宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

宙域散歩(14) シュドゥシャム

2012-09-27 | Traveller
 今回から数回に渡って、いよいよ帝国の中核(コア)であるコア宙域について解説していきます。しかしここは星域単位で設定がそれほど多く起こされているわけではないですし、どちらかというと「冒険の舞台」という雰囲気の宙域でもないので、今までとは趣を変えて、有名な観光名所をたどって行く感じでいきたいと思います。

 まず今回はコア星域のシュドゥシャムです。その名前はトラベラーファンならすぐピンと来る、あの「シュドゥシャム協定」で有名ですね。

シュドゥシャム協定 Shudusham Concords
 -112年、親善使節としてフォーノル星系(コア宙域 1715)の軌道を訪れていたシレアの戦艦「エンパイアズ・バナー(Empire's Banner)」に、テログループが伝令ロボットによる自爆攻撃を仕掛け、乗組員と共にフォーノルの首相とシレアの高官数名が犠牲になりました。事件の余波で危うくシレア連邦が内戦に突入しかけるほど、その影響はとても大きいものでした。
 この事件を受けて、-110年に中立星系のシュドゥシャムにシレア連邦全12星系の首脳が集まり、ロボットの武器使用に関する合意書である「シュドゥシャム協定」に署名しました。この複製は、現在キャピタルのシレア歴史博物館に展示されています。
 シュドゥシャム協定はまず全7条で発効し、ロボットの行動に対する所有者の責任や、安全に対する基準、兵器としてのロボットの運用規定などについて記されています。後に技術の進歩などによって、計43の条項が追加されました。中でも追加第37条は有名で、擬生物型ロボットが正体を隠して生物として振る舞うことを禁ずる条項です。
 シュドゥシャム協定は帝国暦0年に効力を失い、現在では法的拘束力はありませんが、それでも現在、多くのハイテク世界においてロボット製造の基本的ルールとして尊重されていますし、ロボットの悪用を取り締まる法律は、建国以前のシュドゥシャム協定をモデルとしている世界が今でも多いのです。

 しかしシュドゥシャム自体がどのような星なのかは、グランドツアーの第8話で訪れるまでは明らかになっていませんでした。日本ではグランドツアーは第7話(連載上は6話)で打ち切られてしまったので、長年もやもやしていた方もいるのではないでしょうか。
 しかし実際にまとめてみると、『ロボットの殿堂』の割には意外と田舎です(笑)。


シュドゥシャム Shudusham 2214 E849855-A G Im
 シュドゥシャムの表面の94%は海で、ほんの小さな陸地だけが海面から上に覗いています。8億人の住民は約3千基の海中複合施設に住んでいて、それぞれが独立して空気、水、エネルギーなどを確保し、多くの複合施設同士では食料や製品を取引しています。
 その原材料は海底から大量に集めることができます。鉱石の他にも海は、食料や医薬品や繊維に加工できる、様々な種類の植物や動物を供給してくれるのです。
 第一帝国期には、シュドゥシャムには約2億人のヴィラニ人入植者がいました。初期の入植者は海面上に住んでいましたが、鉱夫たちは海中の資源により近いことと、海上に住むよりは住みやすかったことから、やがて海中に複合施設を建設しました。テックレベルは10まで上昇し、恒星間取引は日常のことでした。
 やがて暗黒時代になると、シュドゥシャムは他の世界との接触を失い、いくつかの複合施設は他の施設との接触をも失いました。それから1000年が過ぎてシレア連邦(Sylean Federation)が設立された頃には、海中都市同士で意思の疎通が出来ないほどに言語が変わってしまっていました(※帝国暦0年当時の記録では、TLは6に、人口は数十万人にまで減少していたようです)が、シュドゥシャムの豊富な鉱物は、シレア軍や連邦の産業を大きく支えました。
 -110年に帝国史に残る「シュドゥシャム協定」の調印の舞台となったこの星は、それから500年以上経った404年には、帝国中のロボット技術者たちが最新技術を公表し共有するシュドゥシャム・ロボット会議(Shudusham Robotics Conference)の開催地となりました。シュドゥシャムはその歴史的な経緯と、帝国の中心であることから、会議の場所に選ばれたのです。会議は成功に終わり、それから10年に1度会議が行われるようになりました。最近の会議は1103年に行われ、次回は1113年から予定されています(※その年の第1日から会議が始まるわけではないようで、グランドツアーでクレンシュタイン博士が会議に参加したのは1104年に入ってからです)。
 ロボット会議には、技術者、企業、ヘビーユーザー、ジャーナリストなど、ロボットに携わる様々な人々が、1年間の会議に出席するために帝国内外に関係なく宇宙各地からやって来ます。皮肉にもこの世界の技術レベルはロボットを支えられるほど高くはありませんが(※TL10では初歩的なロボットしか作れません)、この矛盾は会議の科学的な価値には影響していませんし、会議は毎回盛況となっています。
 会議の年の間は、シュドゥシャムの取るに足らない宇宙港の管制機能は、訪問客の多くの船をさばくために一時的にアップグレードされます。逆に会議のない9年間は、恒星間取引を行うのに十分な宇宙港機能すら提供されません。しかし近隣のガスジャイアントでは、いつでも精製燃料が得られます(アーコロジーとの衝突事故を防ぐため、海上での燃料補給は重罪とされています)。
 シュドゥシャム政府は「自給自足はテクノクラシーの下のみで可能となる」と主張する封建的技術官僚政です。この主張を体現するために、地元政府は恒星間取引に250%の関税をかけています。また政府は、過去に観光を促進するためにいくつかの施策を行いましたが、これはあまりうまくいきませんでした。

 エネリ・カルリガシュ(Eneri Karrigashu)はナアシルカにデザイナーとして勤め、オリジナルのラシュシュ型ロボットの設計を担当しました。彼の名を記念して付けられたカルリガシュ海中居住区(Karrigashu Undersea Habitat)が、10年に1度のロボット会議の会場となっています。
 複合施設はおよそ30万人の居住を支えることができ、会議のある1年間は延べ40万人がここを訪れ、その内25万人は会期中常にここにいます。
 カルリガシュがロボット会議のために利用されるため、ここには多くのロボットに関連する施設が造られました。中でもロボット博物館は出席者に人気で、ロボット工学の図書館と研究所の機能を併せ持っています。
 なお建物内の一部区画は、ハイヴ、ヴァルグル、アスラン、ククリーなどの非人類の訪問客のために特別に確保されています。
 ラシュシュの第1号ロボットは、「人類の支配」の間の-2008年に制作されました。ラシュシュはTL12の産物の割に賢く、いわゆるダムボットとは一線を画していました。ラシュシュ召使ロボットは、その低価格(現在の貨幣価値で約30万クレジット)とナアシルカによる積極的な拡販により、急速に家庭に普及していきました。なお、このラシュシュの動くレプリカが、シュドゥシャムの「ロボットの殿堂」に展示されています。



【ライブラリ・データ:コア星域】 Core Subsector
 コア星域は元はシレア星域と呼ばれていて、かつてのシレア連邦の中心地でした。皇帝クレオン1世がシレア連邦を新たな《第三帝国》とする宣言を行うと、シレア星系の名は「キャピタル」と改められ、同時に星域名もコアとなりました。それ以来、ここは帝国の中心地であり続けています。


 コア星域には41の世界があり、総人口は729億2700万人です。最も人口が多いのはキャピタルの326億人で、最もテクノロジーレベルが高いのはキャピタルと他4星系の15です。全星系が帝国の傘下にあり、星域艦隊として第1艦隊が、また首都防衛艦隊として別に第309、310、311、312艦隊が配置されています。


レクターセン Lectorsen 1813 D354655-5 低技・農業・非工 A Im 帝国保護世界
 レクターセンの二酸化炭素の「蓋」は、この星を珍種や外来種のための温室としました。植物学者としても知られる皇帝マーティン2世が、199年にレクターセンを帝国自然公園世界(Imperial Garden World)に指定したため、この惑星はほとんどテクノロジーが持ち込まれませんでした。

オノン Onon 2017 E576000-9 低人・肥沃・非工 G Im
 帝国の地質学者と天体物理学者は、現在激しい隆起期にあるこの惑星を詳細に調査しています。ここは大胆な学者たちに非常に好まれている研究材料です。
 第一帝国の頃は(地質学的には)比較的静かな時期だったため、ヴィラニ人たちは用心もせずに入植してきました。その300年後に惑星の地殻は大きく動き、世界中で火山活動が引き起こされました。植民地は一掃され、残ったのはTL9の遺跡だけでした。

コーゼン Codsen 2317 E571568-2 低技・非工 Im 軍政
 かつてはギクウ(Gikuu)と呼ばれていたコーゼン星系は、現在では帝国軍が所有・管理をしており(定住者も皆、軍の関係者です)、荒野の環境でテクノロジーに頼らずに生き延びる方法を教えるための理想的な世界として、帝国海兵隊がここで訓練を実施しています。

ウムガディン Umgadin 2320 B6B5946-B 高人・非水 G Im
 ここにある夏の宮殿(Summer Palace)には、帝国保護世界のマラスタン(スピンワード・マーチ宙域 2331)で栽培されている美しい自然植物を直接見に行くことができない皇室一族のために、マラスタンの風景を再現した体験型ホログラフ(action holographs)が装飾も兼ねて設置されています。

(※今回のコア宙域のUWPデータはDGP版に準拠させましたが、シュドゥシャムに関してはDGP版の人口コードAでは『Atlas of Imperium』の記述(高人口世界ではない)と矛盾します。第二期探査のあった1065年当時に高人口世界でなかった世界が、1105年に急に高人口世界になっている(それも人口120億人に)というのも考えにくい話ですので、今回は他の資料に書かれている人口コード8を採用し、海中施設の数をそれに比例して減らして帳尻を合わせました)


【参考文献】
・Travellers' Digest #8 (Digest Group Publications)
・101 Robots (Digest Group Publications)
・Book 8: Robots (Game Designers' Workshop)
・The Spinward Marches Campaign (Game Designers' Workshop)
・Rebellion Sourcebook (Game Designers' Workshop)
・Traveller Wiki
Comment
この記事をはてなブックマークに追加

宙域散歩(13) パクト星域

2012-09-23 | Traveller
 ヴィラニ・メインは飽きたのでそろそろ新しい土地に向かうべき時期かと思い、今回はグシェメグ宙域の隣にあるダグダシャアグ宙域を紹介したいと思います。
 このダグダシャアグ宙域、日本語化された資料では「ルカンとデュリナーにボコボコにされた所」以外のイメージがわきませんが(汗)、実際、公式に発表されたシナリオ等の舞台になったことは私が知る限りではほとんどなく(巡洋艦Arrival Vengeanceが通過した程度?)、グランドツアーでアキッダ一行が訪れなかったのもあって、大多数の方には未知の世界ではないかと思います。
 しかし、実はこの宙域も、HIWGメンバーによる「Dagudashaag Development Team」が80年代末~90年代に膨大な設定を起こしており、その成果はファンジン『Signal-GK』誌にまとめられました。その量たるや、GURPSの『Behind the Claw』が出るまでは、宙域内全星系の設定があるのはダグダシャアグだけだった、というほどです。また、星系設定以外にも、知的種族、異星生物、企業といったものからスポーツ、噂話に至るまで、きめ細かく設定がなされています。
 残念ながら、現在では1星域分の資料が丸々消失してしまっているのですが、それでも15星域分の資料の量は現在でも最大級のものであり、スピンワード・マーチ宙域やソロマニ・リム宙域にも引けを取りません。
 2010年に『Signal-GK』誌は電子復刻されましたが、第6号のみが長年未公開のままとされ、1星域分の情報を得ることができませんでした。しかし2017年4月に突如その幻の第6号が復刻され、同年6月には全ライブラリ・データをまとめた『Encyclopaedia Dagudashaag』も公開されて、16星域分の情報が完全に揃いました。その情報量は最大級であり、スピンワード・マーチ宙域やソロマニ・リム宙域にも引けを取りません。
 今回はそのダグダシャアグ宙域の概要と、宙域首都メドゥーマを含むパクト星域について解説したいと思います。


