宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(10) ヴィラニ・メイン3 ヴランド

2012-07-20 | Traveller
「ヴランド。初めて宇宙を旅した人類となった偉大な種族の故郷。ヴィラニ人たちは千年もの間、未踏の銀河を放浪した……遥かな過去の暗い霧の中でどのような偉大な発見がなされ、そして失われたのだろうか?」
アキッダ・ラアギイル「ヴランドにて」
トラベラーズ・ダイジェスト誌 1102年


ヴランド Vland 1717 A967A9A-F N 高技・高人・肥沃 Im 宙域首都
 主星ウラッカラン:
  スペクトル型:F8V 質量:1.144 半径:1.178 光度:2.126
  構成:惑星6、小惑星帯1、空白軌道1、ガスジャイアントなし

 惑星構成:
 0 (空白軌道)
 1 サガディル        Sagadir         Y100000-0
 2 ウミガッシュ      Umiggash        Y500000-0
   35 ディンニカ    Dinnika         Y400000-0
 3 カムルル・ベルト  Khamlur Belt    F00026C-E
 4 ヴランド          Vland           A967A9A-F N 高人・首都
   12 イルッカ      Irukka          G42422C-E
   35 ガシェマ      Gashema         F43456C-F   植民地・研究所
   50 カラグウル    Kalaguur        H7A2220-E
 5 (空白軌道)
 6 リルシャラ        Lirshala        Y400000-0
   45 アグ          Agu             YS00000-0
 7 ビカマク          Bikamakhu       Y523000-0
   5 カニイレル    Kaniirer        Y100000-0
 8 ルウカド          Luukad          F9A466B-F   植民地・軍事基地

 主要世界ヴランド:
  軌道半径:2億495万km(1.37AU) 公転周期:484.72日 衛星:3
  直径:14850km 密度:1.02 質量:1.45 重力:1.15G
  自転周期:31時間48分18.8秒 自転軸傾斜:26度19分29.6秒 反射率:0.31
  地表平均気圧:1.00atm 大気組成:酸素・窒素の混合気体 呼吸可能
  水界度:74(液体の水) 地表平均気温:18.1度 温室効果:1.1
  総人口:372億3000万人


 ヴランドは、明るい主星ウラッカランを回る熱帯世界です。極地ですら気温は-35度以下には下がらず、赤道の日中では気温は60度に達します。大部分の主要都市は、海岸線の気温を和らげる効果を利用するために、沿岸地域に置かれています。
 ヴランドには2つの大きな大陸と、5つの大きな島、そして群島があります。惑星最大の大陸であるキイ・エシュキマ(Khii Eshkhima)大陸は南半球にあり、かなり都市化されたルギカド(Lugikad, 家)大陸は北半球最大の土地です。凍土のシュドゥシュキル(Shudushkir)島はヴランドの南極点を囲むように位置し、アラシャド(Alashad)島は最も北にあります。そして、ウシルド・キイギ島は(Ushirud Kiigi)は赤道にまたがっています。加えて、山地のアドメグン・ラシャ(Admegun Lasha)島と小さなイルカ・イル(Irka Ir)島が主なヴランドの陸地です。

 太古種族がテラ(ソロマニ・リム宙域 1827)から人類をヴランドに移した時、最初の「家」となったのがルギカド大陸です。現在ルギカドは、惑星最大の都市と2つの地上宇宙港を含む、ヴランドで最も都会化された地域です。
 ルギカド大陸の最も有名な地形は、アシュキゲ(Ashkige)山脈です。この山脈はテラのヒマラヤ山脈や、レア(プロヴァンス宙域 2402)(※ヴァルグルの故郷)のオンググンギラ(Onggungira)山脈と同等の高さと荒々しさを持ちます。アシュキゲ山脈は地震が多いことで知られており、かつてはあらゆる種類の金属が埋蔵されていました。
 その山脈から流れ出るデガル(Degar, 灰色)川は海に注がれ、ヴィラニ人の祖先が最初の居住地を築いたのはこの川沿いでした。ルギカドの市街地は拡大を続け、現在、この区域は果てしない量の家屋や複合住宅、企業や工場から成っています。
 惑星首都であるエンルガル(Enlugal)市で97億8千万人、イシマガ(Ishimaga)市で28億6千万人が住み、両方とも大陸北西部の海岸にあります。ここでは、小さな古い建築物によって作られる時代遅れの街並みがあると思えば、そこから塔のようにそびえ立つ、住居と職場と商業施設が一体となった最新の高層アーコロジーがあったり、と、伝統と最先端が入り交じっています。上流階層向けの高層建築物では、エアラフトの着陸域が高層階同士を結ぶ歩道や車両橋と接続されています。
 ただし、エンルガル市とイシマガ市はヴランドの都市計画の優れた例です。大部分のヴランドの市街地は洗練されていない迷路で、場所によっては遥か古代の旧式技術(TL5~10)で建築されていたりします。それらの多くは歴史保存地域となりましたが、例外的にスラムと化した所もあります。なお、人口があまりに多いため、ヴランドの土地のほとんどに人が住んでいると言っても過言ではありません(※地図に明示されているのは人口5億人以上の大都市です)。
 エンルガル市とイシマガ市の周辺にある広大な産業地域は、地上宇宙港を囲むようにあります。これらの地域では重工業産業が営まれていて、原料や部品が輸入され、完成品が外世界に輸出されます。2つの悪名高い宙港街地区は、宇宙港のゲートと工業地帯の間に挟まれていて、港湾労働者や工場労働者などが住んでいます。

 長い歴史を持つルギカド大陸は、観光客にとっても魅力的です。アシュキゲ山脈付近では、標高3500mの単独峰、「開祖たちの峰(Founders Peak)」が有名です。その山肌には、第一帝国(ジル・シルカ)の創設者である『最初の三人組(First Triumvirate)』が、高さ1kmの全身像として刻まれています。これは、最も背が高い人物が左手で5つの星を支え、残る2人がその腕を支える、という構図になっています。
 首都エンルガル市には、大部分の歴史的建築物があります。ここには皇帝宮殿(Imperial Palace)が建ち、宮殿内のほぼ全ての建物が現在はジル・シルカ歴史博物館として公開されています(ただし敷地内の公爵宮殿だけは、ヴィラニ三百人評議会(Vilani Council of 300)の事務所となっています)。
 宮殿の隣には、既知宙域内で最古の図書館である「帝国図書館(Imperial Library)」があります。帝国図書館は「一つの施設に収められた収蔵点数」では最大の施設で(※その次が後述のAABです)、不活性空気の中で保管された2万年前の羊皮紙文書から、『最初の三人組』による建国宣言書や、最新の公文書など、ここに保存された文書は多岐にわたります。これらは外部の研究者にも原本のままの閲覧が許可され、一般市民でもコピーを取ることができます。また膨大なデータはさて置いても、その建物は一見の価値があります。
 帝国図書館に匹敵するものとしては、イシマガ市にあるAABが有名です。ヴィラニ語のArgushiigi Admegulasha Bilanidinの頭文字を取ったAABは、直訳すれば「ヴィラニの全知識の宝庫」となります。現在の正式名称は「ヴィラニ全情報保存所(Vilani Repository of All Knowledge)」ですが、一般的には略称のAABもしくは「保存所」と呼ばれることが多いです。
 AABは博物館と図書館と研究所と出版社を一つにしたような組織で、既知宙域の全ての書物や電子文書を収集しています。これらの蔵書はヴィラニ文明に偏りがちな帝国図書館を補い、他の人類や諸外国の文書、さらには物品も収集対象としています。例えば、古代テラのソロマニ人書物についても、AABは最大級の蔵書数を誇ります。
 全ての情報は10年おきに体系化され、『AAB百科全書(The Encyclopedia)』として出版されます。全部で15個のホロクリスタルに収められた『百科全書』には、書籍7500冊分の情報が入っています。また、AABは宇宙船や官公庁のライブラリ・データの提供も行なっています。
 AABは民間人にも開放されていて、その巨大なデータベースはヴランドを訪れる研究者が自由に閲覧できますし、ヴランド市民は惑星内・軌道間情報ネットワーク(global-orbital information network)を通じて家からでもアクセスすることができます。さらにAABは特許や著作権の情報センターでもあり、企業にも広く利用されています。
 ヴランド最高の高等教育機関であるカシイガ大学(Kasiiga University)はAABと密接な関係があります。AABの人員と資産は大学教育で生かされ(カシイガ大学はAABを大学図書館として利用しています)、カシイガ大学は歴史学や社会学の分野において帝国中で高い評判を得ています。

 「神々の戦いの地」キイ・エシュキマ大陸は、地理学的に両極端な気候をしており、その自然の力は大陸の初期の探検家に畏敬の念を起こさせました。
 古代ヴィラニ人のこの大陸への入植を阻んできたネダディプ岸壁(Nedadip Wall)は、ぎざぎざの山と海蝕崖からなる地形で、大陸北西の海岸線の2300kmに渡って、高さ500~1000mの絶壁としてそびえ立っています。壁を越えた南東には、クラガン(Kuragan, ヴィラニの英雄の名前)密林や、シイギイズニ(Siigiizuni, 英雄)川、エダマル(Edamar, 神話)湖があります。
 この大陸の内地の半分以上を覆うステップ地帯であるディカアイ(Dikaai, 大)砂漠は、さらに印象的です。現在、砂漠の大部分は惑星改造がなされた農業地域となっていて、自動化された食品工場のそばで、ロボットが耕作を行なっています。ヴランドの大部分の土地が居住区となっているので、ディカアイはこの惑星の食料生産に対して重い責任を負っています。ただし、砂漠の南東の角は数千平方kmに渡る環境保護地域として、元の状態が維持されています。
 大陸の多くの著名な地形の他に、キイ・エシュキマ大陸は歴史上の重要な土地でもあります。数十万年前に太古種族のロボット兵器が戦っていたのが、まさにこの地だったのです。いくつかの考古学的発見により、いがみ合う「神々」の古い伝説が解明されつつあります。
 多くの観光客は、ヴランド英雄記念碑(Heroes of Vland Planetary Monument)を訪問します。エダマル湖から流れるシイギイズニ川の川岸に沿って、ヴランドの偉大な英雄たちを祭っている大きな像や記念碑が並んでいて、観光客はエアラフトやハイテクの反重力翼船(grav hydrofoils)に乗って川を下り、記念碑のそばではホロ映像によるそれぞれの英雄の解説を楽しむことができます。

