移転予定の店舗の向いには「木曽路」という日本料理のお店があります
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現在までの治療院は、「駅から遠い!」というイメージがあったようです。
体のどこかに、何らかの症状のある人が来ますので、駅から近いほうがいいに決まっています。
ましてや、脳卒中後遺症の研究会を行なっていますので、どこかに不自由のある方々が来院するわけで、駅からの距離や建物の階段などを考えなければなりません。
でも、そのような便利なところはなかなかなかったのです。
しかし、やっと見つけました。
おもしろいことに、「脳卒中後遺症の治療研究会をする」と話していましたら、ある方から、このような話がありました。
「新城さん、病院では最長6ヶ月までしか治療を行ないませんので、視聴覚のリハビリもやるようにしたらどうですか。その専門家は紹介します。実は、視聴覚の専門家も理学療法士や作業療法士と同様に、医師の下でないと臨床ができないのです。彼らは独立開業もできません。しかし、「鍼灸と併用すれば、さらにリハビリ効果を上げることができるはずだ」と考えている人もいます」
「なるほど!」と思いました。
というのは、当院に来られている患者さんの家族も、「もう少ししゃべるリハビリを受けさせることができたなら、もう少し表現ができたと思うのですが、半年過ぎたら出て行け! ですからねー。と言って、そのようなリハビリだけをしている所もないし……」と話していたからです。
我々は意思の疎通を言葉で行ないますが、その言葉を奪われたら、意思の疎通もできなくなり、最低限必要な要求もできなくなります。
暗くなるはずです。
そんな方々に少しでも灯りを見せることができたら、本人や家族がどんなに喜ぶことだろうと考えたわけです。
鍼灸には、視聴覚障害に対する治療法があります。
鍼灸の治療と、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)とを併せたリハビリテーション(機能回復訓練)を行えば、もっと機能回復できる患者さんがいるはずです。
メインは鍼灸になりますが、曜日を決めて視聴覚障害のある方々を対象に、専門家の話を聞いてもらう勉強会をしたり、実際にリハビリテーションの実技を行なったりすることができれば、新たな治療法も発見できるのではないかと考えてしまいます。
先日、PTのの方と話す機会がありました。
私:独立開業はしないんですか?
PT:私たちは開業できないのです。
医師の下でないと仕事もできないのです。
だから、開業したい人はカイロとかオステで看板を出して開業するのです。
厳密には、それも違法のようですけど……。
私:それなのに、なんで理学療法士を目指したんですか?
PT:学校に入ってからわかったのです。
だから入学してから辞める人が多いのです。学校を辞めて鍼灸や柔整の学校に行く人も多いです。
実際にリハビリ中のPTやOTを見ていると、「鍼灸を入れるともっと短時間に効果のある治療ができるのに!」と思う所はたくさんあります。
たとえば、立ち座りや歩行の場合、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を指で解していますが、そこに鍼灸を加えるだけでパッと変化させることができるはずで、手指のグー、パーも指で解していますが、「上八邪」というツボを使えば、パッと動きが良くなります。
それをある患者さんは、「グローブをはずしたような感じです」と表現していました。
そして彼ら(PTやOT)も言います。
「鍼灸と併用すると、もっと効果があると思うのですが、病院ではそれができません」
それなら、鍼灸院でリハビリテーションと併用すればいいではないかと考えるのですが、そこには、経済的な問題が出てきます。
つまり、病院なら保険が使えるので、経済的に負担が少ないわけです。
鍼灸でも保険を使う方法はあるのですが、一人治療して1.400~1.500円ぐらいしかなかったと思うので、治療院経営の角度から考えると、治療者が納得できる治療ができないのです。
しかしこの課題は、きっと解決できる方法があると思います。