宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(2) トリンズ・ヴェール星域

2012-03-14 | Traveller
 レフリーが管理しやすい魅力的な星域を紹介していくシリーズ第2回。今回のお題はスピンワード・マーチ宙域のトリンズ・ヴェール星域です。
 スピンワード・マーチ宙域の一番リムワード/トレイリング側にあり、リジャイナから遠いこともあって今一つ活用がなされていなかった地域です。シナリオで取り上げられたのも、傭兵チケット・アンバーゾーンシナリオの『Thunder on Zyra』ぐらいで、資料らしい資料も『Behind the Claw』ぐらいです(近年Mongooseから『The Spinward Marches』が出てはいますが)。日本語で読めたものに至っては、小説『ピラムスの怪物』(山本弘・著、ホビージャパン社「RPGマガジン」掲載)ぐらいではないでしょうか。

 しかし、何と言ってもおいしいのは星の繋がり方。コアワード方面の「カタルル星団」と、リムワード方面の「ドッズ星団」に大きく分割されていて(加えてモーラ星域との境にある「パリク星団」も)、それぞれが絶妙なサイズでまとまっています。ジャンプ-1しかできない宇宙船はその星団を出ることはできませんから、プレイヤーに予想外の方向に向かわれてしまうという事故を避けることができます。さらに、最長でもアラミス星系に隣接するラボラ星系で行き止まりとなりますので、「星域図の外には出ないでね☆」とプレイヤーに空気を読んでもらうべく視線を送る必要もありません(笑)。
 また、片方の星団での旅に飽きたら、スクァナインかコンウェイで増設燃料タンクを渡すイベントを起こして隣の星団に渡ってもらう、という『トラベラー・アドベンチャー』的な展開も可能です(この場合、グリッスン星域方面に行ってしまわないような強固な動機付けが必要ですね)。

 では、星域の概要を紹介していきましょう。


 トリンズ・ヴェール星域の、その独特な名の由来は、トリン星系で夜空を見上げた時に、軌道上のリング(かつて衛星だった物の砕けたかけら)が夕方と夜明けに恒星に照らされて光り輝く幻想的な光景から名付けられています。また、モーラ星域が「マーチの玄関口」と呼ばれるのに対し、こちらは「マーチの裏口」と呼ばれたりもしています。裏口であっても、ガルフ星域(デネブ宙域)からグリッスン星域方面への重要な物流拠点であることは言うまでもありません。
 スピンワード・メインはトリンズ・ヴェール星域を通過していませんが、ジャンプ-2宇宙船でなら、パリク、カタルル、ドッズの各星団を渡り歩き、トリンにも入港できます。また、各星団内でジャンプ-1宇宙船による貿易も活発に行われています。
 星域艦隊である帝国第207艦隊は、司令本部のあるカタルル、およびトリン、マーチソンの各基地に駐留していて、星域内の治安維持活動にあたっています。さらに、トリン基地には予備艦隊が駐留していますが、これは戦争への備えであって警備活動には使われていません。
 なお、カタルル星系には偵察局の中継基地も置かれていて、Xボート乗組員の訓練などもここで行われています。両基地の存在により、氷と岩ばかりの惑星カタルルはかなりの人口を抱えることとなりました。
 ちなみに、星域図の2632の地点には未知の星系があるという噂があります(※『The Spinward Marches Campaign』という本で、存在しないはずの星系データが記されていた誤植のことです)。


バートソン Burtson 2534 C462667-8 非工・富裕 G Im スクァナインが統治
 バートソンはスクァナイン侯爵領有の植民地として始まりました。人口は長年に渡ってスクァナイン(2536)やマーチの他の世界からの移住によって増え続け、やがて母星を上回りました。
 乾燥地帯と神話上の獣の牙に似た険しい山脈を有するにも関わらず、バートソンはその人口を支えた上で輸出するに十分すぎる食料生産ができる肥沃な谷を誇っています。しかし工業力は先進的ではないため、工業需要は母星に依存しています。
 住民は皆、スクァナインの領主に非常に忠実です。仮に住民を「解放」しようとする外世界からの働きかけがあったとしても、住民はそのような浅はかな計画にはきっと反抗することでしょう。