 ダグダシャアグという名前は、古代高ヴィラニ語で「銀河辺境方面州(Rimward Galactic Province)」を意味するダククガ・グリケ・デュシャアグ(Dakhukhuga Gulike Dushaage)から来ています。これは、この宙域がそれだけ昔から定住されていたことを示しています。
 この宙域は銀河史において、植民と征服の多くの「波」をかぶってきました。レムナント星域のとある星系からは4000万年前の人工物が発見され、デネブ領域ほどではないですが太古種族の活動の痕跡もいくつか見受けられます。爬虫類の知的種族であるスムリイ(S'mrii)は、約27000年前に宇宙飛行を成し遂げ、紆余曲折を経て1万年前にヴィラニ人によって接触される頃には、ミムー星域に繁栄した恒星間国家を作り上げていました。そのヴィラニ人は-8300年頃から本格的に進出を始め、-4000年頃にはマアギシイン星系(現在のカンディ(2119))を州都としていました。やがてやって来たソロマニ人による入植活動は、ミムーからメドゥーマ、アルギにかけて強力な経済の「軸」を築き上げ、現在でもその生産力のかなりの量をグシェメグ宙域やザルシャガル宙域の発展途上星系に輸出しています。ダグダシャアグ宙域はヴランド領域の産業の中心であり、そのGSP(宙域総生産)はヴランド宙域を上回っています。

 ダグダシャアグ宙域には3つの「メイン」があります。ヴィラニ・メイン(※宙域図の桃色)は宙域の端のミムー星域やシャロウズ星域を通ってグシェメグ宙域方面に流れていきます。またヴランド宙域からリラドゥ星域を抜けてコア宙域方面にも向かいます。そのヴィラニ・メインに隣接するように、宙域の大動脈であるメドゥーマ・メイン(※宙域図の紫色)が走っています。ダグダシャアグ・メインとも呼ばれるこのメインは、宙域内の7つの星域首都及び宙域首都メドゥーマを結ぶ、最も重要な通商路です。そして最後に、宙域のトレイリング方面から帝国首都キャピタルまで通じるシレア・メイン(※宙域図の緑色)があります。

 宙域を初めて訪れる人がここをイメージする色は「灰色」でしょう。特徴のない工業地帯の色、そして真面目くさったヴィラニ人の色です。しかしそれは真実ではありません。ダグダシャアグ宙域には様々な色彩があります。メドゥーマの華やかで迷路のような都市、ウシュラの浮遊する夢の国、レナシュウクの硫黄火山、ゲイトウェイのマクロエンジニアリング、カウルガの未踏の平野…。
 そしてダグダシャアグ宙域の社会構造も同様に変化に富んでいます。どこの宇宙港でも、スムリイの歯擦音に、ジアッド人(Ziadd)の縞の入った顔立ちに、スキャニア人(Scanians)の鋭い目付きに、高価な服装をまとったアスランの商人に、遭遇することができます。ヴィラニ人の統合戦争以前からの緊張関係とライバル心は様々な集団に存在し、現在の宙域にも影響を与えています。

 宙域公爵家であるヴィイサリカア家の現在の当主はメドゥーマ公ラージス4世(Duke Raegis Viisarikaa IV)が務めています。彼の後継者には娘のカリン(Karyn Dea Viisarikaa)がいますが、まだ15歳と若く、彼自身も世代交代にはまだ早すぎる年齢です。
 ヴィイサリカア家の歴史は古く、暗黒時代の最中の-401年に「メドゥーマ協約(Medurma Pact)」の摂政であったアントン・ヴシュレイカー(Anthon Vusuraykhar)にまでさかのぼります。ヴィイサリカアの名は、このヴシュレイカーがヴィラニ語化したもので、今でもヴィイサリカア家の人は先祖のソロマニ人の特徴を受け継いでいます。
 90年にメドゥーマ星系が第三帝国に併合され、274年に宙域首都に指定されると、かつての摂政家であったヴィイサリカア家がそのまま宙域公爵家として取り立てられました。また内戦時代の615年には、ジュリアン・ヴィイサリカア(Julianne Viisarikaa)が当時の「自称皇帝」カール1世を打ち破り、クレオン5世の即位に貢献しています。


パクト星域 Pact Subsector
 パクト星域は、ダグダシャアグ宙域で最も人口密度が高く、技術の進んでいる地域です。帝国のある経済学者がかつて「ダシ(1723)とクスグルー(2525)とアルギ(1431)を結ぶ三角形(※この星域の大部分が含まれます)は、最強の工業地帯である」と発言したほどです。またコア宙域とグシェメグ宙域間の大多数の交通はメドゥーマ・メインのあるこの地域を通り抜け、同時に恒星間通信の拠点でもあります。
 メドゥーマ政府の開放貿易の方針により、最先端技術が「漏れ広がって」いきました。よって、キャンベル(1722)からディパ(2223)にかけてのメドゥーマ周辺の星系(メドゥーマ・スフィアとも呼ばれます)は、大部分がTL12以上(貿易分類の「高技術」世界)となっています。
 なお星域名は、暗黒時代のこの地に存在した小国家「メドゥーマ協約」に由来します。
 メドゥーマ協約は、-524年にメドゥーマとディパの両政府の合意によって設立され、やがて現在のパクト星域の多くが加盟した恒星間国家です。絶頂期にはTL11を誇っていた協約でしたが、軍国主義に傾倒していたことが没落を早めました。-250年頃からメドゥーマ協約は周囲と断続的に衝突を続け、特にリムワード方面のアアカリ帝国(Aakhri Empire)との奴隷戦争(Slaver Wars)によって経済的に疲弊し、-10年に滅亡しました。

 パクト星域には39の星系があり、総人口は898億人です。最も人口が多いのはディパの700億人で、最も高いテクノロジーレベルはメドゥーマの16です。また全星系が帝国の傘下にあり、星域艦隊として帝国第209艦隊が配置されています。


キャンベル Campbell 1722 B99A200-E W 海洋・高技・低人・非工 G Im
 キャンベル軌道上の施設は、パクト星域とウシュラ星域間の重要な通商の交差点の役割をしていることで有名です。しかしこの星系は、ほとんど知られていないもう一つの重要な役割があります。
 キャンベルは宙域で最も大きい廃棄物処理場です。ダグダシャアグ中の危険な化学製品などのゴミは、リサイクルや最終処分のためにここに送られます。キャンベルの厳しい寒さと安定した環境は危険物を保管するには最適で、処理場は小規模の家族企業によって運営されています。

ダシ Dashi 1723 C15098B-E 高技・高人・砂漠・貧困 G Im
 珪素の砂漠の世界であるダシは、地元では「企業連合(Combine)」として知られている、7社のメガコーポレーション(ナアシルカ、マキドカルン、デルガド、スターンメタル、LSP、SuSAG、インステラアームズ)の共同体によって運営されています。惑星では水耕栽培が営まれ、星系内のガス惑星カルトラ(Kaltra)のリングから氷を採掘し、徹底的な水のリサイクルを行っていることもあって、水や食料は自給自足が可能となっています(それでも水は貴重なので「水税」があることに旅行者は気をつけてください)。数十億の人々は、大きなガラスで築かれたピラミッド都市や、開発された洞穴の奥に住んでいます。
 惑星のその小ささと当初資源がないと思われたことから、ヴィラニ人にシュドゥ(Shudu)と名付けられて以後、第二帝国期に至るまで星系は無視されていました。やがてメドゥーマ協約がここに前哨基地を建設すると純度の高いプラチナと金の鉱脈が発見され、星系はにわかに活気づきました。当初はガスジャイアントのリングから氷を運んで水にしていた業者だけが儲かっていましたが、彼らがその利益でピラミッド都市を建設して電子機器の製造を始めると、色々なメガコーポレーションが地元企業を買収する形で進出を始め、やがてこれらの巨大企業は星系の実権を握るようになりました。そしてアルギ星域やサファイヤ星域からユーラシア系ソロマニ人の安い労働力が集められ、100年後にはダシの製造業は、安い立体テレビやホロレコーダーなどで、帝国内の市場を席捲するようになりました。
 485年にシュドゥは権力闘争の主戦場となりました。暗殺によって皇位を奪ったクレオン4世が、その皇位継承を認めなかった宙域公爵タレク・ヴィイサリカア(Tarek Viisarikaa)を追放し、代わってヒムウ・アサリア(Himuu Asaria)を宙域公爵に任命した際、逃亡した「元宙域公爵」が潜んでいるという誤った判断によってシュドゥは核攻撃を受けました。この結果、センニイ市(Sennii city)の3200万人以上が死亡し、完全破壊された都市はガラスの荒野と化しました。この惨劇を忘れないために、星系名はテラの日本語で大量死を意味する「ダシ」と改められました。
 現在でも主な輸出産業は、簡単に手に入るシリコンや他の金属、そして乾燥気候を生かした、多種多様で安価な電気・電子機器とその構成部品の製造です。商店には安い電子商品が溢れ、社会文化や慣習はとても開放的なため、ダシは短期滞在先として人気を集めています。

ニュー・タイタン New Titan 1726 CAAA772-B S 海洋・非水 G Im
 ニュー・タイタンの大気は主にメタンから成っています。そのため、旅行者は爆発を防ぐために慎重に行動しなくてはなりません。
 惑星では部族ごとに海藻のようなハヴァンギイ(Havangii)を収穫し、輸出のためにそれを布に仕立てています。

エクグシュ Ekhugush 1728 A63898A-D N 高技・高人 G Im
 常に同じ面を主星に向けているこの惑星の大部分の陸地は、薄暮帯と夜側にあります。ここの経済はビジネスやコンピュータのプログラミングや金融取引に特化されています。
 地元の大学は金融関係やブローカーの育成の手腕の高さで有名で、額に特徴的な3本爪の刺青を入れたエクイ(Ekhui)として知られている卒業生には、多くの需要があります。
 ハン家(House of Han)は、エクグシュを拠点とする宙域規模証券会社を所有し、高い〈ブローカー〉技能を持って卒業するエクイを主に雇用しています。支社はダグダシャアグ宙域中のA・Bクラス宇宙港に、提携企業はCクラス宇宙港に存在します。

ウシュメギリ Ushmegili 1729 D86A204-A S 低人・非工・海洋 G
 この海洋世界は、多くの特徴がサラッサ(2127)と共通しています。使える土地の少なさは宇宙港の拡張を制限し、理想的な大気にも関わらず、惑星の気候は人間の居住には不向きです(平均気温は-37度で、赤道地方の夏でようやく20~22度となります)。
 ここの居住者は、帝立メドゥーマ大学(Imperial University of Medurma)惑星物理学部の研究者と偵察局の職員で、「ウシュメギリの環」の共同調査を行っています。これは海底にある同心円の地形で、クレーター状の陥没の中心から均等な間隔で隆起が形成されています。これらの形成時期や起源、そして(あるとすれば)目的については謎のままです。

