宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(4) グリッスン星域

2012-03-28 | Traveller
 本当は予定していなかったのですが、268、トリン、ルーニオンと来てグリッスンをやらないのも不自然ですので、今回のお題は「グリッスン星域」としました。これでスピンワード・マーチ宙域のリムワード側3星域が揃いますので、連動したキャンペーンもよりやりやすくなるかと思います。

 言うまでもなく、この地域の資料はあまり多くはなく、星域首都グリッスンがGDW版『Alien Module 1: Aslan』のシナリオ「Syareahtaorl」の舞台に、あとGURPSの『Planetary Survey 4: Glisten』やトラベラーズ・ダイジェスト誌15号で紹介されたぐらいです。また、近年Avenger Enterprisesから『SITREP 1: Callia』『SITREP 2: Aster』が出版されています。
 JTAS Onlineの方で作られた星域史の設定もあるようですが、一部が今までの公式設定と矛盾しているため今回はカットしました。こちらはこれでなかなか興味深いので、折を見て紹介する機会があればその時にでも。


 現在約240億人が生活するグリッスン星域は、帝国の最辺境に位置し、長らく未開発地域としてルーニオン星域からパックス・ルーリン星域(トロージャン・リーチ宙域)への通路に過ぎませんでした。転機が訪れたのは941年のことです。この年、皇帝マーガレット二世によって268地域星域への進出が許可されると、グリッスン星域は辺境地域への植民の拠点として、投資・開発が行われるようになりました。

 グリッスン星域の世界の多くを占める「グリッスン・アーム(Glisten Arm)」は、268地域星域から続くスピンワード・メインに属し、ベンドー星系まで続いています。また、ジャンプ-2の宇宙船で星域内の全ての星系にたどり着くことができます。
(※もう一つの星系集団は、歴史的経緯と人口により「ティレム星団」とでも呼ばれているのだと思います)

 グリッスン星域には第214艦隊が星域艦隊として駐留し、グリッスンに司令部を置いています。しかしゾダーン連盟から遠いこともあり、配属される艦船は小規模もしくは退役間近の古いものが多く、また隣接する268地域星域の哨戒任務にも第214艦隊から分遣艦隊を送っているので、その「密度」は薄くなっています。

 なお、現在のグリッスン女公爵(パックス・ルーリン伯爵、マータクター侯爵)はアヴァラヤ・アスタアルテ・ムクシスワラ(Duchess Avaraja Astaarte Muktheswara of Glisten)が務めています。


リディア Lydia 1733 E110430-6 非工 G Im
 この変わった社会の起源は、歴史の中に埋もれてしまいました。惑星の住民のほぼ全ては、自然洞窟の中に築かれた単独の居住地に住んでいます。彼らは希薄な大気の中で居住地のドームをTL6で維持しており、その技術力はかろうじて十分という水準ですが、生命維持装置は愛情込めて手作りしていて非常に信頼性があります。
 地元の人々は外世界に小さな関心を持ち、わずかに取引を行っています。訪問者や科学者は、この世界の環境でどうにか生育できるサボテンのようなアケンという植物(akenplants)を見に、研究しにやって来ます。アケンの根は岩を貫通することができ、植物のライフサイクルの副産物が地元の人々に応用されて使用されています。
 かつては採掘コロニーで大規模な銀の採掘を行なっていましたが、1020年頃から採掘量は減少していきました。1035年には宇宙港が閉鎖され、住民のほとんどが外世界に移住しました。残ったのは熟練した「ゴミあさり」です。TL12の「遺跡」で回収されたジャンク品は、自由貿易商人と取引されています。

メリオル Melior 1736 D140466-7 砂漠・非工・貧困 A G Im 植民省が統治
 惑星の表面に散らばって住んでいる人類とジョンカー人の間には摩擦があります。帝国植民省は宇宙港に少数の人員を置き、人口比で半々の両グループを法律で「支配」し、その数を慎重に維持しています。
 多くの住民は遊牧民であり、家族単位で砂漠を旅しています。ラクダとほぼ同類の四足動物であるヤルヒ(Yalhi)は主要な輸出品です。
 なお、旅行者が砂漠を旅する際には、襲撃を想定して大型オフロード車による車両警護が付けられます。

エジプト Egypt 1737 BAC6567-7 N 非工・非水 G Im 植民省が統治
 941年に268地域星域が設定されると、エジプトはそれ以来新領土への植民地化の拠点となっています。異種大気を持ち生命のないエジプトは、帝国植民省の訓練基地となっていて、今後入植者が遭遇するかもしれない様々な環境シミュレーションを行えるドームが設置されています。施設では辺境世界で新生活を送ろうとしている帝国市民に対する再訓練サービスを提供しています。

アスター Aster 1739 C86A410-9 海洋・非工 G Im
 寒冷気候であるアスターの表面は99%は氷で覆われていますが(残りの1%は氷から突き出た岩山の頂上です)、赤道ではその氷が溶けるに十分な気温変化があります。
 グリッスン・ミネラロジカル社(Glisten Mineralogical,LIC)が北極で試験採掘を行なっており、アスターの住民の全てが鉱山の周りに集落を作っています。
 氷土に未知の知的種族が住んでいるという噂がありましたが、帝国の調査チームの長期間の探査によって、最近否定されました。

カリーア Callia 1836 E150852-6 砂漠・貧困 Im
 岩まみれの巨大砂漠と埃まみれの平野の惑星である、この星の人口の一部はジョンカー人が占めていますが(※その数は25万人とも90万人とも言われています)、砂漠の奥に住んでいてその姿は見えません。
 大多数の住民は、技術者階層の者によって管理・制御されている掘り抜き井戸の周りに住んでいます。彼らは、外世界人かジョンカー人かに関わらず訪問者を好ましく思っていません。

ミトラス Mithras 1932 C8B5546-6 非工・非水 G Im 刑務所
 周囲から孤立したこの星系は、帝国刑務所として使われています。大気は高密度かつ有毒で、マスク無しでは生きられず、火の使用は危険をもたらします。
 刑務所施設外では「最高の環境でも」生存率の低い過酷なこの星で、受刑者たちは刑期ごとに別々に自治生活を送っています。また、良質のリハビリテーション施設(※おそらく麻薬からの)や、触法精神障害者のための機関も置かれています。
 過酷な環境と充実した施設によってか、囚人の更生率は非常に高いです。また元囚人の帝国植民省の植民計画への志願者は突出しています。
 世界は軌道上から海軍の小艦隊によって監視されています。また、宇宙船が許可を得ずに地上宇宙港に降りることはできません。

ヴァイス Weiss 1934 A626464-B 非工 A G Im グリッスンが統治
 72000人の人口は、990年にこの地に入植したソード・ワールズ連合の反体制派集団の子孫です。最近の問題は、住民が帝国よりも先祖の国であるソード・ワールズ連合に親近感を持っていることです。昨今の両国間の緊張の高まりにより、グリッスン政府はこの星系の直接統治を1104年から行っていますが、現在、治安の良い宇宙港地区以外でゲルマン系の地元言語ではない銀河公用語を使用すると、トラブルに巻き込まれる場合があります。このため、トラベラー協会は現在ヴァイス星系をアンバーゾーンに指定しています。
 惑星表面の水界のほとんどは2つの巨大な万年雪地帯に含まれ、かなり厳しい環境です。住民の居住区は宇宙港外側の加圧された温室に集中しています。

オーバーネール Overnale 1937 B45467A-9 農業・非工 G Im
 オーバーネールは豊かな植物相を持ち、穀物を中心に、外来種の果物やその副産品を生産している農業世界です。
 穀物の広範囲な収穫による余剰飼料を家畜に供給することで、世界中のたくさんの飼育用地でかなりの数の家畜の群れを飼育しています。またステーキに付きものの芳醇で深い色をしたワイン、のような飲み物を作るために、この星土着のウッフルベリー(uffleberry)が使われており、オーバーネールのもう一つの大きな輸出商品となっています(ただし純粋主義者はウッフルワインはワインではないと主張しています)。

クロウ Craw 1939 C573645-3 低技・非工 G Im
 クロウ星系は非常に乾燥していて砂漠や岩だらけの荒地です。唯一の惑星上の水は北極の大きな海です。どの地域でも平均気温は高く、雨が少ないために植物はあまり生えていません。クロウは標準気圧の大気を持っていますが、植物が少ないことから酸素濃度は薄く、環境に慣れていない人は高山病を発症することがあります。また砂漠から空気中に流入する放射性物質を含む塵は、古代の核戦争による放射性降下物であるという証拠があります(ただし現地では関心を持たれていません)
 そんな環境にも関わらず、星系には700万人が住んでいます。人口の3分の2は北極海の沿岸に住み、残りは世界中に適度の大きさの集落に分かれて住んでいます。
 政府は民主主義体制ですが、地元経済は人口として数えられていない「原住民」を奴隷労働力として使用することで回っています。TL1~2の原住民はよく惑星の環境に適応しており、重労働でも入植者より優れた仕事をさせることができます。
 奴隷制はもちろん帝国では違法ですが、帝国は介入を行っていません。なぜなら現在のシステムを破壊すればどちらかが餓死するか、激怒した原住民によって入植者が殺害されるであろうからです。最近になって、何人かの帝国の活動家がこの恥ずべき搾取の現状を調査すべく、クロウに到着しました。しかし、彼らの活動には困難な課題が待っており、社会の大きな変化はすぐには期待できません。
 またクロウには、中規模の鉱物会社インスタースペック(InStarSpec)のチームがやって来ていて、最近Cタイプになった宇宙港を拠点に、外世界の高品質の武器で武装した同社の傭兵に守られながら活動しています。インスタースペック社は地元に手数料を支払い、小さな採掘基地から宇宙港を通して輸出を行なっています。地元住民は同社の事業が拡大してより多くの外世界技術がクロウにもたらされることを期待しています。
 既に宙港街ではTL5~7の技術が奇妙に入り交じっています。
(※クロウの「原住民」については、"intelligent humanoids"や"little-studied indigenous sentient"という記述から、何らかの知的種族の可能性が高いとは思いますが、どういう種族かについては今のところ全くわかりません)

