むらくも

四国の山歩き

大森山・佐々連尾山(高知県)…12/12

2010-12-14 | 石鎚山脈

大森山・佐々連尾山            おおもりやま・さざれおやま




標高                   1433m、1404.3m
登山口                  本山町白髪トンネル入り口
駐車場                  トンネル入り口の広場
トイレ                  なし
水場                   トンネル入り口広場奥に流れる沢

メンバー                 ピオーネ、レチクル、むらくも




佐々連尾山から野地峰までの稜線歩きが虫食いのように残っている。
これまで歩いているのは野地峰~兵庫山、中川峠~大森山、そして先日の猿田峠~玉取山までで、残っているのは玉取山~兵庫山と猿田峠~大森山の稜線2カ所。

稜線歩きは面白い。
一本の線を辿って歩いていると、それは自然と枝葉に別れ、やがて面になってくる。
面といっても際限無く塗りつぶせるものでもなく、あくまでも周回での面が精一杯ですけど、そうやって線から枝・面へ広げていけば、その山域の大体の地形は掴めてきます。

そうなると山はますます面白くなり、あっちから登りこっちから登り、季節を違えて登り、もう庭みたいな…と言いたいところですが、それは比較的低山でそれほど奥深くない穏やかな山の場合だけのことで、奥深い高山にもなると、やはり山は厳しく怖い存在に変わりはありません。

さて、今年も山にとって一年の内で一番厳しい顔をした冬がやってきました。
まだ一度も歩いたことのない猿田峠から登る佐々連尾山、笹が茂り藪いているとのことだが、岩場があって展望もいいというので是非登ってみようと思ったのですが、雪はどうなのかな?
木曜日には阿讃山脈に初冠雪、その後気温はやや緩んできた、準備だけはしていこう。



朝6時半、レチクル君を迎えに行き、近くの最近出来た24H営業の大型スーパーに寄ってお昼弁当を仕入れる。
買った弁当はきつね寿司・巻き寿司・ちらし寿司の寿司づくしセット弁当、なんと298円、三人分買って1000円で100円と6円、お釣りまでくれる、いいのかこの値段で。
これで柚子味のたっぷり効いた姿寿司といか寿司がついたら、毎日寄るぞ。

大野原ICから高速に乗り、マックで調達した顎が外れそうな大きな分厚いハンバーガーを口にねじ込みながら眺める法皇山脈は、白くもなんともない。
おといこさん方面の高い山の頂辺りの木々がわずかに白っぽいかなという感じでした。
砂糖もミルクも入れない熱くて苦いコーヒーを喉に流し込んで、三人でバーガーゲップをゲップゲップいわしながら、三島・川之江IC-319号線・法皇トンネル-平野橋右折し6号線を走る。

朝マックは若者には丁度いいのかもしれないが、わたしたちには多すぎる。
また、欲張って、マックセットを注文したもんだから、ハッシュポテトがヨコロだ。
山に登るんだから、たくさん食べとかないと、シャリバテ起こしたらいかん、などと言いながら、ポテトも口にねじ込む。

小さな胃はバーガーとポテトと苦いコーヒーで埋め尽くされて、出てくるゲップはホロ苦バーガーポテトのシェイク味がした。
お腹がエライ、シンドイなどといいながら、富郷郵便局を過ぎてしばらくのところで、猿田川に架かる橋を渡って直ぐに左折し126号線をクネクネ登り、白髪トンネルを抜けたところにある広場に車を駐車。

空はマッツァオ、道も見上げる山も白い物など一切ない。
それでも妻は準備の最中にも、早く登らんと、霧氷が溶けて落ちるなどと訳の分からんことを言う。




トンネルに向かって右にある登山口から汗見川支流の沢沿いに遡っていく。右下方から沢水の流れるせせらぎの音を聞きながら、朝の冷たい空気を胸一杯に吸い込み、歩き出す。




峠へ上がるまでの道は鉄塔保線路も兼ねてるのか、石なども敷き詰められて綺麗で歩きよい。
長袖の下着とフリースのシャツ、吐く息は白く少し寒いくらいだが、登りにかかるとジワリッと汗が滲み出る。




30分ほどで送電線鉄塔のある猿田峠に到着。
登ってきた南東方向には立川工石山のピョコンと飛び出た頭が覗く。
右上方を見上げると、これから登る大森山肩が聳え、おいでおいでをしているが、かなり急峻な姿だ。
すぐに歩き出そうとするレチクル君を制し、急登に備えて、一休みしようなどともっともらしく声を掛けるが、本当はこちとら息が上がってる、奴は若い。




ま、ここまではウオーミングアップの段階、これからだぞ、行けーっ!
れいほくネイチャハントの指導標のあるところから笹藪に入っていく、が?
深い笹藪と聞いていたが、近年笹が刈られたのか、登山道はくっきりすっきり、肩すかしを食らわされた。