 人口の最も少ない、「氷の島」という意味のシュデュシュキル島は、ヴランドの南極地帯を覆っています。厳しい寒さにもかかわらず、熱心な労働者が極寒のツンドラの資源(主に石油)を採掘しています。永久凍土はありませんが、シュデュシュキルはヴランドで唯一雪や氷で覆われた土地です。居住区があるのは、比較的暖かい気候の北に突出した半島だけです。

 最も北にあるアラシャド島は、北部は寒冷気候の不毛な砂漠であり、南部には荒地の中に避暑地や公園が点在しています。残りの3分の1以上の土地は、都市化された地域です。

 赤道にまたがっているウシルド・キイギ島は、ヴランドの熱帯にあります。島のほぼ全ては開発されていますが、暑い気候や惑星の中心部から遠いこともあって、人口密度はそれほどでもありません。

 ヴィラニ語で「天空の島」を意味するアドメグン・ラシャ島は、ヴランドに残された最後の荒野です。高い山脈、人を寄せ付けない海岸、樹木で覆われた高地は、休暇中の市民に好まれています。外世界からの来訪者だけでなく、多くの市民はアドメグン・ラシャを理想的なキャンプ場、ハイキング先、狩猟場などと考えています。
 アドメグン島内警備隊(Admegun Rangers)は島全体を巡回して、自然保護を実施し、狩猟の決まりを守らせ、迷ったり負傷した観光客を救助しています。また、ヴランド水軍(wet navy)でもあるアドメグン沿岸警備隊(Admegun Flotilla)は海上で同様に、捜索・救出任務を遂行し(※最近ヴランドの裕福な市民の間には、スリリングな娯楽として危険な海に帆船で繰り出すのが流行しています)、適切な許可証を持たないハンターの違法な上陸を警戒しています。

 イルカ・イル島はヴランドの最も小さな"大陸"です。その地形のおよそ半分は砂漠で、残りは2つのかなり大きな都市と、居住区が広がっています。イルカ・イルはヴランドの赤道の遥か南にあるので、他の地域よりも気候は穏やかです。

 これらの大陸と周辺の海の資源から、様々な産業が興っています。製造業、農業、情報業の3つがヴランドで有力な産業です。
 ヴランドはハイテク兵器と反重力機器と電子製品の主要な生産者です。軌道および地上宇宙港周辺は、帝国の銀河核方向の世界の中でも最も大きな造船業の拠点です。
 キイ・エシュキマの超大規模農園は、余剰農産物を他の世界に輸出できるほどの収穫量を生産しています。
 この世界には製造業・運輸業・金融業・保険業の企業本社が数多く置かれ、いくつかのメガコーポレーションもその中に含まれます(※ヴィラニ系企業のシャルーシッド、マキドカルンの他、LSPのように「宙域本社」を置く企業もここに含まれていると思います)。大多数の企業は、通信、広報、会計、法律、データ処理、娯楽、その他の業務を行い、多くの雇用を生んでいます。
 ヴランドのように歴史が古く、人口の多い星系では資源が枯渇しているのは当然です。実際、ヴィラニ人がジャンプ航法を開発する前に、既に何種類かの金属は枯渇しかけていました。しかし幸いにも化石燃料は豊富で、さらに高度なエネルギー源が開発されるまで、燃料には全く困りませんでした。現在でもヴランドは後進世界に化石燃料を輸出できるほどです。それでも現在のヴランドが資源輸入世界であることは否定できません。

 ヴランド政府の官僚機構はしっかりしており、治安水準も高く保たれています。したがって密輸や不法入出国は困難です。

 忘れてはならないのは、ヴランドの文化的中心地としての重要性です。15000年に及ぶ文化遺産を持つヴランドの人々、そしてヴランドに起源を持つ全ての人々は、脈々と伝えられた伝統文化に大きな誇りを持っています。

ヴランドの軌道施設
 宇宙港を兼ねた3つの大きな宇宙入植地は、ヴランドの地表から遥か遠く、静止軌道上に浮かんでいます。これらの施設は宇宙港として用いられているだけではなく、主要な産業拠点でもあります。軌道施設では造船業、精密電子機器産業、反重力機関が生産されています。またそれらの人気製品を産み出しつつ、かなりの内部面積を農業に割いています。
 大小の施設すべてを合わせて、ヴランド軌道上には20億人以上の人が住んでいて、3つの軌道宇宙港と地上宇宙港(大きなものはエンルガル市とイシマガ市にありますが、小さなものであればだいたいの都市にあります)の間をシャトルが頻繁に往復しています。
 軌道宇宙港の複合施設は、全ての宇宙交通の最初の停止点です。ヴランドを訪れた宇宙船は、まずはここで税関手続きと検疫を受けなくてはなりません。これが終わるまでは、宇宙船はどんな地上施設へも着陸を禁じられます。

ヴランドの衛星
 ヴランドは3つの天然の衛星を持っています。一番近いイルッカ(Irukka)、植民地化されたガシェマ(Gashema)、最も大きく最も遠いカラグウル(Kalaguur)です。これらの存在により、ヴランドの地表では闇夜というものがありませんでした。3つの衛星が同時に満月となった時には、夜間でも人工光なしに屋外で読書が可能となるほどの明るさになります。
 イルッカはヴランドからおよそ17万km離れた軌道に乗っている、不毛な岩の玉です。小規模の鉱業会社と燃料補給ステーションの他に、ヴランド政府が運用する気象監視所があります。ここでは、ヴランドを周回する幾多もの気象衛星からの情報をまとめています。
 ヴランドから約50万5000km離れた軌道を回るガシェマには薄い大気と水が存在し、繁栄している植民地と心理歴史学(psychohistory)研究施設、そしてヴランドのCOACC(Close Orbit and Airspace Control Command, 低軌道・大気圏内管制司令部)本部があります。
 ヴランドから72万km離れたカラグウルは、ヴランドの双惑星と言えるぐらいの大きな衛星です。硫黄化合物が多い大気は有毒で、あまり訪れる人のいない衛星唯一の入植地は、小さな会社が築いた鉱山植民地です。

ヴランド星系の惑星
 既に述べたように、(ソルよりも明るい)黄白色の主系列星ウラッカランを中心に、ヴランド星系は周っています。しかしその歴史の割に、惑星の方はあまり開発されていません。だいたいの惑星は未開発で不毛の地です。さらに、ヴランド星系にはガスジャイアントが存在しないため、主要惑星ヴランドの価値はより高まっています。
 小惑星帯カムルル・ベルト(Khamlur Belt)の資源の大部分は、ヴィラニ人が「地球人」に遭遇した頃には枯渇していました。現在、それでも価値のある鉱脈を求めて調査活動は続けられています。
 ルウカド(Luukad)はヴランド星系の最も外側の惑星です。その濃厚なメタン大気の下に、造船能力のある造船所を含む、帝国第13艦隊の海軍基地があります。ルウカドの過酷な環境にもかかわらず、300万人以上がここに居住しています。




付録:ヴランド星域 ライブラリ・データ


 ヴランド星域には34の星系があり、総人口は約1642億600万人、最大人口はアンシンの約820億人です。最大テクノロジーレベルはヴランド、カーマ、キピイ、クラ、ズーリアン、フリーレの15です。全星系が帝国の傘下にあります。
 ヴランド公爵領(Duchy of Vland)は代々ヴィラニ系貴族のシイシュギンサ家(Shiishuginsa family)が治めており、現在のヴランド公爵(兼ヴランド宙域公爵)はエンリル・イグシイルディ・シイシュギンサ(Duke Enlil Igsiirdi Shiishuginsa of Vland)です。彼はストレフォン皇帝の親友かつ腹心であり、一年の半分をキャピタルで過ごして皇帝にヴィラニ情勢の助言をしています。

アナアム Anaam 1811 C424753-D 高技 Im
 アナアム星系の小惑星帯の資源は、数千年間の採掘を経て枯渇してしまいました。落ち込んだ惑星経済は経費の削減を強い、1052年には宇宙港のサービスがCクラスに低下しました。
 市場戦略を変更したアナアム政府は、ハイテク製造業の誘致のために税制上の優遇措置を始め、若干の成功は収めはしたものの、惑星経済はまだまだ移行期にあります。

タウリ Tauri 1817 A130998-E 高技・高人・砂漠・非農・貧困 G Im
 ヴランドからほんの2.17光年の距離にあるタウリは、-9800年にヴィラニ人が亜光速宇宙船で45年かかって訪れた最初の「外世界」です。当初は研究基地として入植されましたが、居住者はかなりの勢いで増えていきました。
 現在では、ヴィラニ・メインの起点という重要な位置のため、惑星内産業よりも宇宙港を通過する金融や貿易業で栄えている世界です。
 ちなみに、ヴィラニ系メガコーポレーションのナアシルカは、ヴランドではなくこのタウリに本社を置いています。

ギイナム Giinam 1915 C265003-C S 高技・低人・非工 G Im
 ギイナムは帝国貴族のための狩猟場です。テクノロジーレベルの数値は、小さな宇宙港の宿泊施設で利用できる物を表しています。惑星の残りの部分は未開の地と、手の付けられていない海洋です。
 惑星は小規模の割に高密度のため、標準的大気を持ちます。何人もの鉱業関係者がこの世界の所有者に金属の採掘を許可するよう説得を試みましたが、狩猟の環境を壊すとして拒否され続けています。