スクァナイン Squanine 2536 A300550-B 真空・非工 G Im
 スクァナインは極寒の地獄のような場所です。マーチの開拓初期では、グリッスン星域方面への出発点として使われていました。
 人口は750年頃には100万人に達しましたが、以後バートソン星系(2534)への移住と出生率の減少もあって減り続けています。
 スクァナインは下層階級をバートソンに「輸出」し、そこで彼らは開放的な空の下で幸せで生産的な人生を送り、ついでにスクァナインの贅沢な生活を支えています。母星に残っているのは、政治家、科学者、商人、富裕層、軍人に加えて、バートソンから雇われた使用人です。

ディスビー Thisbe 2539 E4305AD-5 砂漠・低技・非工・貧困 G Im
 アンバーゾーンにこそ指定はされていませんが、この星への旅行は注意が必要です。現在この星系では、外惑星軌道から氷の小惑星を運んできて、この惑星の薄い大気と水の量を上昇させる長期計画が実行されています。小惑星は細かく分割されてから減速軌道に乗せられ、ほとんどは大気圏内で蒸発しますが、いくつかは地上まで到達して危険をもたらすのです。
 厳しく管理された生活を営む住民の間には、落石の危険性について誤った情報が広められています。一方で厳しい法律にも関わらず、現在詩や芸術の分野ではルネサンス期にあります。おそらく彼らは失われた自由を、韻文や彫刻に見出しているのです。

アラミス Aramis 2540 B659772-6 G Im
 「星域首都ではない方の」アラミスは酸素がかなり薄いため、ほとんどの宇宙船はあらかじめジャンプの間に船内の気圧を下げて、旅行者が大気に順応してから到着するようにしています。この星には、広い海に浮かぶ中規模の大陸1つと数々の島に合計9千万人が居住しています。そのうち50万人が住む、宇宙港のある「島」はピーボディ精機(Peabody Instrument)に貸し出されており、宇宙港を出た旅行者はここがハイテク世界かのように思うでしょう。
 一方で島々には沿岸人(coasters)と呼ばれる人々が、「クレイヴ(飛び地を意味するenclaveが訛った単語)」と呼ばれる独立国のような共同体の中でTL5~6の生活を営んでいます。さらに内陸部には未開人(outbackers)が住んでおり、基本的に彼らは沿岸人を嫌っています。両者の衝突やクレイヴ同士の抗争、さらには「他所のクレイヴに嫌がらせをするために未開人を扇動する」ことはよくありますが、闘争に関与していない外世界人は賓客としてもてなされる伝統があるため、旅行者にとって危険な世界とまでは言えません(外世界人を殺害して敵の仕業に見せかける、ような陰謀が起きないこともないでしょうが、たいていは丁重に扱われます)。

ロビン Robin 2637 C00059C-C 高技・小惑・非工 G Im
 ロビンはXボート基地と商業港の星系です。鉱物に非常に乏しい小惑星帯では採掘が細々と行われ、宇宙港近辺の空域では地元で利用するための氷が採取されています。
 いくつかの大きな小惑星は、最近帝国海軍によって対海賊基地や情報収集所に転換するための調査を受けたという話です。この計画が本当に進められるのか、それとも単に海賊行為への抑止力として偽情報が流されているのか、憶測が広がっています。どちらにせよ、ロビン政府はうまく岩を護衛艦にしたと言えるでしょう。

ケルシャー Keltcher 2639 C525567-9 非工 G 軍政 Im
 ケルシャーは将来の発展が見込まれている星系です。現在は帝国陸軍の訓練所として使われていて、陸軍の教導隊がここに常駐しています。
 教導隊はゾダーン、ソードワールズ、アスランの一般的な軍用装備に類似した装備を蓄えており、部隊が遭遇するかもしれない仮想敵だけではなく、反乱軍やゲリラをも装って、定期的にここに送られてくる兵士を鍛えます。訓練は過酷かつ現実同様なので、毎年数人の死者が出るほどです。
 貿易商人はしばしば港に出向き、故郷から遠く離れた兵士たちが欲しがる物を売っています。

