上がり
ピアノを弾いてあげる







気づくと、ピアノ発表会のステージで
楽しい気持ちのまま弾き終えると大きな拍手が起きる








帰り道、おかあさんは笑顔がよかった、と褒めてくれる








ビロードのへやの秘密 Best choice ジルファ・キートリー・スナイダー/作 福武書店

2025-01-22 14:03:21 | 
1989年初版 小比賀優子/訳 中村悦子/挿画

ジルファ・キートリー・スナイダー
1948年アメリカ生まれ
大卒後、小学校の教師として働き、その後、児童文学を書いて数々の賞を受賞


近くの図書館で見つけた まだまだ漁れば良作があるなあ!
親の都合で各地を転々としている子どもの不安定な心情と
ビロードの部屋で消えた少女のミステリーが重なり
最後のハラハラな展開まで一気読み

やはり作者の実体験がともなった作品はリアル
少女が安定した生活を望み、苦しい現実から逃避したくなるのも当然と思うけれども
良書の中の大人は時にグサリと刺さる言葉を言う
現実にはそんなに親身になって、真実を告げてくれる人はなかなかいないよなあ


【内容抜粋メモ】

登場人物
父 ポール・ウィリアムス
母 ヘレン いつでも前向きで明るい
長男 ルディ 15歳 機械に詳しい
長女 セダ 14歳 オシャレが好き
次女 ロビン 12歳 ふらふら歩きが好き
次男 キャリー 8歳 読書が好き
末子 シャーリー 4歳 泣いてばかりいる

マッカーディ夫妻 農場主
グエン 一人娘 12歳

クライリー 農場の支配人
息子フレッド

ブリジット パルメラス屋敷近くの小屋に住む グエンの元乳母 足が不自由



父がフレノスで肺炎で倒れて仕事を失い、借金を負い
3年間もあちこちをクルマで転々としてきたウィリアム一家
パンクで「パルメラス屋敷」の門に突っ込んでしまう

父とルディがタイヤ交換に行っている間、ロビンはいつものふらふら癖が出て
今は使われていない屋敷の立派さにみとれる

父は途中で出会ったクライリーさんにアンズの季節に働いてほしいと言われて
村の粗末な家を借りて住むことになる

ロビンは屋敷に戻りうろついていると、小屋に住むブリジットと知り合う
ネコ、アライグマ、ニワトリ、ヤギのベッティらと住んでいて
村の人たちからは“魔女”呼ばわりされているが
ロビンは足の不自由なブリジットさんの代わりに毎朝、ベッティを連れ出す約束をする

セダが父にヘアカラーを買うお金をねだるのを見て、欲張りだと非難すると
父:この家で一番欲張りなのはロビンだよ と言われてショックを受ける
手に入れることのできないものを当てもなく求める気持ちのことを言われたのだと自分を責めるロビン



ブリジットの家に行った帰り、農場主の娘グエンと出会い、仲良くなる
ブリジットはグエンの乳母だった

ブリジットはパルメラス屋敷の歴史を話してくれる
マッカーディさんはいつか博物館にしようと計画している
ブリジットは迷いながらも小さな箱に入った大きなカギをロビンに渡す



村の娘テレーサは、パルメラス屋敷で昔、少女が殺されて
今でも幽霊が出るのだと話すがロビンは信じない

あちこち探して、カギは井戸を開けるものだと分かる
暗いトンネルを抜けると、パルメラス屋敷の秘密の部屋に通じている



道で転び、グエンは部屋に呼んで介抱してくれる
部屋にあったピアノを弾くと、すごく上手いと褒める
グエンはピアノ教師に習っているが練習が嫌いで進歩しない

本棚にはたくさんの本があり、読書するよう言われているが興味がない
ロビンがあらすじを話してあげると夢中になって聴くようになる
ロビンは家族の話をするが、グエンがバカにしたりしないので驚く



屋敷にはほとんど家具はないが、ビロードの部屋だけはいろんな美しく古いモノがあり
ロビンはそこで暮らしている想像をしてみる
本棚にはたくさんの本があり、毎日のように来て読むようになる



