宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

レビュー:『Cepheus Engine Vehicle Design System』

2017-04-17 | Cepheus Engine
 『Cepheus Engine Vehicle Design System』は、その名の通り『Cepheus Engine』の車両設計ルールです。
 以前説明した通り、『Cepheus Engine』は大人の事情でマングース版『トラベラー』第2版に乗れなかった人々が「自由に」使える2D6系SF-RPGシステムとして急拡大しているのですが、これまで車両設計システムは未搭載でした。というのも、『Cepheus Engine』の基となったTraveller SRDには、車両設計ルールとなる『Vehicle Handbook』は含まれていなかったのです。
 それを補うべくゼロから作られたこの『Vehicle Design System』、蓋を開けてみると何と「(SRDにある)宇宙船設計システムを車両にダウンサイジングする」という、今までありそうでなかった作りになっていたのです。クラシック版『トラベラー』をやったことのある世代ならピンとくるでしょうが、つまり「まず船体の大きさを決め、船体とドライブの出力(A~Z)との兼ね合いで速度が決まり、ドライブ出力はパワープラント(A~Z)の出力以下に制約される、あとは空いた隙間に必要な物を詰め込んで終わり」というお馴染みのあれなのです。

 さて今回のレビューですが、いちいちシステムを解説するのも長くなりますし、システム自体は無料で手に入れようと思えばできるので参照も容易ですし…ということで、実際に車両を設計することでレビューに代えてみようかと思います。
 やはり『トラベラー』の花形車両といえばエアラフト。しかし、クラシック版ルールでは1台60万クレジットもする超高級車でもあります。『Cepheus Engine』では27万5000クレジットと控え目になりましたが、それでもおいそれと買える値段ではありませんし(1クレジット=1ドル≒100円と考えると目安になります)、派手目なシナリオで壊してしまうとプレイヤーに恨まれそうです(汗)。
 そこで、庶民でも買えそうな「軽反重力車」をこの『Vehicle Design System』で設計してみます。はたしてそう都合よくいきますかどうか…?

1.車体の選択(Choose a Vehicle Chassis)
 輸送機器としての車体枠の大きさをまず決めます。これにより車両の重さ・積載容量が全て決まります。
 ここでは「大きさの例(Size Example)」に「小型車(Compact Car)」と書いてある「コード4」を迷わず選択します。重さは0.75トン、容量(Spaces)は9(容量1=1/12トン)、価格は2100クレジット、製造時間(Construction Time)は7時間と自動的に決まります。更に「閉鎖型(Closed)」か「開放型(Open)」かを決めます。一般のエアラフトのような開放型だと車体価格が1割引きとなりますが、差別化も兼ねてここはあえて閉鎖型を選択。
 また、特殊な環境で用いるための追加装備(腐食環境防護とか)も選べますが、全て省略。自家用車なので追加装甲もなしとしますが、一応車体の素材をTL4の「鉄(Iron)」にしておきます。これで自動的に基礎装甲点(base amount of armor)が2となります。
(※素材選択は「追加装甲の」価格と装甲点に影響するので、ここで車体を高TLの硬い素材にして余計に基礎装甲点だけを貰っておくズルも可能ではありますが…)

2.推進力の選択(Choose locomotion/propulsion)
3.動力源の選択(Choose power supply)

 ここはまとめてやってしまいます。反重力車両を作るので推進力は当然TL9の「反重力(Grav)」(TL12の改良型反重力(Advanced Grav)でもいいのですが、価格が倍になってしまうので…)、動力源にはTL9の「初期核融合(Early Fusion)」を選びます。ただこれ極端な話、積載空間さえ確保できれば石炭燃料のTL3外燃機関(External Combustion)で反重力車両を飛ばせるようにも読めます。私の勘違いであればいいのですが、まあこれはこれでスチームパンクな設計も可能だと好意的に解釈できなくもないです(笑)。
 ここで宇宙船と同様にそれぞれの「ドライブ番号」を決めないといけません。車体の大きさと欲しい速さに比例して必要とされる推進力は大きくなりますし、それを支える動力源もより大きなものが必要になります。車体コード4だと、ドライブBで「1」、Cで「2」、Dで「3」、Eで「6」が得られます。ここで得られた係数を「基本車両速度(Vehicle Base Speed by Drive Performance)」表で「反重力(Grav)」の欄を参照すれば、Bの係数1でも時速100キロメートルで走行可能なことがわかります。これで十分ですからドライブBを購入し、必然的にパワープラントもBが必要となります(C以上は無駄ですし)。
 「ドライブ価格(Vehicle Drive Costs)」表でBを、かつ反重力は「滑空(Thrust)」に属するのでその欄を参照すると、動力炉は基礎容量0.26の基礎価格が300クレジット、滑空の推進力は基礎容量0.3の基礎価格が15000クレジットと出ます。初期核融合や反重力はたまたまそれに掛ける倍率は全て1倍となっているので、先程の数字がそのまま使われます。

4.燃料容量の決定(Determine fuel requirements)
 動力源を核融合としたので、自動的に燃料は水素となります。その燃料をどれだけ蓄えるかを決めますが…空きスペースとの兼ね合いもあるので後回しにします。いずれにせよここでは、その輸送機器を「連続何時間(もしくは何日/何週間)動かせたいか」で必要な容量が決まります。さらに動力源の種類次第で燃料量に掛けられる数が変化します(といっても初期核融合は1倍ですが)。

5.操縦方法の選択(Choose vehicle’s controls)
 とりあえず何の補正もない(代わりに高くもない)TL4の「標準(Basic)」を選んでおきます。容量は1必要です。ちなみにTLが高くなるとヘッドアップ・ディスプレイによる操縦支援や、思考制御も可能になるようです(そして当然高額です)。
 ここで車両の敏捷度修正(Vehicle Agility)を出しておきます。これは走行方法や操縦席によって「運転が容易かどうか」を示す指標です(主に〈運転〉技能判定の修正値になります)。この車両の場合、反重力車両で0、小型(2トン以下)で+1、標準操縦で0の補正が得られるので合計で+1です。

6.通信機器の選択(Choose vehicle’s communications system)
7.探知機の選択(Choose vehicle’s sensor package)
8.搭載コンピュータの選択(Choose vehicle’s computer system)

 今回の用途には必要なさそうなのでとりあえず無視します。ちなみにコンピュータを搭載すると車両が技能を持つことができるようになるので、例えば搭載兵器の自動射撃が可能となります(自動操縦はここではなく操縦席の追加装備で「自動操縦(Autopilot)」の購入が必要となります)。

9.搭乗乗員数の決定(Determine number of required crew)
 車両の操縦には運転手が最低1名必要で、操縦席(Cockpit)の設置がいります。まず容量2の「標準操縦席(Cockpit, Basic)」を置きます。価格は1000クレジット。
 あと、3人掛けの「窮屈な座席(Seat, Cramped)」も置いて4人乗りにします(イメージとしては一般的な自動車の後部座席?)。容量は4、価格は2000クレジット。

10.追加装備の決定(Determine additional components)
11.砲塔・武器装備点の決定(Determine turrets, fixed mounts)

 ここは武器や追加装備を積んだりなので全て省略します。

 さてここで確認です。コード4の車体に積める容量は9で、これまで0.26+0.3+1+2+4=7.56を使っているので残りは1.44です。この中に後回しにしていた燃料タンクを作らなくてはなりません。
 「燃料要求量(Power Plant Fuel Requirements)」表でドライブBの動力源は1時間あたり容量0.00052が必要とされ、初期核融合の補正係数は1倍です。とりあえず容量の残り1.44のうち0.04だけ燃料に回すと、連続走行時間は約77時間と出ます。まあこれだけあれば大丈夫でしょう。

12.残った容量を荷台に割り当てる(Allocate remaining space to cargo)
 残った1.4の容量はそのまま荷物の積載空間とします。容量1.4をキログラムに直すと116.67キログラムなので、ちょっとした荷物は運べそうです。

13.最終的な価格と製造時間を求める(Calculate final price and construction time)
 ここまででかかった金額は20400クレジットです。宇宙船と同じく、これを標準設計の量産品とすることで1割引となるので、18360クレジットが最終価格です。2万クレジットを切る値段なら、ちょっとローンを組めばTL9の自家用反重力車が手に入りそうです。
 そして製造にかかる時間は、車体コード4の基礎製造時間が7時間、追加装甲はないので補正なし、標準設計にしたのでその補正もないので結局7時間で製造できることになります(ちなみにカスタムメイドだと10倍かかります)。

 ちなみにこのVDSでも、標準車両記述書式(Universal Vehicle Description Format)が定められています。先程完成した車両を当てはめると、

TL9軽反重力車
 閉鎖型0.75トン車体(船殻点0、構造点1、装甲点2)を採用したTL9軽反重力車は、初期核融合炉(コードB)と反重力機関(コードB)を搭載し、最高速度は時速100km、巡航速度は時速75km、敏捷度補正は+1です。動力炉は積載された水素燃料40リットルで約77時間稼働します。この車両は標準操縦席で制御されます。荷台には1.4kl搭載可能です。運転者を1名必要とし、他に3名を搭乗させることができます。価格は18.36KCr.(標準設計による10%引きを適用)で、製造に7時間かかります。


 ここから改造するとするなら、2000クレジットの追加で自動操縦(ただしTL9を維持するなら〈反重力機器-0〉しか取れませんが)、後部シートを外して操縦席を2人掛けにして貨物スペースを増やすか軽い武装をつけるか装甲を増やす、あたりでしょうか(容量が厳しいので車載武器は無理ですが)。操縦性を犠牲にして(敏捷度修正を減らして)車体価格を削るのは、元々の価格が安いのであまり意味がないでしょう。

 元々ケチくさいコンセプトの上に、VDS自体が「初期核融合+反重力」を基準にした係数設定になっているのでかえって見本としては不適格になってしまいましたが、従来の『トラベラー』シリーズの車両設計システムより簡易に作れるのはおわかりいただけたでしょうか。
 入手性の容易さから、今後このVDSで設計された車両が次々と産み出されそうな気がします、いや産み出されるに違いないと確信できる完成度です(疑問点や悪用されそうな点はなくはないですが…)。
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『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(7)

2016-09-21 | Cepheus Engine
 今回から数回に渡って戦闘に関するルールを解説していくのですが、一つ頭に入れておいて頂きたいことがあります。一般的なRPGでは戦闘シーンはゲームの華ですが、『Cepheus Engine』ではスリルと興奮こそ味わえるもののできることなら避けた方がいいです。
 なぜなら、ルールがプレイヤー側とレフリー側で全くの公平、イーブンに設計されているからです。他のゲームのように雑魚を10人単位でなぎ倒したり、プレイヤー側に強力な逆転手段が用意されていることはありません。よって、基本的に人数で劣る側が勝利するのはかなり難しいです。もちろん戦術を駆使したり、地形を利用したり、不意討ちを決めたりすることで補うことは十分可能ですが、その前に、敵より多くの人数を集め、状況を探り、武器や補給を整えるなど、戦闘前に戦略レベルで勝利の算段をつけておくことこそが大事です。実際に戦闘が始まってしまえば、お互いに無傷では済みませんし…。