クラ Khula 1919 B475977-F N 工業・高技・高人 A Im
 -9309年に、亜光速宇宙船で約190年に及ぶ旅から帰還した調査隊から、ヴィラニ人は信じられない発見を聞かされます。このクラにて、数千年前に滅んだ「人類」の痕跡を発見したというのです。ヴィラニ人が自分たち以外の「人類」の存在を知ったのは、この時が初めてでした。
 このクラ原産の小型生物がシュウラメーン(Shuulamane)です。シュウラメーンは頭部以外を緑がかった灰色の毛皮で覆われた重さ3kgほどの醜い齧歯動物で、2つの臭腺からきつい臭いを発するのが特徴です。この臭いは死肉に印をつけ、他の動物が肉の臭いを嗅ぎ付けるのを妨げる役割をします。繁殖力も旺盛で、ヴランドの1年で最高4回、1回につき6~10匹ほど産み落とします。温暖な地域であればどこでも見つかりますが、大都市圏ではほぼ駆除されています。ちなみに、ヴィラニ人の多くの諺や民話において怠惰や不潔の象徴として扱われているので誤解されがちですが、このシュウラメーンがヴランドに持ち込まれたのは意外に遅く、第一帝国後期の-2450年頃です。

ズーリアン Zurrian 2016 C463436-F S 高技・非工 G Im
 ズーリアンは有名なシュルシ布(shurshi cloth)の産地です。その繊細な虹色の布は重さの割に強く、シュルシで織られた衣服は長年その美しい光沢が保たれます。シュルシ布は富裕階層向けにヴランド宙域中に、そして宙域を越えて出荷されています。地元の支配階級は製品の10%を税として上納させてはいますが、残りは生産者の自由にさせています。
 このシュルシ布は、品種改良されて手懐けられた現地の昆虫が分泌する糸から生産されています。しかしこの昆虫を別の星で育てる試みは全て失敗していて、シュルシ布は信じられないほど高価なものとなっています。
 ズーリアンの宇宙港の大部分は、シュルシ布取引のための倉庫地区から成ります。宇宙港がCクラスのままとなっているのは、外世界人はほとんどこの世界を訪れないため、結果的に高級な宿泊施設の必要性が低くなっているからです。

タハヴァー Tahaver 2017 B769978-A 高人 Im
 タハヴァーは-9310年にヴィラニ人が異星の知的種族と最初に接触した世界です。この世界の知的種族であるタハヴィ(Tahavi)は、マンタ型の水棲種族です。
(※この-9310年というのは、知的種族と接触した、という報告をヴランドで受けた年です)

イリラ Irila 2211 B568003-9 N 低人・肥沃・非工 G Im
 美しい自然の風景を持ち、人を恐れない動物の住むイリラは、帝国自然公園惑星(Imperial park planet)に指定されています。第一帝国期に自然保護のために買い上げられたイリラの所有権は、その後シャルーシッドに移り、現在では利益のために観光名所的な運営こそなされていますが、なるべく自然のままに維持されています。

アシュバカ Ashbakha 2216 A672000-A N 低人・非工 G Im
 アシュバカは暗黒時代には完全に見捨てられた世界でした。第三帝国の初期に、ある裕福な貴族が第一帝国時代からある宇宙港施設を補修して観光客に開放しましたが、諸般の事情により数世紀後には閉鎖されました。施設の修復には数十億クレジットが必要と見積もられており、現在もここは寂れたままです。
(※ここには「2人」が住んでいるらしいですが…?)

シイシュギンサ家 Shiishuginsa family
 -425年にメガコーポレーションのジルンカリイシュを設立し、古くから商業で財を成したヴィラニ系貴族です。現在でも彼らはジルンカリイシュの29%の株式を持つ大株主です。
 シイシュギンサ家は現在のアルカリコイ朝と密接な関係を持っています。内戦後の679年、ザキロフ皇帝の皇妃として迎えられたのがこのシイシュギンサ家の令嬢、アンティアマ(Antiama)でした。それ以来この家は皇室への忠実な支持者であり、キャピタル(コア宙域 2118)に大規模な私領を持つ数少ないヴィラニ系貴族の一つとなっています。

タウリビ家 Tauribi family
 ヴィラニ系名門貴族のタウリビ家は、第一帝国の最後の皇帝から3000年間続く一族とされています。
 76年にヴランド領域が制定された際に、アルテンサス帝によってラエルキガル(Laerkigar)が初代ヴランド大公に任ぜられて以来、代々タウリビ家がヴランド大公の地位を継いできました。現在のヴランド大公は、先代のウシャリ大公(Ushari)の第三子として1042年に誕生したイシュッギ・イグシイルディ・タウリビ(Archduke Ishuggi Igsiirdi Tauribi of Vland)が務めています。


【参考文献】
・Travellers' Digest #5 (Digest Group Publications)(の翻訳版であるタクテクス第66号)
・Vilani & Vargr (Digest Group Publications)
・Book 7: Merchant Prince (Game Designers' Workshop)
・GURPS Traveller: Nobles (Steve Jackson Games)
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宙域散歩(9) ヴィラニ・メイン2 アナルシ星域

2012-07-13 | Traveller
 今回はヴォーダン星域の隣に位置するアナルシ星域を紹介します。その昔、タクテクス誌に掲載された「グランドツアー」の第4話『ズリアンの黄金』にて、その存在だけは語られていた、ダアマ、ジェミッド、ニューカッスルの各星系を含む国境地域です。
 前回紹介したヴォーダン星域も含め、本来この周辺は帝国暦1120年代の「新ジル・シルカ」期のシナリオ『The Flaming Eye』(の中の1キャンペーン)の舞台で、資料も本当は(メガトラベラーの)反乱時代に対応しているのですが、今回は1105年設定に合わせて調整を行ったり、「05年頃にはこういう状態になっていた」ことにしたりしました。そのため、「公式資料を参考にした非公式資料」と捉えていただいた方がいいかもしれません。

 なお、ほぼ全星系が俗に言う「ヴィラニ文化圏」に属しているアナルシ星域は、帝国第247艦隊によって守られています。



タクサルーグ Taksarrgh 1701 B624697-9 非工 Va
 この星系は-6750年にヴィラニ人によって植民地化されましたが、入植地は徐々に野蛮化し、最終的には第一帝国の間にヴァルグルの略奪を受けて滅びました。
 ヴァルグルによる新しい植民地は-1978年に築かれ、同時に、古いトンネルの家が(がらくただらけではあるものの)無傷で発見されました。他の住居は、近くの主星や衛星からの強力な潮汐力によって起こされる地震によって倒壊していました。
 トンネルのねぐらは入植者にとって好都合でした。やがて、入植者の共同体は繰り返し小さな群れに分裂したので、新しいトンネルが次々と掘られました。
 現在、主要世界は蜂の巣状に広がったトンネルで覆われたようになっています。さらに、小惑星帯のあらゆる大きな小惑星には、少なくとも1つ以上の集団が住んでいます(※この星系には主要惑星と小惑星帯しかありません)。
 これらのほとんどは、指導者に任命された(商業に専念する)官僚機構によって管理されていますが、当然ヴァルグルの特性として、この指名はしばしば変わります。
 小惑星ズエルーズエラ(Zuerrzuela)は、カリスマ指導者一族のイルコナー(Aelkonar)の根拠地です。イルコナーは兄弟との激しい「喧嘩」の後、家業の従業員の中から支持者を集めて、小惑星に向かいました。
 本星は小惑星を植民地と捉えていますが、小惑星の住民はそう考えてはいません。そして両者の間には戦いが差し迫っています。ヌガス連合の海賊にとっては「強い世界」が彼らの計画には必要なので、このような事態は望んでいません。それでも、一部の熱心なイルコナー支持派の海賊は彼と面談し、タクサルーグの官僚の代わりに彼が全てを支配するこの星系を見てみたいと考えています。

ダススッツ Dathsuts 1703 C210000-9 低人・非工 G Na
 ダススッツ星系にはわずかな期間だけ入植がなされたものの、ほぼ最近まで無視されたままでした。1073年に最新の計器を使った惑星探査が行われ、惑星の地下1kmよりも深い地殻に、高純度のランサナム(lanthanum, ランタン)やツリウム(thulium)の鉱脈が発見されました。
 偵察局は調査のために専門家チームを上陸させました。平均600度にもなる惑星の表面温度は作業を困難にしましたが、5年の間硬い岩盤に穴を開け続け、ついに鉱脈までたどり着きました。結局見つかったのはごく僅かな量でしたが、しかし、どうして自然にこのような高純度の鉱脈が出来上がったかについては、チームの専門家も頭を悩ませました。この件について、最終報告書には「自然の不思議」と記載されています。
 偵察局は、チームが掘り出した全ての鉱物を、更なる研究と展示のためにAABの地質学博物館に送りました。
 それ以後は、時々民間の鉱夫がトンネル内で慎重に探索を行い、幸運を掴んだ少数の者は裕福になれました。
 近年、ダススッツの採鉱者は、若干の奇妙な、説明できない出来事に遭遇しています。例えば、計器が激しく異常な数値を示したり、死の間際に見るような幻想的な世界を目撃したりということです。外世界の専門家は、長期間鉱山トンネル内にいることによる、一種の精神病だろうと説明しています。
 ヴランド星系のイシマガ市にあるAAB(Argushiigi Admegulasha Bilanidin, ヴィラニ語で「ヴィラニの全知識の宝庫」)は、帝国最大の博物館・図書館であり、さらに研究機関と出版社を兼ねたような組織です。第一帝国時代に設立されたAABは、現在も全銀河のあらゆる知識を収集し、『AAB百科全書(The Encyclopedia)』として出版しています。

ロンナイツッツ Rronaetuts 1704 D224142-4 低技・低人・非工 Cs
 小惑星は役に立たず、高温の主要惑星にも資源がないこの星には、特に関心が持たれていません。
(※この星系の地下深くには珪素生命体タギ(Tagi)が住んでいます。-4000年頃、ヴィラニ人はラミル星系(ヴランド宙域 1219)からこのタギを移植し、採掘活動の手伝いをさせました。惑星ロンナイツッツと内惑星エクファア(Ekhfaa)の灼熱の環境でタギは繁殖しましたが、その後鉱石は掘り尽くされて、タギは惑星ごと忘れ去られました。タギは計器には岩にしか見えないため、第三帝国の探査でもこの星には何もないと思われました。タギは長命ですが、出生率が低く、現在両惑星合わせても数百匹しか残っていません)