イアシュ Iash 1730 D203462-A 真空・非工・氷結 G Im
 イアシュはガス惑星グワーム(Gwaahm)の衛星です。最初の探査でランサナムの豊かな鉱脈が発見されたという話を受けて、一攫千金を狙った何千もの鉱夫たちがここに群がりましたが、実はそれは嘘であったことが判明して、結局彼らは全てを失いました。

アイアイヤル Aiaiyal 1821 A572845-E 高技 Im
 この世界は、メドゥーマに定住したアスランの第二世代の入植地として-877年に開発が始まりました。現在ではハイテクエレクトロニクス技術とコンピュータシステムの主要な輸出元であり、アオスペース社(Aospace)の乾ドック(宇宙船の製造・整備施設)があります。
 アイアイヤルは、アスランと人類がそれぞれ特徴的な文化を維持しつつも、平和的に協力しあっている理想的な例です。
 アオスペース社は、帝国に定住したアスランのアオハライ(Aohalai)氏族によって運営される宙域規模企業です。メドゥーマ・メインを中心に運行を行っている同社は、1000トン以下の105隻の船を所有しており、その全てが武装されています。

ブラドリー Bradley 1822 A246200-D N 高技・低人・非工 G Im
 ブラドリー星系は、第三帝国初期にメドゥーマ・メインでの海賊行為を防止するために建設されたデベイアー(Debeyer)海軍基地を起源としています。基地は現在、小さいながらも修理と補給機能を維持しています。また、伴星の赤色矮星バサ(Basa)の発する「雑音の多い」電磁波の環境下で、新しい宇宙船探知と通信システムの研究が行われています。
 ウシュラ(ダグダシャアグ宙域 1016)企業のテラテック社(TerraTech,LIC)は、惑星改造実験のためにここに約100人のスタッフを送り込んでいます。

イイニル Iinir 1823 A457885-D 高技 G Im
 その人口の数にも関わらず、イイニルは現代の「エデンの園」と呼ばれています。
 全ての都市は海中に建設され、陸地は全くの未開発のままにされています。この星の野生生物は皆、ヒトの血液にアレルギー反応を示すため、動物たちは人類もしくは2本足で立って歩く者を襲うべきではないことを学びました。観光客は、全長20メートルの肉食動物ヘキエー(Hxieh)の近くでも安全に歩いて行くことができます。また、この惑星には訪問客を悩ませる虫の類も存在しません。

カムギキイク Kamgikiik 1824 C43655A-C 高技・非工 G Im
 カムギク(Kamgiks)はとても保守的でおとなしい、生命を尊ぶように見える知的種族です。しかしカムギクが同胞の肉を食べるという事実は、他世界の人にショックを与えます。
 (しばしば何日も続く)葬儀の間に、彼らは骨をすり下ろし、肉を食材に混ぜ合わせて、料理された遺体を食べます。訪問客もさほど重要でないとされる部分を食べることで、この饗宴に加わることになっています。
 「肉」を口にした若者は、その食べられた者の名を引き継ぎます。この習慣は性別を考慮しないため、カムギクの女性の多くには男性名が付いており、その逆も当然あります。

プルギール Pr'Geehr 1829 B383435-9 S 非工 G Im
 プルギールは濃密な大気を持つ小さな寒冷の世界(平均気温は-9度)です。初期のヴィラニ人の探査は、群小種族ギールターエ(Geehrtahe)の存在を見落とし、惑星自体も投資を集められるような資源を持たず、さらに低重力が植民地化を阻みました。ギールターエの発見までは、この星は何の特徴もない小さな惑星と思われていました。
 ここを訪れる全ての旅行者は、着陸の前に完全な検疫を受けてからようやく入植者と接触することができます。
 ギールターエは、全長2メートルほどのトカゲのような狩猟採取知的種族です。彼らはプルギールの熱帯・亜熱帯にある、高さ50メートルの樹木状の植物相が織り成す天蓋の上に住んでいます。彼らは帝国の第一期探査(First Survey)まで発見されず、それ以来帝国偵察局はギールターエ文化の外部からの干渉を避けるために、星系内に基地を維持しています。ギールターエはゲイトウェイ星系(ダグダシャアグ宙域 1331)の伝説上の翼を持つ生き物「タンスイ(Tansui)」に似ており、ギールターエは何者かによってゲイトウェイから移されたのではないか、と考える人もいます。しかしこの説は大多数の知的生物学者(sophontologists)によって否定されています。

クラン・ホーム Clan Home 1830 D789535-5 低技・非工 G Im
 この星系は-1060年にグシェメグ宙域からのアスラン移民によって入植されましたが、入植地は自立した技術基盤を確立するには小さかったため、暗黒時代の間には工業化以前の技術水準に後退しました。さらにアスラン文化に対する偏見は世界を孤立主義に転向させ、第三帝国の時代になっても恒星間社会から自発的に孤立していました。
 しかし1100年現在、クラン・ホームは試験的にゆっくりと再工業化への道を歩み始めています。この星系への旅行者は、「カルチャーショック」から地元の人々を守るために帝国偵察局技術輸入制限令(IISS technology import restrictions)が施行されていことをあらかじめ認識しておく必要があります。

ノー・ホープ No Hope 1924 B341699-D S 高技・非工・貧困 G Im
 この星系は当初はヴィラニ語で「美しい」を意味するノコピイ(Nokhopii)と名付けられていました。実際、惑星は美しい自然で満ち溢れていました。
 しかし1万人のヴィラニ人入植者は、建物だけを遺して跡形もなく消え去りました。入植地の有機物も全て無くなっていました。第2の入植地も樹立されましたが、これも消えました。この時は住民が消えた時期を夏の3ヶ月間と特定することができました。
 やがてこの星系は不気味がられるようになりました。いつの間にか名前も似て非なるノー・ホープと変わり、756年にICE社が全てを記録するための研究所をここに作るまでは放置されたままでした。
 研究によって判明したのは、夏になって気温が上昇すると、肉食性の虫が地表に大量繁殖していたのです。かつての入植者たちにはそれを回避する手段がありませんでした。
 その後、その虫を絶滅させるよう命令が下り、それが成功した後にようやく植民地化は成し遂げられました。
 元々はテラの鉱業会社だった欧州インジウム社(Indium Corporation of Europe)が、初期のソロマニ人移民と共にパクト星域へ移転したのを起源とするICE社は、パクト星域からウシュラ星域にかけて広く鉱山を建設しました。主に露天採鉱技術を用いる同社は、地元市場の搾取的な操作と従業員への過酷な待遇で知られています。

シャキイ Shakhii 1926 A200697-D S 高技・真空・非工・非農 G Im
 シャキイはガス惑星ペシュ(Pesh)の最も外側の衛星で、世界はちりの海に覆われています。
 宇宙港を兼ねた唯一の都市ドゥソリエ(Du'Saurier)に住む人々は、ほとんどが独立鉱夫です。ここでの地位は、贈り物を自分よりも恵まれない人に贈ることで得られます。そしてより高い社会的地位を得られるような珍しい贈り物を見つけようと、ここの住民は大きな努力を払っています。

ジュニヴァール Junivaar 1927 C486112-A 低人・非工 Im
 主星のRS-453662-Gはミラ型変光星で、約4年半周期でソルの200倍から20000倍の間で明るさを変えます。最大光度の時(猛夏, Highsummer)はジュニヴァールは湿った熱帯世界となり、最低光度の時(厳冬, Deepwinter)は惑星は極寒の荒野となり、空気さえ地表で凍りつきます。
 ジュニヴァールの生命はこのような奇妙で厳しい気象条件に適応しました。植物や動物は断熱のために甲羅や甲皮を持つか、寒さを耐え抜くために深く地下に潜りました。猛夏が来ると植物相は速やかに成長し、人が入り込めないほど密集した森をわずか1ヶ月ほどで作ります。
 メドゥーマのラフォージ・バイオテクノロジー社(LaForge Biotechnology)とディープレベル・ハーベスティング社(DeepLevel Harvesting)は、この生物形態の商業的可能性を調べるために、ジュニヴァールに共同で研究所を建設しました。

アシイ Asii 1928 C335894-7 G Im
 アシイの約2500万人(大多数はヴィラニ人とソロマニ人の混血です)の人々は、厳しい寒さと薄い空気のために、陸路のモノレールで接続されたそれぞれのドーム都市の中で人生の全てを過ごしています。
 アシイは美しい自然の星という評判を得ています。観光客の間で有名なのは、広大な氷の海、壮大なチューブウッド(Tubewood)の森、そしてエニシ砂漠(Enishi Desert)の「歌う洞窟」です。この洞窟では、内部を通り抜ける風が死ぬ運命にある人の名を呼ぶ、と多くの人は主張しています。

イカビ Ikabi 1929 C0009DE-D 工業・高人・高技・小惑・非農 Im
 俗に言う「戦士の世界」に分類されるイカビは、失われた宗教である神道の流れを汲むクウニ(Kuuni)を崇拝する人々で人口は構成されています。
 クウニの社会はいくつかの宗派に分かれていて、穏健派のテチオ(Tchio)から、自己を鞭打ち、時には自傷行為に至るリ(Rhi)まで様々です。どの宗派に属するかに関係なく、全ての信徒は、己の唯一の存在理由は戦士であることと考えています。
 クウニの氏子たちは通常は極端に外世界人を嫌っていますが、彼らにこの神聖な土地を汚す存在ではないと思われている間は安全です。
 クウニの教えでは、極楽への門は戦いにおいて異教徒や無神論者を殺すことで開かれるとされています。これらの理由から、イカビは常に帝国各地の傭兵部隊の、良く訓練された兵士の供給元となっています。

ヴィパク Vipac 1930 A401230-D 高技・真空・低人・非工・氷結 G Im
 パクト星域とサファイア星域を結ぶ交通の拠点として、半自動化された宇宙港施設が置かれています。この施設を管理しているのはイカビ(1829)の出身者です。
 この地にはかつて起源不明の犯罪組織ピット・ストップ(Pit Stop)の闇市場がありましたが、785年に壊滅しました。
 レフリー情報:ピット・ストップ自体が壊滅したわけではありません。現在も彼らはパクト星域のどこかを秘密の根拠地にして暗躍を続けています。

ジャンセン Janssen 2022 B220310-B N 砂漠・低人・非工・貧困 G Im
 この星系には、IPP社(Interstellar Petrochemical Processing LIC)の大規模な石油化学施設がありますが、あまり評判はよくありません。

ドラスケラン Draskeran 2023 B211454-C S 高技・非工・氷結 G Im
 ガスジャイアントの衛星であるこの星には、かつては帝国中心部で最も大きな銀の鉱脈がありました。現在ではそれは枯渇してしまい、雇用を求めて多くの地元住民が去ってしまった結果、星系はますます寂れていってます。

ジャーメル Jarmael 2024 C512669-9 非工・非農・氷結 G Im メドゥーマが統治
 ここは帝国中心部のズーカイ結晶(Zuchai crystals)の大規模鉱脈の一つで、星系が発見された頃では惑星表面ですらクリスタルが見つかるほどでしたが、残念なことに現在ではそのほとんどが採掘されてしまいました。現在では残った鉱石から価値ある資源を得るために、今も鉱業が営まれています。
 パクト星域の多くの世界と異なり、ジャーメルの住民は主にヴィラニ人です。これは、第一帝国の間に入植した鉱夫の一族たちが利益を独占する仕組みがそのまま継続されていて、後の時代もそれが他星系からの鉱夫の流入を阻んできたからです。