トゥッシニアン Tussinian 2731 B678324-7 低人・肥沃・非工 Im
 未知の毒性物質を含む大気に覆われているこの星系では、大気を研究する科学者集団と、日常の喧騒から離れて静かに過ごす孤立主義的な宗教団体と、芸術家達の入植地が分かれて生活しています。
 地元住民は地上港を維持していませんが、Bタイプの軌道宇宙港はリアド通商(Riado Commercial)によって所有されています。パリク星団を商圏とするリアド通商は、ここを拠点に3隻の小さな商船を運用しています。

ドッズ Dodds 2739 C4439DF-7 S 工業・高人・貧困 G Im
 ドッズの大気中に漂う致死的な病原菌は、帝国の科学者を数世代に渡って悩ませています。世界の住民は、3つの巨大なアーコロジー(※密閉された完全環境都市)のいずれかに住んでいて、そして、都市ごとにある宗教的な議会は、唯一の最高指導者からの助言を受けながら住民を導いています。
 民衆は礼儀正しくて信心深いですが、一部の狂信者は不心得者に正義の裁きを加えるべく完全武装しています。旅行者が注意すべき極端な法律は数多くありますが、そういった人のための例外も一部では設けられています。
 1102年に起きた宗教論争は、現在「三つ巴戦争」に発展し、都市では多数の死者が出ています。
(※ここの宗教は「イスラム教の一派」とも書かれているので、ソロマニ文化がそのまま残っているのかもしれません。なお、戦争は1110年まで続きました)

ペペルニウム Pepernium 2833 D567530-3 低技・農業・肥沃・非工 G Im
 ペペルニウムの住民は短気な連中で、誇り高く、自立心に富んでいます。様々な猛獣や害獣と戦うために、彼らは豊富な種類の狩猟用火器を所持しています。しかし、組織化された軍隊はありません。

トラルサ Traltha 2834 B790630-6 砂漠・非工 Im 太古種族遺跡
 この星の住民は、自分たちは「トラルター(Traltar)」という人類の分派種であり、太古種族の最終戦争の生き残りだと自称しています。真相としては、彼らは失敗した入植者の子孫であると思われます。入植地の井戸が枯れた結果、彼らの先祖は水源を求めてさまよう砂漠の放浪者とならざるをえなかったのです。
 かつては砂漠で放浪生活を送っていたトラルターは、帝国暦373年に帝国と再接触してからは、外からの技術を受け入れて水源の周りで定住生活をするようになりました。ヴォルスティン(Vorstin)という(知的種族ではない)トカゲが水を求めて集落を襲うことが問題になっていましたが、今までは住民の誇りが外部からの支援を拒んでいました。しかし住民の技術力が銃を自分たちで製造できるほどになったため、状況は住民に有利になっています。
(※GURPS版設定では「自称群小人類」とされているトラルターですが、非公式設定文書『BARD PAPER: OPAL9533』では「最終戦争の際に太古種族の遺跡で生き延びた」と記されているので(実際この星には遺跡が存在します)、一般的には自称と思われているが実は…というシナリオのネタにするにはいいかもしれません。ただしT5SSには記載がありません)

ファークァハー Farquahar 2839 C625563-7 S 非工 G Im ドッズの植民地
 元々はドッズ(2739)から追放された難民キャンプから始まったこの星系は、植民地として着実に成長を続けていて、いつかドッズの一員に戻ることを願うようになるかもしれません。住民は信心深いですが、母星ほどはのめり込んではいません。
 宇宙船の乗組員は地元住民に気前良くもてなされます。その良い関係は、偵察局基地の職員が築いたものです。しかし酒は、宇宙港の外ではいくぶん入手が難しいです。

レイドラッド Raydrad 2933 E99367A-6 非工 G Im
 水が豊富ではないにもかかわらず、レイドラッドの土は非常に肥沃です。
 ライサーネイ(Ricernay)という蒸留酒(と材料となる穀物)の産地として知られています。ライサーネイは愛好家の間では「力強くてまろやかな黄金の酒」として高く取引されています。