ウガルン Ugarun 1705 C7C07A8-B 砂漠 G Im
 この星系は聡明な女王、アンマア・ウガルン(Anmaa Ugarun)によって統治されています。

ジガアディグ Zigaadig 1709 B541389-A 貧困・非工・低人 G Im
 ジガアディグは大部分の地表が居住に適さない砂漠となっている暑い世界で、塵の嵐はフィルタマスクの装着を必要とさせます。世界の水界は、両極の塩分濃度の高い海に分けられています。冬期の高緯度帯では、日中は温暖ですが、夜間は薄い大気が熱を保持することができないため氷点下となります。
 唯一の入植地は南極海の島にあります。LSP社がジガアディグ星系内の2つの小惑星帯と、ガスジャイアントの無数の衛星で採掘活動を行い、地元に利用料を払っています。

ニューカッスル Newcastle 1801 C567669-8 農業・肥沃・非工・富裕 G Cs 占領統治
 ニューカッスルの「自然」は、テラ(ソロマニ・リム宙域 1827)から移植された外来種を含んでいます。かつて太古種族は、ここにイルカ(の先祖)の群れを運び、それを支えるために同時にテラの陸地や水中の生態系の一部も持ち込みました。
 しかしイルカの群れはすぐに滅び、今では化石の姿でしか見ることはできません。一方、他の生命体はうまく生き残り、この星の元々の生命体と交雑していきました。結果的に、この星は第一帝国の古生物学者にとっての素敵なパズルとなりました。時は流れてソロマニ人の科学者が研究に加わっても、突然変異が元々のテラの痕跡を不明確にしていました。さらに言えば、太古種族はこの星に人工物を遺しておらず、これらの謎の解明には長い時間が必要となりました。
 入植者にとっては、あつらえたかのように農業に向いたこの星の生態系を存分に堪能できました。短い公転周期(1現地年は約39標準日です)と季節の無さにより、極地を含めて大部分の陸地で作物を生産できました。隣の惑星パーセルズ(Parcells)は惑星改造に向いていて、入植地はそちらにも広がりました。
 ニューカッスルは-5005年の入植当初から栄える、自給自足のできる、いくぶん独善的な世界でした。住民は自分たちでテクノロジーを発展させるよりも、近隣のジェミッド星系と技術と大量の食料を交換していました。
 しかし1101年に、ヴァルグルの海賊団は低TLの防衛力を蹴散らして完全にこの星系を掌握しました。住民のリーダーたちは全員殺されるか投獄され、住民には奇怪なヴァルグル宗教への改宗も要求されました。
 海賊がこのまま居座り続けるか、それとも去ってしまうかは不明ですが、いずれにせよその頃までには惑星の資産は裸にされていることでしょう。
 ニューカッスルの事件は、周辺星域の帝国海軍に警鐘を鳴らし、国境世界における惑星防衛艦(System Defense Boat)の重要性を知らしめました。帝国海軍がこの属領の救援に向かうかはわかっていません。帝国当局はこの件に関する回答を拒否しています。
(※ニューカッスルを支配した海賊の背後には選民教会(Church of the Chosen Ones)がいて、この星の支配権は、アナルシ星域の教会のダイル(Dhaer, 耳)であるオンググゾー(Onggzou)の手の中にあります。なお、住民への改宗要求は後に撤回されました)
(※帝国海軍が救援に来ないのは、実は帝国とは貿易協定(帝国製品の関税の無税化)だけを結んで防衛条約を結んでいなかったからです。また、来るべき辺境戦争に向けた微妙な時期であることも影響しているかもしれません)

 200年ほど前に設立された選民教会(Ourrghfaengaeknokskugvorrgh)は、ヴァルグルによる狂信的集団で、太古種族はテラの犬からヴァルグルを作る際にヴァルグルが銀河の指導者となるように高い能力を与えたのだ、と主張しています。教会は、指導者ライツジサイ(Llaetsdhithae)の下に、信徒の声を聞く役職であるダイルが置かれる組織構造になっています。

ザンノーク Zannokh 1802 B545235-7 低人・肥沃・非工 Na
 ダリイマン伯爵(Count Dariiman)によって治められるザンノークには、北極農地付近にある惑星唯一の町であるエルグザンノーク(Erghzannokh)の1000人弱程度の住民と、外世界から働きに来る小惑星鉱夫や化学労働者ぐらいしかいません。
 大抵このような星には野菜の水耕栽培農場が建設されるものですが、この世界の食料は穀物や、温室では育てられない大きな木の種子に依存しています。
 2現地年に一度、海流の変動により、北極の浜辺周辺に有害な微生物が打ち上げられます。人類の住民は以前から、この疫病の予防接種を受けています(※ヴァルグルはこの事を知りません)。

ロンニ Ronni 1803 C645576-8 農業・肥沃・非工 G Cs
 ヴィラニ人やヴァルグルがこの星を発見する前から、ロンニは群小人類種族の故郷でした。来訪者がやってきた時、ロンニ人は歓迎しました。なぜなら広い大地を耕すには、彼らは少なすぎたからです。
 ヴィラニ人のジャンプ技術には興味を持たず、ロンニ人は根気よく彼ら自身で惑星間の宇宙開発計画を作成し、星系内が自分たちで満たされるとそこに留まりました。
 ロンニ人の平和的な生き方は、他の人類やヴァルグルとの共存を可能としました。昔から、ロンニには人類の国やヴァルグルの国がありました。対立の元はあるにはありました(空気や水をどこの精錬所や製紙工場が汚染したのか等々)が、協力は普通の事でした。この数世紀の間では、希少なこの星の動物を保護するために相互に活動が行われています。
 ロンニ星系の一番外側の惑星には、天文台が建設されています。

カシイン Kashiin 1804 B14089E-7 N 砂漠・貧困 Cs
 この世界は、統合戦争やパクス・ヴィラニカ(ヴィラニ人による平和)の時代から残る、ヴィラニ文化の悪い面の象徴です。
 砂漠の住民が水不足に対処するために最善を尽くしていたため、カシインはかつては革新的な世界でした。しかし新技術の開発は崩壊をもたらすと考えたヴィラニ人の官僚主義がそれを踏みつけ、その代わりに古い考えとやり方が民衆に押し付けられました。住民の熱意は挫かれ、世界は停滞しました。
 第三帝国の成立によって新秩序が確立されましたが、世界は帝国に編入されませんでした。偵察局は、恒星間交流の拡大がカシインの住民に激しいショックを与えると考え、属領の地位で十分だと結論付けたからです。この決定は歴史家以外にはありがたくないものでした。
 現在星系には海軍基地が置かれ、ヌガス連合の動きに眼を光らせています。圧制的な政府の下、住民は鉱石処理工場で働いています。

ラニルソン Ranilson 1807 C999421-9 S 非工 G Im
 大部分の陸地が赤道付近に集まっているラニルソンは、高温多湿でのんびりとした熱帯の楽園です。この星には一時的に(時には終生)世俗から逃れたい人々が集まる傾向があり、住民は日々を適当に生きていくだけで満足しています。宇宙港や偵察局基地、観光産業からの収益は、小さな政府を維持するのに十分です(主にインフラ整備面で)。
 治安レベルが低いのは住民が自由と他者の権利を尊重しているからで、別に犯罪が多いわけではありません。ヌガス連合(ヴァルグル)の侵略を警戒している偵察局は重犯罪者の逮捕に協力し、地元住民はささやかながらも自警団を組織しています。
 テラ原産のスイレンに似た植物であるウラキグムンマミムは、毎年ある一定の時期に大気を汚染するほどの大量の花粉を放出します。これはアレルゲン物質であり、人類の11%(他種族は不明)が呼吸困難で苦しみ、場合によっては治療が必要になります。そうでなくても装備品にはこの迷惑な橙色の花粉への対策を施さなくてはなりません。

グールーク Ghurrllekh 1901 C560558-A C 砂漠・非工 Va
 砂漠世界であるグールークは、ヴィラニ人がジャンプ-2ドライブを完成させた直後に放棄されました。星系内にはガスジャイアントがなく惑星にも水がないため、補給にはあまりにも費用がかかり、植民地を維持することができなかったのです。
 その後、勇敢なヴァルグルが小惑星に価値を見出し、植民地を建設しました。鉱業収入は景気浮揚には十分でしたが、本格的な発展は海賊拠点が置かれて以降のことでした。
 ヌガス連合がリム方面への拡張を企図している、という話が伝わると、グールークは真っ先に加盟を申請しました。それにより鉱石輸出と海賊艦艇へのサービス提供のさらなる市場拡大が期待できるため、政府は宇宙港をBクラスに拡張しようとしています。
 一方で、建設工事により化石化した植物や動物の痕跡が発見されました。これはこの星がまだ「死んで」はいないことを示しており、逆に大量の水がどこに消えたのか説明ができなくなってしまいました。そしてこのままでは、大気中の残りの酸素が数世紀後には失われてしまうことを意味しています。

ジェミッド Gemid 1903 A423979-G N 工業・高技・高人・貧困・非農 G Cs
 帝国市民は、高度にハイテクで有名な武器(主に神経銃器)を購入する以外には、この星を訪れません。
 ジェミッドの多い人口と少ない資源は、老人を儀式的に殺害する習慣につながりました。住民には、子供を作る前に自分の両親が死亡していることが要求されます。もしも子供が産まれる時に死んでいないのであれば、出生の直後に老親は殺されることになっています。
 文化的に、ジェミッドの人々は色々な方面でこの習慣に適応しています。夫婦が(自分たちの親が自然死するような)40代から50代になるまで出産を待つことは一般的です(これはジェミッドの高い医療技術のおかげで可能になっています)。また初老の人は、子供たちのために道を作るべく、早死にを自発的に受け入れます。
 ヴァルグルや近隣の非同盟星系の手にジェミッドの軍事技術が落ちないようにするため、帝国海軍基地が守備を固めています。しかしその風変わり過ぎる文化のため、帝国に世界を併合しようとする動きはありません。