センニラク Sennirak 2026 A401797-C N 高技・真空・非農・氷結 G Im
 当初はダシ星系(1723)から入植されましたが、この星で産業を起こす目算が立たず、ダシの統治者である企業連合は損失を抑えるために、357年に植民地を撤収することにしました。しかし、一部の家族はここに留まりました。
 この星系では、植物は酸素を作り出すためにとても大事にされています。また酸素プラントを故意に破損することには死刑が適用されます。なお、旅行者は空気税の支払いが滞ると即座に星系外退去させられることに注意すべきでしょう。

カキルサル Kakhirusar 2028 A664378-B N 低人・肥沃・非工 G Im
 カキルサルにはあらゆる種類の金属が豊富です。ここではそれをアルギ星域やパクト星域の工業世界のために、非常に価値ある資源に加工しています。
 星系には現在約9200人が住んでいます(ほぼ全員が混血の人類です)。ほとんどの人は鉱業会社か海軍のために働いていますが、いくらかは独立鉱夫として活動しています。
 第一帝国の頃から鉱業活動が行われていたこの星系には、82年に宥和作戦のために帝国海軍基地が建設されました。ちなみに海軍基地の司令官は、カキルサルの知事の役割もします。
 政府の仕事は様々な鉱業会社から送り込まれる代表団によって遂行されますが、世界を管理する方法を巡っての彼らの意見は頻繁に変化します。カキルサルを訪れる旅行者は、まず海軍基地に現在の法律がどうなっているか確認すべきでしょう。

ココー Cocor 2030 C6B2665-8 S 非工・非水 G Im
 ココーは、惑星を横断する不思議な石造りの道がなければ、おそらく見捨てられていたであろう星系です。訪れた観光客は、道の何キロかを見てはその起源をあれこれ推測しています。
 惑星上の唯一の施設はメドゥーマ大学(University of Medurma)が建てた研究所で、石の道と鉱山遺跡の研究を行っています。

チャンドラズ・ワールド Chandra's World 2122 C9966AA-7 農業・肥沃・非工 A G Im
 パクト星域の「穀物庫」であるこの星系は、遺伝子操作に頼らない栽培を確立しているとの評判を得ています。
 アヤウ(Ayau)という穀物は、人類には小麦粉代わりに用いられていますが、その品種の一つであるレア・アヤウ(Rea Ayau)はアスランには精神分裂症の症状や戦闘ドラッグのような効果をもたらすことが最近判明しました。その原因はまだ解明されていませんが、帝国研究基地(Imperial Research station)はどうやらその研究を始めたようです。
 また惑星は、有機物なら何でも食べて大きな群れを成す雌雄同体の昆虫アダイン(Adayn)に悩まされています。これまでアダインに農薬は役に立たないことがわかっています。

ケディイガ Kediiga 2123 B778411-8 肥沃・非工 Im
 この星では主にグロート(groat)の牧畜が営まれていますが、最も有名なのはヤナ(Yana)という赤い葉の植物です。ヤナの葉からは非常に有用な薬を抽出することができます。個人がヤナを所有したり販売することは違法ですが、植物自体はエキゾチックな装飾品として輸出されています。
 なお、ここの法律は非常に複雑で、多くの法律家の頭痛の種となっています。
 グロートはフューラキン(スピンワード・マーチ宙域 2613)原産の草食動物で、アラミス星域のフォーキャライン(同 2607)など各地に移植されています。グロートの毛は肌触りが良く、化学処置を行うことで表面が虹色に輝くため、グロート布は非常に人気があります。またグロートの肉はヴァルグルの好物として重宝されています。グロートは個体ではおとなしい動物ですが、群れになるとどんな敵でも恐れずに攻撃します。

メドゥーマ Medurma 2124 A67399C-G 工業・高技・高人 G Im 宙域首都
 ダグダシャアグの宙域首都であるメドゥーマは、-2093年頃からソロマニ人の大規模な入植が行われ始めました。それ以前にヴィラニ人はいくつか惑星上に採掘調査の施設を造っていましたが、星系の探査はあまりなされませんでした。
 ソロマニ人はすぐに、驚くべき発見をしました。大きな遺跡から、-19000年頃まで人類の群小種族がこのメドゥーマに存在していたことが分かったのです。発見されたミヤヴィン(Miyavine)の文明は、出土品からTL4~5までは達していたと推測されますが、彼らが消え去った理由についての手がかりは見つかりませんでした(現在主流の説は、彼らの遺伝子の中に「時限爆弾」が仕掛けられていたのではないか、というものです)。
 メドゥーマには広範囲に入植されました。最大の都市は山頂に建設され、数少ない高高度の大地ではハイテク技術による農業が営まれました。なぜなら高度の低い地域(現地語で「深階層(DeepLevel)」)は気温が80~95度に、気圧は6.5気圧に達するほど環境が厳しいのです。低地ではまず採掘活動が行われ、やがて奇妙な「シモンズの樹(Symmonds Tree)」の栽培も行われるようになりました。その結果、メデューマは食料をそれなりに自給できています。
 -1000年頃からこの地に住んでいるアスランのかなり大きなコミュニティがあるなど、メドゥーマの住民は著しく国際的です。また住民が高度によって社会的に層化される傾向があり(居住地の高度が低くなるほど社会階層が下になります)、帝国の社会学者の興味を惹いています。
(※元々のUWPは「A9D7954-G」でしたが、トラベラー・ニュースサービスで使われていたUWPの方が今では一般的です。そのため、大気コードがD(超濃厚大気)であることを前提にしたこの設定とは食い違いがありますが、そのままにしています。余談ですが、GURPS版のTNSでは、メドゥーマの位置は同じでもなぜかサファイア星域にあることになっています(おそらく反乱時代の不正確な帝国全図を見て勘違いしたのではないかと思われます))
 シモンズの樹(学名:Caligoarbor subtilis symmondsi)は、メドゥーマの低地で高さ8メートルになるまで成長する、厚い茎のある「茂み」です。これらは菌糸や栄養分を運ぶ地下茎からなる共生体で、その広さは数キロメートルに及びます。シモンズの樹の生態はいまだ多くの面で謎が多いのですが、現在のメドゥーマ経済にとっては必要不可欠なものとなっています。ちなみに名前は、最初にこの植物に目をつけて財を成したフレデリック・マクシミリアン・シモンズ(Frederick Maximillian Symmonds)に由来しています。

サラッサ Thalassa 2127 D56A557-9 海洋・非工 G Im
 ダグダシャアグ・メイン上にあるにも関わらず、この海洋世界は主要な通商路から外れています。利用できる陸地の少なさから宇宙港施設は比較的貧相で、自由貿易商船にとっても単に燃料補給のために立ち寄る程度にしか利用されていません。
 地元住民は、様々な食事に用いられたり、薬のような性質もあるクァ(Qha)という植物を細々と栽培しています。これが安く大量に生産できるようになれば、少しはこの星系も変わってくるかもしれません。
 なお、この世界の野生生物には注意すべきです。全ての水生生物は暖かい赤道の海に集まっていますが、その中でも危険なのは巨大な肉食生物のタロク(Tarok)と、擬態甲殻類のジローチ(Zyroach)です。

メイデン Maiden 2130 B13069B-C N 高技・砂漠・非工・非農・貧困 G Im
 メイデンは、メドゥーマがジャンプ技術を取り戻した頃に、男性優位なメドゥーマ社会に不満を持っていた集団によって入植されました。メイデンの最初期の女性移民の多くは軍人、もしくは元軍人でした。
 メドゥーマでカチャ(Kacha)と呼ばれる致命的な伝染病が流行した際、当時のメドゥーマ最高評議会(Medurman High Council)は媒介防止のために女性全員に体毛を全て剃るよう命令しました。しかし一方で男性には命令が出なかったため、女性の多くはこの性差別的な命令に従うよりは、メドゥーマを退去してメイデンに向かう方を選びました。疫病の治療法はすぐに見つかりましたが、メイデンの女性は自分たちが故郷を捨てた理由を忘れないために、今でも髪を長く伸ばしています。
 初期の入植者が持ち込んだメドゥーマ文化の影響で、ほとんどの住民は鞘に入れたナイフか、小さな決闘用のピストルを腰から下げていて、住民間の紛争の解決に決闘を用いる傾向があります。
 メイデンの人々は歴史的に軍事に慣れ親しんでおり、帝国海軍がこの地に海軍兵学校(Naval academy)を建設する理由となりました。
 なお、地元政府は女性のみによって支配されていますが、法律上は男性も平等関係にあるとされています。

ディパ Dipa 2223 C200AEB-F S 工業・高技・高人・真空・非農 G Im
 ディパはパクト星域最大の人口密集地で、主な工業世界の一つです。この星系はまず最初にブレスレン教(Brethren religion)の開祖であるエマニュエル・ディパ神父(Father Emmanuel Dipa)の支持者によって入植されました。現在でもここは信仰の中心地であり、何百万人もの巡礼者が毎年この地を訪れます。
 ブレスレン教は大部分の住民に信仰されていますが、他宗教の信仰も認められており、安定した法の支配の下、広範囲な個人の自由も認められています。
 その信仰において慈善活動は特に重視されていて、教会が「不幸である」と認定した者(主に外世界人や非ブレスレン教徒)に対しては、政府から手厚く施しが与えられます(逆に、仕事に就くことが許されません)。
 火山活動によって惑星表面のかなりの部分が利用できないため、住民のほとんどは2つの巨大都市、ヨハネパウロ(John-Paul)とメシア(Messiah)に集まっています。
 ディパはメドゥーマと密接に結びついています。「協約」時代にはこの2つの世界は協約の核となっており、現在でも大部分の恒星間の課題で意見が一致する傾向があります。この関係は近年さらに強化され、ブレスレンの信条はメドゥーマの方針に大きな力を与えると地元では考えられています。
 ブレスレン教会(Church of the Brethren)は、テラの宗教であるローマ・カトリックから分派しました。-2503年に時の法王の方針に不満を持った一部の聖職者が新たに建てた教会を起源としています。ブレスレンの教義は儀式だらけですが、一番重要なのは困っている人に慈善を施すこととされています。また全ての生命は尊く、全ての知的生命は皆神の子であると教会は教えています(※この宇宙のローマ・カトリックは「人類だけが」神の子であるとしているらしいので、その点で大きな差異があります)。

ネクサス Nexus 2225 B666666-7 N 農業・肥沃・非工・富裕 G Im 宙域公爵家が所有
 ここはパクト星域に2つある農業世界の1つです。チャンドラズ・ワールド(2122)ほど大きくはありませんが、それでも星域のリムワード方面の主要な農産物供給元として考えられています。
 この世界はヴィイサリカア家個人の封土です。ここは革新的な農業技術で有名で、多くの珍しい移植種をうまく栽培しています。
 また第一帝国時代からずっとダグダシャアグ宙域の芸術の中心地であり、ヴィイサリカア家は芸術家の住民(画家、詩人、デザイナー、その他)に積極的に支援を行っています。
 この星系の大きな海軍基地はガス惑星オブリア(Obria)の衛星ケレメティア(Kelemetia)に置かれ(この立地はヴィイサリカア家の要望でもあります)、関係する人員もそちらに住んでいます。