アンズの時期になると、村に住む12歳以上の者はみな労働許可をもらって手伝う
グエンもいい経験になると言って登録する

ロビンに屋敷で亡くなった少女ボニータについて話す
ボニータは幼い頃、両親を亡くし、祖父と暮らしていた

ボニータが消えた当日、馬が濡れて帰ってきたことから
洪水に流されて溺れ、死体は海に沈んだのだろうということになった

ビロードの部屋にある少女の写真がボニータだろうと推測する
ボニータの日記も見つけて、フランシスコ伯父、リリー叔母、息子ドニー(グエンの父)
親友のメアリーについて書かれている

ボニータもビロードの部屋で楽しく過ごしていたが
祖父が亡くなってから先の日記は白紙で気になるロビン

ボニータが消えた際、伯父と妻が殺したなんていう噂も立ったが
伯母と子守のマリアが不仲でマリアが後に噂を広めたと思われる

アンズの種取りが始まると、朝7時~夕方5時まで立ちっぱなしの労働でくたくたになる
農場の支配人クライリーの息子フレッドは監視役で、いつも誰かに嫌がらせをしているため
ロビンは大嫌いになるが

父:
昔、クライリー一家はオクラホマのひどい砂漠地帯で苦しい生活をしていた
飢えと失望は人間の精神に大きな影響を与えるものだ



子どもたちは試験を受けて、学校に通い始める
ロビンはグエンと同じ7年生として勉強する
グエンのお金持ちのグループと村の貧しい子のグループの間で揺れるロビン

ピアノの先生からも褒められて、いっしょにレッスンを受ける
レッスン料は高額だが、一度も代金のことは言わない

家族で買い物に行った日、父はまた体調を崩してしまう
本当は学校の先生になりたかったのに、祖父が急死して学校を卒業できず
向かない力仕事でムリをしている



1年に1回、ビロードの部屋を掃除するからとロビンを誘うグエン
ロビンは初めて見た演技をする
フレッドは箱の中の高価な宝石などに目をつける

あまり好きではないジョー叔父から手紙が来て
体を壊したから父に店を手伝ってほしいという頼みだった
父は一番辛いのはロビンだから、一晩考えるようにうながす

ロビンは父の体を思うと「行く」という選択肢しかなかった

父:
お前も自分に子どもができたら分かると思うが
自分の子どもだからといって、その子の人生を決める権利など親にはないんだよ


マッカーディ夫妻はロビンに学年の終わりまで一緒に暮らしてほしいと提案する
グエンからの頼みで、ロビンと仲良くなってからピアノも読書も熱心になったため

どうしていいか迷い、ブリジットに相談する

ブリジット:
なぜそうするのかという理由には、正しい場合と正しくない場合がある
残りたいのは、あの屋敷に関係があるのかい?
周りの人たちのことを忘れてしまうほど心を奪われてしまっては・・・

ブリジットは自分がボニータ・マッカーディだと明かす
祖父が亡くなると、屋敷と土地を全部遺されて
伯母とマリアの仲が悪化し、伯父と伯母もケンカしているのを聞き、混乱して家を飛び出した

親友のメアリがいろいろ手配してくれて、バウアー一家の住み込み教師となり
スイスから来たエリック・グンターと結婚し、各地を転々とした

エリックが病気になり、初めて身の上を明かし
エリックの死後、伯父と伯母はもう亡くなっていて
マッカーディ夫妻が家政婦を募集していたから引き受けて、そのまま言わずにいた
ロビンが見つけた写真もブリジットだった

ブリジット:
場所にしがみつくより、自分を愛し、必要としてくれる人といっしょにいることのほうが大切なんだよ
人を大切にしないといけない 人間から離れてしまったら、その人の人生は終わりだよ



混乱したロビンはビロードの部屋に戻ると、これまでの魔法がとける
夜中にクルマが来て、3人のどろぼうが入る その1人はフレッド

高価なものを盗み、証拠隠滅のため、本に火をつけて屋敷ごと燃やそうとして
ロビンは止め、マッカーディ家に教えに行く

なぜ井戸のカギを持っていたのか聞かれ、結局、マッカーディ氏は弁護士を通じて
ブリジットがボニータであることを知っていたと分かる

フレッドは自首し、共犯者2人も逮捕される
ブリジットはマッカーディをまた名乗ることを喜ぶ

マッカーディ氏は屋敷を博物館にする際、ポールに管理人になってほしいと頼む
屋敷の近くに一軒家を建てて、ウィリアムス一家が引っ越すまでは
屋敷に住んで留守を守ることになる