アキ Aki 2035 B443987–9 工業・高人・貧困 A G Im
 この星系は、グラム(スピンワード・マーチ宙域 1223)の客船ロルフ・クラーケ(Rolf Krake)号の乗員乗客が、帝国暦-138年にミスジャンプで漂着したのが始まりです。彼らはこの星に、ヴィラニの戦士王ゴロシュ(Golosh)が持つ剣の名を付けました。帝国偵察局の船ギイルカ・ギルギ(Giirkha Girgi)号に「発見」され、同時に進入禁止星系に指定された帝国暦56年には、漂流者たちはテクノロジーこそ失っていたものの生き残りは6万人となっていました。そして進入禁止指定が解けた200年頃からは、帝国の植民者とソード・ワールズ系住民が混じり合い始めました。
 現在のアキの住民は、5つの巨大都市に集中しています。広大な人工洞穴や世界唯一の海の底など、巨大都市はそれぞれ異なる場所に位置しています。驚くべきことに腐敗の欠如していることで知られる公務員官僚によって、全ては統治されています。食料と水は配給制です。都市の人口密度の高さから惑星は緊張状態にあり、このことによりアキはアンバーゾーン指定されています。
(※1119年153日付のTNSによれば、アキの夜は87時間あるそうです)
 ギイルカ・ギルギは、古代ヴィラニの民話の主人公の名前です。この民話は、無鉄砲な旅人であるギルギが、魔法がかかっていた城で(ヴィラニの暦で)100年間眠ってしまい、故郷の村に戻った時には、若かったはずの彼の婚約者がすっかり老婆になっていて、彼のものになるはずだった5世代に及ぶ子孫たちに囲まれて死の床に就いていた、というあらすじです。古代地球にも類似した民話があるため、ヴィラニ語での「ギルギ」は銀河公用語における「ウィンクル(※俗語で「時代遅れの人」)」と同じ意味を持ちます。

グリッスン Glisten 2036 A000986-F NS 工業・高技・高人・小惑・非農 G Im 星域首都
 グリッスンは、星系の主星グリス(Gliss)から名付けられました。グリスにはガス惑星ナスミ(Nasmi)が周り、ナスミを挟むようにして存在する2本の小惑星帯のうち、内側の1本が「グリッスン」という名の主要世界となっています。グリッスン市民の大多数が小惑星上に構築された都市群に住み、少数の「半遊牧民的な」宇宙鉱夫たちがベルトを故郷であり根城としています。ベルターズと呼ばれる宇宙鉱夫の中には、政府の定めた規則や交通管制を無視する集団もあり、さらに「ベルターズは迫害されている」と抗議するベルター団体も付属しています。しかし、状況は実際には深刻ではありません。大半の宇宙鉱夫は法律を尊守し、本当に迷惑な鉱夫だけが警察や海軍にマークされています。
 各都市はそれぞれ管理機構を持っていて、それらの全ては、効率的だが愚鈍なグリッスン調整局(Glisten Coordinating Authority)の一部を成しています。法律は緩やかですが官僚主義的で、どんな活動でもくどい管理が行われています。
 グリッスン市にはAクラスの巨大なバンフィ宇宙港(Banfi Starport)があり、貿易やビジネスの中心となっているほか、行政首都としての役割を果たしています。他の都市は、農業や重工業、さらには芸術などに産業を特化させ、それぞれ独自の習慣、伝統、生活を持つ特徴的な社会となっています。この信じられないほどの多彩さは、グリッスンを観光客の人気スポットとしています。
 大規模な工業団地と非常に高い技術を持つグリッスンは、星域を越えて輸出される高技術製品の重要な生産星系です。中でもグリッスンの造船所は広く知られています。そのほとんどが、プルヴィス・ベルト(Pluvis Belt)と名付けられた外側の方の小惑星帯に置かれています。そこには、LSPやビルスタイン・ヤード(Bilstein Yards)といった大企業から中小企業まで、様々な会社によって運営される造船所の数々が並んでいます。また、プルヴィス・ベルトには海軍基地があります。
 グリッスンには、グリッスン惑星科大学(Glisten Institute of Planetological Studies、略称GLIPS)とグリッスン採掘学校(Mining School of Glisten)という高等教育機関があり、多くの学生を惹きつけています。採掘学校はメガコーポレーションなどから資金を受け、鉱物の調査・選鉱・処理や経営学を学んだ有望な卒業生を宙域中に輩出しています。

トレーン Trane 2038 C639422-B 非工 G Im 太古種族遺跡
 トレーンは、地元で製造した銃火器から防衛関連製品まで様々な武器を、準軍事(※正規軍以外の傭兵部隊・地方警察などの組織)市場向けに輸出しています。ほとんどの住民は様々な武器を個人で所有して持ち歩いています。しかし社会は大体において協力的です。
 トレーンの海にはたくさんの種類の水生生物が生息していますが、小さな節足動物のような生き物からは進化しませんでした。

セントリー Centry 2132 E222447-6 非工・貧困 Im
 地表は広範囲に渡って激しい火山活動によって裂けていて、そしてそれは価値ある鉱物を生み出していますが、住民の生命を危険にさらしてもいます。
 さらに大地には真菌類の広大な森が広がっています。これらの真菌類は化学工場で使うために採取されていますが、その胞子は低地で濃い雲を作り、人間の肺にとっては危険な物質です。そのため住民は噴煙を上げる火山クレーターに住んでいます。
 住民はクラーチ(Crachi)と呼ばれる現住種族と居住区を共有しています。クラーチはテラの小さな類人猿と同程度の知性を持っています。彼らは地面に伏せたカニのような、8本の手足を持っています。彼らの重い甲羅は、体を惑星の過酷な環境から保護しています。クラーチは、真菌類を集める際に地元住民の助けとなるよう訓練されています。

ホロショー Horosho 2138 C3378A6-A S Im
 1098年に前の民主政府が無血革命で倒れた際に、人民の要求と帝国当局の思惑が一致した結果、独裁者としてリッシュ・ダーバン(Lish Dervan)帝国海軍大尉が就任しました。自由を愛し、穏健な専制君主である彼女は、宇宙港をクラスCに拡張することで商船団との交易を活発にしています。
 一方で、1102年にホロショー星系内でインペリアル運輸の貨物船が海賊に奪われた事件は、反海賊の機運を辺境星域に広めました。

ロマー Romar 2140 B450456-8 NS 砂漠・非工・貧困 G Im
 ロマーは肌寒い気候と薄い大気を持っています。惑星はアスランやヴァルグルに珍重される「ダストスパイス」の産地です。
 ロマーの人口には、少なくとも帝国暦454年以来住んでいるアスランの数が含まれています。
 ダストスパイスは、食物や果物の調味料として使用されます。砂漠の小さな植物の樹皮から採取されたこの調味料は、酒よりは軽い「陶酔」を感じさせる香辛料として人類にも人気ですが、特定の非人類種族(特にアスランとヴァルグル)には遥かに強力な多幸感を与えるため、それらの人々に一定の需要があります。

マラスタン Marastan 2231 D868772-5 低技・農業・肥沃・富裕 G Im 帝国保護世界
 マラスタンは帝国の保護世界です。宇宙港とそれに付属する街への出入りは無制限ですが、世界の大部分は認可を受けた学者のみが入ることが許されます。これはこの星が、偵察局によって帝国内各地から収集された植物や動物の「陳列棚」となっているからです。これらのいくつかは既に本来の星系では絶滅してしまっていますが、マラスタンの慎重に隔離された環境でまだ生き残っています。

ティレム Tirem 2233 C7B5975-B 高人・非水 G Im
 亜硫酸の海と寒さで危険なティレムの環境は、地元民に穏やかにうまくやっていくことを強いています。そのため、この世界の人々にとって例え商業競争でも激しい対立は忌み嫌われ否定されています。
 ちなみに、991年まではこのティレムに星域首都が置かれていました。

サーリナ Tsarina 2236 D120636-5 砂漠・低技・非工・非農・貧困 G Im
 この小さな世界の地形の多くは、短い周期の自転で生じる微風によって巻き上がる埃まみれの砂漠平野です。民衆はよそよそしい態度を隠さず、彼らのために贅沢な商品を運んでくる商人さえも不愉快に思っています。

ヴュルツブルク Wurzburg 2237 C795300-A S 低人・肥沃・非工 A Im
 ヴュルツブルクは熱帯の気候と産業公害によって汚染された重い大気を持っています。
 この星系は政府も法律もない滅びかけた世界です。このわびしい世界の上で、名ばかりの自由港だけが商取引を行っています。帝国偵察局が人員の上陸を見合わせている間に、傭兵と武器商人が地上宇宙港で闇取引を行っています。
 その暴力的な無政府状態により、現在ヴュルツブルクにはアンバーゾーン指定がなされています。

バイコーン Bicornn 2331 E563576-2 低技・非工 Im
 潜伏している人間サイズのクモ型半知的種族であるカーヴン(Krvn)に対して、住民は生き残りのための絶え間ない闘争の渦中にいます。

フュードン Ffudn 2334 A41489D-C 高技・氷結 G Im
 フュードンはXボート網の重要な結節点です。政府は極端な警察国家にもかかわらず、外世界との商取引は活発に行っています。インペリアル運輸など、いくつかのメガコーポレーションはここに営業所を構えています。
 惑星の大気が快適な気温を保つにはあまりに薄いため、惑星表面の水の多くは氷冠の中にあります。この現状を変える惑星改造の努力は、現在まで実っていません。


【参考文献】
・Supplement 3: The Spinward Marches (Game Designers' Workshop)
・Survival Margin (Game Designers' Workshop)
・GURPS Traveller: Behind the Claw (Steve Jackson Games)
・Planetary Survey 4: Glisten (Steve Jackson Games)
・Traveller: The Spinward Marches (Mongoose Publishing)
・Traveller Wiki
Comments (4)
この記事をはてなブックマークに追加