西には天堤山の向こうに笹ヶ峰の白い頂。
沓掛山、東赤石山もくっきり。




岩場に差し掛かり、ロープのある急斜面を上がる。




高度が上がる都度、そこから垣間見える景色はどんどん良くなる。




最上部の大きな岩場の基部を右に回り込む。
岩の上は絶景が楽しめそうな感じだったが、帰りに寄ることにして、とりあえず大森山山頂を目指す。
稜線には3日前に降った雪が申し訳程度に残っていて、獣たちの足跡があちこちについていた。
多くは鹿のようだったが、なかには分からないものもある。
三人でこれは狐、これは狸、これは狢(ムジナ)であれは貂(テン)などと銘々に勝手なことを言ってるが、本当はなにも知らないのです。
これは鹿の足跡、マッチャイない、と言いながら猪だったらどうしようと内心ヒヤヒヤしてたら、直ぐ傍にコロコロパラパラの糞、猪ではない、一瞬、胸を張った、フン!どうだい!




大森山肩から、気持ちの良い稜線が続き、素晴らしいブナ林が現れる。
最近、やや勢いが衰えたという話も聞いてはいるが、それでも鯛は鯛、ブナはブナで感動してしまうから不思議だ。

ブナの遠方には二ッ岳~赤星山~おといこさん(豊受山)の稜線。




ピオーネがラチクル君に、「ゆっくりな、ゆっくり、ブナを眺めて楽しみながら歩くんで、な」と速歩きの彼をしきりに牽制する。
10:26、大森山に到着。
以前にあった山頂標識はどこかへいったのかなにもない。
最近、大型台風並みの低気圧がやってきて、ものすごい突風が吹いたので飛んでいったのかも…。




稲叢山から平家平、そして東赤石山、翠波高原までずんやり見渡せるが、一際その頂が白く光っている山をズームアップ。

ちち山、その後ろに真っ白な笹ヶ峰。




大森山を素通りし、疎林の笹原を佐々連尾山へ。
途中、展望のいい小さな岩棚のところでザックを降ろし小休憩。

朝マックがまだ胃に堪えているのか、パンなどは欲しくない。
それでも、疲れてはいけないので、銘々にザックから甘い物を取り出し、口に放り込む、わたしも無理矢理バナナを食べてみたが、お腹が空いてないと、まったくおいしく感じない。

恐るべし朝マック。

先ほどから景色を眺めながら、前方に白くなった樹木が見えてるもんだから、妻がしきりと霧氷が…早くいかんと霧氷がなどとうめくようにつぶやいている。
小休憩を終えて、その霧氷に近づいた。
砂糖をパラパラッとまぶした程度の霧氷、庭の木に霜が着いた程度の霧氷でしたが、妻は喜んでいる。

そんなに霧氷が見たかったの?と尋ねたところ、わたしは何度も見てるからいい、レチクル君はまだ霧氷を見た事なかったから、早く見せたかった~。
母親の子に対する愛情は繊細で深い、父親はその点どんくさいのか鈍いのか拘りも頓着もしないな~。
しかし、つらつら考えてみるのに、本当は妻自身が一番見たかったんではないかと、いまでも疑っている。
いくら家族でも人の言葉はまるっきり信じていいというものでもない、ときには眉唾なんていうのもあるし、言わなくていいこと、嘘も方便な~んていうのも。(怖っ!)




シャクナゲの尾根を過ぎて、再び笹原へ。




一面の笹原で、獣道が縦横に走っている。




11:18、薄く雪の残った佐々連尾山山頂着。




一瞬、このまま中川峠へ出て、周回しようかと思ったが、やはり下の林道歩きが煩わしい。
少しUターンして、展望の好い笹原に座って大休止。

スイングパノラマが一振りでどのくらいの角度で撮れるのか試してみました。
丁度180度、立川工石山から白髪山、きびす山や鎌滝山、ずずずーいとその奥に白く小さく光る太平洋、登岐山・大登岐山、大森山への稜線、そしてその右にちょこんと出ている頭は赤星山でした。(一振り360度という特殊カメラには負けます)

それにしても相変わらず静かな山、猫の子一匹いない、それはゴーストタウンの話、ここは山、双眼鏡を取り出して、カガマシ山、工石山、白髪山の稜線を引き寄せてみたが、人影はない。
しかし、本当は雪の上に残された動物たちの足跡、ジッとどこかで身を潜めて、わたしたち三匹が立ち去るのを待っているでしょうよ。




名残惜しみながらいつものように重い腰を持ち上げて、まるでブラッシーに齧られた頭のような、引っ掻き傷に見える獣道、その笹原をのんびり下る。




思った以上の快晴、ときおりジェット機の飛ぶ空はどこまでも青い。




尾根上にある小さな岩棚で一休み。
写真に写る人物は、なぜか男性より女性の方が映える。
若ければ若いほど映えるのだが、それは贅沢というもの。
カメラマンの腕もまったくたいしたことないし…。
(モデルはカメラマンのつぶやきなど聞こえてはいない、ただひたすら童心に還って遠くをボー)