ダアマ Daama 1904 B576438-9 肥沃・非工 G Na
 この過疎の世界の治安レベルは高そうに見えますが、実際には宇宙港の外は無法地帯で、密輸業者の天国となっています(業者の大半は自前の宇宙港を惑星表面に持っています)。非同盟の地位は帝国の規制が及ばないことを意味し、高TLのジェミッド星系の近くにあることで多彩な商品が闇市場で売買されています。星系は安価な燃料のためのガスジャイアントを持ち、帝国国境のそれぞれの世界からジャンプ-2で、星域首都アナルシからジャンプ-3で到達できます。
 「ジェミッド侯爵」の称号は、このダアマの世襲の支配者が名乗っているものです。元々のジェミッド侯爵家はジェミッド(1903)から半径2パーセクの領地を治めていましたが、暗黒時代に領内の星系がそれぞれ独立していき、侯爵領自体がなくなってしまいました。数百年前にダアマの領主がこの称号を復活させましたが、この称号自体は現在の帝国が公式に認めているものではありません。しかし、帝国はダアマと国交を結び、できれば帝国に吸収しようと考えているため、「ジェミッド侯爵」は帝国の国賓待遇となっています。
 現在の侯爵は年齢の割に若く(50歳程度に)見えますが、かなり太っています。逆に、侯爵夫人は本当は夫と不釣り合いなほどに若いのですが(侯爵の34歳年下です)、夫人が老けて見えるため外見からはそうは見えません。
(※著名なジャーナリスト、故テラ・ポーフィリー(Terra Porphyry)氏の遺稿が闇に葬られたとは思えないので、1105年頃のジェミッド侯爵夫妻はダアマで渋々おとなしくしているかもしれません)

エンヴァル Envar 1906 D9C5333-5 S 低技・低人・非工・非水 G Im
 M8V型の主星に照らされる、エンヴァルの極端に高密度かつ低温(-150度)の組み合わせの大気には、「異種大気」の評価となる主に窒素とメタンの他に、十分な量の水素が含まれています。偵察局はエンヴァルの美しいメタンの海に目を奪われながらも、水素の存在を過小評価はしませんでした。エンヴァルには、偵察局の極限環境訓練施設(Extreme Environment Training Facilities)が建設され、天体物理学研究基地も併設されています。
 エンヴァルは、星間物質の欠乏によってガスジャイアントになれなかった「種」であると推測されています。星系内唯一のガスジャイアントが小型であることも、この説を裏付けています。
 エンヴァルの製造能力はTL5程度ですが、(ほぼ全てを外世界からの輸入に頼るとはいえ)誰もが帝国の平均的な技術製品を利用することができます。
 帝国国境に接しているこの星系は、それなりに戦略的に重要ではありますが、仮にこの星が敵の手に落ちたとしても、その敵が得られる利益は少ないでしょう。

カッキイン Kakkin 1907 B423333-B 低人・非工・貧困 G Im
 「カッキイン」とは「ショックのあまり凍りついた人」を意味する古代ソロマニの擬態語であり、第三帝国の第一期探査時にこの星を訪れた偵察局員の反応を表しています。かつてのヴィラニ人による探査結果に誤記載があったのか、この星に偵察局は温暖な植民に適した世界を大きく夢見ていました。しかし実際に彼らが見たものは、珪酸塩の塵が舞う摂氏150度の極薄大気の乾燥世界でした。
 ここでは細々と鉱業が営まれてはいますが、周辺星系と同様に後進世界であることは否めません。地域経済浮揚を目論んで974年に宇宙港はDからBクラスに拡張されましたが、利益を得ることはできませんでした。

ナシャジ Nashazi 1909 A300211-E 高技・真空・低人・非工 Im
 第一帝国の記録によれば、ナシャジに最初の植民地が設立された時、主星デルムドゥシュメラド(Dermudushmerad)は普通の黄白色の主系列星であったとされています。しかしそれは突然に赤色巨星と化し、近接軌道の惑星を飲み込みました。植民地が失われただけでなく、たまたまこの星系を訪れていただけの宇宙船も同じ運命を辿りました。一隻の幸運な船は、何とかガスジャイアントで燃料補給を行い、近隣星系に警告するために逃げることができました。星系への立ち入りは、帝国の天体物理学者以外は禁止されました。
 さらに3世紀後、放浪していた準巨星アムクムクミ(Amkumkumi)が星系に進入し、1つを残して全ての惑星を飲み込むか粉砕しました。残された惑星が今のナシャジです。
 2つの星の軌道が安定するのに何世紀も必要でした。その間星系は立入禁止のままでしたが、1000年の安定を経て、第三帝国は立入禁止を解除しました。
 しかしこの星系の過去は、人々を近寄らせませんでした。更なる災害への危惧や、星系内に死んだ入植者の幽霊が出没するという噂が、人々を恐れさせています。
 メガコーポレーションのナアシルカは、人工知能研究所をこの地に設立しました。また、粉砕された惑星の残滓を採掘する許可証が販売されています。

ガドゥシャン Gadushan 2005 C536488-B S 非工 Im
 ガドゥシャンは、主星のM4III型赤色巨星ガドゥクン・アン(Gadukun-an)を周回する、F5III型の黄白色巨星である伴星ガドゥクン・ビー(Gadukun-be)の軌道上にあります。この星系内の力学を研究することは天体物理学者には抗しがたい魅力であり、研究施設が数世紀前に建設されました。
 伴星から5AUほど離れているにも関わらず、ガドゥシャンの平均気温は60度にも達し、地元住民が「海で溺れるのは無理」と冗談で言うほど、海洋の塩分濃度は高くなっています。
 日中は非常に蒸しますが、ガドゥシャンの大気はその暖かさを保つにはあまりにも薄いため、夜は非常に冷え込みます。気温は速やかに-100度まで低下し、21標準時間の夜の間は激しい暴風雨に見舞われ、やがて大気ごと凍結します。
 幸いにも伴星は主星から39AUも離れているので、ガドゥシャンは灼熱の星とはなりませんでしたが、それでもこの星の「夏」には主星の輝きが影響しています。
 ガドゥシャンには生命体が存在し、全てが水中に存在します。植物と魚たちは、高濃度の塩分に対して驚くほど高い耐性を持つよう進化しました。海の透明度が低いため、全ての水棲生物は視力を持ちません。彼らは眼の代わりに、周囲の高濃度の塩分を利用して、電界の変化を感じ取る器官を発達させました。
 偵察局基地や研究施設と関係を持たない住民は、惑星上や2つの巨星の間に横たわる小惑星帯での鉱物の採掘で生計を立てています。

ニイトモク Niitomok 2006 C552595-A 非工・貧困 G Im
 ニイトモクはガスジャイアントの軌道を周回する非常に寒冷な惑星です。M4V型主星がかろうじて大気を凍結させない程度の熱を供給し、地熱は南極の荒れ地や群島部の氷を溶かしています。そして安価な地熱発電はここに住む数少ない住民の需要を満たしています。
 鉱物の鉱脈の存在により、この世界がヴィラニ・メイン内で賑わった時期もありましたが、今では最大のものも掘り尽くされ、新たな鉱脈の捜索もなされていません。

ミイコ・ベルト Miiko Belt 2101 C000234-8 小惑・低人・非工 Cs
 ここの二重小惑星帯の鉱物は第一帝国期に掘り尽くされたと考えられ、マキドカルンはソロマニ人のシンゾウ・ワタナベに安く星系を売却しました。彼は星系に妻ミイコの名を付け、この星の鉱業を再興させました。
 しかし時が経つにつれ、ワタナベ家は宇宙鉱夫や鉱石処理会社から過大な料金を搾取するようになり、収益は基盤整備や新事業への投資ではなく私的な贅沢に浪費されました。多くの鉱夫が嫌気が差してここを去った後でも、一族はその資産で長く暮らすことができました。
 ワタナベ家が防衛用の傭兵を雇うことができなくなる程に資産を使い尽くすと、彼らは帝国に従属を申し入れて星系防衛の責任を帝国に持たせました。同時にヴァルグルの貿易商人を呼び込んで、しばらくは商業活動による好景気を謳歌しました。
 しかしワタナベ家は過去の教訓に学ばなかったので、やがて真っ当なヴァルグル商人は立ち寄らなくなりました。小戦力だったとはいえ帝国軍も撤退し、代わりに海賊船や闇社会の私掠船が宇宙港を占めるようになって、社会は荒廃しました。ワタナベ家も今や統治者とは名ばかりで、海賊たちの傀儡のような有様です。
(※明記はないですが、マキドカルンがこの近辺の小惑星帯を手放したのは第二帝国初期ではないかと思われます)
 
フテー・ハット Hteh Hut 2103 A000546-E 高技・小惑・非工 G Cs
 鉱物が採掘され尽くした世界と思われていたこの地を、マキドカルンは捨て値でソロマニ人経営者ジャン・フテー(Jan Hteh)とその家族に売却しました。フテーは、この小惑星帯にはまだ採掘の余地がある方に賭けました。
 結果的に、彼は正しかったのです。鉱石販売からの利益は、インフラの改善と技術発展に投資されました。続いて、彼らが採掘した鉱石を加工するための精錬所が建設され、企業にさらなる利益をもたらしました。フテー一族は代々繁栄を謳歌し、彼らの「小屋」を他者にも開放しました。
 一族は独立を失うことは望まなかったので、帝国には加盟せず、属領の地位を欲しました。また、取引先にはヴァルグル企業も含まれ、一族は銀河核方向の隣人からも十分な好意を得ています。