 では今回は個人戦闘ルールについて。『Cepheus Engine』の個人戦闘は1.5メートル四方のスクエア(マス)で格子状に戦場が区切られます。移動や射程などの管理もこの1マス単位です。また、1ラウンドは6秒です。
 レフリーが戦闘状態に入ったと考えたなら、戦場マップにユニット(コマ)を配置していきます。その際、交戦しあう集団同士の距離はレフリーの裁量と常識で決定されます。


■不意討ちの確認
 まずレフリーは不意討ちが発生するかどうかを確定させます。状況を考慮してレフリーが不意討ちができると判断した場合は、不意を突いた側全員の行動順を決めるサイコロ(後述)が自動的に12となります(それか、自動的に戦闘を避けることもできます)。

■行動順(Initiative)の決定
 戦闘に参加している全員がここで行動順を確定させます。全員の「2D+敏捷度DM」の結果を確認し、数値が高い順に行動していくことになります。ただし、〈戦術〉技能を持っている場合はここで判定を行い、効果値(8との差)をその者から「連絡のつく全員」の行動値に加えることができます(※複数人が〈戦術〉持ちだった場合の処理は曖昧になってしまいました(原典では「最大値のみを採用」)。指揮官のみが振れる、と定めるのも良いかもしれません。また、〈戦術〉判定の結果が負だった場合に破棄して良いかも曖昧です)。
 「連絡のつく全員」としたのは、何らかの理由で集団が分断された場合に恩恵が受けられないことを意味します。この場合、分かれた集団に〈戦術〉を持つ者がいるなら以後は別個に〈戦術〉判定が行われます。
 この行動順は戦闘開始時に定められますが、戦闘中に行動順が変化する場合があります。例えば、各ラウンド開始時に「急ぐ」を宣言することによって一時的に行動順に+2を得ることができます(代わりにそのラウンド中の全ての行動にDM-1)。
 なお行動順が同点の場合は敏捷力の大きい方から、それでも同じ場合は同時行動(とルールにありますが、順番のあやもあるので何かしらの手段で決めるべき)です。

■行動(Actions)
 行動順が回ってきたら行動を行います。1ラウンド(6秒)の間にできることは、「マイナーアクション(Minor Actions)1回」と「メジャーアクション(Significant Actions)1回」です。どちらを先に行うかはプレイヤーの判断次第です。
 あと、警告を発するとかボタンを押すとか、判定の必要もないような簡単な行為は「フリーアクション(Free Action)」として自分の手番の好きなタイミングで行えます。
 加えて、行動順が回ってきた時に「遅らせる」ことを宣言できます。これを宣言したキャラクターは、他のキャラクターの行動に割り込んで行動ができます(同時に、割り込んだキャラクターの行動順は割り込まれたキャラクターの数値と同じに再設定されます)。ラウンド終了まで行動を「遅らせ」続けたキャラクターは、次のラウンドの最初に行動することができます(そのキャラクターの新しい行動順は、全体で最も早い行動順の数値+1となります)


■マイナーアクション(Minor Actions)
狙う Aiming
 目標を定めて「狙う」を宣言することにより、1回につき命中判定のDM+1を得られます。最大で+6まで溜めることができますが、一度攻撃すると無効となります。

急所を狙う Aiming for the Kill
 これを宣言することにより、1回につき命中判定にDM+2、その目標へのダメージに+2の修正を得ます。これも最大で+6まで溜めることができますし、一度攻撃すると無効になるのは同じですが、加えて、宣言を行っている最中は移動や反応(後述)ができなくなり、他者から攻撃を当てられる(※文章に"hit"とあるので負傷の有無は関係ないと思われますが…?)ことでも溜めた修正は無効となります。

姿勢を変える Changing Stance
 キャラクターの取れる姿勢には3種類あり、「伏せ(prone)」「片膝(crouched)」「立つ(standing)」の状態を切り替えることができます。姿勢によって命中修正やできる行動に影響があります。

構える/装填する Drawing and Reloading
 準備していなかった武器を鞘から抜いて構えたり、弾切れの際に再装填します。武器ごとに弾薬装填にかかるマイナーアクション数が定められていますが、大抵は1回です。

移動する Movement
 基本的に1ラウンドで6メートル(4マス)移動できますが、悪路など移動し辛い地形や「片膝」状態の場合は移動量が半減します(※匍匐前進はルール上できないので、「伏せ」状態では移動不可となります)。

その他 Miscellaneous
 技能判定など、(2~3秒程度で)レフリーが行えると判断したものを行えます。

■メジャーアクション(Significant Actions)
マイナーアクションを2回行う Minor Actions
 メジャーアクションをマイナーアクション2回に変換します。これにより、例えば1ラウンドで移動を3回=12マス移動、ということも可能になります。

攻撃する Attack
 詳しくは後述します。

とどめを刺す Coup de Grace
 近接距離(3メートル)以内の行動不能の相手を自動的に殺害します。

その他 Miscellaneous
 超能力の使用や技能判定など、(6秒以内で)レフリーが行えると判断したものを行えます。


 戦闘の主目的は相手に攻撃を当てることです。これに関するルールは色々ありますので、しっかり把握しておきましょう。
 自分の行動で攻撃を宣言したら、攻撃目標を定めて自分との距離を確認します。斜線など、攻撃が可能であることの確認が取れたら以下の判定を行います。

 白兵戦武器を相手に命中させるには:〈白兵戦〉、筋力か敏捷度、瞬時、難易度は距離次第
 射撃武器を相手に命中させるには:〈射撃武器〉、敏捷度、瞬時、難易度は距離次第
 投擲武器を相手に命中させるには:〈運動〉、敏捷度、瞬時、難易度は距離次第

 まず、命中の難易度は相手との距離に左右されます。これは武器種別ごとに定められていますが、この武器種別は〈白兵戦〉や〈射撃武器〉の技能の種別とは異なりますので気をつけてください。命中における武器種別は、白兵戦武器が「至近(Close Quarters)」と「近接(Extended Reach)」の2種類、射撃・投擲武器が「投擲(Thrown)」「拳銃(Pistol)」「長銃(Rifle)」「散弾銃(Shotgun)」「Assault Weapon(※訳語を迷っています)」「ロケット砲(Rocket)」の6種類で、それぞれ距離ごとに難易度が「命中難易度表(Table: Attack Difficulties by Weapon Type)」で定められています。
 目標までの距離の分類は以下の通りです。

 至近距離(Personal):1.5m以内(0マス)
 近接距離(Close):1.5~3m(1~2マス)
 近距離(Short):3~12m(3~8マス)
 中距離(Medium):12~50m(9~34マス)
 遠距離(Long):51~250m(35~166マス)
 超遠距離(Very Long):251~500m(167~334マス)
 遠方距離(Distant):501m以上(335マス以上)

 0マスの欄があることでわかるように、他者と同じマスに侵入が可能であることに注意してください。
 例えば、9m(6マス)離れた敵をレーザーカービンで撃つ場合、距離が「近距離」で武器種別は「拳銃」ですから、表を見て難易度は「並(±0)」であることがわかります。これが敵に9マスまで離れられると「中距離」になるので難易度は「難(+2)」に上がります。また、武器種別は「拳銃」ですが、射撃に必要な技能は〈ピストル〉ではなく〈エネルギー・ライフル〉です。

 難易度が定まれば、後は武器技能レベルと能力値DMを加えて判定…とはいきません。ここから更に様々なDMがかかります。

狙う Aiming
 目標に対して「狙う」行動で得ていた修正を加えます。

隠蔽効果 Cover
 目標の体がどれだけ障害物で隠されているかで命中に-1~-4の修正が課されます。完全隠蔽で-4、75%隠蔽で-2、50%隠蔽で-1、25%隠蔽で±0ですが、姿勢が「片膝」「伏せ」の場合は隠蔽具合が1段階上になります(よって、無隠蔽状態でただ「片膝」になっただけでは命中に影響は与えないのです)。また、完全隠蔽状態で「片膝」「伏せ」をしていると命中判定は自動的に外れとなります(ただし応射もできません)。

環境効果 Environmental Effects
 暗闇や天候状況など、現在の周囲の環境によって命中に-1~-4の修正が課されます。

武器の電脳化 Intelligent Weapon
 武器にコンピュータを内蔵させることによって、ソフトウェアによる命中補正を受けられるようになります(※「スキルウェア(Expert Skill Software)」によるものなので、「ソフトの技能レベルを代わりに使う」か「ソフト以上の技能レベルを持つならDM+1」のどちらかを得られると思います。ただし、このソフトは「知力か教育度ベースの技能のみ」とも書いてありますし、武器に搭載できるコンピュータのメモリ量との兼ね合いで最大0レベルしか得られないように読めますが…?)。

照準器 Laser Sight
 (レーザーに限らず)照準器を搭載した銃器の場合、「狙って」攻撃した際に命中に+1の修正を得られます(※明記はされていないので、+6の上限を越える唯一の手段ではないかと思います)。

移動補正 Movement
 目標がこのラウンドで移動している場合、10mごとに命中に-1が課されます。

目標が反応した Reactions
 攻撃の目標となった者はそれに「反応」して「回避(Dodges)」または「受け(Parries)」を宣言することができます。命中に不利なDMを課させる代わりに、目標の行動順はそのラウンド中一時的に2下がり、そのラウンドの全ての行動にDM-1が課されます。また、この負の補正は同じラウンドで反応を繰り返すごとに累積します。
 射撃武器で狙われたのなら「回避」を宣言することで、命中判定を-1させます。
 白兵戦武器で狙われたのなら「受け」を宣言することで、命中判定に「受ける側が今装備している白兵戦武器の技能レベル」だけマイナスDMを課せます。
(※逆に言えば、そのラウンドで行動済みのキャラクターは気兼ねなく反応ができるということになりますが…)

目標の姿勢 Target Stance
 目標が「伏せ」ている場合、中距離以上からの攻撃には命中判定にDM-2が課せられますが、逆に至近距離(1.5m以内)まで詰めるとDM+2となります。

武器の反動(無重力環境のみ) Weapons with Recoil (in Zero Gravity)
 反動(Recoil)のある武器を無重力状態で使用した場合、命中に-2されます。


 こういったあらゆるDMを加味して8+を出せば命中、出せなければ外れとなります。命中した場合は当然ダメージ処理に移行します。武器ごとに定められたダメージの数だけサイコロを振り、その合計値から目標の装甲値(Armor)を引いたものが最終的に与えるダメージとなります。なお、命中判定が例外的成功(14+)だった場合は最低でも1ダメージが保証されます。

 ダメージを受けた場合、そのダメージはまず耐久力に入ります。耐久力が0になってもまだダメージが残っているのなら、筋力か敏捷力のどちらかが(負傷するキャラクターが選んで)減らされます。2つ目の能力値が0になってもまだダメージが溢れているのなら、残るもう1つを減らしていきます。
 ダメージを受けた結果、現在の能力値の状態によって負傷の度合いが決まります。

