宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(3) モーラ~ルーニオン間

2012-03-22 | Traveller
 需要があるのかないのかわからないまま続く「宙域散歩」シリーズ第3回。今回はスピンワード・マーチ宙域のモーラ~ルーニオンにまたがる地域を紹介します。


 スピンワード・メインの星域図のように60度傾けてみました。ご覧の通り、ジャンプ-1で両星域の首都が繋がっている上に、ジャンプ-2以上の能力があるとショートカットルートがひらける、という面白い構造になっています。ジャンプ-1ルートをジャンプ-2で進むのと、ショートカットコースをジャンプ-2で進むのでは、最短距離で1ジャンプ分時間を節約できるので、その時間差をキャンペーンに組み込むのもいいかもしれません。

 しかしこのエリア、お世辞にも今まで活用されたとは言えません。「モーラはスピンワード・マーチの中心だが、リジャイナは宇宙の中心だ」という言葉がある通り(ありません)、宙域首都でありながら第三帝国史の中ではリジャイナがあまりにも輝きすぎて存在感は薄く、来るべき第5次辺境戦争でも幸か不幸か主戦場にもなっていません。シナリオでもあまり紹介されず、資料の少なさゆえに人気はかなり低いです。
 シナリオの舞台になったのは、かつてはアンバー・ゾーン『Work of Art』及び、GDW版「Alien Module 2: K'kree」内の『Whispers of Summer』のフォーニスぐらいで、ルーニオン星域に至ってはほぼ皆無でした(この星域図の外にあるラブウォー星系は、アンバー・ゾーン『Planetoid P-4638』の舞台になっています)。Mongoose時代になってからは、サプリメント「Spinward Encounters」や(これは各星域2個ずつの「遭遇」を採り上げる本なので当然ですが)、「Living Traveller adventure」シリーズの『Of Dust-Spice and Dewclaws』『A Festive Occasion』(「Traveller Compendium 2」に収録されていますが、現在もPDFファイルへのリンクは生きているので入手は可能です)でモーラが使われるなど、少しずつ注目が集まっているようではあります。


 では細かく紹介していきましょう。トリンズ・ヴェール星域の回でも書きましたが、モーラ星域は「マーチの玄関口」、ルーニオン星域は「マーチの交差点」と呼ばれています。宙域首都モーラを持ち、地理的にもデネブ方面から辺境方面へ、またスピンワード・マーチ宙域内での物流を担う重要な地域であることは間違いないでしょう。メガコーポレーションだけでなく、宙域規模企業のアル・モーレイ社もこの地域に通商ルートを構えています(大体Xボート・ルート沿いです)。

 ソード・ワールズ連合との国境付近でもあり、帝国第213艦隊(※資料によっては第43艦隊とありますが、第43艦隊がルーニオンに駐留するのは第5次辺境戦争後です)がルーニオン(とストロードン)海軍基地に、及び警備小艦隊がカポンなどの星系内海軍基地に駐留し、有事に備えて守りを固めたり、治安維持や密輸の防止に務めています。またモーラ星域艦隊である帝国第73艦隊は、スピンワード・マーチ宙域艦隊の司令本部があるモーラ(同時にモーラ基地は兵站(depot)機能も兼ね備えています)や、マーキュリー、モラン、ヒクソス基地に駐留しています。第73艦隊は各基地ごとに空母戦隊を備え、より集中的な警備行動により、他星域よりも安全な恒星間航行に貢献しています。その一方で、艦隊司令部とモーラ公爵との「共同所有」は、過度に政治化した艦隊を作ってしまったと批判を浴びています。