宙域散歩(3) モーラ~ルーニオン間

2012-03-22 | Traveller
 需要があるのかないのかわからないまま続く「宙域散歩」シリーズ第3回。今回はスピンワード・マーチ宙域のモーラ~ルーニオンにまたがる地域を紹介します。


 スピンワード・メインの星域図のように60度傾けてみました。ご覧の通り、ジャンプ-1で両星域の首都が繋がっている上に、ジャンプ-2以上の能力があるとショートカットルートがひらける、という面白い構造になっています。ジャンプ-1ルートをジャンプ-2で進むのと、ショートカットコースをジャンプ-2で進むのでは、最短距離で1ジャンプ分時間を節約できるので、その時間差をキャンペーンに組み込むのもいいかもしれません。

 しかしこのエリア、お世辞にも今まで活用されたとは言えません。「モーラはスピンワード・マーチの中心だが、リジャイナは宇宙の中心だ」という言葉がある通り(ありません)、宙域首都でありながら第三帝国史の中ではリジャイナがあまりにも輝きすぎて存在感は薄く、来るべき第5次辺境戦争でも幸か不幸か主戦場にもなっていません。シナリオでもあまり紹介されず、資料の少なさゆえに人気はかなり低いです。
 シナリオの舞台になったのは、かつてはアンバー・ゾーン『Work of Art』及び、GDW版「Alien Module 2: K'kree」内の『Whispers of Summer』のフォーニスぐらいで、ルーニオン星域に至ってはほぼ皆無でした(この星域図の外にあるラブウォー星系は、アンバー・ゾーン『Planetoid P-4638』の舞台になっています)。Mongoose時代になってからは、サプリメント「Spinward Encounters」や(これは各星域2個ずつの「遭遇」を採り上げる本なので当然ですが)、「Living Traveller adventure」シリーズの『Of Dust-Spice and Dewclaws』『A Festive Occasion』(「Traveller Compendium 2」に収録されていますが、現在もPDFファイルへのリンクは生きているので入手は可能です)でモーラが使われるなど、少しずつ注目が集まっているようではあります。


 では細かく紹介していきましょう。トリンズ・ヴェール星域の回でも書きましたが、モーラ星域は「マーチの玄関口」、ルーニオン星域は「マーチの交差点」と呼ばれています。宙域首都モーラを持ち、地理的にもデネブ方面から辺境方面へ、またスピンワード・マーチ宙域内での物流を担う重要な地域であることは間違いないでしょう。メガコーポレーションだけでなく、宙域規模企業のアル・モーレイ社もこの地域に通商ルートを構えています(大体Xボート・ルート沿いです)。

 ソード・ワールズ連合との国境付近でもあり、帝国第213艦隊(※資料によっては第43艦隊とありますが、第43艦隊がルーニオンに駐留するのは第5次辺境戦争後です)がルーニオン(とストロードン)海軍基地に、及び警備小艦隊がカポンなどの星系内海軍基地に駐留し、有事に備えて守りを固めたり、治安維持や密輸の防止に務めています。またモーラ星域艦隊である帝国第73艦隊は、スピンワード・マーチ宙域艦隊の司令本部があるモーラ(同時にモーラ基地は兵站(depot)機能も兼ね備えています)や、マーキュリー、モラン、ヒクソス基地に駐留しています。第73艦隊は各基地ごとに空母戦隊を備え、より集中的な警備行動により、他星域よりも安全な恒星間航行に貢献しています。その一方で、艦隊司令部とモーラ公爵との「共同所有」は、過度に政治化した艦隊を作ってしまったと批判を浴びています。


イアニック Ianic 1924 E360697-5 砂漠・低技・非工・富裕 G Im
 惑星の表面のほとんどは、特に鉱物のない寒冷な砂漠で覆われています。水や食料は輸入に頼っており、産業はスリンディ(Slindi)という砂漠に適応した大型の温血トカゲを牧畜する農場ぐらいです。スリンディの肉はあまり美味しくはありませんが、保存がきき、宇宙船乗組員のタンパク質補給食品として用いられています。
 この過酷な環境にも関わらず、イアニックの住民は惑星上に点在する深井戸や自然水路がある小さな町で生活しています。さらにこの星系には、ジョンカー人(Jonkeereen)という砂漠に適応させた遺伝子改良人類が全人口の約3割ほど、他の住民と離れて住んでいます。また時には、海軍や偵察局関係者が砂漠でサバイバル訓練を行うことがあります。
 この星のEタイプ宇宙港は着陸料がCr.250と高額ですが、この星の人にとっては(塩水湖を浄化してやっと得られる)水が貴重な資源であることを忘れてはなりません。
 なお、偵察局の基地は公式にはありませんが、ガスジャイアント軌道上にはXボート・テンダーが周回し、Xボートで運ばれたメッセージのバックアップを管理しています。
 ジョンカー人はジョンカー(デネブ宙域 1324)に植民する際に帝国植民省(と委託されたSuSAG社)が創り出した人類で(同様の人類にネクシーン(スピンワード・マーチ宙域 3030)に送り込まれたネクシー人(Nexxies)がいます)、この星域図上ではナドリン、他ではグリッスン星域の砂漠世界などにも広く住んでいます。身体的特徴としては、背が高く、浅黒い肌をし、砂漠に適応するために汗腺機能が非常に効率的で、砂埃から目や耳を守るための膜を持っています。非常に禁欲的で、他世界人には無情に見えるかもしれないほどに実利と自分たちの生存を重んじます。

シレーン Shirene 2125 B984510-B S 農業・肥沃・非工 A G Im
 この星系は元々アル・モーレイ社が発見した、との主張により、同社に所有されています。社の採掘部門によって開発されたこの星系は、アル・モーレイ社の輸送・補給拠点として使用されています。
 また、肌寒いながらも緑豊かな星系であることから、乗組員たちの保養所として広大な自然が残されており、また宙港街には粗雑でない娯楽施設も用意されています。
 シレーン星系はアル・モーレイ社の要請により、アンバーゾーンに指定されています。

ドロロー Drolraw 2426 EAB6311-5 低技・低人・非工・非水 G Im
 惑星は火山噴火による三酸化硫黄を含む高圧の腐食性大気と亜硫酸の海を持ち、活発な火山と地震活動に悩まされ、人を寄せ付けない世界です。この星系にはメガコーポレーションSuSAGの化学工場が置かれており、住民も従業員だけです。

パイマン Pimane 2527 E500343-4 真空・低技・低人・非工 G Im
 パイマンの宇宙港の近くには初歩的な鉱山キャンプがあり、そこにはタフで機知に富んではいますが孤立主義的な住民が住んでいます。商人はすぐに彼らの信用を得るのが難しいことを悟ります。彼らは一度商人に騙し取られたことがあり、それを二度と繰り返すまいとしているのです。
 地表は真空の灼熱地獄ですが、深い谷の底には大気や水があり、生物が存在することが確認されています。

ティヴィッド Tivid 2627 C534477-8 非工 G Im
 比較的最近の激しい地殻変動や、数千年前の隕石衝突の結果である巨大なクレーターが、はっと息を飲むような険しい山々を形成しているこの星は、毎年多くの地質学者や登山家を惹きつけています。しかし登山は時として死者が出るほど危険であり、また万一の際に救出するための組織や施設が全く存在しないため、トラベラー協会は注意勧告を行っています。

デュアル Duale 2728 A5437BF-B 貧困 G Im 研究基地α
 居住区から遠く離れた荒地にある帝国研究基地アルファでは、詳細は不明ですが1102年に大規模な爆発事故が発生し、その被害の大きさから一時的な放棄が決定されました。事故があって以来、星系には帝国軍の治安部隊が駐留しています。元々研究基地が何を研究していたかについては、知られていません。
(※研究基地が再建されるのは1108年です)

ヘクソス Hexos 2828 B534420-8 N 非工 G Im
 ヘクソスには、ほとんど無秩序的ですが破壊的ではない社会があります。市民は自分の思うままに様々な活動を行えます。それは、絶えず社会序列が変化するヴァルグル社会を思い起こさせます。
 世界自体はパリク星団へのジャンプ-2通商路上の重要な星系として位置しており、交通量はかなり多いです。
 知名度の低い観光名所として、難破船博物館(Wreck Museum)があります。帝国領域内で鹵獲されたゾダーン軽巡洋艦が当局によって武装解除された後、地元住民がそれを博物館と戦没者の慰霊碑として改装しました。博物館には毎年数百人の観光客が訪れます。
(※ちなみにヘクソスの人口の3割はチャーパーのようです。また、1120年343日付のTNSによると星系首都はディオーネ市(Dione)とのことです)

ルーニオン Lunion 2124 A995984-D NS 工業・高技・高人・肥沃 Im 星域首都
 ルーニオンは高人口かつ高技術で、環境技術にも優れた肥沃な惑星です。LSPの宙域本社が置かれるなど、巨大企業同士の忙しい取引が星系内で行われています。そのため、ルーニオン政府は企業の利益を増進するような(企業寄りの)政策を採っています。また、ここには有名な(名門というほどではありませんが)ルーニオン経済学校(Lunion School of Economics)があります。
 ルーニオンのLSPの造船所は、宙域の中でも重要な生産量を誇っています。彼らは民間の標準設計やワンオフの宇宙船を建造するだけでなく、大規模に企業や軍事用の艦船も受注しており、その技量は非常に高いです。
(※ちなみにルーニオン公ルイス(Duke Luis Adorania Jesten of Lunion)はモーラ公のはとこにあたります)

カース Carse 2224 C463325-9 低人・非工 G Im
 この星系の住民のほとんどは、グレスニ砂漠(Gresni Desert)にある風によって削られた壮大な岩山を見に来た外世界からの旅行者のために、観光業に従事しています。また他の住民は、宇宙港の保守整備の仕事をしたり、輸出用のメルドフルーツ(meldo-fruit)というサボテンのような果樹植物を育てています。

シャーリップ Sharrip 2325 C575101-A 低人・肥沃・非工 G Im
 硫黄化合物に汚染された薄く寒冷な大気を持つこの星系の唯一の住民は、宇宙港職員です。