 1点でも能力値が減った:軽傷(wounded)
 3つの能力値が全て1点以上ずつ減っている:重傷(seriously wounded)
 2つの能力値が0になった:気絶(unconscious)
 3つの能力値が0になった:死亡(dead)

 例えば、耐久力が0になって軽傷となり、筋力も減った状態で更にダメージを受けた場合、筋力を削れば気絶するが敏捷力を削れば重傷で留まる、というケースも考えられます。重傷状態でも戦闘続行は可能ですが、1回の移動量は1.5m(1マス)にまで落ち、手番で与えられるマイナーアクションは自動的に放棄されます(よって、マイナーアクションを行うためにはメジャーアクションをマイナー2回に変換するしかありません)。
 ここで注意が必要なのは、2つの能力値がぴったり0になって気絶した場合は重傷ではなく軽傷だということです。この負傷具合の違いは治療の際に影響しますので間違えないようにしてください。

 『Cepheus Engine』はヒットポイント制ではなく能力値自体が削れる方式なので、ダメージを受けると必然的に能力値DMも変化します(と言うより、変化しなければヒットポイント制を採用するのと変わらないです)。間違えないように処理してください。
 ちなみにルールの都合上、筋力の重要性は敏捷力に劣るため、よほど筋力に自信があって敏捷力が少ないのでなければ、耐久力→筋力→敏捷力の順に削っていくのが定石となるでしょう。筋力は荷物の運搬力にも関わるので、常に筋力を削ればいいというわけでもないですが…。
(※敏捷力DMが減った場合に行動順が変わるかどうかは不明確ですが、変化させない方が混乱がないと思います。どのみち「待つ」ことでいくらでも変化させられますし)


 こうして自分の手番が終了したら、次の行動順の人が行動して…を繰り返し、(行動を遅らせ続けている人も含めて)全員が行動を終了したら次のラウンドが始まります。また行動順の数値が一番大きい人から行動を開始します。

■特別ルール(Special Considerations)
乱射 Blind Firing
 目標を見ないでとにかく(オート射撃を含めて)撃つため、技能レベルは0レベル扱いとなり、命中判定のサイコロは「3Dのうち一番高い目を捨ててから合計」したものが使われます。また、射程内の敵味方関係なく全ての対象の中から目標がランダムに選ばれます。
(※隠蔽具合などによる命中修正を確定させないといけないため、まずランダムに目標を決めてから判定を行うべきです。また、完全隠蔽状態から乱射ができるかどうかは明記が無いですが、乱射の目的を考えるに状況がおかしくなければ許可してもいいでしょう)

バースト射撃 Burst Fire
 複数のRoF(Rate of Fire)値を持つ銃器は「バースト射撃」が可能です。1回の攻撃でRoF値と同じだけ弾薬を消費することにより、命中やダメージが上方修正されます。どれだけ修正されるかはバースト射撃効果表(Table: Burst Fire Effects)を参照してください。
(※おそらく「通常/バースト/オート」の各モード切り替えはフリーアクションなのでしょう)

爆発物 Explosions
 手榴弾やロケット砲など爆発を伴う武器は、着弾地点の周辺に影響を及ぼします。爆風に対して回避反応を行えばダメージは1Dだけ減らされます(当然行動順は減少します)。隠れ場所を求めて「飛び込む」のならダメージを半減させられますが、代わりに自動的に「伏せ」姿勢となり、次のラウンドのメジャーアクションが放棄されます。

誤射 Firing into Combat
 射撃目標と同じマス(至近距離)に他のキャラクターが居る場合、目標への命中にDM-2が課されます。更に、それで攻撃が外れた場合は1Dで4+を出すと目標から最も近い対象に誤って命中します。

格闘 Grappling
 至近距離の対象への〈生得武器〉攻撃が成功し、更に対象の〈生得武器〉判定に勝利した(出目で上回った)場合、通常のダメージを与える代わりに以下の行動1つが成功したことにしても構いません。

  • 判定が例外的成功なら対象の武器を奪う、成功なら対象の武器を地面に落とさせる。
  • 対象を3メートルまで引きずる。
  • 現在の格闘状況から逃れる。
  • 対象に「2+〈生得武器〉判定の効果値(※おそらく自分と相手の判定の出目の差)」ダメージを与える。
  • 打撃により対象を伏せ姿勢にさせる。
  • 対象を3メートルまで投げ飛ばして1Dダメージを与え、格闘状況を終わらせる。

 なお、これらの行動後に判定の勝者側は現在の格闘状況を終わらせるか続行させるかを選択できます。続行させた場合はこの状況が続く限り、〈生得武器〉の対抗判定に勝利した方が上記の行動を選択できます。

パニック射撃 Panic Fire
 命中にDM-2され、弾薬を全て消費する代わりに、バースト射撃と同じダメージ補正を得られます(おそらくバースト不可な銃器でも)。

散弾の拡散 Shotgun Spread
 散弾銃で中~遠距離の目標を攻撃した場合、ダメージが2Dに減らされる代わりに命中に+1されます。また、目標から至近距離(同じマス)にいる全ての対象に命中します(※おそらく上記の誤射ルールの例外と思われます)。

〈リーダー〉技能の使用 Leadership
 戦闘中にメジャーアクションで〈リーダー〉技能を使用すると、8を上回った数値だけ対象1人の行動順を増加させることができます。

 他にも、戦場における通信手段(Battlefield Comms)、戦場の天候(Battlefield Conditions)、探知機(Battlefield Sensors)、制圧射撃(Suppression Fire)のルールがありますが割愛します。


 さて、個人戦闘ルールをざっと解説してきたわけですが、このルールで生き残るには「できるだけ奇襲をかける」「先手を取る」「防具や遮蔽物をちゃんと確保する」のが大事だということがお分かりいただけたでしょうか。とはいえファンタジーRPGと違って、よほど治安の悪い所でもなければ街中を防具を着て歩くわけにもいきませんから、そもそも戦闘にならないように行動するのが肝心です。
 あと、レフリー側のダメージ管理も結構負担になるルールなので、管理シートを用意するなり、雑魚敵のUPPは一律555555、一般兵で777777…という具合に手抜きするのもありでしょう。
 それとルールに記載はないですが、何も全滅するまで戦う必要もありません。真っ当な物の考えをしているなら全体の25%も戦闘不能になったら逃げるか降伏するかを考えます。〈リーダー〉技能を使った士気判定ルールを用意するのもいいと思います。


 続いて、傷を負ったなら回復しなくてはなりません。〈医学〉技能持ちがここで大活躍します。が、ゲームなので現実よりも回復は早いとは言え数日間の離脱を強いられるので、やはりそもそも無駄に怪我をしないのが第一です。

■自然治癒(Natural Healing)
 負傷したキャラクターは、丸一日静養に努めれば「1D+耐久力DM」点だけ能力値が回復します(※回復させる能力値はポイント内で好きなように選んで構いません)。一方、何か行動しながらだと回復量は「1+耐久力DM」点、重傷状態だと静養していても「耐久力DM」点となります。ここで気を付けるべきなのは、耐久力DMがマイナスとなっている場合、自然治癒に任せていては逆にダメージを受けてしまうということです。特に重傷状態では必ず耐久力は0になっているはずですから、放置すれば毎日3ダメージを受けてしまいます。

■医療による治癒(Medical Treatment)
 自然に任せては治らないことを理解したところで、〈医学〉技能を使用した治療について解説します。この場合、以下の手法が可能です。

応急手当て First Aid
 怪我をしてから5分以内に応急手当てを受けたなら、「〈医学〉判定の効果値(8との差)の2倍」点ほど失われた能力値が回復します。5分を過ぎてしまっても1時間以内なら〈医学〉効果値と同じ点だけ回復します。なお、自分自身を応急手当てする難易度は難(-2)です。
 この段階で「軽傷」まで回復させられれば自然治癒も見込めるのですが、そうでない場合は…
(※『Cepheus Engine』では明記がありませんが、応急手当ての判定書式は「〈医学〉、教育度、1D分、並(±0)」です。よって、判定を急がない限り戦闘中の応急手当ては現実的ではありません。また、装備品の「医療キット(Medical Kit)」は必要だと思います)
(※応急手当てに失敗するとダメージを受けるのか?という疑問については、おそらく「失敗は回復しないだけ」と思われます。そして戦闘後5分以内に最初の判定機会があり、失敗したら1時間以内に最後の判定機会がある、と解釈していいと思います)
(※気絶状態から意識を取り戻すタイミングが不明ですが、おそらく応急手当てで気絶状態を脱すればその時点で、できなければ自然回復などで軽傷状態に戻らなければ眠りっぱなしなのでしょう)


手術 Surgery
 応急手当てを施してもなお重傷状態であるのなら、手術が必要となります(重傷でないのなら手術は意味がありません)。手術には病院や(船の)病室が必要で、執刀医の〈医学〉効果値だけ回復しますが、効果値がマイナスならダメージとなります。手術を繰り返して1つの能力値が全快すれば「軽傷」状態となるので(※後のことを考えれば耐久力から回復してもらうべきですが、あえて元の能力値が低い所を手術して全快を急ぐ手もあります)、術後は入院して治癒に専念することになります。
 なお、自分自身を手術する難易度は至難(-4)です。
(※手術費用は1回につき「1D✕50✕TL」クレジットだそうです)

入院 Medical Care
 入院ということなので、当然病院や病室の寝台で静養する必要があります。回復量は1日ごとに「2+本人の耐久力DM+担当医の〈医学〉技能レベル」点で、損害を受けている能力値が均等に回復していきます(※手術後なら能力値1つは完全回復しているはずですから、残る2つで半々に分け合うことになるわけです)。
(※入院費用は1ヶ月で「100✕TL」クレジットだそうですが、30日以上も入院することはないでしょう)


 最後に、現在『Cepheus Engine』SRDに掲載されている武器を、技能別に「推測して」分類してみました(重火器は全て〈重火器〉で扱えるので割愛)。まあ見たまんまではあるのですが、なぜかルールではその分類が曖昧なまま放置されているので…。

〈白兵戦〉武器
〈生得武器〉:非武装攻撃(Unarmed Strike)
〈殴打武器〉:棍棒(Cudgel)
〈刺突武器〉:槍(Spear)、矛(Pike)、槍斧(Halberd)、銃剣(Bayonet)、フルーレ(Foil)
〈斬撃武器〉:短剣(Dagger)、剣(Sword)、長剣(Broadsword)、小剣(Blade)、カトラス(Cutlass)

〈射撃戦闘〉武器
〈弓術〉:弓(Bow)、クロスボウ(Crossbow)
〈エネルギー・ピストル〉:レーザーピストル(Laser Pistol)
〈エネルギー・ライフル〉:レーザーカービン(Laser Carbine)、レーザーライフル(Laser Rifle)
〈散弾銃〉:散弾銃(Shotgun)
〈ピストル〉:レボルバー(Revolver)、オートピストル(Auto Pistol)、ボディピストル(Body Pistol)、ジェットピストル(Snub Pistol)
〈ライフル〉:カービン(Carbine)、ライフル(Rifle)、オートライフル(Auto Rifle)、アサルトライフル(Assault Rifle)、ジェットライフル(Accelerator Rifle)、戦闘ライフル(Advanced Combat Rifle)、磁気ライフル(Gauss Rifle)、短機関銃(Submachinegun)