ジェリコの夏 ジョハナ・ハーウィッツ/文 BL出版

2025-01-21 17:24:18 | 
2001年初版 千葉茂樹/訳 メアリー・アゼアリアン/絵



近所の図書館で見つけて借りて、一気読み
タイトルと冒頭を読んで、自分が好きな物語だと勘で分かった

実在する人物や工場名も出てくるが、ストーリーは創作
著者が歴史などを詳しく調べて書いたとあって驚いた
温かみのある木版画も素晴らしい


ジョハナ・ハーウィッツ
1937年 NY生まれ 図書館司書をしながら創作活動をはじめた

メアリー・アゼアリアン
木版画に水彩で色を施す画風が人気の版画家


【内容抜粋メモ】

登場人物
ルーシ 姉 18歳
ドーシ 妹 12歳

ミード家
父母
エディー 18歳
ティモシー 16歳
エマ 長女 14歳
エリナ 次女 8歳 通称ネル

ベントレー家

ウィリー 雪の結晶を研究している




1910年
ドーシはフレッシュ・エア基金を利用して
1人でジェリコに行き2週間の夏休みを過ごすことになる

家族写真を撮った後、父は単身でアメリカに渡り、3年後に家族を呼んだ時
赤ちゃんのベルベルはしょう紅熱で亡くなっていた

肺結核で父が亡くなり、去年、母も亡くなり
姉ルーシはトライアングル・シャツウエスト工場で
1日に12時間も針仕事をしてなんとか暮らしている







駅にはミード一家が馬車で迎えに来てくれていた
お喋りが好きな次女ネルは、以前ベントレーさん宅にフレッシュ・エア基金で来た
メアリー・ウェルズについて話す

一面のトウモロコシ畑も、農家の大きな家にも驚くドーシ
ミード夫人は食べきれないほどのごちそうを出すが
ドーシの家はユダヤ教のため、ブタ肉は食べず
肉と牛乳もいっしょに食べないと話す







ニューヨークの図書館で『赤毛のアン』と『若草物語』を借りてトランクに入れ
白い本に日記をつけて、寂しくなると友だちが書いた寄せ書きを開くドーシ

焼きたてのパンを初めて食べて、美味しさに驚く
牛から乳をしぼり、ニワトリから卵をとり、ブタからハムををつくることを知る

夜、火の粉に驚き、エマとネルを起こすと、ホタルだと教えてもらう









ネル:あなたはどうして古い服ばかり持ってきたの?
2着しか服を持っていないドーシは悲しくなる

エマ:
私、いつかNYに行きたい
その時はあなたの家にも行ってみたい

狭いアパートの一室に姉と2人で生活しているドーシは気おくれがして
約束はできないと答えると冷たいと言われて傷つく



搾りたての牛乳でお腹を壊してしまったドーシ
ミード家はベントレー家に招かれて、ウィリーおじさんがピアノを弾いて、みんなで歌う

ウィリーおじさんは雪の結晶の写真を撮っていることで有名
ウィリーおじさん:同じ形をした雪の結晶はふたつとない







3人で池で泳ぎ、エマはドーシから借りた本を夢中で読む
急に雷が鳴って、びしょぬれで家に戻り、豆の瓶詰を手伝う
地下の食糧庫には毎年、2年分の食べ物をためている

エマが池に図書館の本を置いてきて、びしょ濡れにしてしまう
いつも母から不注意だと言われているため秘密にしてほしいと言われてドーシは怒る
新しい本を買って弁償しなければならないが、どこにそんなお金があるのか









姉から長い手紙が届く
マイアー・ライスマンからプロポーズされたと書いてある
マイアーは4年前に妻と子を亡くして悲しみのどん底にいたが
ドーシが熱を出したことがきっかけで知り合った

結婚したら、工場の仕事は辞めて欲しいと言われ
ドーシもいっしょにアパートで暮らし、大学進学もすすめてくれている
今回、フレッシュ・エア基金をすすめてくれたのもマイアー