ガンダー Gandr 2425 E000347-8 小惑・低人・非工 G Im
 ガンダーはガス惑星ザントラック(Xantrac)の周囲を回る小惑星帯です。帝国暦1060年に小惑星帯の小さな鉱床から超重元素が偶然見つかり、やがて星系は(一攫千金を狙う)採掘者でいっぱいになりました。残念ながらその後は更なる発見はなく、人口は最盛期の10分の1になってしまいました。現在の小惑星帯には放棄された集落が点在しています。

メレート Meleto 2827 C675100-5 S 低技・低人・肥沃・非工 G Im
 外世界人を歓迎しない孤立主義的な大家族が、この世界の住民の全てです。家族はデンバー(Denbar)という齧歯動物のような家畜の群れを飼い、自分たちで食べる分の野菜を育てています。

カポン Capon 2324 B747748-A N 農業・肥沃 Im
 主要な貿易・通信ルート上に位置し、友好的で勤勉な地元住民による快適な途中降機地として広く評価されています。また地元企業の工場で合成された幅広い医薬品により、医療施設の質の高さでも知られています。

キャリー Carey 2726 C579221-9 低人・非工 Im
 温暖な気候と、風に舞う胞子によって汚染された標準的大気を持つキャリーは、惑星上のわずかな土地を覆う無数のキノコのような生命体によって、外世界人には異様に見える生態系が構成されています。住民たちの努力にも関わらず、胞子は居住区や地上宇宙港に侵入することがあります。他星系の汚染を避けるために、地上から軌道宇宙港に戻る旅行者には汚染除去処置を受けることが求められます。
 アル・モーレイ社は自社の貿易航路のために、この星系に独自の軌道宇宙港を建設しました。同社の宇宙船は、Bクラスの整備施設や燃料精製能力を持つ社有宇宙港を独占的に利用することができます。

メイツ Maitz 2927 A201511-B 真空・非工・氷結 G Im
 長らくメインに沿った小さな世界に過ぎなかったメイツでは、回収可能な量の放射性物質が発見され、この世界の広範囲な開発につながりました。
 ここで建造される、裕福な依頼者(主にテュケラ運輸)のために標準設計にいくつかの改良がなされた宇宙船は、高品質です。実験的な設計の宇宙船は、メイツの複雑に入り組んだ衛星軌道で試運転されています。惑星メイツは11個の小さな衛星を持ち、加えて近傍軌道に小惑星帯もあります。これらの存在は、最新の航法データを持たない訪問者にとってはちょっとした悪夢です。

リステン Resten 2323 B310100-B S 低人・非工 G Im
 Xボートの重要な結節点であるこの星系には、偵察局基地の関係者とその家族のみが住んでいます。

マーキュリー Mercury 2624 B658663-8 NS 農業・肥沃・非工 G Im 軍政
 薄い大気と涼しい気候のこの星系では、乾燥した内陸部では果実を、湿地・沿岸地域では穀物を作っています。また、ここには帝国海兵隊や偵察局の大規模な訓練施設が置かれており、施設がある地域への民間人の立ち入りは禁止されています。

グリル Grille 3026 E410335-7 低人・非工 G Im
 グリルは宇宙船に燃料補給することだけに価値がある世界です。住民は外世界とほとんど接触を持っていません。

バイレット Byret 2623 B485697-6 農業・非工・富裕 G Im
 この星系の穀物生産や畜産による富は大企業によって制御され、一般人にはその現状を変える機会はほとんど残されていません。
 バイレットの最も小さな衛星は、3現地年に1回不安定な潮の干満を引き起こす、ひどく変わった捕獲軌道上にあります。
 またバイレットは群小種族ラリアン(Larianz)の故郷です。
 ラリアンはバイレットの飛行生物が進化した、計4本の手足を持つ知的生命です。平均身長は1.2m、体重は35kgほどです。上肢は大きな翼となっていますが、彼らは翼を折り畳んで「肘」で効率的に立ったり歩いたりすることができます。下肢の一組は、道具などを扱えるように進化しています。

フォーニス Fornice 3025 A354A87-C 高人・高技 G Im
 飲料水がこの高人口世界ではやや不足しています。そのため水は配給制で、かなり厳しく管理されています。
 フォーニスはスピンワード・メイン上の主要な貿易港です。また、宇宙船の整備施設の手際の良さは有名です。
(※現フォーニス伯セバスティアンの第二子がスピンワード・マーチ宙域議会(Spinward Marches senate)で帝国海軍武官(Imperial Navy's attaché)を務めるフレデリック・ムウダシル・サンタノチーヴ少将(Rear Admiral Frederic Muudashir Santanocheev)です。彼は1105年初頭に宙域艦隊提督オットマー・マノリス侯爵(Marquis Ottmar Manolis)の娘と結婚しており、次期宙域艦隊提督と目されています)

クイル Quiru 2321 B365300-8 低人・非工 G Im
 ガスジャイアントであるプリスティー(Plistii)の衛星クイルは、スピンワード・メインの中継地としては近隣のヒローニ星系の陰に隠れています。クイルには小さな鉱山入植地があり、メインラインズ輸送(MainLines Shipping)という内戦前に設立された小さな運輸会社の本社があります。
 現在のクイル政府は、傭兵を使ったクーデターによって作られた軍事政権です。このことに関して帝国はまだ公式声明を発表しておらず、帝国軍も介入行動を行っていません。
(※メインラインズ輸送の従業員は様々な密輸犯罪に関与しており、長らく社としてもそれを知った上で助長すらしていたため、遂には1143年にクイルの本社が司法省などの家宅捜索を受け、多くの社員は税関法違反の罪で投獄されました。なお1105年時点でもこのような悪徳企業であるかどうかはレフリーが決定してください)

モラン Moran 2924 C367300-8 N 低人・非工 G Im
 モランには、針葉樹の広大な森以外には目立った資源がありません。住民は主に海軍基地と周辺の歓楽街施設のために住んでいます。
 ちなみに、モランの軌道上には退役した6隻のヴォロシレフ級戦艦が保管されていて、解体を待っています。
(※後に(1116年までのどこかで)基地司令官が進入禁止命令を出し、星系がアンバーゾーン指定されたため、惑星経済は住民の手に負えないほど破壊されて宇宙港はさびれてしまう事になります)

ジョーコター Jokotre 3024 B6548D9-7 肥沃 Im
 ジョーコターに古くから伝わるラム(Ram)神を崇める伝道師が積極的に宙域中で信者を増やし、「安住の地」への移住を薦めているため、ジョーコターの住民には様々な人種が入り交じり、わずかずつですが安定して人口は増え続けています。
 教義では、信者は生涯で一度は聖地へ巡礼しなければならない、と義務付けています。なお、聖地に武器を持ち込むことは信者の間では禁忌とされています。
 大司教は近頃、「移動教会」として何隻かの小さな宇宙船を購入しました。
(※聖地は惑星ジョーコターの中にあるようです)

スカル Skull 2420 C2237C7-9 N 非農・貧困 G Im
 初期の入植者が軌道上から見た異様な形の山脈からスカルと名付けられたこの星は、商業貿易を重んじる世界です。「豪商評議会」によって支配される社会は、社会階層自体がまるで小企業のように機能しています。そして評議会は無謀な投機的取引や合法だが怪しいベンチャー経営にふけっています(帝国司法省はその活動を監視するために現地に事務所を構えています)。
 乾燥した山岳惑星のため、人口を支えられるほどの農業生産力がなく、住民は主に宇宙港周辺でサービス業に従事しています。

ヒローニ Heroni 2521 B6449B9-8 工業・高人・肥沃 G Im
 ヒローニの大気は工場によって汚染されています。ヒローニ産の重工業製品はそれほど高くないテックレベルにも関わらず、星域中やさらに遠くの低TL世界に多くの市場を持っています。
 ヒローニは国王オーランド・ジャーダヴィ2世(King Orlando Jardavi II)によって統治されており、同時に王は計32隻からなるヒローニ王立商船団(Royal Mercantile Navy of Heroni)を監督します。ここから出発した小型貨物船の船団が、周囲の星域の安定した収益を生む貿易ルートで活動しているのです。

フォージー Fosey 2621 A633656-A 非工・非農・貧困 Im
 住民はわずかに探査された大砂漠の中の内陸海の沿岸部に、小都市が連なるようにして住んでいます。帝国海軍情報部(Imperial Naval Intelligence)は、この地に公文書館事務所を構えています。それが無ければ、この世界には注目を集めるようなものは全くありません。