 次回は順当なら車両戦闘ルール…なのですが、とりあえず遊ぶのに必要なルールは一通り解説できたのでもういいかなぁ、という気もしてきています(汗)。むしろこの『Cepheus Engine』を一回総括してしまおうかとも考えたりしています。
 では反響次第でもうちょっと頑張る、ということで。
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『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(6)

2016-09-08 | Cepheus Engine
 宇宙船を動かすには何かとお金がかかります。今回は、自分で貿易商船を購入して運用する場合の支出(Starship Expenses)と収入(Starship Revenue)について解説していきます。


 まず支出の方から。前回紹介した200トン貿易商船の場合、購入金額は約35メガクレジットという大金がかかっています(というか「たった」35億円で恒星間宇宙船が買えるぐらいに「安くなった」と考えることもできますが)。一括購入できるような富豪でもなければローンを組むことになりますが、この場合でも購入金額の20%は頭金として支払わないといけません。34.929✕20%=6.9858ということで、約7メガクレジットは用意する必要があります。
 今回はこれはどうにかして払ったとして、残る返済額は船体価格の240分の1ずつを480ヶ月かけて払うことになります。つまり頭金と合わせて船体価格の220%が利息を含めた総支払額となるのです。
 前回解説した通り、商用宇宙船の運行は2週で1セットとなるため、精算も2週あたりで計算することにします。2週分の返済額は34.929÷240÷2=0.07276875、単位をメガクレジットからクレジットに直すとCr.72769となります。
(※頭金のくだりは『Cepheus Engine』では曖昧なのですが、総支払額が購入額の220%と明記されているので間違いなく頭金は20%です)


 続いて運行経費について。精製済燃料(Refined fuel)は1トンあたりCr.500ですので、満タンにするにはCr.500×24トン=Cr.1200かかります。ここをCr.100の非精製燃料(Unrefined fuel)にしたり無料の燃料スクープなどによって浮かすこともできますが、ここでは一応ちゃんと支払っておきます。
 船室の環境維持費(Life Support)は1室ごとに1月あたりCr.2000かかります。これは酸素供給や食料など、その船室で生きていくのに必要なコストが全て含まれます。一方冷凍寝台はそういったコストを抑えられるので、1月Cr.100で事足ります。この船の場合は、船室10・冷凍寝台20ですから((Cr.2000✕船室10)+(Cr.100✕寝台20))÷2=Cr.11000が2週間あたりのコストとなります。
 宇宙船の安全運行のためには、年1回の定期補修(Routine Maintenance)も欠かせません。それにかかる金額は購入額の0.1%で、造船所で行う必要があります(つまりAかBクラス宇宙港の星系に出向くのです)。(『Cepheus Engine』では明記がありませんが)作業には2週間かかり、当然その間の収入は全くなくなってしまいますが乗組員の給与などは支払わなくてはなりません(一応「月給」ですし…)。この定期整備を怠ると船がどんどん破損してしまうので、いざという時にお金がなくて困らないように積み立てておきましょう。船体価格Cr.34929000✕0.1%÷25(※1年=52週で整備に2週ですから動かすのは50週、計算は2週単位ですからさらに半分)≒Cr.1398が1回あたりの積立額となります。
 先程も出ましたが、乗組員への給与(Crew Salaries)も必要です。今回は自分が航法士を兼ねるとして、操縦士1名、機関士1名、接客係2名、船医1名を雇用することにします。砲手は諦めます(笑)(現実的に見て、商船の砲門ごときで海賊船に対抗できるとは思えません)。2週間あたりの支払額は(6000+4000+3000✕2+2000)÷2=Cr.9000です。
 宇宙港では停泊料(Port Fees)も必要です。これは6日間でCr.100、延長料は1日でCr.100です。今後どうなるにせよとりあえずCr.100は払います。

 この時点で総コストは72769+1200+11000+1398+9000+100=Cr.95467。損益分岐点は10万クレジット弱ということになりますので、それを目指してこれから商売に励みましょう。


 続いて収入について。商業宇宙船の収入源は、主に旅客(Passengers)、貨物(Bulk Cargo)、郵便(Mail)の各輸送業務が柱となります。旅客と貨物は、現在停泊中の宇宙港の規模に応じてサイコロを振って船荷・乗客表(Table: Available Freight And Passengers)を参照し、船に積めることのできる分だけの運賃収入(貨物は1トンでCr.1000、旅客はチケット通りの価格)が得られます。
 一方、郵便輸送業務は恒星間政府や自治体との契約によって行われるもので、契約した場合は船倉を常に5トン空けておくことが義務付けられ、代わりに1ジャンプ運ぶごとにCr.25000を受け取ります(実際に運ぶ郵便物は1D-1トンです)。ただし郵便物を運ぶには船が武装しており、一定の通商路を行き来することが条件です。
 他に、私的な(えてして秘密の)郵便物や小荷物を預かって目的地で引き渡す(謝礼はCr.20~Cr.120が相場)、船の貸し切り(Charter)を引き受ける(非恒星間宇宙船なら船体1トンにつき1時間でCr.1(最低12時間)、恒星間宇宙船なら満杯にした際の収入の9割(2週間契約))ことで収入を得ることもあります。

 では実際に乗客や貨物を募ってみましょう。今、Aクラス宇宙港に停泊しているとして、表を参照しながら期待値通りの反応があったとすると、貨物が100トン、特等船客が10人、一等船客も10人、二等船客が30人集まります。船の輸送能力は貨物が85トンと船室が7、冷凍寝台が20ですから満杯どころか溢れます。ということは、貨物からの収入がCr.85000、特等船客からCr.70000(そして一等船客は全員断る)、二等船客からCr.20000が得られます。合計でCr.175000ですから、約8万クレジットが1ジャンプの儲けとなります。

 しかし飛んだ先がCクラス宇宙港で、そこで募集をかけたらどうなるでしょう。同じく期待値通りなら貨物が20トン、特等船客が2人、一等船客が7人、二等船客が10人しか集まりません。貨物収入がCr.20000、旅客収入が一等船客4人に2人部屋に入ってもらっても、特等Cr.20000+一等Cr.16000+一等2人部屋Cr.26000+二等Cr.10000=Cr.82000です。総計Cr.102000ですからかろうじて黒字といったところでしょうか。ちょっと募集が振るわないと赤字もありえます。その際には再募集をかける(サイコロを振り直す)手もありますが、1回の募集で3日が経過するので注意してください。

(※『Cepheus Engine』の貨物・旅客募集ルールは、出発星や到着星の人口や宇宙港やTLの差、旅行安全情報の有無、乗組員の技能レベルが一切考慮されない単純なものとなっています。また、2人部屋でいいかどうかはレフリーの裁量次第のようです。基本的にはNPCが夫婦や家族である場合のみに2人部屋を認めるか、始めから船室を2人部屋仕様に設計した場合だけでいいのではないでしょうか)


 このように、Aクラス宇宙港同士をずっと飛んでいればだいたい儲かりそうな気もするのですが(プレイヤーに悪用されそうだ…)、そればっかりとはいかないでしょう。やはりリターンが欲しければリスクを負わないといけません。そこで投機貿易(Speculative Trading)です。
 投機貿易とは、自分で商品を仕入れて自分で運び、自分で売って差額を利益で得る商売方法で、うまく当てられれば大儲けも可能というのが魅力です。

 では実際にやってみましょう。まず売り手を探すところから始めます。これは本来〈ブローカー〉(や、闇市場の商品なら〈交渉〉)を使って1D日かかる行為なのですが、TL8+の世界にいるのならネットで〈コンピュータ〉を使って1D時間でささっと見つけてしまうこともできます(笑)。難易度は並(±0)ですが、宇宙港の規模に応じてプラスDMが入るので、だいたい見つかるでしょう。

 続いて売り手が何を売りたがっているか、『Cepheus Engine』116頁の一般商品表(Table: Common Goods)か貿易商品表(Table: Trade Goods)でサイコロを振って決めます。前者か後者のどちらの表を振るかはレフリーの裁量だそうですが、前者は宇宙のどこでも産出されてどこでも需要のある安定した商品、後者は星々によって価値の変わってくる商品が並んでいます。

 貿易商品表で一番注目すべきなのは、購入(Purchase)と売却(Sale)にかかるDMです。これはその星の貿易分類によって支払い時の判定に掛けられるDMが記されているのですが、例えば26番の「反重力機器(Grav Vehicles)」だと基本価格は16万クレジット、トン数は1D、購入DMは「高人(Hi)+3、富裕(Ri)+2」、売却DMは「非工(Ni)+2、貧困(Po)+1」と書いてあります。購入・売却のDMはプラスの分だけ安く購入/高く売却できる可能性が増えるので、高人口や富裕世界で買い付けて非工業や貧困世界に持って行けば儲けられそうな商品だ、ということがわかります。
(※『Cepheus Engine』ではマイナスDM、つまり農業世界で農産物を売ろうとすると買い叩かれる、ようなことはなくなりました)

 では実際に買い付けてみます。〈ブローカー〉技能による判定を行い、その結果で価格修正表(Table: Modified Price Table)を見るのですが、先程の貿易分類によるDMに該当していたらそれも加えられます(複数該当する場合は一番高いDMのみが適用)。そして簡単に言えば結果が8+なら基本価格よりも割り引いて仕入れることができます。価格に不満なら断ってもいいのですが、再交渉は1週間後になってしまいます。

 そして商品を別の星に運んで今度は買い手を探し(判定は売り手を探すのと同じです)、売却金額を先程と同様に価格修正表で決めて実際に売るかどうかを考慮します。
 反重力機器の例だと、〈ブローカー-1〉を持つ船長なら期待値的には高人口世界から非工業世界に運ぶだけで8万クレジットの儲けが期待できます(70%で買えて120%で売れそうなため)。しかもたった3~4トン程度の商品を運ぶだけで、です! そううまくいかないのが世の中ではありますが。

 また、買う際売る際に地元の仲買人(Local Brokers)を雇うこともできます。これなら自分が〈ブローカー〉を持たなくても仲買人の〈ブローカー〉技能レベルで判定を行うことができますが、当然高い技量を持つ仲買人の手数料は高額です。しかも、その地の宇宙港クラスで〈ブローカー〉技能レベルの最大値が決められます(例えば4レベルの仲買人はAクラス宇宙港にしかいません)。
 仲買人の手数料は最終価格の(技能レベル✕5)%で、その分が直ちに持って行かれますが、DMと表の兼ね合いで損をすることはありません。自分の目利きに自信がないのなら絶対に雇いましょう(ただし価格に不満があっても手数料は払わなくてはなりません)。もちろん腕利きの仲買人をレフリーが素直に出してくれるかどうかは別ですが…。
(※『Cepheus Engine』では、地元の仲買人を介さない取り引きは御法度、という設定は紹介されていません)