ジラ Zyra 2934 B555448-7 肥沃・非工 G Im
 ガスジャイアントの衛星であるジラは、比較的古くもあり新しくもある入植地です。その歴史は、マーチ宙域への拡張のための前哨基地が建設された200年代にまでさかのぼります。しかし入植地は不運にも、622年の疫病の流行と、740年の小惑星衝突によって2度破壊されました。現在の入植地は、廃墟から遠く離れた最大大陸の東海岸にあり、2つの都市に約6万人が住んでいます。入植後に小さな鉱脈が見つかったものの、地元民だけでは採掘の機材もノウハウも足りなかったため、恒星間企業のTM&R(Telneskian Mines and Refining)社が過大な分け前を代価に支援に乗り出しました。しかし最近になって、小さな大陸の方に金属の大鉱脈が見つかったのです。TM&R社がこちらにも乗り出すことは確実と見られていて、地元組織「ジラ人連合(Zyran Confederacy)」は資源の民有化を求めて傭兵を集めています。

マーチソン Murchison 2935 B544433-6 N 肥沃・非工 G Im
 マーチソンの海軍基地は小さく、哨戒艦や小型艦艇のみが停泊しています。
 世界そのものは素晴らしい風景ですが、生命体は少ないです。
 長らく忘れられていましたが、超能力弾圧の際の知事の高圧的な手法によって、マーチソン社会は暴力で引き裂かれました。これがマーチソンの知識人層の流出につながった主な原因と考えられています。
 超能力弾圧の最中の818年、マーチソン高次精神科大学(Murchison School of Mental Excellence)が暴徒の襲撃を受けて教職員や学生が虐殺されたことをきっかけに、後に「超能力暴動(Psionic Rebellion)」と呼ばれる騒乱が星域各地に飛び火していきました。
ハマーミウム Hammermium 2936 A5525AB-B 非工・貧困 G Im
 トリン(3235)からの通商・通信ルート上にある重要な星系です。この星は代々カンテ伯爵(Count Kantte)家が治めており、伯爵は同時にハマーミウム社(Hammermium Corp.)の社長でもあります。
 会社は星系外では有名ではありませんが、宇宙港を所有しているので、トリンからマーチ各地への物流から確実に利益を上げています。同社は独自の商船団を運営する一方、マーチで運行しているいくつかの商船に助成金を出しています。

ソーンナスター Thornnastor 2940 D534443-8 S 非工 G Im
 ソーンナスターの水は、海と呼ばれている深さのあるいくつかの地域を別として、大部分は地表に水の層を作り、陸地の多くを湿っぽい沼地にしています。沼は低濃度の塩分を含んでいて、植物を支えています。
 朝から午後まで、沼からは沸点を越えた蒸気が立ち上り、火傷するほどの熱い土砂降りが「涼しく」させます。このような環境は、通常は人間の居住には適していません。
 しかしジャングルの厚い層が沼地の上に形成されています。この層では極度に最悪の温度から保護されて、呼吸できる空気があります。この緑のサウナの中でなら、生存は可能です。無数の生き物はこの環境の中を這い、泳ぎます。空を飛ぶものは少数です。
 人間の住民は樹木の中で人工の保護ドームに住んでいます。そして自然の恩恵から豊富な種類の役に立つ製品を作っています。
 そんなソーンナスターを訪れる人はほとんどいません。一方でチャーパーの小さな集団が、南半球のいくつかの地域に住んでいます。彼らは人類とわずかに接触をしています。

プリリッサ Prilissa 3035 B985588-6 農業・肥沃・非工 Im
 ここはキアン(Kian)という騎乗用の(外見がダチョウのような)大型二足歩行哺乳類動物の母星です。キアンは地球の馬のように使えるため帝国中に広く輸出され、また帝国近衛騎兵隊での儀礼の際に騎乗されています。

ティー・ティー・ティー Tee-Tee-Tee 3038 C110530-9 非工 G Im
 特徴的な世界の名前の由来は、遠い昔に失われてしまいました。ティー・ティー・ティーは、氷の破片と塵からなる美しいリングを誇っています。