ドーシは突然の話に混乱する

夜、眠れずに窓から外を見ていて、今度は本当に火事が出て、家族に知らせる
ターナー家の家畜小屋が燃え、近所総出でバケツリレーをする
小屋を燃やし尽くして火はおさまる

ドーシは姉の働く工場で火事が起きたら、逃げ道がないのでは?と不安になる
大農家は裕福に見えたが、天候や収穫高によって収入が不安定になることが分かる



雨の日、ドーシはベントレー家を訪ね、雪の結晶の写真を見せてもらう
ウィリーおじさんは雪の結晶と同じく、人間もそれぞれ違っていると教える
ドーシが帰る際に写真の1枚をプレゼントする

エマは野生のブラックベリーを摘めば、町の雑貨屋さんで1キロ10セントで売れると提案する
エマ、ネル、ドーシはブラックベリーを摘みに行く







エマが最初、ドーシに冷たかったのは、ベントレー家に来たメアリーと仲良くなり
都会暮らしについて夢のような話をしてくれたのと比べていたからと話す

ドーシ:
あの時、いい返事をできなかったのは、私の家がとても貧しいからなの
でも姉さんが結婚して引っ越したら、あなたを招待できるかもしれない

1キロ摘むのに何時間もかかり、やっと7キロ集めたのに、売ったらたった49セント
本は1ドル50セントかかる

ミード氏はなぜそんなにお金が必要なのか聞き、エマが正直に話すと
先日の火事を教えてくれたお礼がしたいとターナーさんが言っていて
本を買ってもらえることになる









もう帰る日
ミード夫人は、ドーシのために旧約聖書に載っている材料でケーキを焼いてくれる
ティモシーはドーシに牛の乳の搾り方を教える

ミード夫人:
私たちが恵まれた環境で暮らしていることに気づかせてくれたことは
エマやネルにはとてもいい勉強だったし、私はユダヤ人と知り合いになれてとても嬉しかった
お互い、習慣は違っても、深い所ではみな同じだと分かったし

ドーシは図書館には新しい本を弁償するから、雨に濡れた本はエマにあげて
みんなでブラックベリーを摘んだ思い出にしてほしいと言う

みんなから寄せ書きを書いてもらう

ベントレー:あなたは他の誰とも違う特別な存在であることを忘れずに




著者あとがき

フレッシュ・エア基金は1877年に設立され、今も活動している
ウィルソン・アーウィン・ベントレーも実在の人物

ルーシが働いているトライアングル・シャツウエスト工場も実在
1911年、大火事になり、146人の女性工員が亡くなった
私は物語を1910年にすることにこだわり、ルーシを救いたかった

NYの優美な図書館は、バーモント州産の大理石を使って1911年に完成した


愛のはじまるとき K・M・ペイトン/著 晶文社

2025-01-20 14:15:31 | 
1984年初版 石井清子/訳

ヤング・アダルト向けだからか、性の描写がわりと生々しく描かれている
当時は今より浮気が教会のルールで厳しく縛られているからこそ
余計に気持ちが高揚する火に油状態

そして急に予知能力を持つ少年が現れてSF要素も加わる

アイドルのように人気だった騎手が実在の人物と知って驚いた



【内容抜粋メモ】

登場人物
フィリップ・キーン 父
セシリー 母
ローラ 13歳
アルバート 執事
ハリー 叔父
ジャーベース 従兄 セシリーの兄の息子
フレッド・アーチャー 競馬の騎手
ドウソン 競馬馬の調教師
タイガー
ヒルダ・ベル ローラの家庭教師
バーティ・ラッシュ 調教師
ロッティ 妻
チャーリー 長男 15歳 アダ、ハービー、アグネス


競馬で有名なニューマーケット・ヒースに暮らす13歳の少女ローラは
人気騎手フレッド・アーチャーに心酔していて、大人になったら結婚すると信じている
元騎手で現調教師の叔父ハリーの家にしょっちゅう出入りしているのを両親はよく思わない