モーラ Mora 3124 AA99AC7-F NS 工業・高技・高人 G Im 宙域首都
 モーラ星系はスピンワード・マーチ宙域の最初の重要な入植地でした。帝国暦60年にLSP社によって開発が始まり、新しい宇宙船の建造や整備などで、すぐに国内交易や外国貿易の中心地、辺境植民の玄関口となりました。
 100億の人口の大部分は、主要大陸のほとんどを覆い、さらに海中にまで広がって赤道を一周するほどの巨大都市(それぞれに宇宙港もしくは空港機能を備えた合計59基のアーコロジー)に住んでいます。他には、小都市の島や、大規模な自然保護区の島、モーラ公爵を含む政府高官が個人的に所有している島もあります。自然保護区は無料で市民に開放されており、マーチの中でも指折りの絶景として知られています。また、やや乾燥した土地をモーラは持っていますが、農業生産は高度集約的に海中養殖によって行われています。
 モーラ政府の珍しい点は、モーラ女公爵デルフィーヌ(Duchess Delphine Adorania Muudashir of Mora)が世界の代表でも政府の頂点でもないことです。彼女は自身が直接干渉せねばならないと判断した時以外には、代理人に彼女の権限を委任しています。一方で女系家族制であるモーラは、統治機構の全てのポストを女性が握っています。ただし男性は奴隷というわけではなく、ただ単に高い地位に就けないだけですので、帝国法上は問題ありません。またモーラには警察や救急隊といった組織がなく、そういった任務は全て(地元の)軍隊が引き受けています。
 モーラはもちろん、高度な技術を持つ工業世界であり、その製品はスピンワード・マーチ宙域やデネブ宙域で広く販売されています。そのハイテク産業を支える人材を輩出しているモーラ工業大学(Mora Technical Institute)がありますが、帝立モーラ大学(Imperial Mora University)の卒業生よりも社会的地位は低く見られています。モーラ工大は電子工学と反重力技術を、モーラ大学は歴史や社会学を専門としています。
 モーラ星系の小惑星帯やガスジャイアントの衛星では資源の採掘が行われており、また小惑星帯にはスピンワード・マーチ宙域のほとんど全てのバイオテクノロジー企業が拠点を置いています。通商路の重要な結節点であり、研究のために安全で融通のきく環境が提供されているからです。星系の外縁軌道にある、氷と岩で出来た小さな惑星エルスティン(Erstine)の前哨基地では、深宇宙天文学の研究が行われています。
 小惑星(Planetoid)に建設された偵察局基地と海軍基地は共に巨大です。偵察局の宙域本部ではスピンワード・マーチ宙域全てのXボート通信や探査船の管理が行われていますし、海軍基地には宙域の「最後の砦」として、最も強力な防衛艦隊が置かれています。さらに、帝国第319通信艦隊所属のジャンプ-6艦艇は、星系の最外縁軌道にある拠点で有事の際にすぐに発進できるよう待機しています。
 モーラの交通量は非常に多く、軌道宇宙港が複数建設されたほどです。第3軌道宇宙港はデルガド、テュケラ、インペリアルといった巨大な運輸会社のためにあり、接舷するには許可証が必要です。宇宙港はインステラアームズの傭兵によって警備され、「モーラの企業要塞」という港の異名の一因となっています。
 ちなみに惑星モーラには2つの衛星があり、現在の研究ではそれらはかつて彗星だったと考えられています。衛星はモーラの追跡基地(tracking station)や防衛拠点として活用されています。

イヴェンドゥ Ivendo 2319 B324659-A NS 非工 G Im
 世界は豊富な生命にあふれていて、巨大な樹木が重なり合ってまるで天蓋のような森を形成し、多くの野生動物がそこを家としています。その中でもラネージ樹(Ranage tree)は注目に値します。ラネージ材で作られた家具は、イヴェンドゥの主要な輸出品です。
 残念なことに、樹木の花粉は人類には有害で、良くても吐き気を起こし、最悪の場合は呼吸不全に至ります。ただしこれは春だけの問題です。
 チャーパーの小さな集落がイヴェンドゥには点在していますが、風土性の疾病が数十年以内に彼らを絶滅に追いやってしまいかねない、と専門家は危惧しています。

コグリ Cogri 2419 CA6A643-9 海洋・非工・富裕 G Im
 資源に富んだ世界であるコグリは、硬い岩と氷の厚い層で全面を覆われています。宇宙港周辺には人口の半分が、残りは居住可能な岩の上に集落を作って住んでいます。
 液体の水は、氷の層の遥か下に地熱によって熱せられて存在しています。氷を掘り進む「潜氷艦」は生活に必要な水を収穫し、噴出孔の堆積物から化学物質を抽出するために使用されています。
 環境は厳しいですが、地元住民は勤勉で、高水準の生活を営んでいます。

ガーリンスキー Garrincski 2520 B632520-7 S 非工・貧困 Im
 この世界の民主政は既得権益をめぐって激しい衝突を繰り返しています。さらに、市民が政策を決められる極端な権利を持っているので、賄賂と腐敗が政権内ではびこっています。

ナトコ Natoko 2620 C8879AB-9 高人・肥沃 G Im
 独裁者に支配されているこの星系では、大部分の官僚が軍での階級を持ち、社会は非常に軍国主義化されています。前世紀のある事件により、ナトコ政府は軍用の宇宙船を保有することを帝国勅令によって禁止されましたが、それでも現在「武装貿易商船」や「通商護衛艦」の建造申請を行っています。
 なお、ナトコには太古種族の遺跡があります。

ロライズ Rorise 3022 C994100-A 低人・肥沃・非工 G Im
 惑星の空気中に漂う放射性の塵は、惑星表面に点在する火山によって巻き上げられます。惑星ロライズの核は驚くほど活発で、これは興味深い(そして非常に危険な)研究材料であることを意味します。

ナドリン Nadrin 3123 D120203-6 S 砂漠・低人・非工・貧困 Im
 惑星自体は何ら特筆すべき物はないこの星ですが、帝国植民省はこの地を長期的な実験場としています。研究は、ジョンカー人が外部の支援なしにこのひどい大気に耐えることができるかを調べるものでしたが、(星系の全住民である)ジョンカー人はマスクやフィルターなしで生きることができたものの、彼らは惑星の最も高度の低い土地に閉じこもりました。そして、彼らの寿命には悪い影響が出てしまっています。

ドゥージョードゥー Dojodo 3223 C512311-7 S 低人・非工・氷結 Im
 ドゥージョードゥーはわずかな氷が地表深く埋まっている、灼熱の岩の世界にすぎません。この星系の偵察局基地は左遷先として有名で、有能ではない職員が配属されています。また、有能ではあるけれど貧乏くじを引かされただけの職員の士気も非常に低いです。
 ドゥージョードゥーの交通量はほとんどなく、多くの偵察局員は暇つぶしに小惑星帯の製図に時間を費やしています。またチャーパーの集落がわずかながら惑星上に存在します。


【参考文献】
・Supplement 3: The Spinward Marches (Game Designers' Workshop)
・Book 4: Mercenary (Game Designers' Workshop)
・The Spinward Marches Campaign (Game Designers' Workshop)
・Survival Margin (Game Designers' Workshop)
・GURPS Traveller: Behind the Claw (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Nobles (Steve Jackson Games)
・Traveller: The Spinward Marches (Mongoose Publishing)
・Living Traveller Adventure 1: Of Dust-Spice and Dewclaws (Mongoose Publishing)
・Living Traveller Adventure 3: A Festive Occasion (Mongoose Publishing)
・Aliens of the Marches: The Jonkeereen (Freelance Traveller Fanzine)
・Traveller Wiki
Comments (2)
この記事をはてなブックマークに追加

紀元は二千三百年

2012-03-15 | Alternative Universe
 マングース版のトラベラーは、《第三帝国》設定自体も単なる一つの世界設定とみなす『汎用SF-RPG』となっているのが特色で、他にもマングースからは『Judge Dredd(シルベスター・スタローン主演で映画化もされましたね)』『Hammers Slammers(小説原作のベトナム戦争もの)』『Strontium Dog(コミック原作)』『Universe of Babylon 5(TVドラマ原作)』『Reign of Discordia(たぶんオリジナル)』という世界設定が、他にもサードパーティからは様々な世界設定の本が出版されています(そもそもサードパーティからは《第三帝国》設定の資料集を出せないのですが…)。

 そして先日、真打ち登場とばかりに『2300AD』がトラベラーシステムで復活しました。
 元々は、1986年に『TRAVELLER:2300』のタイトルでGDWから出版されたゲームです。名前こそトラベラーですが、ゲームシステムは『Twilight 2000』で開発され後にGDWの全ゲームの統一システムとなった「ハウスシステム」が使われていたため、「わかりにくい!」という苦情が来たのか来なかったのか、2年後の第2版はタイトルが『2300AD』と改められました。
 GDW倒産後は版権がマーク・ミラーの会社であるFFEに移り、CD版が細々と売られていましたが、2007年にはd20システム版(T20準拠)の『2320AD』としてルールブックがQuikLink Interactiveから発売されました。が、サプリメント展開がなされることもなくそのまま消えてしまいました。
 そして今回の復活です。25年の時を越え、TRAVELLERの名を冠していたゲームがTRAVELLERのシステムで復活するというのは、違う意味で先祖返りということになるのかもしれません(笑)。

 では『2300AD』というのはどういうゲーム、いやどういう世界なのか、私もそこまで詳しいわけではないのですが(汗)、知ったかぶりで解説します。ちなみに西暦2300年というと、第三帝国史では第一帝国の主星ヴランドが陥落する寸前の時代です。

 21世紀初頭の、核兵器も用いられた『Twilight 2000』の第3次世界大戦の被害から立ち直った人類は、再び宇宙を目指して太陽系内を開発し、やがて超光速航法「スタッターワープ」の開発でついに星々の世界へとその版図を広げることになった。が、異星人との接触により交戦状態に…とこう書くと第三帝国史とあまり変わらないようですが、このゲームの地球の21世紀以降の世界秩序はまるで19世紀に逆戻りしてしまったかのよう。第3次大戦での被害が少なかったフランスが世界に宇宙に君臨し、その後を追う米英日独満といった列強やその他中小国と熾烈な植民地獲得競争(時々紛争)を繰り広げている…という、未来なのに国際関係はまんま帝国主義時代。発見された星系は数多くあれど、植民された星系はそう多くはない(植民するには向かない星がそもそも多いですが)、と《第三帝国》とはかなり感じが異なります。
 開発された星が少ないということは、かつて暗黒大陸と呼ばれたアフリカ探検と同じように、探査ものシナリオは《第三帝国》よりやりやすい(そしてリスクもリターンも多い)でしょう。

#人類の宿敵なポジションに昆虫型異星人Kaferというのがいるのですが、ドイツ語の「カブト虫」という意味以外に、かつてのアフリカ人に対する差別語と同じ発音である、という設定がさらにあの時代らしさを感じさせてくれます。

 基本的にSF設定がリアル志向なので、「ワープ1回で7.7光年」という魔法のような技術を除けば、宇宙航路図はトラベラー方式の平面ヘクスマップではなく三次元座標で計算されてますし、レーザーやプラズマ火器は最先端技術過ぎて戦場では未だに銃弾が飛び交い、そして反重力だなんて嘘臭い便利なものは一切なし。宇宙船の居住ブロックは船体の外側をぐるぐる回って人工重力を発生させてますし、エアラフトではなくホバークラフトで移動します。今までのトラベラーではあまり見かけなかった軌道エレベータ(その名もBeanstalk=豆の木)がAタイプ宇宙港扱いで登場し、ラグランジュポイントにはガンダムでおなじみのスペースコロニーのようなものもあるっぽいです。
 異星人もヴァルグルやアスランといった感情移入しやすい人種はなく、どちらかというとキモ可愛いというかキモ気持ち悪いものばかりです(汗)。

 第三帝国に代表されるいわゆるスペースオペラであった今までのトラベラーよりは、とにかくいろいろな要素が「ハード」です。それがゆえに海の向こうでは未だに熱狂的なファンも多く、待望の(となるかどうかは出来次第ですが)復活劇だったと言えるでしょう。
 TL10~11程度の世界ならイメージがしやすい(特に服装とか生活とか)、ということもあって、個人的には非常に興味をそそられてます。映画で言うなら『スターウォーズ』でも『スタートレック』でもなく、『エイリアン』や『スターシップ・トゥルーパーズ』、最近では『アバター』も「2300AD的な」作品に含まれるでしょう。そういうSF作品が好きな方は、ぜひとも押さえておきたい一品。2320ADの時と違って、既に矢継ぎ早にサプリメントが出る予告がなされていますし、これからに期待が持てます。
 列強の思惑、入植者の苦難、未知への冒険、異星人との激闘。危険だけど活力ある時代。それが2300ADです!