ニンニガム Ninnigam 2105 C9A57A6-9 S 非水 Im
 窒素とメタンの大気を持ち、メタンの海がある、非常に寒冷な惑星であるニンニガムは、エンヴァル(1906)の姉妹星とも言われますが、主星の働きによってエンヴァルより50度も暖かく、不安要素となる水素もありません。
 フテー・ハット(2103)と同じく、ここの小惑星帯は掘り尽くされたと考えられていましたが、リムシュ・ニンニガム(Limshu Ninnigam)はマキドカルンからこの星系を購入し、投資に見合った利益を得ました。しかしジャン・フテーと異なり、リムシュはその利益を分けあったり、技術基盤に投資することに興味がありませんでした。彼は自分の封土をこの星に確立し、高額な採掘権を鉱夫たちに課しました。星系内にはガスジャイアントがなく、宇宙船の燃料代は高く保たれたので、多くの鉱夫たちはアナルシ(2205)で往復分の燃料を補給してから、ニンニガムにジャンプしていました。
 一方で無許可で小惑星帯の採掘をしているのを発見されれば、密掘した鉱石全てを、時折宇宙船までも没収されるほど、その罰は厳しいものがありました。
 一時は密輸の抜け道として利用されていたこの星でしたが、傭兵や賞金稼ぎが法の執行者として領主から許可証を得るようになったため、犯罪者たちは割に合わないとして多くが引き上げました。また星系外周に建設された偵察局基地の存在も、彼らにとっては厄介に映りました。

アングヴァイ Angvae 2203 C657510-7 C 農業・肥沃・非工 Va
 ヴァルグルの伝承に、アングヴァイという名の伝説的な海賊の話があります。彼は千年前にヴァルグルの商取引における行動規範を確立したと言われています。商売や知的職業の分野での成功を願う多くの親は「仔犬」に彼の名を名付け、いくつかの海賊団は名誉あるアングヴァイの名を戴きました。
 アングヴァイ星系は、お約束通りに海賊基地を抱え、全ての海賊船は自由に施設を利用できます。
 この世界の兄弟姉妹には団結精神(esprit de corps)が存在します。海賊の船長はアングヴァイの伝説に敬意を払い、暴力に訴えることをあえてしません。
 AMC(Angvae Memorial Corporation, アングヴァイ記念社)は宇宙港と海賊船基地を管理しています。サービス料収入や寄付金もありますが、社の利益の大半は農業輸出によるものです。AMCは、アングヴァイの慈悲の精神に則って、ここで取引している貿易商人が煩わされることがないよう海賊船に求めています。ただし、「たまたま通っただけ」の商人に同じ慈悲をかけるかどうかまでは関知していません。

アナルシ Anarsi 2205 B7479EA-E 工業・高技・高人・肥沃 G Im 星域首都
 黄色と赤の両巨星の潮汐力が誘発する地震や、恒星フレアの影響を避けるため、アナルシの人々は知識を崇め、追求するようになりました。一般的な宗教独裁政権ほどではないですが、大教授(Grand Professors)たちを中心とするアナルシ社会は強権的ではあります。
 アナルシでは、武器、薬物、性風俗は「感情を病ませる」として禁止されており、さらに音楽も「情熱は悲しみと同じぐらい悪いもの」として顰蹙を買います。許されているスポーツは健康を増進する程度のもので、チーム競技は争いを呼ぶので良くないとされています。また芸術は軽視されています。
 アナルシが技術的に進歩していくうちに、「過剰なもの」を省き、「もうそれで十分だろう」とする気風が生まれました。アナルシにはAタイプ宇宙港を持つだけの潜在力がありますが、住民たちは「Bタイプで十分だ」と考えています。

クザシャミル Kuzashamir 2208 E546853-7 肥沃 Im
 かつては、広範囲に行われた小惑星帯の採掘と鉱石処理による、評価の高い工業世界でした。暗黒時代に起きた2つの支配派閥による核戦争は、住民をほとんど絶滅に追いやりましたが、外世界からの援助なしに惑星とこの星の住民は復活を遂げました。
 星系にはガスジャイアントが欠けているため、宇宙船の燃料補給に彗星や惑星表面から氷をかき集めなくてはならず、この星への訪問の障害となっています。
 現在、鉱物の豊かな小惑星に地方港を建設するために、マキドカルンが投資ファンドを募っています。

ナイグーゾカ Knaeghzoka 2301 B4317A6-A 非農・貧困 G Cs
 ナイグーゾカは非常に寒冷で、自転を固定された世界です。昼側ですら気温はようやく0度に達する程度です。貿易分類は「氷結」になっていませんが、惑星上の全ての貴重な水分は氷の中に閉じ込められています。
 この世界の魅力は鉱物にあります。希土類の大きな鉱脈がここにあり、鉱業が主要な産業となっています。そして同時に帝国とヴァルグル領を結ぶ仲介者でもあり、かなりの量の取引がこの星系で行われています。
 ナイグーゾカ家は、すぐに変節する隣人への「忠誠賭博」をするよりも、帝国の属領である方が利益となると考えており、ヌガス連合を含めたヴァルグル諸国もそれを尊重しています。しかし一部のヴァルグル組織はここを革命の輸出先と捉えています。
(※明記はないですが、ナイグーゾカ家はヴァルグルの一族でしょう)

ボルジイン Bolziin 2308 B210212-C N 高技・低人・非工 G Im
 地球人が第一帝国を征服した際、ヴィラニ3部局は自身の資産を二束三文で売却せざるを得なくなりました。こうして切り離されたナアシルカの宇宙船部品製造部門は、最終的にアントワン・ボルジインに買収されてボルジイン・エンジニアリング社と名を変え、社の主要な製造施設があったこの世界には所有者であるボルジインの名が付けられました。
 以後同社は安定して成功を収めていました。宇宙船建造には直接携わらないものの多くの宇宙船で使用される部品を製造し、特に旧式宇宙船の交換部品の制作を得意としています。
 その部品の一番の納入先である帝国海軍は、海軍基地を施設の安全を確保するために建設しました。
(※人口が少ないので貿易分類が実態を反映しない「非工業」に分類されていますが、これは経費を抑えるために製造ラインの自動化が過度に進んだ結果のようです)

デグララアルビイス Deglaraarbiis 2210 E737725-7 G Im
 この星は、隣接するフリーレ星系(ヴランド宙域 2111)の人口過密状態の解決策として植民されました。政府は直接民主制で、世界の誰もが意見を述べて政治に参加できることが憲章に記載されています。
 入植者の第一世代は圧倒的多数で宇宙港の建設を否決しました。その理由は「ガスジャイアントを使えばいいではないか」ということでした。
 公共事業は資金を必要としますが、住民は税を払うよりはなるべく払わない方を求めます。現状を混乱させるようであれば、民間企業の進出すら投票で否決されます。結果的に、経済と文明は停滞してしまいました。
 「無関心」「孤立主義者」という形容詞は、この星の住民を記述するのに用いられます。外世界人にとってはこの星は、不機嫌や欲求不満にさせられる存在です。

クフォールゾー Kfoerudzo 2402 B559253-D 高技・低人・非工 G Va
 クフォールゾーの一党は、994年にこの世界を手に入れるために他の集団を退けました。海賊生活に疲れていた長は、帝国が敵ではなく良い取引相手になると認識し、星系内での海賊行為を全て禁止しました。堅気の商人となる気がある海賊は、ここで合法的な商売をすることが許されました。
 その後この星は、交易や低額な取引手数料で成功しました。海賊団や帝国は彼らの規則を尊重し、争いを避け、その結果長期に渡る公共投資が実現できたのです。

シャビイ Shabii 2408 B854010-A 低人・肥沃・非工 G Im
 シャビイは、メガコーポレーションのマキドカルンのための倉庫世界です。惑星表面の数千平方キロメートルの敷地には、機械化された倉庫施設や着陸エリアが備えられています。

(※ニューカッスル事件は、なぜかその後の資料では「1104年」に起きたことになっていますが、誤植が公式化した可能性も否定できないため、今回は1101年説を採用しました)
(※『First Survey』では、エンヴァル(1906)およびヘルヴァプレイス(2106)に太古種族の遺跡があることになっていますが、後にT5 Second Surveyで否定されました)


【参考文献】
・Travellers' Digest #4 (Digest Group Publications)
・Vilani & Vargr (Digest Group Publications)
・The Flaming Eye (Digest Group Publications)
・Rebellion Sourcebook (Game Designers' Workshop)
・Traveller in the DED Zone
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宙域散歩(8) ヴィラニ・メイン1 ヴォーダン星域

2012-07-09 | Traveller
 これまでは帝国の「最辺境」であるスピンワード・マーチ宙域やトロージャン・リーチ宙域の紹介をやってきましたが、いよいよ回廊(コリドー)を越えて、帝国の「中央」へ旅をしたいと思います。
 まずは第一帝国発祥の地、ヴランド宙域からです。


 ヴランド宙域の歴史は、太古種族を除けば既知宙域で最も古く、約1万年の歴史を誇ります。-9800年頃に亜光速宇宙船で探検を始めたヴィラニ人は、-9235年のジャンプドライブの開発で、一気にその領土を広げていきました。
 その手助けの一つとなったのが「ヴィラニ・メイン」です。ジャンプ-1で行き来できる星のつながりを「メイン」と呼びますが、幸運にもヴィラニ人の故郷ヴランドは最大規模のメインに属していました。ヴィラニ・メインはヴランド宙域の大部分だけでなく、さらにリシュン宙域の一部、コリドー宙域のリムワード側、ダグダシャアグ宙域の一部、グシェメグ宙域の大部分、そしてレフト宙域やヴァージ宙域の端まで広がる、総計1014星系にも及ぶ巨大なものです。
 かつてのヴィラニ人はこのアルシュカア・サガラア(Arshukaa Sagalaa, 古代ヴィラニ語でのこのメインの呼び方)を足掛かりに「星々の大帝国(ジル・シルカ)」を築き、暗黒時代(Long Night)でもほとんどの世界が恒星間交易を諦めませんでした。現在でも、帝国で最も歴史があり最も大きなこのヴィラニ・メインは、最も富んで、結束の強い地域です。