 このように旨味も大きい投機貿易ですが、買い手が見つからなければいつまでも船倉に置かれて場所を食うだけになってしまいますし、シナリオ進行の過程で商品が破損してしまう可能性もあります。臨検で書類の不備を見咎められて没収、なんてことはレフリーのよく使う手口です(笑)。
 そもそも売り手の登場がランダムである以上、商品を狙って安く買えるチャンスは意外と少ないのです。それでも狙って高く売ることは可能ですから、やってみる価値は十分にあります。

 他のRPGでは類を見ないこの「貿易ゲーム」は、一人遊びにも向いています。貿易分類を参照することから自然とUWPの読み方も身につきますし、無味乾燥な星域図に経済の流れを感じ取ることができるようになります。貿易産品からその星の産業をイメージしたりと、UWPに「命を吹き込む」にはもってこいです。
 この貿易を中心にキャンペーンを組み、うまく情報を流したり小荷物で目的地へ誘導したりするのが王道中の王道の遊び方ではあるのですが、プレイヤーが金儲けに夢中になり過ぎないようにレフリーは気をつけてください。冒険そっちのけでは本末転倒ですし、あまり懐が豊かすぎると、人間、危ない橋は渡ってくれませんしね(笑)。


 次回はようやく個人戦闘について。
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『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(5)

2016-09-02 | Cepheus Engine
 今回は予告通り「宇宙旅行(Off-World Travel)」についてです。宇宙旅行と一口に言っても「惑星間旅行(Interplanetary Travel)」と「恒星間旅行(Interstellar Travel)」がありますが、やはりSF-RPGとしての『Cepheus Engine』に求められているのは後者でしょう。

 前回書いた通り、『Cepheus Engine』で取り扱われる「ジャンプ航法」は数パーセクの距離を「たった7日間(厳密には148+6D時間)」で跳躍するものです。宇宙船に搭載されたジャンプドライブの性能次第で一度に飛べる距離が1~6パーセクの範囲で定められ、例えば「ジャンプ-2」の性能なら一度に2パーセク以下の距離を飛べることを示しますが、どんな距離を飛ぼうとかかる時間は同じ7日間です。
 光よりも速く移動できる手段が宇宙船のみである以上、情報が伝わる速度と旅の速度は同じということになります。星域規模ならまだしも、宙域規模以上の恒星間国家では国境付近で何か変事が起きても首都にそれが伝わるまでに数週間、十数週間、下手すれば1年後ということもありえます。それゆえに恒星間国家では1日でも早く情報を得るために様々な工夫をしているのですが、それは設定次第ですので割愛します。

 ジャンプを行うためには条件があります。惑星や恒星の重力場の影響を避けるために「直径の100倍圏」から離れてジャンプしないと失敗する危険が大幅に増します。また、安全にジャンプを行うためには宇宙船の定期整備を怠らず、できれば純度の高い燃料を使い、最新の航路情報を入手し、腕の良い機関士を雇うのが欠かせません。
 仮にジャンプに失敗すると「ミスジャンプ(Misjump)」となり、完全にランダムな方角に飛ばされてしまいます(しかも距離は1D✕1Dパーセクで求められるので、ありえない距離をジャンプしてしまう可能性が大)。生還できるかどうかは、ジャンプした先にたまたま恒星系が有るかどうか、そこで燃料補給ができるか、できなくても生存に必要な水や空気が揃っているかどうかにかかっています。
(※原典のマングース版『トラベラー』ではミスジャンプ=即死であり、レフリーの温情措置としてランダムジャンプが用意されていましたが、『Cepheus Engine』ではランダムジャンプに一本化されました)

 さて、宇宙旅行をするには宇宙船が必要ですが、旅客として乗り込むのが一番手軽です。宇宙港の規模にもよりますが、停泊している大手企業の定期便や個人の商船と目的地が合えば、そこへのチケットを購入して搭乗するわけです。
 宇宙船に旅客として乗り、7日強の旅をするには以下の5つのパターンがあります。なおルールの便宜上、チケットの価格は「ジャンプ1回につき」であってジャンプの距離とは関係ありません。

特等船客 High Passage
チケットは1枚10000クレジット(2人部屋なら16000クレジット)。乗務員や船から最高のサービス(食事・娯楽提供など)を受けられ、手荷物も1000kgまで持ち込めます。目的地で下船する際も再優先で降りられます。
一等船客 Middle Passage
チケットは1枚8000クレジット(2人部屋なら13000クレジット)。特等船客で客室を埋められなかった際に、割引価格で販売されるチケットです。部屋は特等と同じですが、受けられるサービスや食事の質は落ちます。持ち込める手荷物も100kgまでです。何よりも一等船客には、出航前に後から来た特等船客に部屋を「追い出される」リスクがあります。返金こそされますが、その後の補償は何もありません。その場合はすぐさま停泊中の別の宇宙船に乗り換えるか、差額運賃を払って特等船客となり、他の一等船客を自分が「追い出す」しかありません。
二等船客 Low Passage
チケットは1枚1000クレジット。客室ではなく冷凍寝台で仮死状態になって運ばれることによって、低価格かつ主観時間で「あっという間に」到着することができます(老化も停止するので数年かかるような超長距離の旅行に向いています)。ただし冷凍睡眠特有の危険性があり、蘇生の際に「難易度簡易(+4)で耐久力の判定」に失敗すると生命の危機に陥ります。その際は船医が「〈医学〉、教育度、易(+2)」で判定して成功すれば助かりますが、それも失敗なら本当に死亡します(賠償金も責任追及も発生しません)。手荷物は10kgまで持ち込めます。ちなみに下船は貨物搬出の後です。
雇用船客 Working Passage
チケットを購入するのではなく、宇宙船の臨時雇いとして働くことで目的地に到達する手段です。給料こそ運賃と相殺で出ませんが、船員室(基本2人部屋です)での就寝と船員と同じ食事が約束されます。ただしあくまで臨時雇いなので、連続4ジャンプ以上勤めると正規雇用されたことになります。また乗り込むためには船長が許可を出し、求められる技能を持っていないといけません。手荷物は1000kgまで持ち込めます。
密航 Stowaway
宇宙船に密かに忍び込み、無賃乗船を企てることも一応可能です。宇宙港当局や船員の目を盗み、宇宙船の与圧区画のどこかで7日間をやり過ごせばいいのですが、捕まれば禁錮刑や重い罰金は避けられません。また、目的地で密航が発覚して強制送還される際の費用は、密航をみすみす許した船の持ち主か船長に請求が回るため、密航者は発見され次第「なかったこと」にされがちです。それと、宇宙船の「乗っ取り行為(Hijack)」もこの範疇に入るでしょうが、当然宇宙船側にも物理的・電子的な乗っ取り対策が施されていることを忘れないでください。

 船にもよりますが、大多数の商船は1週を航行に、1週を停泊(乗務員の休暇、貨物の搬出/搬入、宇宙船の補給整備など)に充てて2週を一組にした運用がされます。同じ船に乗り続けるなら2週で1ジャンプしかしないことになりますので、急ぐ旅なら毎回宇宙港で乗り継ぎが必要となりますね。

 宇宙船内で過ごす7日間ですが、客船なら娯楽設備も充実しているでしょうし、豪華な談話室で他の船客とゆったりと話し込むことも可能でしょう。しかし貨物船に同乗したり、個人経営の自由貿易商船では大手並のサービスは望めませんし(簡易な談話室や立体映画の配信ぐらいはあるでしょうけど)、そもそもRPG的には毎回毎回ジャンプ空間内でプレイヤーを惹きつけるようなNPCを出したり事件を起こすのも無理があります。
 「何事もなく目的地に着いたよ」でも十分なのですが、「ファストドラッグ(Fast Drug)」を使って解決する手があります。これは元々は医療用に延命措置を施す際に用いられる薬なのですが、代謝速度を60分の1に落とすのを利用して7日間を主観時間で3時間弱に感じさせることができるのです(周囲が60倍速で動いているように見えるので「ファスト」です)。これならちょっと船室で横になっているだけで目的地に着いてしまえるのですが、問題は外部からの干渉に全くの無抵抗になってしまうことです。乗り合わせた全員が一斉に服用するか、個々人の安全を確保した上で用量を守って使用してください。


 旅行者が必ず立ち寄る宇宙港がどういった施設なのかについては、『Cepheus Engine』では不思議と言及がないのですが(まあ何があるかは現実の国際空港を思い浮かべればいいでしょう)、覚えておくべきなのは多くの恒星間国家では宇宙港を星系自治の範囲外と定めていることです。治外法権線(Extraterritoriality Line)こと通称「XT線」を越えると地元政府の法権力は及ばなくなるので、よって、その星の珍妙な法律をうっかり犯してしまって追われる身になった場合は、何としてでも宇宙港に駆け込むのです(とはいえ殺人等の重犯罪ともなるとさすがに送還されるでしょうけど…)。
 また、宇宙港の付近には長旅を終えた旅行者や船員を色々な意味で癒やすべく、「宙港街(Startown)」と呼ばれる猥雑とした歓楽街がだいたいどこもあるものです。地元の治安レベルよりもやや低いのが常なので興味本位で歩き回るのは避けた方がいいですが、依頼などによる冒険への導入や情報収集、違法合法問わない物品の入手、そして一時的に身を隠すには便利な街でもあります。


 では続いて、自分で宇宙船を動かして自由に旅をする場合について。
 唐突ですが、あなたは貿易商船(Merchant Trader)を40年ローン(※厳密には480ヶ月なので、完済まで1月=4週計算で約37年かかります)で手に入れました。頭金は自分でどうにかしたか、共同出資者を募ったかとしましょう。これから長く付き合うことになる「相棒」のカタログスペックは以下の通りです。


 この200トン貿易商船は主要通商路線でよく見られる型です。ジャンプドライブA、通常ドライブA、パワープラントAを搭載し、ジャンプ-1と1G加速が可能です。燃料タンクは24トンを貯蔵し、1回のジャンプと4週間分のパワープラント稼働を支えます。
 艦橋にはモデル-2のコンピュータが搭載されています。この船には標準民生用探知機(DM-2)が装備されています。船室は10室で、二等寝台を20基備えています。武装設置点が2箇所があるため、火器管制に2トンが割り当てられています。積載貨物は85トンです。
 チタン鋼(防御点2)の船殻は標準船体です。加えて、2トンの燃料生成装置(1日につき40トンの燃料を生成可能)と燃料吸入装置が装備されています。
 この船には操縦士1名、航法士1名、機関士1名の計3名の乗組員が最低必要です。さらに、武装が搭載されたなら砲手が2名、旅客運行を行うなら船医と接客係が必要となります。
 この船は8名の特等船客(もしくは2人部屋にして16名の一等船客)と20名の二等船客を運ぶことができます。
 船体価格は34.929メガクレジット(割引価格かつ設計料込み)で、建造に44週間を必要とします。