#ちなみにこの時代の日本は、アルファ・ケンタウリの惑星ティランに天照、他の星にも大黒とか黄泉とかいう植民惑星を持ち、それ以前にフィリピンやミクロネシアも日本"帝国"領らしい…まあテキサスも独立しちゃうし、フランスも帝政になっちゃうぐらいですし、そういう時代なんでしょう。
Comment
この記事をはてなブックマークに追加

Mongoose『Aramis: The Traveller Adventure』、リリース

2012-03-15 | Traveller
 マングースからトラベラー用キャンペーンシナリオ『Aramis: The Traveller Adventure』が発売されました。
 内容は事前情報と著者名から、あの『トラベラー・アドベンチャー』と同じであることが判明しているので(宇宙船データや判定部分がマングース版に合わせてあるのでしょうけど)、日本語版を持っている身としては正直言ってそこまで興味なかったのですが、例によって(?)印刷版の方で重大なミスをやらかしてしまったらしく、値下げ&その部分を無償PDF公開、という形で対処がなされていました。

 その部分というのが、宇宙船のデッキプラン。それも、テュケラ、インペリアル、アケラット、オベルリンズといった大手各社の主力貨客船のデータなのですから、これはおいしい。

 公開されたのは、
 ・テュケラ運輸RT型1000トン長距離旅客船(ジャンプ-4)
 ・テュケラ運輸AT型3000トン貨物船(ジャンプ-2)
 ・インペリアル運輸TI型2500トン外航輸送船(ジャンプ-2)
 ・インペリアル運輸TJ型2500トン外航輸送船(ジャンプ-6)
 ・アケラット運輸ヘラクレス級AHI型5000トン大型商船(ジャンプ-1)
 ・オベルリンズ運輸CT型1000トン貨物船(ジャンプ-3)
 の6種類。データ自体は『トラベラー・アドベンチャー』でありましたが、デッキプラン自体はおそらく新規書き起こし(TI・TJ型は500トン増えましたが)。
 注目は、ライトニング級巡洋艦ばりに宇宙船を垂直に輪切りにした構造のAT型貨物船。4つの巨大な燃料タンクが船体の外側に配置されている独特の形状はなかなか圧巻です(結果、『トラベラー・アドベンチャー』のイラストとは全く別物になってしまいましたが(汗))。ただ貨物船なせいか、各フロアの移動部分にはアイリスバルブしか描かれていませんから…ハシゴ移動なのかぁ…(汗)(断面図に中央を貫くAccess Tubesという構造が見えるので、何かの仕掛けがあるのかもしれませんが)。

#そういえば、マングース版コアルールブック掲載のR型政府指定商船と、『トラベラー・アドベンチャー』のR型ハリアー級のデッキプランって全く違うんですよね(そもそも船体の横幅が3メートル違う)。お客にとってみれば、貨物室からハシゴで客室まで登り下りしないといけないハリアー級よりは、宇宙港のボーディングブリッジで直に客室に行けそうな前者の方が楽そうです。貨物室経由でもエレベーターがあるし。

 アケラット5000トン貨物船の広大な貨物ブロックも必見。こんなのを何隻も所有している大企業相手に、たった400トンのR型商船で勝負を挑まないといけないんですから…実際にデッキプランを見ると、身の程知らずの途方もない戦いを挑んでいたことがよくわかります。

 インペリアル運輸TJ型も、TI型と比較して広大なカーゴスペースだった場所にぎっしりとジャンプドライブと燃料が詰めこまれている様を見ることができます。

 ただの再編集かと思っていたのですが、ここまで気合入れて作っていたとは(そしてそれを台無しにしてしまった編集のまずさはなんともはや…(汗))。無料で見られるものなので、遠慮なく見ておきましょう(笑)。
Comments (4)
この記事をはてなブックマークに追加

宙域散歩(2) トリンズ・ヴェール星域

2012-03-14 | Traveller
 レフリーが管理しやすい魅力的な星域を紹介していくシリーズ第2回。今回のお題はスピンワード・マーチ宙域のトリンズ・ヴェール星域です。
 スピンワード・マーチ宙域の一番リムワード/トレイリング側にあり、リジャイナから遠いこともあって今一つ活用がなされていなかった地域です。シナリオで取り上げられたのも、傭兵チケット・アンバーゾーンシナリオの『Thunder on Zyra』ぐらいで、資料らしい資料も『Behind the Claw』ぐらいです(近年Mongooseから『The Spinward Marches』が出てはいますが)。日本語で読めたものに至っては、小説『ピラムスの怪物』(山本弘・著、ホビージャパン社「RPGマガジン」掲載)ぐらいではないでしょうか。

 しかし、何と言ってもおいしいのは星の繋がり方。コアワード方面の「カタルル星団」と、リムワード方面の「ドッズ星団」に大きく分割されていて(加えてモーラ星域との境にある「パリク星団」も)、それぞれが絶妙なサイズでまとまっています。ジャンプ-1しかできない宇宙船はその星団を出ることはできませんから、プレイヤーに予想外の方向に向かわれてしまうという事故を避けることができます。さらに、最長でもアラミス星系に隣接するラボラ星系で行き止まりとなりますので、「星域図の外には出ないでね☆」とプレイヤーに空気を読んでもらうべく視線を送る必要もありません(笑)。
 また、片方の星団での旅に飽きたら、スクァナインかコンウェイで増設燃料タンクを渡すイベントを起こして隣の星団に渡ってもらう、という『トラベラー・アドベンチャー』的な展開も可能です(この場合、グリッスン星域方面に行ってしまわないような強固な動機付けが必要ですね)。

 では、星域の概要を紹介していきましょう。


 トリンズ・ヴェール星域の、その独特な名の由来は、トリン星系で夜空を見上げた時に、軌道上のリング(かつて衛星だった物の砕けたかけら)が夕方と夜明けに恒星に照らされて光り輝く幻想的な光景から名付けられています。また、モーラ星域が「マーチの玄関口」と呼ばれるのに対し、こちらは「マーチの裏口」と呼ばれたりもしています。裏口であっても、ガルフ星域(デネブ宙域)からグリッスン星域方面への重要な物流拠点であることは言うまでもありません。
 スピンワード・メインはトリンズ・ヴェール星域を通過していませんが、ジャンプ-2宇宙船でなら、パリク、カタルル、ドッズの各星団を渡り歩き、トリンにも入港できます。また、各星団内でジャンプ-1宇宙船による貿易も活発に行われています。
 星域艦隊である帝国第207艦隊は、司令本部のあるカタルル、およびトリン、マーチソンの各基地に駐留していて、星域内の治安維持活動にあたっています。さらに、トリン基地には予備艦隊が駐留していますが、これは戦争への備えであって警備活動には使われていません。
 なお、カタルル星系には偵察局の中継基地も置かれていて、Xボート乗組員の訓練などもここで行われています。両基地の存在により、氷と岩ばかりの惑星カタルルはかなりの人口を抱えることとなりました。
 ちなみに、星域図の2632の地点には未知の星系があるという噂があります(※『The Spinward Marches Campaign』という本で、存在しないはずの星系データが記されていた誤植のことです)。


バートソン Burtson 2534 C462667-8 非工・富裕 G Im スクァナインが統治
 バートソンはスクァナイン侯爵領有の植民地として始まりました。人口は長年に渡ってスクァナイン(2536)やマーチの他の世界からの移住によって増え続け、やがて母星を上回りました。
 乾燥地帯と神話上の獣の牙に似た険しい山脈を有するにも関わらず、バートソンはその人口を支えた上で輸出するに十分すぎる食料生産ができる肥沃な谷を誇っています。しかし工業力は先進的ではないため、工業需要は母星に依存しています。
 住民は皆、スクァナインの領主に非常に忠実です。仮に住民を「解放」しようとする外世界からの働きかけがあったとしても、住民はそのような浅はかな計画にはきっと反抗することでしょう。

スクァナイン Squanine 2536 A300550-B 真空・非工 G Im
 スクァナインは極寒の地獄のような場所です。マーチの開拓初期では、グリッスン星域方面への出発点として使われていました。
 人口は750年頃には100万人に達しましたが、以後バートソン星系(2534)への移住と出生率の減少もあって減り続けています。
 スクァナインは下層階級をバートソンに「輸出」し、そこで彼らは開放的な空の下で幸せで生産的な人生を送り、ついでにスクァナインの贅沢な生活を支えています。母星に残っているのは、政治家、科学者、商人、富裕層、軍人に加えて、バートソンから雇われた使用人です。

ドバム Dobham 2537 A450457-A S 砂漠・非工・貧困 G Im
 ドバム星系は900年頃に入植され、地表の大部分は未だ開発されていません。主に商業世界であるドバムでは、広大な複合宇宙港施設を大量の物流が通っているのを見ることができます。一方で宇宙船の建造・補修施設は比較的貧弱で、小さな民間造船所には非常に限られた部品しかありません。もしあなたの船が標準設計でないのなら、修理部品の入荷を待たされることになります。