イアニック Ianic 1924 E360697-5 砂漠・低技・非工・富裕 G Im
 惑星の表面のほとんどは、特に鉱物のない寒冷な砂漠で覆われています。水や食料は輸入に頼っており、産業はスリンディ(Slindi)という砂漠に適応した大型の温血トカゲを牧畜する農場ぐらいです。スリンディの肉はあまり美味しくはありませんが、保存がきき、宇宙船乗組員のタンパク質補給食品として用いられています。
 この過酷な環境にも関わらず、イアニックの住民は惑星上に点在する深井戸や自然水路がある小さな町で生活しています。さらにこの星系には、ジョンカー人(Jonkeereen)という砂漠に適応させた遺伝子改良人類が全人口の約3割ほど、他の住民と離れて住んでいます。また時には、海軍や偵察局関係者が砂漠でサバイバル訓練を行うことがあります。
 この星のEタイプ宇宙港は着陸料がCr.250と高額ですが、この星の人にとっては(塩水湖を浄化してやっと得られる)水が貴重な資源であることを忘れてはなりません。
 なお、偵察局の基地は公式にはありませんが、ガスジャイアント軌道上にはXボート・テンダーが周回し、Xボートで運ばれたメッセージのバックアップを管理しています。
 ジョンカー人はジョンカー(デネブ宙域 1324)に植民する際に帝国植民省(と委託されたSuSAG社)が創り出した人類で(同様の人類にネクシーン(スピンワード・マーチ宙域 3030)に送り込まれたネクシー人(Nexxies)がいます)、この星域図上ではナドリン、他ではグリッスン星域の砂漠世界などにも広く住んでいます。身体的特徴としては、背が高く、浅黒い肌をし、砂漠に適応するために汗腺機能が非常に効率的で、砂埃から目や耳を守るための膜を持っています。非常に禁欲的で、他世界人には無情に見えるかもしれないほどに実利と自分たちの生存を重んじます。

シレーン Shirene 2125 B984510-B S 農業・肥沃・非工 A G Im
 この星系は元々アル・モーレイ社が発見した、との主張により、同社に所有されています。社の採掘部門によって開発されたこの星系は、アル・モーレイ社の輸送・補給拠点として使用されています。
 また、肌寒いながらも緑豊かな星系であることから、乗組員たちの保養所として広大な自然が残されており、また宙港街には粗雑でない娯楽施設も用意されています。
 シレーン星系はアル・モーレイ社の要請により、アンバーゾーンに指定されています。

ドロロー Drolraw 2426 EAB6311-5 低技・低人・非工・非水 G Im
 惑星は火山噴火による三酸化硫黄を含む高圧の腐食性大気と亜硫酸の海を持ち、活発な火山と地震活動に悩まされ、人を寄せ付けない世界です。この星系にはメガコーポレーションSuSAGの化学工場が置かれており、住民も従業員だけです。

パイマン Pimane 2527 E500343-4 真空・低技・低人・非工 G Im
 パイマンの宇宙港の近くには初歩的な鉱山キャンプがあり、そこにはタフで機知に富んではいますが孤立主義的な住民が住んでいます。商人はすぐに彼らの信用を得るのが難しいことを悟ります。彼らは一度商人に騙し取られたことがあり、それを二度と繰り返すまいとしているのです。
 地表は真空の灼熱地獄ですが、深い谷の底には大気や水があり、生物が存在することが確認されています。

ティヴィッド Tivid 2627 C534477-8 非工 G Im
 比較的最近の激しい地殻変動や、数千年前の隕石衝突の結果である巨大なクレーターが、はっと息を飲むような険しい山々を形成しているこの星は、毎年多くの地質学者や登山家を惹きつけています。しかし登山は時として死者が出るほど危険であり、また万一の際に救出するための組織や施設が全く存在しないため、トラベラー協会は注意勧告を行っています。

デュアル Duale 2728 A5437BF-B 貧困 G Im 研究基地α
 居住区から遠く離れた荒地にある帝国研究基地アルファでは、詳細は不明ですが1102年に大規模な爆発事故が発生し、その被害の大きさから一時的な放棄が決定されました。事故があって以来、星系には帝国軍の治安部隊が駐留しています。元々研究基地が何を研究していたかについては、知られていません。
(※研究基地が再建されるのは1108年です)