 色々細々書かれていて混乱するかもしれませんが、要点だけかい摘むと、まず「ジャンプ-1」ということは1パーセク、つまり星図の隣のヘクスの星系に飛ぶことが出来るということです。1回のジャンプで燃料は使い切ってしまいますから、星系のない深宇宙のヘクスにジャンプしたり、連続ジャンプすることはできません。
 「燃料吸入装置」というのは、星系内にガス惑星がある場合にそこから低純度の燃料を「すくい取る」ための機械です。また、燃料は水素ですので生成装置を使って海洋からも燃料を作り出すことができます。これによって燃料代を浮かせることも可能ですが、この船は「標準船体」であって「流線系船体」ではないので、ガス惑星や大気圏内航行での操縦感に難があります。操縦士には慎重な操舵が求められます。
 船室が10で旅客用に8が割り当てられていますが、旅客運行のためには船医と接客係が必要なので船室を1つ基本2人部屋である乗務員用船室に回して3室に5名が、砲手も雇うなら4室に7名が住む形にする必要があります。船長は特権で1人部屋ですね。ただ、そもそも設計段階で乗務員室と客室は交わらないように配置すべきではありますが…。
(※〈スチュワード〉技能で1人が接客できる範囲は、特等船客が「1レベルごとに2人」、一等船客が「1レベルごとに5人」(両方とも0レベルから数え始める)と定義されているため、〈スチュワード-3〉の人を雇えば1人で全部接客できますが、2レベル以下だと最低2人で回さないといけません。また、レベル3でも特等2人部屋を2つ認めると1人では回せなくなるので、結局接客係は2名は必要になります…残念ながら船長も2人部屋に入ってもらいましょう)

 さて、1人ではこの宇宙船が動かせないことがはっきりしました。信頼できる乗組員を雇わなくてはなりません。宇宙船を動かすために必要な役職は以下の通りです。

操縦士 Pilot
〈パイロット〉技能で宇宙船を動かします。月給はCr.6000です。
航法士 Navigator
〈航法〉技能でジャンプ計画を作り、船を導きます。小さな船では操縦士が兼任することが多いです。月給はCr.5000です。
機関士 Engineer
〈エンジニアリング〉技能で船を補修し、各種ドライブを操作します。大きな船では補佐役として数名の機関士が雇用される場合もあります。機関士長の月給はCr.4000、機関助手はCr.1000です。
船医 Medic
宇宙船に旅客を乗せる場合には〈医学〉技能を持つ医師が必要となります(同時に何らかの医療設備が設置されます)。月給はCr.2000です。
接客係 Stewards
〈スチュワード〉技能で乗客の世話をし、食事を作り、楽しく旅行ができるよう手助けをする仕事です。月給はCr.3000です。
砲手 Gunner
武装船は砲門を操作するために〈砲門〉もしくは〈砲塔〉を持つ砲手を雇用しなくてはなりません。月給はCr.1000です。

 加えて、以下の役職も必要となることがあるかもしれません(通常は上の役職と兼務されるでしょう)。

船主/船長 Ship's Master/Captain
船主もしくは船長は、船と乗組員の安全に責任を持ちます。小型の船では操縦士や航法士を自ら兼務することが多いです。月給は基本Cr.6000ですが、多くの商船では船で得た利益の一部を給与代わりに受け取っています。
事務長 Ship's Purser
商用宇宙船ではしばしば、(他の役職と兼務されることも多いですが)金銭や物品の管理をする事務員を雇用します。月給は基本Cr.3000ですが、船から得られた利益の一部から支払われるのが通常です。(※おそらく必要な技能は〈管理〉や〈ブローカー〉でしょう)
その他
貨物係(Cargo Handlers)、甲板員(Deck Hands)、保安員(Security)などは必要に応じて雇われます(※砲手が保安員を兼務するのは経歴を考えても自然でしょう)。月給はそれぞれCr.1000です。

 なお、船上での乗組員の生活費は船の諸経費に組み込まれているものとします。また「月給」とありますが、船の運行単位が「週」なので「4週分の給料」とすると計算が楽になります。貰う方としても給料日が年13回やってくるので嬉しいですし(笑)。給料といえば、技量と給与が比例していないのも不自然です。上に挙げた月給は1レベルの場合として、2レベル以上の者には1レベルごとに1割増しで給与を出してあげるべきです。
 『Cepheus Engine』では役職兼任に関するルールが見当たらないため、恒星間宇宙船を動かすには操縦士・航法士・機関士の3人は必須となりました。従来1人で動かせた偵察艦も「3人が必要」と明記されています(おそらくマングース版やTraveller SRDで曖昧だった部分を明確にしたことによるものだと思われます)。プレイヤーで賄いきれない場合はNPCにしたりロボット化を検討しないといけないでしょう。


 では実際に船を動かしてみましょう。宇宙港での点検・補給を終え、貨物や乗客、郵便輸送契約を行っているなら郵便物も積み込み、入金を確認し、宇宙港の管制から出発許可も得られました。機関士が、温めていたパワープラントから通常ドライブに電力を供給して起動します。
 まず、操縦士は宇宙船を軌道上まで運びます。続いて航法士がジャンプ点(Jump Point)までの航路を策定します。前述した通り、ジャンプ点は安全のために惑星・恒星の直径の100倍離れた空間に設定されます。操縦士がその航路に宇宙船を乗せている間、航法士は今いる星系と目的地の星系のジャンプ計画(Jump Plot)を立てます。ジャンプ点に到達したら、機関士がジャンプドライブを稼働させてジャンプ空間に突入します。
(※ちなみにジャンプ空間を直視すると精神に悪影響が出るため、ジャンプ中の「窓の外」には満天の星々を模した立体映像が映し出されます)
 何事もなければ、7日後には無事目的星系の通常空間に宇宙船は出てきます。目的星系が安全かどうかを船長が確認したら、進発の指示が出されます。航法士が目的地を設定するのですが、場合によっては巨大ガス惑星に立ち寄って燃料補給をすることもあります。その場合は操縦士が上手くガス惑星の大気圏に船を「横付け」し、燃料をすくい取ります。ただしガス惑星は多くの宇宙船が立ち寄ることから、海賊たちの格好の待ち伏せ場所ともなっています。そこで多くの星系では惑星防衛艦(System Defence Boat)をガス惑星に配備し、警備をしているのです。そしてここや道中では様々な宇宙船と出会えるでしょう。何か情報を交換できるかもしれません。
 星系に軌道宇宙港があるのなら、操縦士はまずそこへ向かいます。宇宙港管理局(Port authorities)による検疫や立入検査はまず軌道上で行われるからです。停泊料を支払って宇宙港に停泊したら、乗客や貨物や郵便を降ろし、補給や整備点検を行います。乗務員はつかの間の休暇を楽しんだり、儲けになりそうな商品を探して仕入れたりします。余計なトラブルに巻き込まれたり、幸運な出会いもあるかもしれません。次の目的地を定めて、乗客の募集もしなくてはなりません。停泊期間の6日間(星系内移動に片道でだいたい半日かかるため。また、宇宙港の停泊料も「6日でCr.100」となっている)はあっという間に過ぎていきます……。


 もちろんジャンプ計画の策定や、ジャンプドライブの起動、宇宙船の操縦には判定が付いてくるのですが、いちいち行うのも面倒ですし、うっかり失敗すると致命的です(しかもゲームなのでその可能性は現実よりも遥かに高く誇張されている)。こういった描写は雰囲気を出すための演出として扱い、適度に省略していくのがいいでしょう。

 恒星間の移動には7日間かかりますが、ジャンプ点や他の惑星に移動するにはどれだけかかるのでしょうか。『Cepheus Engine』104頁の「航行時間表(Table: Common Travel Times by Acceleration)」を見れば一目瞭然ですが、数時間から十数時間というのが相場だというのがわかると思います。この表は「目的地の中間点まで加速を続け、中間点からは減速を続ける」前提で計算が行われているので、加速したままジャンプするような状況では自分で計算する必要があります(早い話が2倍の距離で公式に入れて結果を半分にすればいいのです)。


 次回は宇宙船の経済面、収入と支出について。
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『Cepheus Engine』で始めるロールプレイング・ゲーム入門(4)

2016-08-25 | Cepheus Engine
 色々迷ったのですが、『Cepheus Engine』はやはり宇宙SFもののRPGですから、旅の舞台となる宇宙について先に簡単に説明しておくべきだと思いまして。

 旅の舞台は宇宙ですが、そこには純粋に距離の壁が立ちはだかります。隣の星まで光の速さですら何年もかかるものを、人類を含めて知的生命体は科学技術で克服しました。「ジャンプドライブ(Jump Drive)」と呼ばれる超光速機関は、数パーセク(1パーセク≒3.26光年)の距離を「たった7日間」で跳躍してしまうのです。

 『Cepheus Engine』では、8✕10パーセクの空間を「星域(subsector)」という区画単位で呼び表します。星域は1パーセクごとに六角形(ヘクス)で分割され、そんな星域の中で様々な星々が輝き、様々な惑星環境の中で、様々な人々が生活を営んでいるのです。
 ちなみに星域を縦2横2の計4つ繋げた区画単位を「象限(quadrant)」、その象限を縦2横2に繋ぐ、つまり星域を16個集めた32✕40パーセクの区画単位を「宙域(sector)」と呼びますが、慣れないうちは1星域の範囲だけでも十分楽しめるでしょう。

 ちなみに、当然ながら宇宙空間では「東西南北」は意味をなしません。ではどうやって方角を表すかというと、銀河系の中心核に向かう方角を「銀河核方向(Coreward)」、逆に中心核から遠ざかる方角を「銀河辺境方向(Rimward)」、銀河が回転してくる方角を「銀河回転方向(Spinward)」、その逆を「銀河回転尾方向(Trailing)」と呼び表しています。宙域図や星域図は通常「上」の方がコアワードになるように記されるため、その逆の「下」がリムワード、「左」がスピンワード、「右」がトレイリングの各方向となるわけです。

 宇宙空間に建築物が立ち並ぶ時代になっても、大多数の人々は「惑星」の上で生活をしています。大気や気温が過ごしやすい惑星だけではなく、砂漠の惑星、海洋と群島だけの惑星、はたまた惑星と言っても真空の小惑星かもしれません。
 このように「惑星」と一言言っても色々ありますが、プレイヤーキャラクターである旅人たちが立ち寄るような有人(時には無人)惑星のことを「主要世界(main world)」といい、他の様々な惑星や主星・伴星(恒星)をひっくるめて「星系(system)」と呼びます。身近な例に例えるなら、地球が主要世界で、太陽系全体が星系となります。

 1星域、つまり8✕10=80のヘクスに星系がある確率は、1ヘクスごとに通常50%(1Dで4+)です。ただし、レフリーは設定を起こす際に星系密度を過密/粗密に調整することができます。「裂溝宙域(rift sectors)」にしたければDM-2、「粗密宙域(sparse sectors)」にしたければDM-1、逆に「過密宙域(densely populated sectors)」にしたければDM+1してください。