フレッドは調教師ドウソン氏の元に奉公に入り
12歳で初優勝、19歳でダービーを初制覇し
5年間チャンピオンの座を守っている

見知らぬ少年が厩舎で寝ていたのを父フィリップが見つけて
妻セシリーに食事をさせ、風呂に入れるよう指示する

ローラは強い興味を持ち、名前も言わないのでタイガーと呼ぶ
父はタイガーが寝言で何度もチャリーバートと言っていたと話す

ローラはハリーに話すと、ファルモウス卿の子馬の名前と分かる
タイガーはチャリーバートに賭けるようローラにうながす

セシリーは完璧な女主人を演じているが、本当に愛し合っているのは義弟ハリー
2人の関係を執事アルバートや女中、ハリーの世話をするマーサも知っている

フィリップがロンドンに出かける日、ハリーはセシリーをレースに誘う
タイガーの予想通り、チャリーバートに乗ったフレッドが勝つ

セシリーはハリーを夕食に招き、朝まで過ごす
ハリーは庭でタイガーに見られて、弱みを握られたと思う

タイガーはハリーの元で働きたいとローラを通して頼む
ハリーは秘密をバラさない条件だと思って、厩舎を任せるが
対等の立場になるため、タイガーの素性を調べる
タイガーは寝言を言うから1人で寝たいと願い出る



セシリーはローラに家庭教師をつけるために面接するが決められない
執事アルバートが知人の娘ヒルダ・ベルを推したため彼女に決める

ハリーはタイガーの身辺を調べ、彼が夢で予知できる能力があると知る
その能力のせいで父と兄に虐待され、監禁されていた

周りに秘密にする代わりに勝ち馬を教え、儲けたお金は銀行に積み立てると約束する
ローラにもタイガーの能力について周りに言わないよう約束させる

ベルもフレッドの大ファンで、ローラと噂話に興奮する
ローラがタイガーにしつこく聞いたため、フレッドが大けがをすると話す

フレッドは予知通り、馬に襲われて大けがを負い
治療中に体重が増えて、4日間で6.3キロもムリな減量をしてレースに臨む

ハリーはセシリー、ローラ、タイガーもレースに連れて行き
セシリーと2人になるためにタイガーにローラの世話を任せる

フレッドはまさかの逆転で優勝し、タイガーの予知が必ず当たると分かる
群衆の中にタイガーの父と兄がいて、2人でレストランに逃げ隠れる
タイガー:もし逃げられなくても、君を愛しているよ
タイガーは家族に捕まってしまう



いとこのジャーベースは、シミスターという学友を連れて来る
消極的でネガティブ、自信がなく、得意なことのないジャーベースと真逆のタイプ

フィリップをおだてて、昔、兄弟で登山をしていた話から
みんなでコルシカに山登りに行くことになる

セシリーの親はボヘミアンで、若い頃は奔放な生活を楽しんでいたが
親を憎み、ローラには同じ苦しみを味わわせたくないと思う心情を吐露すると
ハリーはローラとタイガーが厩舎でキスしていたのを見たし、恋愛は自然なことだと諭す

ハリー:
どうにもならないことに反撥してもはじまらない
われわれにできることをする それを楽しみ、感謝すればいい


フィリップはローラを社交デビューさせるために
ロンドンの祖父母の元に送る計画を立てているが
ローラは生まれ育った土地を離れる気はない

フレッドがネリー・ドウソンにプロポーズしたと噂が広まり、ショックを受けるローラとベル
フレッドは花嫁のために新しい家を建て、ファルモウス・ハウスと呼ばれるようになる

ハリーはタイガーのいるサーカス一家が近くで興行しているのを知り、ローラを誘う
綱渡りをする肝っ玉ディアボロの1人がタイガーだと見抜くローラ
ネットの命綱もなくワイヤーの上でとんぼ返りをする姿が美しくて感動する

ハリーは馬車で待ってると告げ、タイガーはショーの衣装のまま逃げて来る
ローラにタイガーがサーカスにいたことを秘密にするよう約束させる
タイガー:まだフレッドを愛しているんですか?