ヘクソス Hexos 2828 B534420-8 N 非工 G Im
 ヘクソスには、ほとんど無秩序的ですが破壊的ではない社会があります。市民は自分の思うままに様々な活動を行えます。それは、絶えず社会序列が変化するヴァルグル社会を思い起こさせます。
 世界自体はパリク星団へのジャンプ-2通商路上の重要な星系として位置しており、交通量はかなり多いです。
 知名度の低い観光名所として、難破船博物館(Wreck Museum)があります。帝国領域内で鹵獲されたゾダーン軽巡洋艦が当局によって武装解除された後、地元住民がそれを博物館と戦没者の慰霊碑として改装しました。博物館には毎年数百人の観光客が訪れます。
(※ちなみにヘクソスの人口の3割はチャーパーのようです。また、1120年343日付のTNSによると星系首都はディオーネ市(Dione)とのことです)

ルーニオン Lunion 2124 A995984-D NS 工業・高技・高人・肥沃 Im 星域首都
 ルーニオンは高人口かつ高技術で、環境技術にも優れた肥沃な惑星です。LSPの宙域本社が置かれるなど、巨大企業同士の忙しい取引が星系内で行われています。そのため、ルーニオン政府は企業の利益を増進するような(企業寄りの)政策を採っています。また、ここには有名な(名門というほどではありませんが)ルーニオン経済学校(Lunion School of Economics)があります。
 ルーニオンのLSPの造船所は、宙域の中でも重要な生産量を誇っています。彼らは民間の標準設計やワンオフの宇宙船を建造するだけでなく、大規模に企業や軍事用の艦船も受注しており、その技量は非常に高いです。
(※ちなみにルーニオン公ルイス(Duke Luis Adorania Jesten of Lunion)はモーラ公のはとこにあたります)

カース Carse 2224 C463325-9 低人・非工 G Im
 この星系の住民のほとんどは、グレスニ砂漠(Gresni Desert)にある風によって削られた壮大な岩山を見に来た外世界からの旅行者のために、観光業に従事しています。また他の住民は、宇宙港の保守整備の仕事をしたり、輸出用のメルドフルーツ(meldo-fruit)というサボテンのような果樹植物を育てています。

シャーリップ Sharrip 2325 C575101-A 低人・肥沃・非工 G Im
 硫黄化合物に汚染された薄く寒冷な大気を持つこの星系の唯一の住民は、宇宙港職員です。

ガンダー Gandr 2425 E000347-8 小惑・低人・非工 G Im
 ガンダーはガス惑星ザントラック(Xantrac)の周囲を回る小惑星帯です。帝国暦1060年に小惑星帯の小さな鉱床から超重元素が偶然見つかり、やがて星系は(一攫千金を狙う)採掘者でいっぱいになりました。残念ながらその後は更なる発見はなく、人口は最盛期の10分の1になってしまいました。現在の小惑星帯には放棄された集落が点在しています。

メレート Meleto 2827 C675100-5 S 低技・低人・肥沃・非工 G Im
 外世界人を歓迎しない孤立主義的な大家族が、この世界の住民の全てです。家族はデンバー(Denbar)という齧歯動物のような家畜の群れを飼い、自分たちで食べる分の野菜を育てています。

カポン Capon 2324 B747748-A N 農業・肥沃 Im
 主要な貿易・通信ルート上に位置し、友好的で勤勉な地元住民による快適な途中降機地として広く評価されています。また地元企業の工場で合成された幅広い医薬品により、医療施設の質の高さでも知られています。