 各星系には1つ主要世界が置かれ、星系全体の統治はその主要世界から行われるのが常です。また、星系人口のほとんどは主要世界に集中して住み、資源採掘や科学研究など特別な事情のある一部の者のみが星系内の別惑星に細々と居るのが「お約束」です(もちろん例外を設けるのは自由です)。
 主要世界には「標準世界書式(Universal World Profile)」という形で、その星がどのような星かがひと目でわかるようにコード化されています。例を挙げると、

Name 0000 A123456-7 N 非工 R 123 Na

 ……わかりにくいですか? 慣れてくるとこの形式の方が一瞬で把握できて便利なのですが。まず「星系名」、「星系座標」ときて、続くアルファベットと6桁と1桁の数字は順番に「宇宙港クラス」「規模」「大気」「水界」「人口」「政治形態」「治安レベル」と並び、ハイフンを挟んで「技術レベル」が擬似16進数でコード化されています。さらに「基地の有無」「貿易分類」「旅行安全情報」、3桁の「各種概要」、「所属」と続きます。
 では順を追って詳細に説明していきます。


■星系名(World Name)
 UWPの最初にはその星系の名前が記載されます。同時にそれは主要世界の惑星名でもあります。


■星系座標(location of the world's hex)
 その星系が宙域(もしくは星域)のどの座標に位置しているかが4桁の数字で記されています。前の2桁がX座標(星図の左右)、後ろの2桁がY座標(星図の上下)を意味し、星図の「左上」のヘクスを「0101」としてそれぞれのヘクスに番号が割り振られていきます。星域図なら「0101」から始まって「右下」の終端が「0810」、宙域図なら終端は「3240」となります。


■宇宙港クラス(Primary Starport)
 その星系にある宇宙港の規模がどれだけ大きいかを示します(※「主要(Primary)」とあるように、複数ある場合は最大のものがコード化されます)。Aを最高級としてB、C、D、Eと格が下がり、Xが書かれていた場合は宇宙港すらない未開の地ということになります。

Aクラス宇宙港
恒星間の物流経済の要であり、非常に多くの宇宙船がひっきりなしに出港・停泊していると思って間違いない。宇宙港の規模は最大級で、惑星の地表上だけでなく軌道上にも宇宙港がある(地上港と軌道港の間はシャトルが頻繁に行き来する)。数千人規模の宇宙港職員が最高級のサービスを提供し、訪れる人目当てに様々な企業が賑やかに商売を営んでいる。また、宇宙港自体が複数置かれているのも珍しくない。高純度の燃料補給ができ、宇宙船の定期整備も可能。造船所もあるため宇宙船の発注・購入もできる。
Bクラス宇宙港
Aクラスには劣るが、星間物流の拠点としては十分な規模。軌道上に宇宙港があるのはAクラス同様ほぼ確実。高純度の燃料補給や、定期整備も可能。造船所はあるが、建造できるのは恒星間航行能力を持たない小艇のみ。
Cクラス宇宙港
ここから下のクラスに軌道宇宙港があることがまずありえないため、大気圏突入能力を持たない大型貨物船は避けて通る(か、艦載の小艇で地上宇宙港までせっせと荷降ろしする)ことになる。宇宙各地にありふれた「並程度の」宇宙港。低純度の燃料補給しかできず、定期整備は無理だが修理は可能。
Dクラス宇宙港
数隻も宇宙船が降りれば満杯になってしまいかねない、端的に言えば「田舎星」にある小さな宇宙港。あまり宇宙船が訪れないので、係官も数人で十分賄えてしまう。低純度の燃料補給はさせてもらえるが、修理施設はない。
Eクラス宇宙港
宇宙港と名こそ付いているが、整地された原っぱに誘導ビーコンが置かれているだけ、という粗末な作りが普通。燃料補給をさせてもらえるかどうかもかなり怪しい。係官が一人でも常駐している方が珍しいかもしれない。


■規模(World Size)
 その数に1000マイル(≒1600km)を掛けた値が主要世界の直径です。0の場合は小惑星帯に人々が居住していることになります。ちなみに地球は「8」です。
 惑星の規模と重力には相関関係があり、詳しくは『Cepheus Engine』168頁の「惑星規模表(Table: World Size)」を参照すればいいのですが、面倒なら「規模÷8」をその惑星の重力(G)の目安としてしまえばいいでしょう。つまり規模6の惑星なら6÷8=0.75、地球の4分の3の重力の星ということになります。本当は重力には惑星の密度も影響しますが、設定に凝らないならこれで十分です。
 規模が小さく重力が軽い星なら跳躍力が増して運べる荷物の量が増え、重い星ならその逆となります。重力が軽すぎる星では、慣れていないと簡単にバランスを崩してしまうかもしれませんが、高技術の星ならそうならないように地面に人工重力プレートが敷き詰められて常に1Gが保たれているかもしれません。


■大気(Atmosphere)
 「大気」は、その惑星の大気圧と汚染状況を示しています。0が真空で、9に向けて数値が大きいほど大気は「濃く」なっていきます。また、「汚染(Tainted)」と書かれた大気の星で呼吸をするためには濾過マスクが必要となります。この汚染の原因は工場の煤煙だったり、植物の胞子だったり、過去の生物兵器の残滓だったりと様々です。いずれにせよ無防備に吸えば健康に害を与えます。
 加えて、A+の大気コードは通常の「窒素・酸素(N2/O2)の混合大気」ではない特殊な大気であることを示しています。呼吸どころか宇宙服等の保護措置なしで外出もできません。

0~1:真空(None)・微量(Trace)
0~0.09気圧。外出には宇宙服の着用が必須。
2*~3:極薄(Very Thin)
0.1~0.42気圧。外出には酸素ボンベ(Respirator)が必須。
4*~5:希薄(Thin)
0.43~0.7気圧。気圧への順応を怠ると高山病になる可能性がある。
6~7*:標準(Standard)
0.71~1.49気圧。人類の活動には支障が出ない。
8~9*:濃厚(Dense)
1.5~2.49気圧。ルール上、人類の活動には支障が出ないことになっている。
:異種(Exotic)
人類の呼吸には適さないが、酸素供給さえあれば外出に支障はない。
:腐食(Corrosive)
外出には宇宙服の着用が必須。
:強腐食(Insidious)
外出には宇宙服の着用が必須。Bの大気より侵食性が強く、防護機器のこまめな補修が欠かせない(※従来の訳語である「猛毒」は、毒性大気と誤解される可能性があるため変更しました。人体の害になるもの全てという意味での「毒」なのでしょうけど)。
:超濃厚(Dense, High)
2.5気圧以上。地表で活動するなら何らかの耐圧装備は必要だが、逆に言えば高地では人類の生存に適した気圧となる。
:超希薄(Thin, Low)
巨大惑星でありながら大気圧が低いという特異な環境。高地では真空に近いが、逆に谷底などでは人類の呼吸に適した大気が得られる。
:特異(Unusual)
自転の影響で極点では大気は薄いが赤道では濃くなる、といった、これまでのどれにも当てはまらないような特殊な環境。

(*印のあるコードの大気は「汚染」されているので、外出には加えて濾過マスクの着用が必須となります)
(※『メガトラベラー』のUWPとはEとFが入れ替わっていることに注意してください)


■水界(Hydrographics)
 その惑星表面の水の量(大抵は海洋)を示しています。水界のコード値に10を掛けた数値が海洋比率(厳密にはそこから-4~+5ポイントの幅を取る)となるのです。地球は「7」ですが、数値の少ない星では「海」とは名ばかりの湖となるでしょう。
 なお大気次第では、空気の薄い星なら水が全て凍結していたり、異種大気の星なら水ではない液体が「海」を形成していたりするかもしれません。


■人口(World Population)
 その主要惑星に住む人口の「桁数」を表します。1なら10の1乗、つまり10人の位(10~90人)、2なら10の2乗で100人の位(100~900人)…、最高のAなら10の10乗で100億人の位(100億~900億人)が住んでいるのです。「人口コードの数値はその星の人口のゼロの数」と覚えておけばすぐ変換できるでしょう。


■政治形態(World Government)
 その惑星でどのような自治が成されているかをコード化したものです。こればかりは覚えるか頻繁に表を参照するしかありませんが、基本的には「数が増えるほど中央集権傾向が増す(と同時に社会の自由度が減る)」と考えてください。

:無政府(None)
政府が崩壊して長期間「無政府状態」が続いている場合、政府を必要としないぐらい人口が少ない場合、住民同士の努力によって「完全なる自由」を謳歌している場合、もしくは住民の誰もが政府を認めていない場合が考えられる。
:企業政府(Company/Corporation)
1つないし複数の企業が統治を担い、住民はその企業の従業員という形態。惑星規模での「企業城下町」もこれに該当するかもしれない。
:直接民主制(Participating Democracy)
参政権を持つ住民全ての合議によって政治が進められている。高技術世界なら住民総参加の電子議会が実現しているかもしれない。
:自己永続的寡頭政治(Self-Perpetuating Oligarchy)
閉鎖的な少数の者による統治。住民の参加はないか、あってもわずか。
:間接民主制(Representative Democracy)
住民の投票によって代議士を選び、その代議士が議会を構成して法律を作っている。
:封建的技官政治(Feudal Technocracy)
高度な科学技術知識を持つ技官たちが統治を担う政治形態(※「封建的」なのは長年の謎です。技術分野の違う技官同士に上下関係がないのかもしれません)。
:占領統治(Captive Government)
外世界からの統治を受けている。他星からの直轄入植地のような直接統治に限らず、傀儡政権や(恒星間政府軍による)軍政もこれに含まれる。
:小国分裂状態(Balkanization)
1つの惑星内で複数の独立国政府が存在している状態。それぞれの独立国の政治形態はまちまち。
:文官官僚制(Civil Service Bureaucracy)
専門知識を買われて集められた官僚たちによる統治。
:独裁官僚制(Impersonal Bureaucracy)
支配される者と隔絶した機構による統治。一党独裁政権など。
:カリスマ的独裁制(Charismatic Dictator)
住民の圧倒的支持を得た単独指導者による統治。
:非カリスマ的独裁制(Non-Charismatic Leader)
形式上住民の圧倒的支持を得たことにされている単独指導者による統治。
:カリスマ的寡頭政治(Charismatic Oligarchy)
住民の圧倒的支持によって選ばれた少数の者、組織、階級による統治。
:宗教独裁制(Religious Dictatorship)
信者である住民の支持によって選ばれた単独の宗教指導者による統治。
:宗教専制政治(Religious Autocracy)
一般住民とは隔絶した特権階層(世襲制など)による祭政一致政治。
:全体主義政治(Totalitarian Oligarchy)
少数の者(独裁政党など)が政治を操り、住民の生命を含めあらゆる分野を規制する政治。何よりも全体の利益を重んじ、個人を強制的に全体に従属させる。


