素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

首を斬らねば分かるまい

2020年03月21日 00時58分52秒 | 日記
以前、バカレイドックス(面白かったのに打ち切られてしまった、ヤンマガで連載してた闇医者が主人公の医療漫画)の作者さんが「最近の漫画は単行本第1巻の売り上げで今後の連載の方針が決まることが多いのです。なので、少しでも読んだ漫画が「面白い」と思ったなら、できるだけ単行本を早めに買ってください。そうすることが、打ち切りを回避し、新人漫画家を育てることに繋がります」
って訴えてたんで。

買いました。
ヤンマガ連載中の作品「首を斬らねば分かるまい」単行本第1巻。

明治時代を舞台にした変わり種の恋愛漫画で。
華族の若者・愛州幸之助が主人公。
彼は容姿端麗で、開成学校(東大の前身)を首席で卒業した正真正銘のエリート。
一見、誰もが羨む完璧な人間に見える彼だが、実は大きな欠陥を抱えていた。
それは、生まれてこのかた一回も勃起したことが無いこと。
腹違いの彼の兄はそれを問題視し、彼を勃起させるために色々と手を打ったけれども悉く無駄に。
そのことについて彼は深い負い目を持っていたが(彼は家の跡取りになる立場なので)ある日偶然斬首刑を見たときに運命が動き出す。

首斬り役人が若い女で、彼女が罪人の首を刎ねたときの血に塗れた姿を見た瞬間、生まれて初めて勃起。

以後、頭の中がその首斬り役人の女・洞門沙夜の事でいっぱいになり、恋焦がれ、彼女を抱きたいと思うようになるが~という話。

勃起がキーワードになってるだけあって、やたらエロシーンが多いですが(遊女やら娼婦やら召使やらを抱くシーンが頻繁に出る)明治と言う時代を見下してない感が気に入って読んでるんですよね。
色々キビシイシーン(吉原、処刑、人種差別、等々)は出るんですけどさ、誰も「酷い時代だ」とは言わないんだよね。そんなもんだと思ってる。(主人公はやや疑問に思ってるところはあるけれど、それは世間の厳しさを知らない坊ちゃんだから言えること、だった)

昔を今の価値観で糾弾するような話、読めたもんじゃないですからの。


私がお気に入りなのが主人公の兄の達臣。
兄なんだけど、跡取りじゃないのは、彼が妾腹の子だから。
で、そのことについて「ま、当たり前だよな」って疑問を持ってないのがね。
当時の常識で言えば「身の程を知ってる」人間なわけなのよ。
長男なのに長男の扱いを受けられない。
今だと「そんなの不公平だ!」って暴れだすのが出てくるでしょうけど。
当時はそうじゃ無かったから。

この「当時の感覚での常識人」
そこを踏まえて「よき兄」ってのが何か心の琴線に触れるんですよね。

幸之助の家族の中では、彼だけが「幸之助は洞門沙夜を見るまでは、勃起不全だった」ことを知ってたんですが。

それって、それだけ幸之助に信頼されてたってことでしょ?
この兄弟の信頼関係、キュンキュンくる。

時代が時代だけに、登場人物が命を落とすことがあるかもしれんけど。
この兄さんだけはずっと幸之助の傍に居てやって欲しいなぁ。