キャリー Carey 2726 C579221-9 低人・非工 Im
 温暖な気候と、風に舞う胞子によって汚染された標準的大気を持つキャリーは、惑星上のわずかな土地を覆う無数のキノコのような生命体によって、外世界人には異様に見える生態系が構成されています。住民たちの努力にも関わらず、胞子は居住区や地上宇宙港に侵入することがあります。他星系の汚染を避けるために、地上から軌道宇宙港に戻る旅行者には汚染除去処置を受けることが求められます。
 アル・モーレイ社は自社の貿易航路のために、この星系に独自の軌道宇宙港を建設しました。同社の宇宙船は、Bクラスの整備施設や燃料精製能力を持つ社有宇宙港を独占的に利用することができます。

メイツ Maitz 2927 A201511-B 真空・非工・氷結 G Im
 長らくメインに沿った小さな世界に過ぎなかったメイツでは、回収可能な量の放射性物質が発見され、この世界の広範囲な開発につながりました。
 ここで建造される、裕福な依頼者(主にテュケラ運輸)のために標準設計にいくつかの改良がなされた宇宙船は、高品質です。実験的な設計の宇宙船は、メイツの複雑に入り組んだ衛星軌道で試運転されています。惑星メイツは11個の小さな衛星を持ち、加えて近傍軌道に小惑星帯もあります。これらの存在は、最新の航法データを持たない訪問者にとってはちょっとした悪夢です。

リステン Resten 2323 B310100-B S 低人・非工 G Im
 Xボートの重要な結節点であるこの星系には、偵察局基地の関係者とその家族のみが住んでいます。

マーキュリー Mercury 2624 B658663-8 NS 農業・肥沃・非工 G Im 軍政
 薄い大気と涼しい気候のこの星系では、乾燥した内陸部では果実を、湿地・沿岸地域では穀物を作っています。また、ここには帝国海兵隊や偵察局の大規模な訓練施設が置かれており、施設がある地域への民間人の立ち入りは禁止されています。

グリル Grille 3026 E410335-7 低人・非工 G Im
 グリルは宇宙船に燃料補給することだけに価値がある世界です。住民は外世界とほとんど接触を持っていません。

バイレット Byret 2623 B485697-6 農業・非工・富裕 G Im
 この星系の穀物生産や畜産による富は大企業によって制御され、一般人にはその現状を変える機会はほとんど残されていません。
 バイレットの最も小さな衛星は、3現地年に1回不安定な潮の干満を引き起こす、ひどく変わった捕獲軌道上にあります。
 またバイレットは群小種族ラリアン(Larianz)の故郷です。
 ラリアンはバイレットの飛行生物が進化した、計4本の手足を持つ知的生命です。平均身長は1.2m、体重は35kgほどです。上肢は大きな翼となっていますが、彼らは翼を折り畳んで「肘」で効率的に立ったり歩いたりすることができます。下肢の一組は、道具などを扱えるように進化しています。

フォーニス Fornice 3025 A354A87-C 高人・高技 G Im
 飲料水がこの高人口世界ではやや不足しています。そのため水は配給制で、かなり厳しく管理されています。
 フォーニスはスピンワード・メイン上の主要な貿易港です。また、宇宙船の整備施設の手際の良さは有名です。
(※現フォーニス伯セバスティアンの第二子がスピンワード・マーチ宙域議会(Spinward Marches senate)で帝国海軍武官(Imperial Navy's attaché)を務めるフレデリック・ムウダシル・サンタノチーヴ少将(Rear Admiral Frederic Muudashir Santanocheev)です。彼は1105年初頭に宙域艦隊提督オットマー・マノリス侯爵(Marquis Ottmar Manolis)の娘と結婚しており、次期宙域艦隊提督と目されています)