シータ・キグニ Theta Cygni 2226 A424100-E S 高技・低人・非工 G Im
 星域首都メドゥーマとメインのリムワード方面地域を繋ぐ、戦略的に重要な世界です。激しすぎる気温の変動がここの植民地化を阻みましたが、それでもこの星系を通り抜ける大量の交通をさばくために、この地に高品質な宇宙港が建設されました。

アアスニ A'A'Suni 2227 C5468AD-5 S 低技・肥沃 Im
 惑星アアスニとその衛星イヌイルスク(Inuirsuk)は、7日ごとに交互に螺旋を描くようにして公転している二重惑星です。アアスニは数キロメートルの厚い氷の層に覆われていて、現地の生物はその厳しい寒さに適応しました。
 この星系は、知的生命のアサー(Athar)の故郷であること以外には特に魅力的なものはありません。平和的な種族であるアサーは、6本足の肉食動物から進化しました。彼らにとって理想的な気温は-130度のため、アサーはアアスニ以外ではほとんど見ることがありません。
 世界を統治する、アアスニに住む全ての種族が参加する官僚機構は、いくつかの評議会に分割されています。中でも重要とされているのは、環境評議会、供給評議会、防衛評議会です。一般的に、一つの有力な大家族が一つの評議会の中核をなし、その家長が評議会を主導しています。
 アサーはアアスニ星系の6本足の肉食動物から進化した知的生物です。彼らにとって一番大切なのは食欲です。食事は日常の中で最大のイベントで、生きた獲物の捕獲と殺害を含めて一連の儀式となっています。彼らが食事にそれだけの重きを置くのには理由があります。アサーは長期間食事を摂らないと休眠状態に陥ってしまい、そしてそれは単なる動物への退行と評されてしまうのです。

クルキ Kurkhi 2228 C401578-8 S 真空・非工・氷結 G Im
 小さく寒い惑星のクルキは、主星近くの軌道の小惑星帯に価値ある鉱物資源が最近発見されるまでは、あまり重要でないと思われていた世界です。この発見は、クルキ星系への探鉱者とそれを支える人々の流入につながり、人口も50万人まで増えました。その8割の人は、クルキの地下の複合施設に住んでいます。
 クルキの水分の多くは岩石の多い地表で凍結していて、惑星の巨大な発電所の燃料となります。一方で宇宙船用の燃料はガス惑星アンキ(Ankhi)で採取され、宇宙港で精錬されています。
 現在SuSAGと星域政府の合弁企業が、今後の開発需要に備えて宇宙港の拡張に投資を行っています。

イシグマム Ishigumam 2322 B100587-D NS 高技・真空・非工 G Im
 鉱物資源を含んだ大きな小惑星が、イシグマムとして入植されました。都市は小惑星の凹みに建設され、酸素は周囲の小惑星から採掘されました。
 この小惑星は明らかに、何千年も前に爆発した惑星の一部です。そして考古学者は、この破片の中にもしかすると知的生命の痕跡があるかもしれないと考えています。

ティルメス Tilmes 2324 C233644-8 S 非工・非農・貧困 Im
 元々は鉱業社会だったティルメスの人々は、その外世界人嫌いの文化で知られています。星系への全ての訪問客は(地元民の)許可があるまでは口を覆ってなくてはならず、勝手に発言することも許されません。また地元住民も直接外世界人と話すことは禁じられていて、外世界人との全ての会話は筆談で行われます。これらの法律を守れない者には、長期間強制的に浄化の儀式が科せられる場合があります。

ステーション・ツー Station Two 2327 C160004-B 砂漠・低人・非工 G Im
 第三帝国の拡大期に、ダグダシャアグ宙域内の荒涼とした世界に建設された10基の「ステーション」の一つです。これらは「協約」のような潜在的紛争地域を監視することを目的としていましたが、342年にはその役割を終え、過半数のステーションは名前を変えて偵察局に引き渡されました。しかしこのステーション・ツーは有益性が少ないと判断され、単に放棄されました。
 現在の宇宙港は、メドゥーマメイン・スターライン社の人員によって維持される半自動化施設となっています。
 宙域規模企業のメドゥーマメイン・スターライン社(MMSL)はインペリアル運輸の子会社で、旅客と貨物の輸送を主にダグダシャアグ・メインのA・Bタイプ宇宙港を結んで行っています。

モライン Mo'line 2424 B335655-C 高技・非工 A G Im
 この星からは、まず自発的に退去することが求められます。それでも残る場合は、顔に刺青を入れ、髪を決して切ってはなりません。高い技術水準にも関わらず、この星系の住民はとても迷信深く、全ての物事はまずアイ・チャン(I-Chang)に相談してからなされます(※このアイ・チャンが何者なのかは不明です)。

フォースター For'star 2426 A623025-A S 低人・非工・貧困 G Im
 この星系は運輸の中継点として利用されています。
 惑星の全ては哺乳類の生命体には有毒です。大気は内部から肺を破壊する微細な寄生生物を運び、土には最も厳しい汚染除去処置を経ても生き残る、人体には劇物となる微生物が含まれています。そして森や密林には、ものの数秒で相手を殺すことができる生物でいっぱいです。これらの理由から、ここで働く(主にダシ星系の)人は、最大でも3ヶ月契約です。
 最も有名な輸出品は、ラッガア(Laggaa)という高い知性を持つ小さな「ペット」です。ラッガアは全長80センチの猫のような生き物ですが、飼い慣らされると、その高い忠誠心と、相手が20メートル先でも酸を含んだ毒を吐いて正確に命中させる能力で、主人を守ります。


【参考文献】
・Signal-GK #1,#2
・The Traveller Adventure (Game Designers' Workshop)
・Survival Margin (Game Designers' Workshop)
Comment
この記事をはてなブックマークに追加

宙域散歩(12) ヴィラニ・メイン5 グシェメグ宙域

2012-09-07 | Traveller
 遠大なヴィラニ・メインを行く旅も5回目。ヴランドからメインに沿って銀河辺境方向へと流れていくと、やがて辿り着くGushemege宙域について今回は解説したいと思います。
 Gushemegeというとトラベラーファン歴5期以上の方にはすぐ思い出されるかと思いますが、かつてホビージャパンの『RPGマガジン』誌において「日本独自展開」が行われていた地域です。シナリオ「ガシェメグの嵐」やリプレイ「サイオニック・バスターズ」、また簡単ではありましたが星域紹介も行われていました。ただしこの星域データは、サプリメント「Atlas of Imperium」をベースに独自に作られたものなので、現在の設定とは高人口世界以外の名前と、宙域首都アスディキの位置が違いますし、UWPは全くの別物です。
 もちろんこれらは「自由に使っていい」というお墨付きをもらった上での展開ですが、この約束が影響を与えたのかは定かではありませんが、反乱の時代にはルカン、デュリナー、ヴィラニ、ストレフォンの4勢力が激突するという最激戦区にも関わらず、採り上げられることはほとんどなく、メガトラベラー末期のキャンペーンシナリオ(の概要だけが書かれた)「Arrival Vengeance」において、ようやくプレイヤーたちがアスディキの地を踏み、また後に帝国暦0年の時代(T4)のシナリオ「Long Way Home」の舞台になった程度でした。結局、出版物でこの宙域の全体像が明らかになるには、『Traveller 1248』の「Sourcebook 2: Bearers of the Flame」を待たねばなりませんでした(先にT4の「First Survey」「Milieu 0 Campaign」ってのもありましたが…)。
(追記:GDWが発行していたChallenge誌の69号に、1117年のヴィパチ星域を舞台にしたシナリオ「Good, Bad, and Vilani」が掲載されていますが、発行日は「Arrival Vengeance」よりも後です)

 しかし、HIWG(History of the Imperium Working Group)によって80年代末~90年代にせっせと作られ続けた設定の数々はかなりのもので、コア宙域やヴランド宙域を遥かに上回る量が残されています(そして一部はネット上から失われてしまっています)。
 今回はまずこの宙域全体の概要を解説し、回を改めて一部の地域を紹介していこうかと思います。なお、日本独自展開が行われた「ガシェメグ宙域」と区別する意味で、その前にGushemegeの読み方は"gu-SHEM-eg-uh"らしいので、勝手ながらあえて訳語を「グシェメグ宙域」とさせていただきます。


ヴランド領域図

■グシェメグ宙域の歴史
 ヴィラニ人がグシェメグ(古代高ヴィラニ語で「星々の通路」を意味する言葉)に足を踏み入れたのは-9100年~-9000年頃のことです。その頃の宙域内では、人類の一種族であるククン人(Kukhunen)やロースカルス人(Loeskalth)が、他にも非人類の知的種族が独自の、しかしヴィラニ人に比べれば原始的な文化を築き上げていました。
 好戦的なロースカルス人は、-6000年頃にヴィラニ人と接触し、-5700年頃に彼らからジャンプドライブを入手すると、ジャンプ-1のルートに沿って勢力範囲を広げ、一部は隣接するモイビン星域(レフト宙域)やアルルメル星域(イレリシュ宙域)にも進出しました。絶頂期の「ロースカルス帝国」はヴィパチ星域の大部分を併合し、技術水準は帝国中心部ではTL9、外縁部でもTL8に達しました。
 やがてロースカルス人の存在は、ヴィラニの支配にとって悩みの種となりました。そして統合戦争が始まり、100年間に及ぶ戦いの末にロースカルスの文化は完全に破壊され、独自言語の使用は禁止され、その血筋はヴィラニ人の中に溶け込み、1000年後には彼らの存在は完全に伝説となりました(※ロースカルス帝国の滅亡は-4300年頃とされています)。
 ククン人はもう少しうまくやりました。ヴィラニ人がグシェメグを訪れた時とほぼ同じくして彼らと接触したククン人は、その当時TL4の文明を築いていました。統合戦争の初期(-5400年頃)にヴィラニ帝国の支配下に入った彼らは、創造的な文化を持っていましたが、その文化に対する抑圧と、内に秘めた暴力性が彼ら自身を苛立たせていました。しかしヴィラニ人に匹敵する彼らの想像力や事務能力は、それから約3000年間、グシェメグ宙域におけるヴィラニ人の支配に大きく貢献しました。

 -2223年にソロマニ人の艦隊(地球連合海軍)がグシェメグのラガン星域に到来し、-2204年に第一帝国が完全に滅亡すると(※-2204年はヒロシ・エスティガリビアが「人類の支配」の建国を宣言した年です)、第二帝国はソロマニ人の知事をこの地に任命しました。宙域内の活動はグシェメグ・メイン(ヴィラニ・メインのグシェメグ宙域内における名称)からオウルパス(Oulpath, グシェメグ・メインとは別の主要通商路)まで広がり、ダシニシュアイイ星域、シャイアー星域、トルァクス星域はその力と名声を増していきました。
 しかし-1800年頃に人類の支配が及ばなくなると、宙域内のそれぞれの文化は自己主張を始めましたが、それぞれが帝国を築くよりも先に技術基盤が崩壊していきました。
 -1000年頃、アスランのいくつかのイハテイがこの地に到着しました。最初はミスジャンプによるものでしたが、後には計画的な入植が行われ、ウアワイリーウ(Uawairlew)氏族とフワオワオウ(Faowaou)氏族が宙域各地のアスラン入植地を治めました(※ただしこの入植地を現在のUWPの政治コードで見分けることはできません。おそらく2000年を経て「帝国人化」してしまったのでしょう)。
 暗黒時代の間、宙域で最高の技術はTL9でしたが、-200年代末にはTL10にまで回復しました。