ピラムス Pyramus 2538 E566335-2 低技・低人・肥沃・非工 G Im
 ピラムスは市場としての魅力に欠けているので、外世界との交流はほとんどありません。最近でも、開発企業との契約に向けた動きは何も進んでいないようです。

ディスビー Thisbe 2539 E4305AD-5 砂漠・低技・非工・貧困 G Im
 アンバーゾーンにこそ指定はされていませんが、この星への旅行は注意が必要です。現在この星系では、外惑星軌道から氷の小惑星を運んできて、この惑星の薄い大気と水の量を上昇させる長期計画が実行されています。小惑星は細かく分割されてから減速軌道に乗せられ、ほとんどは大気圏内で蒸発しますが、いくつかは地上まで到達して危険をもたらすのです。
 厳しく管理された生活を営む住民の間には、落石の危険性について誤った情報が広められています。一方で厳しい法律にも関わらず、現在詩や芸術の分野ではルネサンス期にあります。おそらく彼らは失われた自由を、韻文や彫刻に見出しているのです。

アラミス Aramis 2540 B659772-6 G Im
 「星域首都ではない方の」アラミスは酸素がかなり薄いため、ほとんどの宇宙船はあらかじめジャンプの間に船内の気圧を下げて、旅行者が大気に順応してから到着するようにしています。この星には、広い海に浮かぶ中規模の大陸1つと数々の島に合計9千万人が居住しています。そのうち50万人が住む、宇宙港のある「島」はピーボディ精機(Peabody Instrument)に貸し出されており、宇宙港を出た旅行者はここがハイテク世界かのように思うでしょう。
 一方で島々には沿岸人(coasters)と呼ばれる人々が、「クレイヴ(飛び地を意味するenclaveが訛った単語)」と呼ばれる独立国のような共同体の中でTL5~6の生活を営んでいます。さらに内陸部には未開人(outbackers)が住んでおり、基本的に彼らは沿岸人を嫌っています。両者の衝突やクレイヴ同士の抗争、さらには「他所のクレイヴに嫌がらせをするために未開人を扇動する」ことはよくありますが、闘争に関与していない外世界人は賓客としてもてなされる伝統があるため、旅行者にとって危険な世界とまでは言えません(外世界人を殺害して敵の仕業に見せかける、ような陰謀が起きないこともないでしょうが、たいていは丁重に扱われます)。

ロビン Robin 2637 C00059C-C 高技・小惑・非工 G Im
 ロビンはXボート基地と商業港の星系です。鉱物に非常に乏しい小惑星帯では採掘が細々と行われ、宇宙港近辺の空域では地元で利用するための氷が採取されています。
 いくつかの大きな小惑星は、最近帝国海軍によって対海賊基地や情報収集所に転換するための調査を受けたという話です。この計画が本当に進められるのか、それとも単に海賊行為への抑止力として偽情報が流されているのか、憶測が広がっています。どちらにせよ、ロビン政府はうまく岩を護衛艦にしたと言えるでしょう。

ケルシャー Keltcher 2639 C525567-9 非工 G 軍政 Im
 ケルシャーは将来の発展が見込まれている星系です。現在は帝国陸軍の訓練所として使われていて、陸軍の教導隊がここに常駐しています。
 教導隊はゾダーン、ソードワールズ、アスランの一般的な軍用装備に類似した装備を蓄えており、部隊が遭遇するかもしれない仮想敵だけではなく、反乱軍やゲリラをも装って、定期的にここに送られてくる兵士を鍛えます。訓練は過酷かつ現実同様なので、毎年数人の死者が出るほどです。
 貿易商人はしばしば港に出向き、故郷から遠く離れた兵士たちが欲しがる物を売っています。

トゥッシニアン Tussinian 2731 B678324-7 低人・肥沃・非工 Im
 未知の毒性物質を含む大気に覆われているこの星系では、大気を研究する科学者集団と、日常の喧騒から離れて静かに過ごす孤立主義的な宗教団体と、芸術家達の入植地が分かれて生活しています。
 地元住民は地上港を維持していませんが、Bタイプの軌道宇宙港はリアド通商(Riado Commercial)によって所有されています。パリク星団を商圏とするリアド通商は、ここを拠点に3隻の小さな商船を運用しています。

ドッズ Dodds 2739 C4439DF-7 S 工業・高人・貧困 G Im
 ドッズの大気中に漂う致死的な病原菌は、帝国の科学者を数世代に渡って悩ませています。世界の住民は、3つの巨大なアーコロジー(※密閉された完全環境都市)のいずれかに住んでいて、そして、都市ごとにある宗教的な議会は、唯一の最高指導者からの助言を受けながら住民を導いています。
 民衆は礼儀正しくて信心深いですが、一部の狂信者は不心得者に正義の裁きを加えるべく完全武装しています。旅行者が注意すべき極端な法律は数多くありますが、そういった人のための例外も一部では設けられています。
 1102年に起きた宗教論争は、現在「三つ巴戦争」に発展し、都市では多数の死者が出ています。
(※ここの宗教は「イスラム教の一派」とも書かれているので、ソロマニ文化がそのまま残っているのかもしれません。なお、戦争は1110年まで続きました)

ペペルニウム Pepernium 2833 D567530-3 低技・農業・肥沃・非工 G Im
 ペペルニウムの住民は短気な連中で、誇り高く、自立心に富んでいます。様々な猛獣や害獣と戦うために、彼らは豊富な種類の狩猟用火器を所持しています。しかし、組織化された軍隊はありません。

トラルサ Traltha 2834 B790630-6 砂漠・非工 Im 太古種族遺跡
 この星の住民は、自分たちは「トラルター(Traltar)」という人類の分派種であり、太古種族の最終戦争の生き残りだと自称しています。真相としては、彼らは失敗した入植者の子孫であると思われます。入植地の井戸が枯れた結果、彼らの先祖は水源を求めてさまよう砂漠の放浪者とならざるをえなかったのです。
 かつては砂漠で放浪生活を送っていたトラルターは、帝国暦373年に帝国と再接触してからは、外からの技術を受け入れて水源の周りで定住生活をするようになりました。ヴォルスティン(Vorstin)という(知的種族ではない)トカゲが水を求めて集落を襲うことが問題になっていましたが、今までは住民の誇りが外部からの支援を拒んでいました。しかし住民の技術力が銃を自分たちで製造できるほどになったため、状況は住民に有利になっています。
(※GURPS版設定では「自称群小人類」とされているトラルターですが、非公式設定文書『BARD PAPER: OPAL9533』では「最終戦争の際に太古種族の遺跡で生き延びた」と記されているので(実際この星には遺跡が存在します)、一般的には自称と思われているが実は…というシナリオのネタにするにはいいかもしれません。ただしT5SSには記載がありません)

ファークァハー Farquahar 2839 C625563-7 S 非工 G Im ドッズの植民地
 元々はドッズ(2739)から追放された難民キャンプから始まったこの星系は、植民地として着実に成長を続けていて、いつかドッズの一員に戻ることを願うようになるかもしれません。住民は信心深いですが、母星ほどはのめり込んではいません。
 宇宙船の乗組員は地元住民に気前良くもてなされます。その良い関係は、偵察局基地の職員が築いたものです。しかし酒は、宇宙港の外ではいくぶん入手が難しいです。

レイドラッド Raydrad 2933 E99367A-6 非工 G Im
 水が豊富ではないにもかかわらず、レイドラッドの土は非常に肥沃です。
 ライサーネイ(Ricernay)という蒸留酒(と材料となる穀物)の産地として知られています。ライサーネイは愛好家の間では「力強くてまろやかな黄金の酒」として高く取引されています。

ジラ Zyra 2934 B555448-7 肥沃・非工 G Im
 ガスジャイアントの衛星であるジラは、比較的古くもあり新しくもある入植地です。その歴史は、マーチ宙域への拡張のための前哨基地が建設された200年代にまでさかのぼります。しかし入植地は不運にも、622年の疫病の流行と、740年の小惑星衝突によって2度破壊されました。現在の入植地は、廃墟から遠く離れた最大大陸の東海岸にあり、2つの都市に約6万人が住んでいます。入植後に小さな鉱脈が見つかったものの、地元民だけでは採掘の機材もノウハウも足りなかったため、恒星間企業のTM&R(Telneskian Mines and Refining)社が過大な分け前を代価に支援に乗り出しました。しかし最近になって、小さな大陸の方に金属の大鉱脈が見つかったのです。TM&R社がこちらにも乗り出すことは確実と見られていて、地元組織「ジラ人連合(Zyran Confederacy)」は資源の民有化を求めて傭兵を集めています。

マーチソン Murchison 2935 B544433-6 N 肥沃・非工 G Im
 マーチソンの海軍基地は小さく、哨戒艦や小型艦艇のみが停泊しています。
 世界そのものは素晴らしい風景ですが、生命体は少ないです。
 長らく忘れられていましたが、超能力弾圧の際の知事の高圧的な手法によって、マーチソン社会は暴力で引き裂かれました。これがマーチソンの知識人層の流出につながった主な原因と考えられています。
 超能力弾圧の最中の818年、マーチソン高次精神科大学(Murchison School of Mental Excellence)が暴徒の襲撃を受けて教職員や学生が虐殺されたことをきっかけに、後に「超能力暴動(Psionic Rebellion)」と呼ばれる騒乱が星域各地に飛び火していきました。
ハマーミウム Hammermium 2936 A5525AB-B 非工・貧困 G Im
 トリン(3235)からの通商・通信ルート上にある重要な星系です。この星は代々カンテ伯爵(Count Kantte)家が治めており、伯爵は同時にハマーミウム社(Hammermium Corp.)の社長でもあります。
 会社は星系外では有名ではありませんが、宇宙港を所有しているので、トリンからマーチ各地への物流から確実に利益を上げています。同社は独自の商船団を運営する一方、マーチで運行しているいくつかの商船に助成金を出しています。