クイル Quiru 2321 B365300-8 低人・非工 G Im
 ガスジャイアントであるプリスティー(Plistii)の衛星クイルは、スピンワード・メインの中継地としては近隣のヒローニ星系の陰に隠れています。クイルには小さな鉱山入植地があり、メインラインズ輸送(MainLines Shipping)という内戦前に設立された小さな運輸会社の本社があります。
 現在のクイル政府は、傭兵を使ったクーデターによって作られた軍事政権です。このことに関して帝国はまだ公式声明を発表しておらず、帝国軍も介入行動を行っていません。
(※メインラインズ輸送の従業員は様々な密輸犯罪に関与しており、長らく社としてもそれを知った上で助長すらしていたため、遂には1143年にクイルの本社が司法省などの家宅捜索を受け、多くの社員は税関法違反の罪で投獄されました。なお1105年時点でもこのような悪徳企業であるかどうかはレフリーが決定してください)

モラン Moran 2924 C367300-8 N 低人・非工 G Im
 モランには、針葉樹の広大な森以外には目立った資源がありません。住民は主に海軍基地と周辺の歓楽街施設のために住んでいます。
 ちなみに、モランの軌道上には退役した6隻のヴォロシレフ級戦艦が保管されていて、解体を待っています。
(※後に(1116年までのどこかで)基地司令官が進入禁止命令を出し、星系がアンバーゾーン指定されたため、惑星経済は住民の手に負えないほど破壊されて宇宙港はさびれてしまう事になります)

ジョーコター Jokotre 3024 B6548D9-7 肥沃 Im
 ジョーコターに古くから伝わるラム(Ram)神を崇める伝道師が積極的に宙域中で信者を増やし、「安住の地」への移住を薦めているため、ジョーコターの住民には様々な人種が入り交じり、わずかずつですが安定して人口は増え続けています。
 教義では、信者は生涯で一度は聖地へ巡礼しなければならない、と義務付けています。なお、聖地に武器を持ち込むことは信者の間では禁忌とされています。
 大司教は近頃、「移動教会」として何隻かの小さな宇宙船を購入しました。
(※聖地は惑星ジョーコターの中にあるようです)

スカル Skull 2420 C2237C7-9 N 非農・貧困 G Im
 初期の入植者が軌道上から見た異様な形の山脈からスカルと名付けられたこの星は、商業貿易を重んじる世界です。「豪商評議会」によって支配される社会は、社会階層自体がまるで小企業のように機能しています。そして評議会は無謀な投機的取引や合法だが怪しいベンチャー経営にふけっています(帝国司法省はその活動を監視するために現地に事務所を構えています)。
 乾燥した山岳惑星のため、人口を支えられるほどの農業生産力がなく、住民は主に宇宙港周辺でサービス業に従事しています。

ヒローニ Heroni 2521 B6449B9-8 工業・高人・肥沃 G Im
 ヒローニの大気は工場によって汚染されています。ヒローニ産の重工業製品はそれほど高くないテックレベルにも関わらず、星域中やさらに遠くの低TL世界に多くの市場を持っています。
 ヒローニは国王オーランド・ジャーダヴィ2世(King Orlando Jardavi II)によって統治されており、同時に王は計32隻からなるヒローニ王立商船団(Royal Mercantile Navy of Heroni)を監督します。ここから出発した小型貨物船の船団が、周囲の星域の安定した収益を生む貿易ルートで活動しているのです。

フォージー Fosey 2621 A633656-A 非工・非農・貧困 Im
 住民はわずかに探査された大砂漠の中の内陸海の沿岸部に、小都市が連なるようにして住んでいます。帝国海軍情報部(Imperial Naval Intelligence)は、この地に公文書館事務所を構えています。それが無ければ、この世界には注目を集めるようなものは全くありません。