 長い夜を経て、ククンの文化は変わっていきました。ヴィラニ人とソロマニ人がグシェメグで戦いを繰り広げていた時代、ククンは戦争で荒らされた惑星となりました。恒星間交易が途絶えると、対立する勢力同士が惑星内で戦争を起こし、己を破壊していきました。
 再び安定がもたらされたのは、ランシア運動(Lancian movement)によって、世界が氷河期に突入していたことを自覚させられた時でした。その後(氷河期が進行するのと同じだけの)数世紀をかけて、ランシア運動は想像力を戦争ではなく芸術と美を尊ぶ方向に向ける新しい哲学として、ククン人の間に浸透していきました。氷の伸張を食い止める計画が成功した頃には、ランシア哲学はククン人に大いに定着し、そしてランシア文化が生まれました。

 -150年頃、ランシア文化(や他の勢力)は、再び宇宙の間に広がり始めていました。-143年にはシレア(Sylea)人の商人とククン人が再接触を果たし、-75年頃には同じくシレア人の探検家が危険を冒して宙域の中へと進んできたことが記録されています。
 再び宇宙に戻ってきたククン人は、かつての入植地を取り戻したり新たな植民地を増やしていき、-24年までにはそれは「ランシア連盟」という恒星間国家となっていました。しかし同時期に銀河系に勃興していたシレア連邦、そして第三帝国との間には摩擦が生じ(ランシア人にとっては、かつての「帝国」のように独自文化を押さえつける存在に見えました)、やがてそれは冷戦に、そして反帝国テロ活動による抵抗運動へとエスカレートしていきました。
 76年から始まったヴィラニ宥和作戦(Vilani Pacification Campaign, 76年~120年)の前に、もう既にランシアと帝国は交戦状態となっていましたが、同様に抵抗していた隣人のスムリイ(S'mrii)共々、おびただしい流血を伴った宥和作戦の結果、最終的には帝国に併合されました。さらにヴランド大公は続いて、焦土と化した多くのランシア世界へ、マキドカルンによるヴランド宙域からの強制的入植を行いました。
 その宥和作戦の際、ランシア連盟陸軍は部隊をLLRA(Lancian League Resistance Army)という反帝国ゲリラ集団に改組し、帝国に抵抗戦を挑みました。しかし113年にLLRAの一部部隊が、リシャン星系(グシェメグ宙域 2907)の小学校の児童教師計235人を殺害する、という事件を起こしています(理由については、帝国の仕業に見せかけようとした説と、帝国に寝返ろうとしていた別のLLRA部隊の根拠地と誤認した説があります)。その後LLRAは123年まで抵抗活動を続け、その後、敗残兵たちはグシェメグ宙域中に、そしてその向こうへと散って行きました…。

 そのランシアは、後に732年に皇帝マーガレット1世によってようやく「文化圏(Cultural Region)」の地位を与えられ、圏内のソロマニ文化は徐々に弱まっていきました。ちなみにランシア文化圏は、ククンのあるタンサ星域を含む5星域に広がっています。
 一方で、ラエス星域やトルァクス星域といったリムワード方面の地域は、イレリシュ文化に影響されていきました。彼らはイレリシュの反乱(418年~435年)に加わることに躊躇がありませんでしたが、皇帝マーティン3世が420年に速やかにこの地域を封鎖し、やがて帝国に引き戻されました。
 500年代から600年代にかけてグシェメグ宙域は、特にランシア圏やルアー星域は、超能力関連事業の中心地でした。超能力産業は(グシェメグ宙域が特に関わらなかった)内戦(604年~622年)の間に発展していきました。しかし、760年に起きたカムリンムル(グシェメグ宙域 2224)の反乱は結果的に超能力への干渉を増やし、続く800年代の超能力弾圧によって超能力者は地下に潜みました。多くの研究者は、ランシア文化圏で進んでいたナノテクノロジーやバイオエレクトロニクスの分野に転向しました。
 皇帝パウロ1世は、761年にカムリンムルから、帝国艦隊の兵站が置かれていたアスディキ(同 1015)に宙域首都を移しました(しかしカムリンムルとアスディキの位置を入れ違えて表示してしまう宙域図が、現在でもソロマニ人の間で流通しています)。

 内戦以後、グシェメグ宙域公爵の座にはグウウイルバタアシューリバア家(Guuilbataashullibaa)が就いています。同家は元々ナアシルカの重役の一族でしたが、内戦においてアルベラトラ皇帝を支持し、功績を挙げたことから、宙域公爵に取り立てられたのです(また当時のグシェメグ宙域公爵家が反アルベラトラ派だったことも影響しています)。
 現在の宙域公爵であるタンサ公アシュル(Duke Ashur Sirush Guuilbataashullibaa of Tansa)のある意味で最大の功績は、彼の娘であるイオランスと現皇帝ストレフォンとの結婚でしょう。これにより、グウウイルバタアシューリバア家とアルカリコイ家の間に永続的な友誼が結ばれました。
(※ちなみに、前皇帝パウロ3世の后であるエルベット(Elbet Osmanlia Aella)も、グシェメグの名門イーラ家の出身であり、リジャイナのアレドン家に嫁いだフィオレーラ(Fiorella Havasu Aella)とは遠い親戚の関係です。つまりストレフォン皇帝とリジャイナ公ノリスは、母親を通じて遠い血縁関係にあるわけです)
(※なお、この宙域公爵家の設定は、『GURPS Traveller: Nobles』に記載のある設定と、HIWG版の宙域公爵家の来歴を融合させたものです)



(※Xボート網は帝国暦1248年のものです)

■グシェメグの地理
 この数千年の商取引と旅行、征服と植民地化、開発と進歩によって、この宙域は一般的に7つの特徴ある地域に分けられるようになりました。

ランシア圏 Lancia
 範囲:タアプヴァイア星域、タンサ星域、イシ・アート星域
 現在、ランシア圏は強力で慈悲的な勢力です。この地域の計り知れない想像性は、むしろ芸術に傾倒しすぎていることを懸念されるほどです。マキドカルンと共に、ランシアはエンターテイメントとクリエイティブ技術の分野で、帝国の銀河核方向世界を「支配」しています。ランシアはビジネスと商業計画と政治的発展の担い手であり、時として他の種族が思いもよらない手立てを見せます。彼らの疑う余地のない能力は、いくぶん独善的な(田舎根性的な)性格と結びついて、時として宙域内で「完璧ではない」隣人たちと摩擦を引き起こすことがあります。彼らの秘密計画やグランドデザインはハイヴ人ですら恥ずかしく思う、という噂は、当たらずとも遠からずです。

群島地域 Archipelago
 範囲:リフテン星域、キイラ星域、ガンドネン星域 
 大裂溝に面する群島世界の開発は、ジャンプ-3の普及を待たねばなりませんでした。現在でもいくつかの星系が帝国領外のままとなっています。
 社会的であれ、政治的であれ、文化的であれ、群島世界は帝国から逃れたい願望を持つ人々によって植民されていきました。よって、他の平均的なグシェメグ世界よりも政治・経済的な孤立を好む傾向があります。

ルアーヴァヤン地方 Rurevayn
 範囲:ルアー星域、アンクススガル星域、サーロウン星域、ダシンシャイイ星域
 はっきりとした境界こそありませんが、ルアーヴァヤン(大ルアー)地方は、当初グシェメグ・メインに沿った交易で利益を得ていました。しかし、ハイテクな商業世界と、低人口世界や「伝統的な」産業世界の間に、長期に渡って憎しみにも似た断絶があるのもまた事実です。一方でランシア圏とは、ルアーヴァヤン地方がその技術の多くを受け継いだこともあって、良好的な関係を築いています。
 この数世紀の間、ランシアによって開発される「綺麗な」オーグメント(サイバー化)技術は、貪欲な傭兵や麻薬取引人、より貪欲なビジネスマンの「汚い」手に漏れ出しました。この地域は、反体制的ないわゆる「サイバーパンク文化」の中心地でもあります。

後進地域 Backwaters
 範囲:バレチ星域、サーロウン星域
 ここの世界には、ほとんど独自性や資源がありません。大部分の富は、グシェメグ・メインを通じてレフト宙域やヴァージ宙域からもたらされたものです。

ロース地方 Loes
 範囲:ヴィパチ星域
 近隣のレフト、ヴァージ、イレリシュ宙域の経済力は、ヴィパチ星域を後進地域から押し上げました。
 ヴィパチ星域は、ジル・シルカ時代には(第一帝国の記録の中にだけ残る)ロースカルス文化の本場でした。現在、ロースカルス人やロースカルス帝国の伝説は、星域の至る所にあります。秘密結社ロースは、ロースカルスの復興と独立を夢見て数世紀間活動しています。しかし彼らの「ロースカルス」のイメージは、その多くが近代の脚本家によって創り出されたものであることも否めません。
 なお、この地域にはドライカン星系(レフト宙域 3134)を母星とする平和的で勤勉な人類であるタパースマル人の世界がコルトンルー(グシェメグ宙域 0136)に、知的飛行種族アエル・ヤエル(Ael Yael)の故郷がジェイェルヤ星系(同 0437)に、草食知的種族パダンシュ・ミトローイ(Padansch-Mitloi)の故郷がフェネージ星系(同 0338)にあります。
(※アエル・ヤエルやパダンシュ・ミトローイがロースカルス帝国の支配下に入ったかどうかは不明です。位置関係的には十分有り得そうなはずですが、支配下に入ったという設定がないことと「絶頂期の領土は星域の半分ほど」という『帝国百科』の記述からすると、ロースカルス帝国は星域のコアワード方面を領土としていたのかもしれません)

イレリシュの縁 Ilelish Rim
 範囲:ヴィパチ星域、ラエス星域、トルァクス星域
 この地域へのイレリシュの影響は暗黒時代の間に浸透し、418年に始まったイレリシュの反乱の際にはより緊密な関係となりました。それ以来、この地域はグシェメグ宙域の不安定要因となっています。
 彼らは自分たち独自の道を歩みたがる傾向がありますが、宙域公爵家はこれまでこれには寛容的でした。ただし「文化圏」の地位を求めるあらゆる行動に対しては、断固として抵抗しました。

中心地域 Heartland
 範囲:ダシンシャイイ星域、シャイアー星域、ラエス星域、トルァクス星域、ラガン星域
 「人類の支配」の間、これらの星域は宙域に対する支配力を決して失いませんでした。ギヌパ・ラディクス(Ginupa Radix, radixとは「根」の意味)やウシュウリ・ウェイ(Ushuuri Way)上の高人口世界、ラエス・トルァクス・シャイアー農業連合、工業の中心であるシデュル・イシュキ(1234)、グシルディイミ(2036)、ウンラルディガルド(1930)の各星系などが、地域の力に関与しています。ランシア圏だけが、実力や勢力圏の大きさで彼らと匹敵する規模です。
 宙域内でアスランが居住しているこの地域は、人種面では素晴らしい共同体です。しかし労働者からの搾取は、宙域内でも最悪です。