ソーンナスター Thornnastor 2940 D534443-8 S 非工 G Im
 ソーンナスターの水は、海と呼ばれている深さのあるいくつかの地域を別として、大部分は地表に水の層を作り、陸地の多くを湿っぽい沼地にしています。沼は低濃度の塩分を含んでいて、植物を支えています。
 朝から午後まで、沼からは沸点を越えた蒸気が立ち上り、火傷するほどの熱い土砂降りが「涼しく」させます。このような環境は、通常は人間の居住には適していません。
 しかしジャングルの厚い層が沼地の上に形成されています。この層では極度に最悪の温度から保護されて、呼吸できる空気があります。この緑のサウナの中でなら、生存は可能です。無数の生き物はこの環境の中を這い、泳ぎます。空を飛ぶものは少数です。
 人間の住民は樹木の中で人工の保護ドームに住んでいます。そして自然の恩恵から豊富な種類の役に立つ製品を作っています。
 そんなソーンナスターを訪れる人はほとんどいません。一方でチャーパーの小さな集団が、南半球のいくつかの地域に住んでいます。彼らは人類とわずかに接触をしています。

プリリッサ Prilissa 3035 B985588-6 農業・肥沃・非工 Im
 ここはキアン(Kian)という騎乗用の(外見がダチョウのような)大型二足歩行哺乳類動物の母星です。キアンは地球の馬のように使えるため帝国中に広く輸出され、また帝国近衛騎兵隊での儀礼の際に騎乗されています。

ティー・ティー・ティー Tee-Tee-Tee 3038 C110530-9 非工 G Im
 特徴的な世界の名前の由来は、遠い昔に失われてしまいました。ティー・ティー・ティーは、氷の破片と塵からなる美しいリングを誇っています。

ユーガル Youghal 3039 AA95365-B 低人・肥沃・非工 G Im トリンが統治
 惑星の地形が、極が平地で赤道が大幅に隆起しているという歪な形をしているため、住民は酸素の薄い赤道を避けて南極側の大地に集まって生活しています(北極側の入植地は928年に放棄されました)。
 ユーガルの生命は変化に富んでいます。赤道の薄い酸素では生き残れない種は極地に集まり、逆もまた同じです。また、特定の山や谷には独特の生態系があります。帝国の学者は、まだこの世界の生命体の研究に取り組んでいません。

テナルフィ Tenelphi 3040 D76A579-9 S 海洋・非工 G Im
 テナルフィの多くの集落は、世界の群島上に点在するか、海底に建設されています。深海農場では水産食品や農産物が生産され、いくつかの実験的な深海用採掘機械が鉱物を海底から掘り出しています。

ゼファー Zephyr 3138 X89556A-3 低技・農業・肥沃・非工 R G Im 軍政
 農民革命党(Farm Workers' Revolutionary Party)による反乱は、約10年前の帝国当局の介入に繋がりました。しかし、レッドゾーン指定は解除されませんでした。不安定な政情は続いていますが、一つの問題が解決してもそれが新たな多くの問題を引き起こすことがわかっているため、帝国としては現状を維持しておきたいのです。

シャモワ Chamois 3139 B544642-5 S 低技・農業・肥沃・非工 G Im
 ずいぶん昔に入植されたものの、シャモワは全く発展しませんでした。
 印象的な巨大な死火山であるウェフライ台地(Wefrai Mesa)には群がるように家々が立ち並び、その街に住民は住んでいます。そして惑星の残りの部分にはチャーパーが居住しています。
 シャモワの生産物の多くは農業から得られ、主に温室栽培された野菜です。

ラミヴァ Ramiva 3233 B1107A7-8 非農 G Im
 この星にはこれといった産業はありませんが、ここには傭兵という偉大な資源があります。
 独裁者である将軍(dictator-general)によって訓練された人々は、傭兵部隊員として高品質の武装が施されます。そして、宙域中で最も高い値をつけた入札者の下で、個人警護、企業や宇宙船内の保安要員、宇宙港警備、などの任務に就いています。

トリン Trin 3235 A894A96-F NS 工業・高技・高人・肥沃 G Im 星域首都
 宙域開拓の最初期、モーラ(スピンワード・マーチ宙域 3124)の少し後に入植されたトリンは、宙域の探検の主要な出発点の一つでした。そのため、「マーチの裏口」の異名を持ちます。
 ガスジャイアントであるオースレイ(Orslei)の衛星には、宇宙港の着陸料を節約したい企業が建設した、ベースキャンプと燃料補給ステーションがあります。またガスジャイアントの上空軌道には燃料精製所が周り、宇宙港に精製物を出荷しています。
 小惑星帯を持たないトリン星系内には、入植惑星や軌道施設が色々ありますが、これらの中で最も有名なものは、氷の惑星に帝国暦400年頃からあるLSP社の輸送センターです。センター自体が社有の宇宙港で(LSP社の宇宙船以外は利用できません)、12000人の従業員を抱える主要な製造拠点、かつ産業技術改善の研究施設でもあります。
 内惑星軌道の惑星スカーチャー(Scorcher)は、重金属と放射性元素を採掘するために植民されました。今では地下都市のスカーチャー市に約3100万人が住み、重工業製品はトリン軌道宇宙港を通して輸出されています。
 大量の商品がトリンの優れた軌道宇宙港の中を通り抜けていきます。商取引には多くの仲介人と紛争調停企業が関わり、とても賑わっています。さらに軌道宇宙港には、とても大きな商業学校である帝立トリン商科大学(Imperial Trin Institute of Commerce, ITIC)があります。ITICは貿易商人を育成しますが、また関連分野として仲介業務や企業法のコースも提供します。大学の「宇宙方面」の学生の多くは、帝国海軍基地で予備役としての訓練も行います。
 トリンは海軍と偵察局の基地を持ちます。トリン独自の防衛軍は地上施設から指揮されますが、惑星防衛艦の多くは海軍基地に停泊しています。
 惑星トリン自体は、濃密な、汚れた大気と少なめの水界を持つ中型の世界です。トリンはかつて1つの衛星を持っていましたが、今では星域の代名詞となった美しいリングとなっています。
 地表の多くは寒い半砂漠となっています。赤道周辺の幅広いベルト地帯は広大な農場に充てられ、最先端の農業技術による新鮮な農産物を市民に提供しています。その生産量は約100億人の総人口が自給できるほどですが、一方でトリンは食品のかなりの量を他の肥沃な世界から輸入もしています。
 都市部に人口が集中しているのは、多くの高人口世界と同じです。農業地域に囲まれた透明のドーム都市は特に混み合っておらず、世界に入植された頃から反重力交通網が非常にうまく設計されています。それぞれの建物はとても高く、その間を広大な公園や娯楽施設が満たしています。
 地上車はトリンでは一般的ではなく、主に産業用や農業用です。それは大きな建物の中で機動性を確保するためです。都市内では建物の外側に反重力バスの停留所(着陸エリア)があり、リニアモーターカーが都市間を連絡しています。渋滞という概念は、トリン市民には無縁のものです。
 一般市民は非常に質の高い生活を楽しむだけでなく、教養もあります。労働者は全星系平均よりも遥かに裕福ですが、それとは別に、芸術、文学、音楽、スポーツなどの分野で優秀もしくは見込みのある人には、政府からの金銭的な援助が受けられます。
 もちろん貧しい人はトリンにもいます。しかし、非常に効果的な最低生活保証制度が整備されていて、困難に出くわした人は誰でも再びやり直すことが許される土地柄です。トリンのこれらの社会制度は、意欲的で有能な労働者を作り出していて、それは帝国内でも特に高い技術水準と結びついて、トリンの良質な製品が宙域のその遥か向こうまで輸出される原動力になりました。
 半企業的な官僚構造があるという点で、トリン政府は高人口世界の中でもかなり珍しい存在です。初期のトリンの入植者の影響で、政府は商取引を重視しています。入植初期から現在までトリンの政府である通商評議会(Trade Board)は、トリン女公爵ミライイ(Duchess Miraii Abani Arahailli of Trin)によって率いられています。
 評議会は後先を考えない成長は世界に打撃を与えかねないとし、第一に安定性を重んじています。その一方で評議会は柔軟性も持ち合わせています。絶えず変化する状況への素早い反応は、商業における成功のために必要だからです。
 研究機関の乏しいトリンは、他星系の研究機関に投資を行って賢く新技術を得ていますが、奇妙なことに、いくつかのうまくいきそうにない科学プロジェクトや投機物件や探査計画にも(多くはありませんが)資金を投じています。それだけトリンには余裕があり、ほとんどはうまくいかなくとも、時としてトリンに大きな幸運をもたらしているのです。
 トリンは本当に、既知宙域の中でも住むには最高の場所の一つといえます。

ヘイゼル Hazel 3236 C645747-5 低技・農業・肥沃 A Im
 主に農業世界であるヘイゼルの実際の収入の多くは、この星の闇社会が宙域の至る所で行った恐喝、金品強要、組織犯罪によるものです。一般市民は常に帝国政府の介入を予想していますが、これまで何も起こりませんでした。
 現在進行中の暗黒街同士の抗争によって、世界はアンバーゾーンに指定されています。


(※ところで、冒頭で紹介した『Thunder on Zyra』は、非道なTM&R社が住民を脅すために保有している核兵器(傭兵言葉でThunderball)を、連合に雇われたプレイヤーの傭兵部隊がTM&R社の基地を強襲して奪取するミッションなのですが…ほんと初期のトラベラーのシナリオは、非合法のはずの核兵器を一企業が持ちすぎです(苦笑))


【参考文献】
・Supplement 3: The Spinward Marches (Game Designers' Workshop)
・The Spinward Marches Campaign (Game Designers' Workshop)
・Journal of the Travellers' Aid Society #11 (Game Designers' Workshop)
・GURPS Traveller: Behind the Claw (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Nobles (Steve Jackson Games)
・Traveller: The Spinward Marches (Mongoose Publishing)
・Traveller Wiki
Comment
この記事をはてなブックマークに追加