 今回紹介するヴォーダン星域は、そんなヴィラニ・メインのコアワード方面の終点に位置します。第246艦隊が警備する帝国国境から、中立地帯を挟んで数パーセク先にはもうヴァルグル領が存在する、スピンワード・マーチ宙域で言うならアラミス星域に似たような環境ですが、全てが帝国領であるアラミス星域と違って、中立とはいえヴァルグル世界どころか堂々と海賊の基地すらあるこちらは、より活発なヴァルグルの(合法非合法両方の)活動が想像できます。
 資料が少ないのが難点ですが、覚えておくべき異星人がヴァルグルぐらいしかいないので、意外と帝国知識の少ないプレイヤー向けの地域かもしれません。何よりも、1万年という壮大な歴史の重みは、たかだか数百年程度(笑)のスピンワード・マーチ宙域では味わえないものです。もちろん資料が少ない分、レフリーの発想力が試されますが…。 
(※ヴランド宙域にはヴィラニ人の他に人類系群小種族アンスウェリン人(Answerin)やサーゲシュ人(Thaggeshi)がいますが、ゾダーン人やダリアン人よりは覚えておく必要性は薄いと思います。彼らの故郷はヴォーダン星域から少し離れていますし)



シキラル Sikilar 1107 B5328DH-9 非農・貧困 G Im
 第一帝国期にドーム都市によって入植されたシキラルは、低重力なので隠居世代向けに人気のあった世界でしたが、暗黒時代という「長い夜」が深まったことで、シキラルは完全に恒星間の接触から切り離されました。
 ドーム都市はいつしか宗教化した技術者階層による丸暗記的な知識によって維持されましたが、結局、技術はやがて失われていきました。
 暗黒時代が終わっても、より高い技術力を持つ外世界人はほとんどシキラルにやってきませんでしたが、(記録に残っている名前では)デューサ(Dhusa)は、この地を訪れて自身の「魔法」で民衆を威圧し、宗教独裁政権を築き上げました。それ以来、彼が率いる聖職者階層は恐怖による服従心を人々に浸透させていきました。
 現在、地元民は外世界人を天使として崇拝し、許可なしで「天使と」話すことは許されていません。全ての商取引は聖職者によって取り扱われ、彼らがテクノロジーを独占しています。
 この星の信じられないほど高い治安レベルでもアンバーゾーン指定をされなかったのは、外世界人がこの星の厳しい禁忌の影響を受けないからです。しかし、帝国の一般的な民衆にはシキラルに広がる文化は受け入れがたいものです。

リウォー Liwar 1110 C550000-A S 砂漠・低人・非工・貧困 G Im
 特に何もない不毛な星系の中で、自動化された燃料補給ステーションが旅行者に貢献しています。一般的な銀行のカードや帝国貨幣の両方とも、機械は認識することができます。
 これらの機械は、訪問者との接触を避けたがる世捨て人(hermit)によって管理・補修されています。
(※UWPによれば、この星系の人口は「4人」です。文中の「hermit」は単数形ですから、偵察局基地にいるのは3人ということに…?)

エリム Erim 1201 D573685-3 低技・非工 G Na
 エリムは帝国国境から離れた後進世界です。ヴィラニ人とヴァルグルが入り交じっている住民は、平均気温57度のこの惑星の薄暮帯でどうにか暮らしています(※惑星エリムは常に同じ面を恒星に向けています)。
 世界は第一帝国時代には交易や技術を外世界に大きく依存していましたが、暗黒時代を通して住民は古い技術や文化を守り通しました。古めかしい姿ですが、宇宙港は今でも機能的です。
 ヴァルグルの移民が約400年前にこの星にやってきた時、ヴィラニ系の住民は(どうすることもできなかったとはいえ)平和的に共存することを望んで彼らを歓迎しました。
(※後にこの星はヴァルグルの侵入者の支配下に置かれるのですが、その際、ヴァルグル系住民はヴィラニ系住民の助命嘆願を行い、その結果、社会構造はそのままで侵入者の支配下に収まることができました)

アングルー Anghurr 1202 E4308AA-6 C 砂漠・非農・貧困 Va
 暗黒時代の間にヴィラニ人植民地が滅びた後、ヴァルグルの移民がここに入植しました。彼らは第三帝国と商取引で経済のパイプを太くすることを望みましたが、ヴァルグル戦役(210年~348年)によって両種族の間に憎しみが生じたため頓挫しました。
 近年、"一匹狼の"アングルーは、この世界をヌガス連合(Ngath Confederation)と手を組むことによって繁栄に導こうとし、政治的キャンペーンを行いました。彼は地滑り的に勝利し、世界の名前を(習慣に従って)彼自身と同じに変えました。終身大統領は彼の公約を支援するために厳しい法律を制定し、海賊船の基地を整備しました。
 惑星経済が好調である限り、住民は彼を支持し続けるでしょう。
(※おそらく終身大統領よりもアングルーのカリスマが高くなったためにこのようなことになったのだと思います。ヴァルグル社会では時としてこういった事が起こりえます)

ヴォーダン Vhodan 1208 A75898A-C 肥沃・高人・高技 G Im 星域首都
 星域首都であるヴォーダン星系は、最も古いヴィラニ人植民地の一つです。ヴィラニ人によるヴォーダンの最初の植民地化は、-8007年に始まりました。
 ヴォーダンの生態系は植物だけから成り、ヴォーダンの気候は植物を青々と、巨大に成長させます。ヴォーダン産の野菜はヴランド宙域の至る所で有名です。
 ヴォーダンは伝統的なヴィラニ文化に染まっています。第一帝国の間、ヴォーダンはヴィラニ・メインの主要な世界で、ナアシルカ(Naasirka)、シャルーシッド(Sharurshid)、マキドカルン(Makhidkarun)の主要な管理・生産拠点でした(※この3つを総称して「ヴィラニ3部局」と言います)。
 ヴォーダンの文化は、人類の支配(第二帝国)や暗黒時代において、驚くほど影響を受けませんでした。ソロマニ人によって首都ヴランドが陥落すると、ヴォーダンは孤立主義に転向して早々に恒星間社会から離脱しました。ソロマニ人はテラからヴランドまでの拡大に力を入れて、ヴランドから先のヴィラニ社会の統合は後回しにしたため、実質的にヴォーダンの人々は、暗黒時代を自ら先取りして第二帝国期を過ごしました。
 その内省的な性向のため、ヴォーダンは第三帝国の拡大期においても、恒星間社会に復帰するのが遅くなりました。
 今日でさえ、一部の専門家はヴォーダンがヴランドよりもヴィラニ的であると主張するほどです。一つの理由として、ヴォーダンの技術の発達がヴランドよりも保守的なことです。ヴォーダンはTL12をこの500年間ずっと保ち続けているのです。

デラアン Deraan 1403 B526649-B 非工 Na
 周囲から孤立した、氷に覆われたこの星の入植が始まったのは、第三帝国が成立してからです。
 独立心旺盛なこの星の住民は、帝国への加盟よりも中立のままでいることを望みました。ヌガス連合から流入してくる海賊船に対しても、単独で抵抗しています。

ディイロン Diiron 1405 B89A8AA-B 海洋 G Im
 ディイロンの浅い海の底に眠っていた豊かな鉱物資源は、第一帝国成立以前からかなり利用されていました。-6500年頃まではディイロンは住むには適した星でしたが、残念なことに、鉱物の精製後の廃棄物に関して環境保護の方策が欠如していたため、高濃度の汚染が住民を苦しめました。人類に有害な不純物によって、数世紀後には作業員のための複雑な保護服にかかる費用が鉱業の収益性を悪化させるほどでした。住民は環境保護を重視する指導者を立てて支持し、採掘活動をやめさせましたが、その前に採算が合わずに鉱業は衰退していました。
 汚染の原因である鉱業がなくなったため、放っておいてもゆっくりと環境は回復していきました。現在ではかつてのような「第一級の」鉱業世界ではなくなりましたが、採掘活動は細々と再開されています。地域文化は環境と開発のバランスを取ったものに進化し、うまく環境に配慮するようなビジネスであれば歓迎されています。
 大気汚染はまだ残っていますが、フィルタマスクで簡単に除去できる程度です。地元住民は、帝国偵察局に完全な汚染除去のための惑星改造を請願しています。

ティマット Timat 1406 B98A679-8 NS 海洋・非工・富裕 G Im
 ティマットは、燃えるような色をした希少な有機結晶宝石である「星の涙(Star-tears)」の採取のために入植されました。この宝石は、シモック(Simhok)というきらきらと輝く毛並みを持つ温血飛行生物から採れ、樹脂で覆ってから販売されます。
 シモックは餌の魚類から、過剰に鉱物成分を摂取しています。そして血中のバランスを取るために、結晶の「涙」を分泌します。それは空気中ですぐに固化する過飽和状態の液体です。しかしこれが海中に落ちればたちまち溶けてしまうので、脆い宝石を保護するために柔らかいジェルで覆われた浮島(floating platform)の上空にシモックを誘導することが必要です。
 ガス惑星デアー(Deah)の衛星であるティマットは、3つの国に分かれた小国分裂状態ですが、それぞれの国同士の関係は良好です。星系全体の問題は、三国から代表が送られる議会で話し合われます。その「クリスタル集会(Crystal-gathering)」や、小規模の製造業、水産養殖産業は「深海船国家(the nation of deep-sea ships)」であるフェルホルツ国(Felholz)に集まっています。
 残りの2つの国はそれぞれ海底火山を領有し、そこから噴出するマグマは海底に鉱石や放射性物質をもたらします。海底都市では重工業が営まれ、噴火に伴う周期的な地震に耐えられるよう造られています。宝石やこれらの産業により、ティマットの一人あたりの所得は宙域平均を上回っています。
 海軍基地や偵察局基地がデアーの衛星で守りを固め、自前で宇宙船を借り上げた地元住民が燃料補給所でもあるデアー周辺の哨戒活動を行うことで、この世界の富は守られています。