フレッドの結婚式の日、ファンが町にあふれる
タイガーとローラも見に行くが、タイガーがなにか恐ろしい予知を見て発作を起こす
ローラはフレッドの身に何が起きるのか聞きたいが、ハリーが止める



タイガーはローラを散歩に連れ出し、ローラはタイガーにとんぼ返りをして見せてもらう
木に登って話していると、ハリーとセシリーが来て
木の下で愛し合うのを見てショックを受ける

いつも冷静な母はずっと仮面をかぶっていたと知り、ベルに心の内を打ち明ける
ベルは驚き、母の弱みを知られてしまう



コルシカに行く前、ハリーは怪我を負って行けなくなる
登山基地で一泊し、ローラとジャーベースを残して、みな登山に向かう

あまりの暑さに耐えられず、ローラは服を脱いで川で泳いでいると、ジャーベースも一緒に泳ぐ
2人の距離は急に縮まり、嵐が来て、一行は帰らず
小屋を見つけて、シチューを食べる

ジャーベース:君はもう知ってもいい年ごろだよ

ジャーベースは学校でもいじめられ、親からは外務省に入るよう期待され
嫌いなことを懸命にやらなきゃいけない辛さを吐き出して、声をあげて泣く

彼は愛されたことがないと知り同情するローラ
ジャーベース:幸せは今だ こんなに幸福だったことは今まで一度もなかった

2人は何度も愛し合うが、登山の案内人パスカルに見つかりホテルに戻る
父が捻挫し、ベルは甲斐甲斐しく世話をしている

母が病気だと電報が来て、一行が家に帰ると、脳膜炎で亡くなっていた(!
ハリーはショックで参り、タイガーが仕事を仕切る



葬儀後、ローラは母の席についてアルバートらに指示を出すが
今後、父の面倒をみるつもりはなく、ベルはハウスキーパーとして残り
ゆくゆくは父と再婚するつもりだと分かる

アルバートはフレッドの家に近いラッシュ夫人がお手伝いを探していると伝え
ローラは早速家を出て、ラッシュの住み込みになる

ラッシュ家はみな率直で、よく笑い、フレッド夫婦とも近しいため
子どもを連れて時々遊びに行くようになる

フレッドは結婚しても減量のために家族と食事をせず
家にいる時は風呂ばかり入り、それ以外は海外のレースで忙しい

シーズンが終わると元の63キロに戻るが
春になると無茶な減量でげっそり痩せる
こうした無理な減量で大勢の騎手が亡くなっている

タイガー:僕が親から自由になったら結婚してほしい

ハリーはタイガーがフレッドの結婚式で発作が起きた晩
「セント・マイリンに乗るな」と寝言を言ったとローラに話す

ネリーは男児を生んだがすぐ亡くなる
その後、再び妊娠し、フレッドの姉コールマン夫人が世話に来る
ネリーは出産後、けいれんを起こしてそのまま亡くなる

タイガーが見たのはこの悲劇かと問い詰めると、否定する
タイガー:それが終わったら、僕を愛してほしいんだ

タイガーはフィリップにローラと結婚したいと話し
これまでの貯金がフィリップの財産を超えているし
反対する理由もないので許可する父
タイガーは新婚生活を送る新居を建てている



フレッドは減量のためにライト博士が特別に調合した酒だけを飲んでいる
「アーチャーの混合酒」として知られていた

ローラもレースを見に行くが、フレッドは穴馬に負ける
ハリー:ほんの少しの体重オーバーのせいだよ

ネリーの3回忌の日、フレッドは銃で自死する
店もホテルも閉められ、町中が喪に服した
タイガーが見た予知はこれだった

タイガーは20歳になり、子どもにだけ与えられる予知能力がなくなったことを
父に話し、ひどく殴られた後、自由の身になる

ハリー:
これからは、すべて先が楽しみなんだ
済んだことを考えるヒマはないよ 忘れるだろうさ

タイガーとローラはフレッドの墓をお参りする
ローラ:これがフレッドがお墓の中で初めて聞いた蹄の音なんだわ



訳者あとがき

フレッド・アーチャー
1857年イギリス生まれ 12歳で初優勝してから29歳で自死するまで
数えきれないほどのレースに出場し優勝した


キャスリーン・ペイトン
1929年イギリス生まれ
15歳で最初の本を出版
1950年 クラスメイトの画学生マイケル・ペイトンと結婚