獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

新型アコード試乗記

2008年12月19日 | CARS&F1

   
 ホンダのアコードというクルマは、昔から好きなクルマのひとつであった。私が特に好きだったのは、低いノーズに高いデッキが斬新に見えた3代目のセダンと、流麗なラゲッジルームのデザインを持つ5代目のワゴン(注:ワゴンの2代目という言い方もできる)。7代目の先代も、セダンの「Type S」や「EURO R」など、非常に私好みのクルマであった。
 その、アコードの新型が登場したという。やはり心の虫が騒ぎ、実車を確認せずにはいられなかった私なのだ。
   
 試乗させていただいたのは、「ツアラー」の「24TL・SPORTS STYLE」のナビ付(5AT:税込車両本体価格:372万1250円)である。その堂々とした体躯と、サイドウィンドウのグラフィックスを見て、私はマツダのCX-7を連想してしまった。
   
 このクルマ、メーターパネルはメルセデスのCクラスを思わせるが、インテリアの素材感や質感は際立って高く、それはメルセデス以上であろう。
 ステアリングは直進方向にどっしりと据わっており、BMW3シリーズレクサスISのような重めのフィール。雪で荒れた路面も、その脚はしなやかにいなす。様々な電子ディバイスのおかげで、スリッピィな路面での発進や停止も難なくこなしてくれる上に、静粛性も極めて高い。
 加えて、国際基準のタップリとしたサイズのドライバーズシートが心地よい。「車速連動オートドアロック」という、かつてクラウンやセドリックに多く見られた装備が付いているが、それはATセレクトレバーを「P」の位置に入れると直ちに開錠され、煩わしさを感じさせない設計だ。
 いやァ、このアコード。私がかつて運転したクルマの中で、最も上質なフィールのクルマだと言っても、過言ではないかもしれない。   
 ただ、1850mmとなった全幅により、運転席に座ると、やはり車の左端までがかなり遠く感じられたのもまた事実。ボンネットが目視できるので車両感覚は摑みやすいが、パレット式の駐車場や除雪で狭くなった道路でのすれ違いなどでは気を遣いそうだ。
    
 そして、若干承服できない点が一つ。それは、最近のホンダ車の傾向通りに、「スペアタイヤレス」であることだ。その分床下収納のスペースは大きくなったとはいえ、AWDの3列シート車であるエクシーガにもスペアタイヤを装備するスバルとは、明快に考え方が違う点がここなのだ。過去数回パンクの憂き目に遭った私は、もちろん、スバルの考え方を支持する。スペアタイヤのような緊急時のバックアップアイテムは、簡単に省略すべきではないと思う。ま、JAFに入るというのも一つの選択肢ですが・・・
    
 その一方で、なんとドアエンドにまでトリムを施し、上質感を演出しているこのクルマ。そのためかどうか、ぐっと高くなってしまった価格が、新型アコードの一番の難点である。燃料がハイオク仕様のみというのも、これまた考え物だ。完全に日本市場を見切って、欧州プレミアムユーザー向けに軸足を移したがゆえにこうなってしまったのだろうが、そんな折に、アメリカ発の大恐慌が吹き荒れるとは・・・まったく最悪のタイミングで登場してしまったとしか言いようが無い。
   
 噂では、次期レガシィは大型化し、このアコードとおおむね同じセグメントのクルマとなる模様・・・ああ、たとえとしてはあまり適切ではないかもしれないが、まるで「カナダからの手紙」の人が「後から前から」に変貌してしまった時のような、やるせなさが私を襲うのだった。
   

コメント (8)
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