■グシェメグ宙域の経済
 グシェメグ宙域には2本の大動脈が存在します。1つはヴランド宙域方面からヴァージ宙域方面へと宙域を縦断するグシェメグ・メイン(ヴィラニ・メインの一部)。もう一つは、グシェメグ・メインとは別に富裕世界や高人口世界といった重要世界を繋いでいくオウルパス(Oulpath)と呼ばれるルートです。オウルパスはタンサ星域を出発し、イシ・アート~シャイアー~ダシニシュアイイ~トルァクス~ラエス~ヴィパチの各星域を通り抜けています(※ちなみに『GURPS Traveller: Far Trader』のルールによる、計算で導き出された主要通商路も、この設定と同じ傾向を示しています)。
 オウルパスは古来からの主要地域で、特にイレリシュ宙域に近いギヌパ・ラディクスや、ウシュウリ・ウェイとして宇宙旅行者に知られている地域は、グシェメグ宙域の人口や生産力の多くを持っています。このオウルパスから宙域内各地へ、そしてダグダシャアグ、ザルシャガル、イレリシュ宙域方面へジャンプ-2ルートで接続されています。
 これらの立地条件により、グシェメグ宙域は第一帝国の時代から富を蓄積していました。第一帝国期にはグシェメグ・メインによる交易が栄え、第二帝国になると産業の中心はオウルパスに移動し、ダグダシャアグ方面との交易が活性化しました。そして第三帝国の時代になって、この両方の「通路」に沿って活発な経済活動が行われています。
 グシェメグ宙域では、以下のメガコーポレーションが主に精力的に活動しています。特にヴィラニ系のメガコーポレーションは、宙域史に大きな影響を与えました。

スターンメタル・ホライズン Sternmetal Horizons LIC
 宙域本部:ファルン(3029)
 鉱業と製造業のメガコーポレーションであるスターンメタル・ホライズンは、グシェメグ中心地域(Heartland)の工業地帯に関心を持っています。
 またハールジ・オィ社(後述)と、合成食品市場で大きな共同プロジェクトを実施しています。この事業によってランシア独特の食文化を深く知ることは、より広大で多様な帝国各地での市場浸透力を高める理想的な機会、とスターンメタルは考えています。

テュケラ運輸 Tukera Lines LIC
 宙域本部:アスディキ(1015)
 テュケラ運輸は、主にグシェメグ・メインに沿って通商ルートを確保しており、イレリシュやダグダシャアグ方面との輸送事業では相当なシェアを持っています。
 なお主要通商路から外れた世界に対しては、宙域企業だったグシュライン(Gushline)社を買収し、支線を担わせています。

ナアシルカ Naasirka
 宙域本部:アスディキ(1015)
 ナアシルカは、ジル・シルカ成立以前からグシェメグ宙域における探査と植民についての任務を負っていました。第三帝国の初期には、エレクトロニクスとコンピュータ技術の地場産業との親和性の高さから、グシェメグ宙域の先進地域に進出することができました。
 ナアシルカは最先端技術に多額の投資を行い、グシェメグの多くの情報企業と繋がりを持っています。

マキドカルン Makhidkarun
 宙域本部:ククン(3105)
 ナアシルカとは対照的に、マキドカルンはヴィラニ宥和作戦の後にグシェメグ宙域に進出してきました。第三帝国に対して抵抗した世界の多くを占拠するためにです。結果、当時のグシェメグの銀河核方向世界はマキドカルンに反感を持っていました。
 数世紀を経てランシア文化が成長していくと、やがて両者に共生関係が生まれてきました。ランシアは優れた創造力が生み出すメディアとエンターテイメントを提供し、マキドカルンは技術と流通網を提供しました。そしてランシアの芸術とエンターテイメントは、マキドカルンを通じて帝国中に広まっていきました。

 また、宙域規模の大企業の間には『フォーチューン12』と呼ばれる称号があります。この『フォーチューン12』は、独立金融経済情報企業のフィンネット(FinNet)社が、グシェメグ宙域を代表する大企業12社を認定するものです。
 現在の『フォーチューン12』は以下の通りです(※本当は1116年時点の資料なのですが、平和な時代の10年でそう大きく変動はないと判断して、そのまま1105年設定に転用します)。

アルカト・シデリ Alkat-Shideri LIC
 本社:グシルディイミ(2036) 総取引額:35TCr.(テラクレジット)
 アルカト・シデリは、グシェメグ宙域における主要な武器製造元です。同社はルイ・アルカト(Ruy Alkat)によって534年に設立され、内戦時代には13型プラズマガンを製造していました。以来、同社は光線および粒子加速兵器(個人用・車両搭載用双方の)の分野で発展を続けました。さらに879年のシデリ工業(Shideri Industrial)との合併は、宇宙船武器市場へ進出するための施設と専門知識を与えました。
 アルカト・シデリはグシルディイミ、ヴォヒッサラ(3223)、ディカアシュ(0738)に主要な工場を持ち、事業所をグシェメグ宙域のリムワード側の、大部分のAクラス宇宙港に構えています。また実験施設はグシルディイミの衛星にあります。
 株式保有比率:貴族 10%、LSP 11%、アルカト家 40%、シデリ家 22%、自社保有 17%

エコ Eko
 本社:カムリンムル(2224) 総取引額:28TCr.
 エコはグシェメグの三大情報企業の一つです。彼らの仕事は、一次情報を得て、願わくば最も高い入札者にそれを売却することです。しかしその仕事のやり方や内容から、同社は世間では「半分は通信社、半分は情報部、全体ではボッタクリ屋」「エコはグシェメグの全ての戸棚の中身まで知っている」と散々な言われようです。
 エコグループ内部では、エコシーク社(Ekoseek)とエコファクツ社(Ekofacts)が稼ぎ頭です。エコシークは野外と研究所とを問わず、金になるどんなものでも研究しています。また、あらゆる環境に対応した探査チームやロボットを提供することができます。一方でエコファクツは、宙域内の主要なニュースと情報の代理店です。
 株式保有比率:自社保有 100%
 レフリー情報:エコの隠された「特別部門」では、宙域中あらゆる場所に広げられた秘密の情報ネットワークを用い、価値があるかもわからないどんな情報でも集めています。また、エコの総取引額の数値はあくまで口座上のもので、実際は49TCr.と推測されます。


エスガキイ Esgakii LIC
 本社:トリル(2029) 総取引額:73TCr.
 グシェメグ宙域の全ての証券会社や銀行の中で、最も高い評判を得ているのがエスガキイです。同社は暗黒時代後に頭角を現し、先物取引への投資や、多くの貨物船の保険を引き受けていました。その鋭い管理と慎重な計画から、エスガキイはグシェメグのトップ企業に踊り出ました。
 エスガキイは自らの手が潔白であることに細心の注意を払っています。あなたがもし堅実で法的に正しいビジネスの提案を持っているのなら、エスガキイは的確な助言と多額の融資、そして時には内密の情報を与えてくれるでしょう。
 株式保有比率:エスガキイ家 33%、グウウイルバタアシューリバア家 27%、貴族 39%、自社保有 1%

オケアン Okean LIC
 本社:ダウル(1826) 総取引額:19TCr.
 オケアンは、海洋開発分野における技術研究や建設や農業を専門としています。オケアン製の潜水艇や海中住居、個人装備は、コストパフォーマンスが良好であることが広く知られています。オケアンはグシェメグ宙域の全ての海洋世界と、海のあるハイテク世界の多くに営業所を構えています。
 会社を支えているのは、積極的な研究です。特に水中活動の助けとなる遺伝子操作生命の開発に熱心です。しかし、遺伝子操作の倫理憲章違反の告発を受け、オケアンは環境保護運動の抗議の的となっています。
 株式保有比率:スターンメタル・ホライズン 16%、貴族 10%、アンタレス・ホールディングス 19%、投資信託会社 20%、自社保有 35%

グリルゼ Glirse LIC
 本社:ファルン(3029) 総取引額:51TCr.
 グリルゼはグシェメグの主要な鉱業会社で、ジャンプドライブ製造の鍵となるズチャイやランサナムの鉱脈を多く所有している、そんな幸運な地位にあります。内戦の直前にファルンの小惑星帯でズチャイ・クリスタル(Zuchai Crystal)の豊かな鉱脈を発見した際、同社は大いに儲かりました。幸運にも内戦はグシェメグ宙域を避けたため、同社がその資産を荒らされることなく存分に利用することができました。
 グリルゼは現在、鉱山以外にも興味を持ち、ガスジャイアントの核から希少な資源を採取する研究に投資を行っています。
 株式保有比率:貴族 18%、エスガキイ 19%、オルタレ・エ・シェ 9%、スターンメタル・ホライズン 23%、投資信託会社 17%、自社保有 14%

シェー・オィ Cez Oy
 本社:リイガシュ(2815) 総取引額:39TCr.
 シェーはランシアだけでなく、ガシェメグ全体からダグダシャアグの一部分にまで営業範囲を持ちます。同社は娯楽に飢えた消費者のために、ホロ映像やシムスティムの番組、コマーシャル映像などを制作しています。
 スタジオや制作施設はランシア圏の大部分の世界と、他のいくつかの世界にあります。さらに子会社のスティムシェー社(StimCez)には多額の研究投資が行われており、ここはシムスティムや仮想現実エンターテイメント研究の最前線となっています。
 株式保有比率:貴族 19%、エスガキイ 15%、マキドカルン 13%、投資信託会社 14%、自社保有 39%

シシュマダルシャグ Shishmadarshag LIC
 本社:ロスクウアタヴ(1308) 総取引額:27TCr.
 略してシュマシュ(ShMaSh)とも呼ばれるシシュマダルシャグは、グシェメグ宙域における薬品や医薬品の主要なメーカーです。家庭用の痛み止めから抗老化薬や戦闘ドラッグまで、シシュマダルシャグが扱う製品の範囲は広いです。
 シシュマダルシャグは大きな研究センターをロスクウアタヴに持ち、傘下の研究所や生産工場は宙域中の至る所にあります。
 一方で、社の収益源が大衆薬ではなく超能力ドラッグではないかと噂されていて、秘密の工場がタンサ星域にあるのではないかと言われています。
 株式保有比率:SuSAG 20%、貴族 18%、投資信託会社 29%、自社保有 33%

ステースク・ロボティクス Staesk Robotics LIC
 本社:ドロウン(2325) 総取引額:43TCr.
 ステースク・ロボティクスは、自動型および(人や管制コンピュータの制御を受ける)従属型ロボットを製造しています。とても伝統的な企業のため、最新のスタイルやサイバー技術の取り込みには熱心ではありませんが、それでも会社の売上高には影響を及ぼしていません。ステースクが重視しているのは、何度もテストをくぐり抜けた、がっちりとした実用的なデザインなのです。
 ステースクは、ダムボット(単一用途のロボット)や家庭用オートボットの製造市場を支配しており、保安用や軍用ロボットの製造者でもあります。またステースクは、シュドゥシャム・ロボット工学会議(Shudusham Robotics Conference)のメンバーでもあります。
 株式保有比率:ナアシルカ 17%、アルカト・シデリ 4%、メイハン・ホールディングス 33%、エスガキイ 16%、自社保有 30%

セヴソフト SevSoft LIC
 本社:アルメク・ザマア(0527) 総取引額:31TCr.
 セヴソフトは、上質の企業向けソフトウェアや公文書ソフトウェア(多くの地方政府のネットワークで見ることができます)で実績を上げ、911年には、帝国偵察局のXボート・ネットワークにAVTAオペレーティングシステムが採用されました。
 AVTAは962年に実際にXボート・ネットワークのアップグレードで運用が開始されましたが、1039年にサイバーハッカーがシャカマシュ(グシェメグ宙域 2716)のXボートシステムに侵入し、海軍兵站基地(Depot)(同 3016)の帝国最高機密文書を暴露したことにより、セヴソフトは大きな打撃を受けました。
 もちろんセヴソフトは、このような事件を再び起こさせるつもりはありません。
 株式保有比率:貴族 7%、自社保有 93%