翠波高原、その奥には霞んだ瀬戸内。小鹿の糞(親の糞と比べて1/4程度でしょうか、この時期にしては小さすぎますが、この冬、越せるかどうか)




大きな白骨樹。
二人がしきりと白骨樹方面を見つめている。
四頭の、小鹿を連れた親子を見たらしい。




再び大森山を過ぎて、最上部の岩場の突先に立つ。




先週に登った尖った頭の玉取山を中心におおよそ160度ほどのパノラマ。
下を見ると猿田峠の鉄塔が見えているが、そこから愛媛側林道へと延びる鉄塔保線路がくっきり見えた。




急斜面を十分に注意しながら、ゆっくりとり下る。
途中の岩場にも登ってみたが、最上部の岩場のような展望は得られなかった。
やっとこさ峠へ降り立ち、鉄塔保線路を汗見川支流へと下る。




14:34、車道に降り、大森山を仰ぎ見る。
素晴らしい天気に恵まれた誰にも出会わない静かな山でした。
これで佐々連尾山~野地峰の縦走路は残りが玉取山から兵庫山のみ、年明けの陽が長い時期に行くことにしよう。
その後は、中川峠から南・東に延びる稜線、そして野地峰から西に延びる稜線、まだまだ行くところはたくさんあるようです。




登山口8:46-猿田峠9:15-大森山10:26-佐々連尾山11:18-11:25展望の好い笹原12:20-大森山13:03-13:25展望の好い岩場13:32-猿田峠14:11-14:34登山口



(参考)愛媛側の白髪トンネル下鉄塔直ぐ傍から保線路があって、そこからも猿田峠へ登ることが出来、高知側よりも少しだけ歩く距離が短いかも?猿田峠から大森山肩まではロープ場が三カ所あったりで急登が続くが、最上部の岩場は南~西方向に絶景のビューポイントです。また、猿田峠からの登りではそれほどの笹藪ではなく、ほんの少し笹が道を蔽っているところもあるという程度です。

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4 コメント

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朝マック (ギッチャン)
2010-12-14 18:56:58
むらくもさんピオーネさんこんばんは。
面白いですね~~むらくもさんのレポは面白い。
更新を心待ちにしているこの頃であります。
マックを召し上がるお二人はやっぱり若い。
ドライブスルーで購入する娘の横にすわっていても、私は買った事ないんですよ・・・。
一度だけ朝マックという場面がありましたが、ちょっと完食はムリでした。

レチクル君との3人貸し切りの楽しくも静かな山歩き、いいですね~~。
とても参考になりました!
私も行ってみたいです。行けるかなぁ?
いですね~ (佐々連)
2010-12-14 21:50:46
今晩は。
親子登山、いいですね~
山登りする者にとっては理想ですね。
うちは、しんどい山はいかんで、飯野山で充分(家内)、山?いかんよ(娘)ですからね。

佐々連尾山、相変わらず過疎ってますか、良い山なんですが、あまり行かないですね。なぜなんだろう。
林道歩きを避け、ピストンされていますが、正解です。2時間の林道歩きは堪えます。まあ、3人でワイワイ歩けばそれほど苦にならないとは思いますが。

これからも親子登山を楽しんで下さい。そのうち、親子三代登山になるかも。
朝マック (ピオーネ)
2010-12-14 22:31:44
ギッチャンこんばんは~♪

レポいつも楽しく見てくださってありがとうございます。

朝マックは小食の私には、大きすぎますが、無理やりお腹に入れておけば、大丈夫です。山登りを始めた頃は登りだしてしばらくすると、「お腹すいた」とよく言っていました。

ロープや急登がありますが、ゆっくり登ればいいですから、ギッチャンさんなら楽勝ですよ。静かでブナ林のいい山ですから是非挑戦してください。          
               ピオーネ

ギッチャンさん、こんばんは、むらくもです。
あれ、ギッチャンさんはてっきり佐々連尾山には過去に登ってたと思い込んでましたが、中川峠からだったんでっすね。あちらからもお地蔵さんがあったり、笹原の縦走路でいい感じですよね。猿田峠側からも少し急登ではあるんですが、展望がよくて、また大森山肩から先にはブナがあったりでまた違った趣がありますのでお勧めのコースです。
是非是非、機会をみて、お天気のいい日に出かけてみてください、いいですよ~。
佐々連さん、こんばんは~ (むらくも)
2010-12-14 22:47:07
念願の佐々連尾山から野地峰までの縦走が、あと一息で達成です。残ってるのは玉取山~兵庫山ですが、来年の春以降になりそうです。
ピストンの予定なので少々時間がかかりそうな感じです。
この山域、まだまだ楽しめるところいっぱいありそうで、ちょっと大げさかもわかりませんが近年にないわくわく感が体中にみなぎってきてますよ。
今年もあと二週間と少しになりましたね。
あと何回山に行けるかしゃん。
今年の山納めはどこですか?
わたし、まだ決めてませんが、一年の締めにふさわしい山、どっかいいとこ~ないかしゃん(^o^)

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