グウシムカ Guusimka 1407 E539A77-C 高技・高人 G Im
 グウシムカ星系の赤色主星であるシムカ(Simka)は、-6625年に奇妙な変動と高い電磁波の放出を始めました。このことがヴィラニ人研究者の興味を引き、星系内に観測用の小さな入植地を築くことを促しました。
 世紀を越えた研究の結果、ヴィラニ人はこの星の変わった活動のデータをまとめました。シムカは約150年間高い電磁波を放出しては約2400年間通常状態に戻る、という周期変化を起こすのです。そして-4045年、ー1466年にはまた同じ活動を始めました。次回は1115年からと予測されています。
 この正確な周期変化により、この星は現在の天体物理学の教材に必ずと言っていいほど採り上げられるようになりました。実際、古代ヴィラニ語でグウシムカとは「赤い時計」という意味です。
 第三帝国時代の初期に、この世界の再調査によって莫大なコバルトの鉱脈が発見されました。科学者を含む地元住民とLSP社の合意により採掘が始まりましたが、合意の最も重要な面は、世界の乱開発を防ぐために宇宙港をこれ以上拡張しないことでした(鉱石を運ぶための「着陸地点はいくらでもある」のですから)。後にコバルトに加えて弗化物や塩化物の堆積物が発見され、事業の発展によってグウシムカに数百万人がやってきましたが、合意は何世紀もの間履行され続けました。
 10年ほど前、とある新しい企業はその合意を破ってCクラス宇宙港を建設しようとしました。しかし工事が始まるたびに、伝統主義者は建築現場を襲撃して破壊しています。

マラン Maran 1408 B552978-F N 高技・高人・貧困 G Im
 ヴィラニ人が-5420年にジャンプ-2ドライブを発明した直後、この星系の大まかな探査により、最も内側の軌道にあるガスジャイアントを周回する、居住に適した惑星が発見されましたが、統合戦争(Consolidation Wars, -5400年頃~-4045年)が始まるまでは、マランは無視されたままでした。
 -5035年に、イグシイルディ(Igsiirdi, ヴィラニ3部局を束ねる組織)の調査員が星系の完全な再調査を行い、小惑星帯に金属の鉱脈が発見されました。
 マランの豊かな生態環境は、先住の知的種族と共存する形でヴィラニ人も適応できることがわかりました。この星で最大の動物は家畜化することができ、その天然繊維は最初の輸出品となりました。
 町はマランの主要な川と氷冠に沿って建設されました。マランはそれ以来ずっと、高いテクノロジーレベルとゆっくりと増加する人口を維持してきました。現在の30億人の住民のうち、6割は人類で、残りはヴァルグルや群小種族です。
 ソロマニ人との接触の後(主星の「エドモンド星(Edmund's Star)」はこの頃からの名前です)、流入した軍国主義カルトが世界を分断してしまいました。現在では、世界はそれぞれ10国ほどの衛星国を持つ5大国に分けられていますが、軌道宇宙港都市メリヴァ(Meliva)は公式に中立を宣言しています(※このメリヴァだけで1億人が住んでいます)。
 近年、いくつかの国ではスパイや破壊活動家が毎週のように逮捕されています。帝国当局は「外国」からの干渉を疑っていますが、人種が混在した社会ではあらゆる「異星人」を疑うのは不可能です。しかしマラン星系の海軍基地は、念のため非人類を立入禁止としています。
(※この星の知的種族がどのようなものかは不明です)

オディナガ Odinaga 1505 A2016A9-B 真空・非工・非農・氷結 G Im
 オディナガは、可住域の外を周回するガスジャイアントであるファトゥー(Fatooh)の衛星です。大地は氷と岩の混合体で、オディナガの全ての住民は地面の氷を掘って作られた8つの都市に住んでいます。
 それぞれの都市は大きな鉱脈の上に建てられています。これらの鉱脈は、星の形成の初期にオディナガに衝突したより小さな衛星の残骸です。惑星はこの影響によって変形し、まだ完全なる球形には戻っていません。時々起こる「氷震(ice-quakes)」は、惑星が元に戻ろうとしている作用によるものです。また主星コジ(Koji)を回る惑星からの潮汐力によってもそれは増やされます。
 オディナガの全ての氷が水というわけではありません。凍っている揮発性の混合物は都市の産業のために、必要に応じて採掘されます。
 40年ほど前、その必要な資源をめぐって都市の間に不和が広がり、世界は分裂状態になりました。その時、カーリン卿(Lord Carin)が公正さと指導力で人々を結びつけ、論争を解決しました(※この史実は連続ドラマとして、マキドカルンのエンターテイメント部門によって映像化されました)。しかし彼には家族がいません。誰も彼ほどは有能ではないため、後継者の地位には誰も指名されていません。
 オディナガの豊かな文化は、他の世界でもホロクリスタルや本といった様々な記録媒体で知ることができます。最近の文学と演劇は特に賞賛されていて、オディナガの2人の詩人は、芸術への貢献によってナイト爵を授けられたほどです。また、ダンスや音楽パフォーマンスも、広く売られています。
 海軍による防衛力の不足にも関わらず、むしろそれが功を奏したのか、オディナガはこれまで近隣のヴァルグルとほとんどトラブルを経験しませんでした。

アウドゥムラ Audhumla 1509 A98A300-D 海洋・高技・低人・非工 G Im
 第一帝国の間、ヴィラニ人はこの世界に価値を認めず、全く開発しませんでした。しかし「人類の支配」期にこの地に赴任したソロマニ人知事は、違った物の見方をしました。スカンジナビア人の子孫である知事は、先祖の大地を思い出させる氷に覆われた島々を見て、世界に「アウドゥムラ」(※北欧神話の創世伝説に出てくる雌牛の名前)と名付け、スカンジナビア文化を受け入れることを条件に移民を歓迎しました。
 第二帝国の終焉で、政権は様々な部族集団に分裂しました。長い年月を経て古い文化に戻った彼らでしたが、技術的には退行しませんでした。
 略奪の目標を探している海賊団は、攻略が容易でないアウドゥムラを避けます。武器の訓練は男女両方で早い年齢から始まり、部族間の相互防衛協定は、外世界からの侵略に対して共同で即時に報復することを約束しているからです。

ギャンギリーボ Gamgilebo 1604 B000756-A 小惑・非農 G Cs
 ヴィラニ・メイン上にあるギャンギリーボの小惑星帯は、数千年前にヴィラニ人鉱夫によって最初に入植されました。-7500年頃のこの星は鉱物生産星系として有名でしたが、現在でも鉱夫たちが星系内の広大な小惑星帯で豊かな資源を採掘しています。
 しかし二千年近くに及ぶ暗黒時代の間に、鉱夫たちの社会はほとんど廃れてしまいました。幸いにも第三帝国の時代になると生産活動は再開し、それ以来ずっと好調です。採掘された鉱石は、シャルーシッドが地元の鉱業組合から買い上げています。
 ここ数世紀、星系の内側の小惑星帯でも限定的に採掘が始まりました。この地帯は金属の密度が低く、大部分は役に立たない石ばかりでした。しかし長期間の探査によって、いくつかの豊かな鉱脈が発見されました。
 ギャンギリーボ星系で最も興味深いのは、非常に大きなガスジャイアントのゲーテス(Getes)です。この300年ほど偵察局がこの奇妙な惑星を観測してきた結果、内部で核融合の兆候が見つかりました。偵察局の天体物理学者はゲーテスが新星になる寸前であると考えていて、より詳しい観測を続けています。いつの日か、三連星星系であるギャンギリーボにはさらに恒星が1つ増えることでしょう。

ダンナー Dannar 1606 C2006A8-C 高技・真空・非工・非農 Im
 ダンナーはヴォーダン星域の中でも鉱業の盛んなもう一方の世界です。周囲の星系から最低2パーセク離れている孤立した星であり、さらに燃料補給用のガスジャイアントも水界もなかったため、ヴィラニ・メイン沿いにあるにも関わらず、この星へ開発が及んだのは第三帝国の時代になってからでした。
 スターンメタル・ホライズン社がこの星に投資を行いましたが、黒字化するまでにはかなり時間がかかりました。乏しい氷と揮発性物質はまず地元住民によって使用され、さらにそれらの多くは輸入に頼っています。燃料費は高騰していて、非精製燃料が1トンあたり1000クレジットもします。
 宇宙鉱夫たちの間の噂では、星系内に太古種族以前の時代の神秘的な遺物があるということです。

リイネル Riinel 1608 E746651-8 農業・肥沃・非工 G Im
 リイネルの大気は薄い上に酸素比率が低く、内燃機関はきちんと機能しません(低酸素環境に対応したものは高価です)。そして薄い大気と37度の地軸の傾きは、季節の極端な違いを生み出します。
 重要な鉱物資源に欠けていたため、この星系は何千年もの間植民地化の候補から外されていました。やっと896年にミゲル・リイネルという名の裕福な冒険家が帝国植民省から購入し、彼は残りの生命をこの星の開拓に捧げました。農業が可能となり、十分な量の輸出ができるようになるまでには随分と時間がかかりましたが、彼はある程度の成功を収めました。
 リイネルは宇宙港の建設が集落の本質を失わせると考えたので、限られた商業用の着陸床を除いて彼は増設を禁じました。また、ここでの生活は「冒険」を旨としたので、軟弱な人々は必要とされませんでした。生活の質は非常に質素でした。
 彼の死後、その哲学は次の世代までは受け継がれましたが、植民第三世代は違った物の考え方をしていました。彼らは科学技術を否定することなくリイネルの生活様式の本質を守る方法がある、と感じていました。そしていくつかの集落は、惑星環境を損なわずに文明を進歩させる研究を担うことになりました。帝国偵察局はこの変化によりリイネルを封建的技術主義社会と分類し直しましたが、これが的確かどうかは議論の余地があります。
 若干の技術進歩はありますが、宇宙港の開発禁止の掟は今も残っています。ただし旅行客は、地元住民が決して外世界嫌いでもなければ後進的でもないことに注意すべきでしょう。


(※文中に登場する「ヌガス連合」については、詳しいことはわかりませんが、どうやら海賊団が巨大化して恒星間国家となったようです)


【参考文献】
・The Flaming Eye (Digest Group Publications)
・Vilani & Vargr (Digest Group Publications)
・Rebellion Sourcebook (Game Designers' Workshop)
・Traveller in the DED Zone
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