ユーガル Youghal 3039 AA95365-B 低人・肥沃・非工 G Im トリンが統治
 惑星の地形が、極が平地で赤道が大幅に隆起しているという歪な形をしているため、住民は酸素の薄い赤道を避けて南極側の大地に集まって生活しています(北極側の入植地は928年に放棄されました)。
 ユーガルの生命は変化に富んでいます。赤道の薄い酸素では生き残れない種は極地に集まり、逆もまた同じです。また、特定の山や谷には独特の生態系があります。帝国の学者は、まだこの世界の生命体の研究に取り組んでいません。

テナルフィ Tenelphi 3040 D76A579-9 S 海洋・非工 G Im
 テナルフィの多くの集落は、世界の群島上に点在するか、海底に建設されています。深海農場では水産食品や農産物が生産され、いくつかの実験的な深海用採掘機械が鉱物を海底から掘り出しています。

ゼファー Zephyr 3138 X89556A-3 低技・農業・肥沃・非工 R G Im 軍政
 農民革命党(Farm Workers' Revolutionary Party)による反乱は、約10年前の帝国当局の介入に繋がりました。しかし、レッドゾーン指定は解除されませんでした。不安定な政情は続いていますが、一つの問題が解決してもそれが新たな多くの問題を引き起こすことがわかっているため、帝国としては現状を維持しておきたいのです。

シャモワ Chamois 3139 B544642-5 S 低技・農業・肥沃・非工 G Im
 ずいぶん昔に入植されたものの、シャモワは全く発展しませんでした。
 印象的な巨大な死火山であるウェフライ台地(Wefrai Mesa)には群がるように家々が立ち並び、その街に住民は住んでいます。そして惑星の残りの部分にはチャーパーが居住しています。
 シャモワの生産物の多くは農業から得られ、主に温室栽培された野菜です。

ラミヴァ Ramiva 3233 B1107A7-8 非農 G Im
 この星にはこれといった産業はありませんが、ここには傭兵という偉大な資源があります。
 独裁者である将軍(dictator-general)によって訓練された人々は、傭兵部隊員として高品質の武装が施されます。そして、宙域中で最も高い値をつけた入札者の下で、個人警護、企業や宇宙船内の保安要員、宇宙港警備、などの任務に就いています。