モーラ Mora 3124 AA99AC7-F NS 工業・高技・高人 G Im 宙域首都
 モーラ星系はスピンワード・マーチ宙域の最初の重要な入植地でした。帝国暦60年にLSP社によって開発が始まり、新しい宇宙船の建造や整備などで、すぐに国内交易や外国貿易の中心地、辺境植民の玄関口となりました。
 100億の人口の大部分は、主要大陸のほとんどを覆い、さらに海中にまで広がって赤道を一周するほどの巨大都市(それぞれに宇宙港もしくは空港機能を備えた合計59基のアーコロジー)に住んでいます。他には、小都市の島や、大規模な自然保護区の島、モーラ公爵を含む政府高官が個人的に所有している島もあります。自然保護区は無料で市民に開放されており、マーチの中でも指折りの絶景として知られています。また、やや乾燥した土地をモーラは持っていますが、農業生産は高度集約的に海中養殖によって行われています。
 モーラ政府の珍しい点は、モーラ女公爵デルフィーヌ(Duchess Delphine Adorania Muudashir of Mora)が世界の代表でも政府の頂点でもないことです。彼女は自身が直接干渉せねばならないと判断した時以外には、代理人に彼女の権限を委任しています。一方で女系家族制であるモーラは、統治機構の全てのポストを女性が握っています。ただし男性は奴隷というわけではなく、ただ単に高い地位に就けないだけですので、帝国法上は問題ありません。またモーラには警察や救急隊といった組織がなく、そういった任務は全て(地元の)軍隊が引き受けています。
 モーラはもちろん、高度な技術を持つ工業世界であり、その製品はスピンワード・マーチ宙域やデネブ宙域で広く販売されています。そのハイテク産業を支える人材を輩出しているモーラ工業大学(Mora Technical Institute)がありますが、帝立モーラ大学(Imperial Mora University)の卒業生よりも社会的地位は低く見られています。モーラ工大は電子工学と反重力技術を、モーラ大学は歴史や社会学を専門としています。
 モーラ星系の小惑星帯やガスジャイアントの衛星では資源の採掘が行われており、また小惑星帯にはスピンワード・マーチ宙域のほとんど全てのバイオテクノロジー企業が拠点を置いています。通商路の重要な結節点であり、研究のために安全で融通のきく環境が提供されているからです。星系の外縁軌道にある、氷と岩で出来た小さな惑星エルスティン(Erstine)の前哨基地では、深宇宙天文学の研究が行われています。
 小惑星(Planetoid)に建設された偵察局基地と海軍基地は共に巨大です。偵察局の宙域本部ではスピンワード・マーチ宙域全てのXボート通信や探査船の管理が行われていますし、海軍基地には宙域の「最後の砦」として、最も強力な防衛艦隊が置かれています。さらに、帝国第319通信艦隊所属のジャンプ-6艦艇は、星系の最外縁軌道にある拠点で有事の際にすぐに発進できるよう待機しています。
 モーラの交通量は非常に多く、軌道宇宙港が複数建設されたほどです。第3軌道宇宙港はデルガド、テュケラ、インペリアルといった巨大な運輸会社のためにあり、接舷するには許可証が必要です。宇宙港はインステラアームズの傭兵によって警備され、「モーラの企業要塞」という港の異名の一因となっています。
 ちなみに惑星モーラには2つの衛星があり、現在の研究ではそれらはかつて彗星だったと考えられています。衛星はモーラの追跡基地(tracking station)や防衛拠点として活用されています。

イヴェンドゥ Ivendo 2319 B324659-A NS 非工 G Im
 世界は豊富な生命にあふれていて、巨大な樹木が重なり合ってまるで天蓋のような森を形成し、多くの野生動物がそこを家としています。その中でもラネージ樹(Ranage tree)は注目に値します。ラネージ材で作られた家具は、イヴェンドゥの主要な輸出品です。
 残念なことに、樹木の花粉は人類には有害で、良くても吐き気を起こし、最悪の場合は呼吸不全に至ります。ただしこれは春だけの問題です。
 チャーパーの小さな集落がイヴェンドゥには点在していますが、風土性の疾病が数十年以内に彼らを絶滅に追いやってしまいかねない、と専門家は危惧しています。