タラ・データメトリクス Tala Datametrics LIC
 本社:イマパール(1616) 総取引額:20TCr.
 一般的にはTDMとして知られているタラ・データメトリクスは、大量のデータを集め、分析し、それを企業に販売しています。膨大な市場調査の結果を、例えば物事の好き嫌いから宙域内の星系ごとのスピード違反者の対人口比率まで、マーケティング企業に提供することができます。
 またTDMは帝国有数の遠隔測定技術を持ち、惑星の環境監視システムや、リアルタイムの気象データの販売も手がけています。
 株式保有比率:貴族 22%、ナアシルカ 29%、ヴァシリー・ホールディングス 15%、トローク社 13%、投資信託会社 14%、自社保有 7%

ハールジ・オィ Hallji Oy
 本社:グダク(3211) 総取引額:24TCr.
 ハールジはランシア文化圏の食品産業の主要な供給者です。ハールジは文化圏内に会社所有の世界を維持しています。例えばタンサ星域のラオー星系(3004)には、大規模な農場と食品加工工場があります。
 同社はランシア圏だけでなく、宙域の半分を覆う流通網を持ち、シャイアー星域のビーンガブ(3026)にそれを管轄する子会社を設立しています。
 ハールジにはランシアの宇宙船のために、遺伝子操作植物と水耕法システムに関する革新的な研究計画があります。
 株式保有比率:貴族 34%、マキドカルン 26%、エスガキイ 8%、投資信託会社 11%、自社保有 21%

フロラヴィー FloRaVee LIC
 本社:フェアブライアー(1423) 総取引額:15TCr.
 フロセタ・ラブラタ・ヴィーエナ(Floceta-Rablata-Veeyena)LICの略称であるフロラヴィーは、公文書保管の専門家です。同社はレファレンス(コア宙域 0140)から来た3人の情報エンジニアによって、962年に設立されました。
 現在、フロラヴィーにはグシェメグ宙域やその向こうの多くの企業や政府が記録を預けています。フェアブライアーが会社の登記上の本社ではありますが、実際にはサーロウン星域とその近隣の星域に、いくつかの秘密の保存所を構えていることが知られています。
 フロラヴィーの営業所はグシェメグ宙域内全ての星域首都で見つけることができます。そして同社は、優良取引先の地域同士を繋ぐ独自のXボート・ネットワークを運用しています。
 株式保有比率:フロセタ家 20%、ラブラタ家 20%、ヴィーエナ家 20%、ナアシルカ 17%、TDM 8%、貴族 4%、投資信託会社 7%、自社保有 4%

(※ちなみに「オィ」というのは、ランシアのケフー語(Kehuu)での会社の古風な言い方で、SuSAGの「AG」のようなもののようです)

 『フォーチューン12』に運輸企業が入っていないのは、多くの企業が商圏を星域規模としているためです。グシェメグ宙域内の主な運輸企業としては、以下のものがあります。

 コムステルライン(商圏:バレチ、サーロウン星域)
 フリーグ輸送(商圏:オウルパスのシャカマシュ~ファルン間)
 グシュライン(テュケラの半子会社。辺境方面行きに特化)
 ハアマン・アナニ・ビラアン(略称HAB。商圏:ヴランド領域)
 キイラ&ルアー宙輸(商圏:キイラ、ルアー星域)
 SIFTA(商圏:グシェメグ・ダグダシャアグ境界付近)
 ステラトレック・トラベライン(略称STTL。宙域内最大手の運輸会社)
 ヴァペシ・エンス・ケヴ(ヴァペシの企業。商圏:イナピイルン星団)
 ヴィパチ・トレーダーズ(商圏:ヴィパチ星域)


【付録:ライブラリ・データ】
ヴァペシ Vapethi
 ヴァペシはイナピイルン星系(グシェメグ宙域 0723)の群小種族です。彼らはその場の気温や環境、集団内での地位、個人的な感情に応じて、様々な形をとります。基本的な形状は、丸みを帯びた円柱状の体に4本の触手が付いています。「皮膚」はその時の機嫌を示す重要な指標で、暗い色になればなるほど激しい感情を意味します。

アエル・ヤエル Ael Yael
 ジェイェルヤ星系(グシェメグ宙域 0437)出身の知的種族であるアエル・ヤエルは、6本足の動物から樹木の間を飛行できるよう進化しました。彼らの母星の低重力と濃い大気は、飛行に適していたのです。
 大人になると身長1.5メートル、体重50キログラム、前肢から進化した翼は幅4メートル程度になります。また、中肢の一組が物体を操作する際に使われます。アエル・ヤエルは人類よりはわずかに視力が良く、特に赤外線を見通すことができるため、夜間でも視力を保てます。
 -6500年頃にアエル・ヤエルと接触したヴィラニ人は、資源の見当たらないジェイェルヤにも、当時TL0だった彼ら自身にも利用価値はないと判断して、星系を隔離しました。やがてソロマニ人の時代が来て封鎖は解かれましたが、細々とした交流は暗黒時代に途絶えました。
 しかし第三帝国時代初期にジェイェルヤに大規模な鉱脈が見つかり、366年に当地に進出したマカティール鉱業(McAteer Mining)が彼らを奴隷として酷使したため、415年には彼らの蜂起に至り、結果アエル・ヤエル人口の95%が虐殺されるという惨事となりました。結局437年にようやく海兵隊が介入し、マカティール鉱業の追放と虐殺の共謀者として星域公爵を起訴することで事件は終結しました。その後は星系を偵察局が帝国保護世界として管理していますが、現在でも彼らは企業というものを嫌っています。

シムスティム Simstim
 人工的に形成された仮想空間を現実と同じように感じて動き回れる、言わば「能動的な」仮想現実(ヴァーチャル・リアリティ)と異なり、シムスティムは第三者の視覚や行動や感情を「受動的に」体験するものです。言い換えれば、観客が映画の主人公と一体化して、主人公が見たもの感じたものそのままを観客が受け止められるものの、映画の中の世界を観客が自由に行動できるわけではなく、あくまで脚本の通りに進んでいくのがシムスティムです。
(※元々はウィリアム・ギブスンの小説『ニューロマンサー』に登場した用語で、「擬験」と和訳されています)

スムリイ S'mrii
 スムリイはミムー星系(ダグダシャアグ宙域 0208)で6本足の爬虫類から進化した知的種族です。スムリイはヴィラニ人が宇宙開発を始める15000年も前(-25300年頃)には既に宇宙に飛び出しており、順調に行けばもう少しで「主要種族」になれるところでした。
 核戦争による絶滅の危機が彼らに1万年の遠回りを強いましたが、それでも復興を遂げたスムリイは、-13610年頃には再び宇宙に帰ってきています。やがて開発されたスムリイのラムジェット宇宙船は1パーセクを約15年で進むことができ、-11000年頃には彼らはミムーを中心とした6パーセク以内の世界に広まっていました。
 しかし-9090年に、カーラナク星系(同 0302)に前哨基地を築いていたヴィラニ人と接触したことにより、スムリイは主要種族となる機会を永遠に失いました。なお、その頃までにはスムリイは、グシェメグ宙域のミゾースクアムー(3009)、ウーッスースファ(3110)、チャザール(3208)、スクトラッスーイイア(3212)に世代間宇宙船(Generation ship)で入植を果たしています。
 なお、彼らは神経技術(Neurotechnology)の専門家です。

タパースマル人 Tapazmal
 タパースマル人はドライカン星系(レフト宙域 3134)に太古種族によって移された人類で、灼熱の世界であるドライカンの環境に適応するために、空気が薄くて気温が低い、高い峰の斜面に住んでいました。他の人類と異なり、タパースマルは太古種族によって少子となる遺伝子操作を受けていましたが、これは山岳において乏しい資源を節約するために逆に役立ちました。
 やがて星々を越えて来たロースカルス人が-4700年頃に、続いてヴィラニ人が-4300年頃に彼らと接触し、タパースマルはヴィラニ文化を受け入れる代わりに、ヴィラニ人の技術と保護を得ることができました。
 第一帝国の崩壊により、彼らは祖先の文化的記録を発掘し、研究し、復興することができました。またソロマニ人の協力によって、タパースマルはいくつかの植民地を手に入れました(現在ではドライカンに加えてレフト宙域の5星系、グシェメグ宙域の1星系がタパースマル世界となっています)。
 タパースマルは、伝統的なスタイルやモチーフと現代技術を組み合わせた、偉大な芸術や建築技術で知られています。また彼らは、保守的で、社会における個人の役割が厳密に定義されていますが、平和的で勤勉な種族です。

パダンシュ・ミトローイ Padansch-Mitloi
 パダンシュ・ミトローイ(銀河公用語で一番近い発音)はフェネージ星系(グシェメグ宙域 0338)に生息している、身長3メートル(肩までは2.5メートル)で8本足の、巨大な草食知的種族です。
 パダンシュ・ミトローイの遺伝子には、何者かが遺伝子操作を行った痕跡が残されています。誰がこれを行ったかはわかっていませんが、フェネージ星系に太古種族の直系子孫であるドロインが居住しているのは興味深い点です。

ロースカルス人の母星 Loeskalth's Home World
 結局のところ、ロースカルス人の故郷がどこであったかについては、正確な資料は残されていません。それだけヴィラニ人は彼らの文化の痕跡を徹底的に破壊し尽くしたのです。しかし数少ない資料から推測すると、彼らの母星がヴィパチ星域のヴィラニ・メイン上のどこかにあったのは間違いないでしょう。
 しかし最近になって、興味深い発見がなされています。アアプ星系(グシェメグ宙域 0132)において、5000年以上星系内の軌道を周回していた約500億トンの小惑星船が、偶然に発見されたのです。船は全長約10km×幅8km×高さ8kmの大きさで、さらに、帝国外のソーレンテ星系(ファー・フロンティア宙域 3030)から1パーセク離れた空域でかつて発見されたものと、ほぼ同一のものだったのです。
 調査の結果、どうやらロースカルスの滅亡を前にして、彼らは大裂溝を越えて未知の宙域の新しい「家」を見つけるために、これらの移民船を掘削したものと思われます。船はジャンプ-1ドライブとラムジェット亜光速ドライブを搭載し、1隻に1万~1万5千人が居住するための工房、水耕農場、小艇の発着所、対隕石防御レーザー(これは発見時にも生きていました)、そしてロースカルス文化の全てを収めたはずのライブラリーを備え付けていました。残念ながらデータは大部分が失われていましたが、復元できた記録により、移民船は少なくとも6隻建造され、少しずつ進行角度を変えて出発したようです。
 この2つの移民船の進んだ推定ルートから逆算すると、出発点はアバエロウ星系(グシェメグ宙域 0233)であることがわかりました。またこの結果を受けてのアバエロウでの最新の考古学的な調査により、約6000~6600年前頃の人類の遺跡がいくつか発見されています。
 しかしこのアバエロウ星系がロースカルス人の母星であったかどうかについては、まだ最終的な結論は出ていません。一部の研究者からは、サガル星系(同 0339)とする説も唱えられています。


【参考文献】
・HIWG Document #3404,#3408,#3410,#3412,#3413,#3417,#3420,#3423,#3426,#3427
・GURPS Traveller: Nobles (Steve Jackson Games)
・GURPS Traveller: Alien Races 4 (Steve Jackson Games)
・MegaTraveller: Imperial Encyclopedia (Game Designers' Workshop)
・Challenge #69 (Game Designers' Workshop)
・The Zhodani Base
Comment
この記事をはてなブックマークに追加