トリン Trin 3235 A894A96-F NS 工業・高技・高人・肥沃 G Im 星域首都
 宙域開拓の最初期、モーラ(スピンワード・マーチ宙域 3124)の少し後に入植されたトリンは、宙域の探検の主要な出発点の一つでした。そのため、「マーチの裏口」の異名を持ちます。
 ガスジャイアントであるオースレイ(Orslei)の衛星には、宇宙港の着陸料を節約したい企業が建設した、ベースキャンプと燃料補給ステーションがあります。またガスジャイアントの上空軌道には燃料精製所が周り、宇宙港に精製物を出荷しています。
 小惑星帯を持たないトリン星系内には、入植惑星や軌道施設が色々ありますが、これらの中で最も有名なものは、氷の惑星に帝国暦400年頃からあるLSP社の輸送センターです。センター自体が社有の宇宙港で(LSP社の宇宙船以外は利用できません)、12000人の従業員を抱える主要な製造拠点、かつ産業技術改善の研究施設でもあります。
 内惑星軌道の惑星スカーチャー(Scorcher)は、重金属と放射性元素を採掘するために植民されました。今では地下都市のスカーチャー市に約3100万人が住み、重工業製品はトリン軌道宇宙港を通して輸出されています。
 大量の商品がトリンの優れた軌道宇宙港の中を通り抜けていきます。商取引には多くの仲介人と紛争調停企業が関わり、とても賑わっています。さらに軌道宇宙港には、とても大きな商業学校である帝立トリン商科大学(Imperial Trin Institute of Commerce, ITIC)があります。ITICは貿易商人を育成しますが、また関連分野として仲介業務や企業法のコースも提供します。大学の「宇宙方面」の学生の多くは、帝国海軍基地で予備役としての訓練も行います。
 トリンは海軍と偵察局の基地を持ちます。トリン独自の防衛軍は地上施設から指揮されますが、惑星防衛艦の多くは海軍基地に停泊しています。
 惑星トリン自体は、濃密な、汚れた大気と少なめの水界を持つ中型の世界です。トリンはかつて1つの衛星を持っていましたが、今では星域の代名詞となった美しいリングとなっています。
 地表の多くは寒い半砂漠となっています。赤道周辺の幅広いベルト地帯は広大な農場に充てられ、最先端の農業技術による新鮮な農産物を市民に提供しています。その生産量は約100億人の総人口が自給できるほどですが、一方でトリンは食品のかなりの量を他の肥沃な世界から輸入もしています。
 都市部に人口が集中しているのは、多くの高人口世界と同じです。農業地域に囲まれた透明のドーム都市は特に混み合っておらず、世界に入植された頃から反重力交通網が非常にうまく設計されています。それぞれの建物はとても高く、その間を広大な公園や娯楽施設が満たしています。
 地上車はトリンでは一般的ではなく、主に産業用や農業用です。それは大きな建物の中で機動性を確保するためです。都市内では建物の外側に反重力バスの停留所(着陸エリア)があり、リニアモーターカーが都市間を連絡しています。渋滞という概念は、トリン市民には無縁のものです。
 一般市民は非常に質の高い生活を楽しむだけでなく、教養もあります。労働者は全星系平均よりも遥かに裕福ですが、それとは別に、芸術、文学、音楽、スポーツなどの分野で優秀もしくは見込みのある人には、政府からの金銭的な援助が受けられます。
 もちろん貧しい人はトリンにもいます。しかし、非常に効果的な最低生活保証制度が整備されていて、困難に出くわした人は誰でも再びやり直すことが許される土地柄です。トリンのこれらの社会制度は、意欲的で有能な労働者を作り出していて、それは帝国内でも特に高い技術水準と結びついて、トリンの良質な製品が宙域のその遥か向こうまで輸出される原動力になりました。
 半企業的な官僚構造があるという点で、トリン政府は高人口世界の中でもかなり珍しい存在です。初期のトリンの入植者の影響で、政府は商取引を重視しています。入植初期から現在までトリンの政府である通商評議会(Trade Board)は、トリン女公爵ミライイ(Duchess Miraii Abani Arahailli of Trin)によって率いられています。
 評議会は後先を考えない成長は世界に打撃を与えかねないとし、第一に安定性を重んじています。その一方で評議会は柔軟性も持ち合わせています。絶えず変化する状況への素早い反応は、商業における成功のために必要だからです。
 研究機関の乏しいトリンは、他星系の研究機関に投資を行って賢く新技術を得ていますが、奇妙なことに、いくつかのうまくいきそうにない科学プロジェクトや投機物件や探査計画にも(多くはありませんが)資金を投じています。それだけトリンには余裕があり、ほとんどはうまくいかなくとも、時としてトリンに大きな幸運をもたらしているのです。
 トリンは本当に、既知宙域の中でも住むには最高の場所の一つといえます。

ヘイゼル Hazel 3236 C645747-5 低技・農業・肥沃 A Im
 主に農業世界であるヘイゼルの実際の収入の多くは、この星の闇社会が宙域の至る所で行った恐喝、金品強要、組織犯罪によるものです。一般市民は常に帝国政府の介入を予想していますが、これまで何も起こりませんでした。
 現在進行中の暗黒街同士の抗争によって、世界はアンバーゾーンに指定されています。


(※ところで、冒頭で紹介した『Thunder on Zyra』は、非道なTM&R社が住民を脅すために保有している核兵器(傭兵言葉でThunderball)を、連合に雇われたプレイヤーの傭兵部隊がTM&R社の基地を強襲して奪取するミッションなのですが…ほんと初期のトラベラーのシナリオは、非合法のはずの核兵器を一企業が持ちすぎです(苦笑))


【参考文献】
・Supplement 3: The Spinward Marches (Game Designers' Workshop)
・The Spinward Marches Campaign (Game Designers' Workshop)
・Journal of the Travellers' Aid Society #11 (Game Designers' Workshop)
・GURPS Traveller: Behind the Claw (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Nobles (Steve Jackson Games)
・Traveller: The Spinward Marches (Mongoose Publishing)
・Traveller Wiki
ジャンル:
その他
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