コグリ Cogri 2419 CA6A643-9 海洋・非工・富裕 G Im
 資源に富んだ世界であるコグリは、硬い岩と氷の厚い層で全面を覆われています。宇宙港周辺には人口の半分が、残りは居住可能な岩の上に集落を作って住んでいます。
 液体の水は、氷の層の遥か下に地熱によって熱せられて存在しています。氷を掘り進む「潜氷艦」は生活に必要な水を収穫し、噴出孔の堆積物から化学物質を抽出するために使用されています。
 環境は厳しいですが、地元住民は勤勉で、高水準の生活を営んでいます。

ガーリンスキー Garrincski 2520 B632520-7 S 非工・貧困 Im
 この世界の民主政は既得権益をめぐって激しい衝突を繰り返しています。さらに、市民が政策を決められる極端な権利を持っているので、賄賂と腐敗が政権内ではびこっています。

ナトコ Natoko 2620 C8879AB-9 高人・肥沃 G Im
 独裁者に支配されているこの星系では、大部分の官僚が軍での階級を持ち、社会は非常に軍国主義化されています。前世紀のある事件により、ナトコ政府は軍用の宇宙船を保有することを帝国勅令によって禁止されましたが、それでも現在「武装貿易商船」や「通商護衛艦」の建造申請を行っています。
 なお、ナトコには太古種族の遺跡があります。

ロライズ Rorise 3022 C994100-A 低人・肥沃・非工 G Im
 惑星の空気中に漂う放射性の塵は、惑星表面に点在する火山によって巻き上げられます。惑星ロライズの核は驚くほど活発で、これは興味深い(そして非常に危険な)研究材料であることを意味します。

ナドリン Nadrin 3123 D120203-6 S 砂漠・低人・非工・貧困 Im
 惑星自体は何ら特筆すべき物はないこの星ですが、帝国植民省はこの地を長期的な実験場としています。研究は、ジョンカー人が外部の支援なしにこのひどい大気に耐えることができるかを調べるものでしたが、(星系の全住民である)ジョンカー人はマスクやフィルターなしで生きることができたものの、彼らは惑星の最も高度の低い土地に閉じこもりました。そして、彼らの寿命には悪い影響が出てしまっています。

ドゥージョードゥー Dojodo 3223 C512311-7 S 低人・非工・氷結 Im
 ドゥージョードゥーはわずかな氷が地表深く埋まっている、灼熱の岩の世界にすぎません。この星系の偵察局基地は左遷先として有名で、有能ではない職員が配属されています。また、有能ではあるけれど貧乏くじを引かされただけの職員の士気も非常に低いです。
 ドゥージョードゥーの交通量はほとんどなく、多くの偵察局員は暇つぶしに小惑星帯の製図に時間を費やしています。またチャーパーの集落がわずかながら惑星上に存在します。


【参考文献】
・Supplement 3: The Spinward Marches (Game Designers' Workshop)
・Book 4: Mercenary (Game Designers' Workshop)
・The Spinward Marches Campaign (Game Designers' Workshop)
・Survival Margin (Game Designers' Workshop)
・GURPS Traveller: Behind the Claw (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Nobles (Steve Jackson Games)
・Traveller: The Spinward Marches (Mongoose Publishing)
・Living Traveller Adventure 1: Of Dust-Spice and Dewclaws (Mongoose Publishing)
・Living Traveller Adventure 3: A Festive Occasion (Mongoose Publishing)
・Aliens of the Marches: The Jonkeereen (Freelance Traveller Fanzine)
・Traveller Wiki
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Unknown (舞方雅人)
2012-03-22 23:03:16
需要あります。
すっごくあります。
こういう記事はとてもありがたいです。
いらっしゃいませ (町田真琴)
2012-03-23 22:59:53
舞方雅人さん、感想ありがとうございます。
かなり至らない紹介記事ではあると思いますが、トラベラーファンの皆さんに喜んでいただけるよう、ちょこちょこと更新していきたいと思います。

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