■治安レベル(Law Level)
 その惑星の治安の良さを表すと同時に、住民への抑圧の度合いも表しています。数値が高ければ高いほど合法的に持ち歩ける武器がなくなっていき、安全にはなっていくのですが、逆にそれを取り締まる警察の権力が個人の自由をも縛っていくのです(武器を持つのが自由の一つ、という価値観はわかりづらいでしょうけど)。特に治安レベルがA+の星は事実上の警察国家であり、軽い気持ちでの旅行にはお勧めできません。
 なお、設定次第では「旅行者には警察はむしろ厳しい(逆に甘い)」という二重基準が布かれている星もあるでしょう。

:無法(No Law)
法律が存在しない、もしくは法を取り締まる治安組織が存在しない(もしくは機能していない)。あらゆる武器の所持は自由。
1~3:低治安(Low Law)
毒ガスや爆発物、携行型レーザー火器、重火器といった軍用装備の所持が禁止されてゆく。
4~6:並治安(Medium Law)
散弾銃を除いた銃器(軽突撃銃(Light assault weapons)や短機関銃(submachine guns)、隠匿可能な銃器など)の所持が禁止されてゆく。
7~9:高治安(High Law)
散弾銃を含めた全ての銃器、刀剣類の所持が禁止されてゆく。治安レベル9で住居外への武器の持ち出しが禁じられる(※9未満の治安レベルでも大っぴらに武器を持ち歩けるかは設定次第でしょう)。
A以上:極高治安(Extreme Law)
あらゆる武器の所有が禁止される。公権力が私権に介入することが容易となる。


■技術レベル(Technology Level)
 略してテックレベル(TL)とも呼ばれるこの値は、その星で用いられている一般的な製品の技術水準の目安を表しています。『Cepheus Engine』では詳細な解説がないのですが、イメージしづらいでしょうから各種資料から持ってきました。

原始的文明(Primitive):TL0~3
産業革命以前の技術水準。銃器は一般的でなく戦闘は刀剣が主。最速の移動手段は帆船や熱気球といったところ。動力は風や水車、時には人力から取られる。
工業化文明(Industrial):TL4~6
蒸気機関の発明から核分裂の発見まで。銃器の発明・普及で戦場の様相が一変する。初歩的な電子演算装置(コンピュータ)やラジオ・テレビの登場。地上車や飛行機も一般化。石炭や石油、そして核分裂反応から動力を得られるようになる。
前星間文明(Pre-Stellar):TL7~9
宇宙開発黎明期。軌道上や星系内の航行技術、建築物構築技術が確立される。コンピュータ技術の発達と普及。レーザー火器の登場。核融合や反重力、初歩的な冷凍睡眠技術の発明もこの頃。
初期星間文明(Early Stellar):TL10~11
超光速航法(ジャンプ機関)開発以後(ジャンプ限界は2パーセク)。ホロ(立体)投影技術や音声入力コンピュータの普及。反重力技術の普及により、地上車と飛行機の区別がなくなる。核融合炉の小型化が進む。
標準星間文明(Average Stellar):TL12~14
恒星間社会での一般的な技術水準(ジャンプ限界は3~5パーセク)。戦場にプラズマガンやバトルドレスが登場。ロボット技術の進展・普及が進むが、人工知能は限定的。記録媒体としてホロクリスタルが開発され、膨大な情報を小さな結晶体に収めることができるように。反重力による空中都市の登場。冷凍睡眠技術の安全性が高まる。クローン技術による臓器移植や、機械の義手・義足への交換も可能(※脳移植はTL16なので、体全体を交換することはできない)。
高度星間文明(High Stellar):TL15
現在考えうる最先端技術(ジャンプ限界は6パーセク)。擬生物型ロボットの登場(人工知能技術は進展しているが、まだ「自我」を持つには至らない)。抗老化薬の発明。大規模な惑星改造も可能に。

 『Cepheus Engine』ではTL16(G)以上の超文明は扱いの範囲外となります。


■基地コード(Base Codes)
 その星系内(必ずしも主要世界上とは限りません)に恒星間政府、もしくは海賊による基地が置かれている場合、この欄に記載がなされます。何もないなら空欄です。

 :海軍基地と偵察局基地の両方
 :偵察局基地と海賊拠点の両方
 :海軍基地
 :海賊拠点
 :偵察局基地
(※偵察局のない恒星間国家では代わりに前哨基地(Outpost)が置かれます)


■貿易分類(Trade Codes)
 その世界がどのような貿易産品を作り出し、求めているかを、UWPコードから算出された特徴で分類したものが列挙されます。恒星間貿易を行う際に最も使われますが、その星系がどのような雰囲気かを簡単に掴むのに使われたり、キャラクター作成時の出身星の特徴もこれで求められます。どのような条件でその分類となるかはここでは割愛します。

農業 Agricultural (Ag)
経済基盤を農業に置いている世界。
小惑 Asteroid (As)
小惑星に多くの人口が居住している世界。
未開 Barren (Ba)
開発が始まっていない無人の世界。
砂漠 Desert (De)
水界のない世界。
非水 Fluid Oceans (Fl)
水界が水以外の物質で構成されている世界。
肥沃 Garden (Ga)
自然が豊かな世界(※『Cepheus Engine』では条件が変更されたため、「人の手によって自然が管理された庭園のような世界」という意味かもしれません)。
高人 High Population (Hi)
人口が10億人以上の世界。
高技 High Technology (Ht)
TL12以上の科学技術を持つ世界。
氷結 Ice-Capped (Ic)
地表の水界が凍結している世界。
工業 Industrial (In)
経済基盤を工業に置いている世界。
低人 Low Population (Lo)
総人口が1000人台以下の世界。
低技 Low Technology (Lt)
工業化文明以前の技術力の世界。
非農 Non-Agricultural (Na)
農業生産に向かない環境の割に人口が多く、食料を自給できない世界。
非工 Non-Industrial (Ni)
人口の少なさゆえに工業生産力が乏しく、工業製品を輸入に頼る世界。
貧困 Poor (Po)
環境の悪さゆえに貧困にあえいでいる世界。
富裕 Rich (Ri)
環境が良く、富裕層が住みたがるような世界。
海洋 Water World (Wa)
地表が海洋でほぼ覆われた世界。
真空 Vacuum (Va)
大気のない世界。

 貿易分類はその世界でどんな商品が安く/高く取り引きされるかに関わります。例えば、工業世界で最新の農業機械を安く買い付けて、それを農業世界に持って行けば高く売れそうだ、と考えられるわけです。


■旅行安全情報(Travel Zone classification)
 大部分の世界は文明化されて旅行者に開放されていますが、中には内戦に苦しんでいたり、病気が蔓延していたり、単に旅行者を迎える準備が整っていない星系もあります。そのような世界は、恒星間政府や旅行者支援団体などによって「トラベルゾーン」が指定されます。UWPに記載されるのは以下の状態です。

:アンバーゾーン Amber Zone
旅行者に対して注意喚起がなされている状態。何らかの危険情報によって一時的に発令される場合と、現地の自然条件や政情・治安状態が恒常的に旅行に適さないと判断されている場合があります。
:レッドゾーン Red Zone
恒星間政府(主に海軍)によってその星系への旅行が禁止されている状態。旅行者の生命が脅かされるような危険がある場合や、恒星間政府や団体の事情により部外者の立ち入りが禁止されている場合(軍用地や秘密研究施設、環境・文化保護星系)に発令されます。

(※仮に進入禁止でも「燃料補給だけしてすぐに立ち去る」のは許される場合もあります)


■各種概要(brief synopsis of three pieces of data)
 3桁の数字は左から順に「人口倍率(Population Multiplier)」「小惑星帯数(number of Planetoid Belts)」「巨大ガス惑星数(number of Gas Giants)」を意味しています。
 「人口倍率」はUWPの「人口」で求められた主要世界の人口に掛け合わされる数値です。例えば、人口6で倍率3となっている世界は「1000000(10の6乗)✕3=300万人」が住んでいることになります。その性質上、人口倍率が0となるのは本当に誰も住んでいない星以外にはありえません(つまり人口0でも倍率が0でなければ数人が住んでいることになります)。
 「小惑星帯数」はその星系内に存在する小惑星帯の本数で、「巨大ガス惑星数」は同じく星系内に存在する巨大ガス惑星(ガス・ジャイアント)の数です。特に燃料補給に使える後者の無か有かの把握は、宇宙を自分の船で旅するなら必須です。


■所属(Allegiance Codes)
 その星系がどの恒星間国家に属しているか、そうでないかを表しています。基本的にアルファベット2文字(大文字1+小文字1)の略称で表わされるのが常ですが、「Na」は「Non-aligned」、つまりどこの国家にも属していない「中立星系」を必ず意味します(そのため略称がNaとなりそうな国家はNAやN1といった回避策が採られます)。


■注釈欄
(※『Cepheus Engine』では何故かUWP末尾の注釈欄について触れられていません。ここにはその星系が「星域首都」だったり、「研究基地」が置かれている場合などに記載があります)


 これで一通りUWPは読めるようになったはずですが、レフリーは読めるだけでは意味がありません。そこからどう想像を膨らませるかが大事です。その際、あまり杓子定規に解釈しない方が発想を広げやすいですし、何しろ気分が楽です。

 「宇宙港クラス」はそのまま即その星系の経済規模に直結します。大きな宇宙港のある星は経済的に豊かと考えていいでしょう。逆に、どう見ても交通の要所なのに宇宙港クラスが低い星があったのなら、そうなった理由を考えるチャンスです。「かつては大きな宇宙港があったが、戦災で破壊されて低ランクのサービスしか提供できない」とか色々考えられます。またAクラスだからといって人でごった返しているとは限らず、「完全にロボット化されてどこか物寂しい」宇宙港があってもいいと思います。

 「規模」は重力に直結するので、低重力/高重力の世界の生活風景や外世界人とのギャップを演出すると面白くなるでしょう。「この低重力世界の家の塀はプライバシー保護のために高く作られている」とか…。ただ、会話主体のRPGで重力は「感じさせ辛い」要素でもあり、高技術世界なら「重力プレートでどこでも1G」で逃げてしまう手もあります(汗)。また、「惑星の真裏の無人地域に不時着したので最寄りの街まで踏破」という定番シナリオをやる際の難易度にも関わってきます。

 「大気」のない、もしくは汚染された世界では綺麗な空気は貴重品となりえます。旅行者には「空気税」という形で応分の負担が求められる、とするとSFっぽい雰囲気が出るでしょう。また、植物を故意に傷つけると重罪となるかもしれません。
 同様に「水界」値の低い星で貴重な水を、宇宙船の燃料だからといって外世界人に「定価で」売ってくれるでしょうか? くれるにせよそうでないにせよ、住民の雰囲気を表すには格好のネタとなりえます。

 「人口」は、惑星全体に分散しているか一所に集まっているかで印象が変わってきます。水界の値が高い星なら人口密度は当然増すでしょうし、大気A+の星ではそもそも全住民が軌道上に住んでいる、なんてこともあるかもしれません。

 「政治形態」と「治安レベル」はセットで考え、イメージを膨らませるといいでしょう。例えば、政治形態4の間接民主制でも治安9なら「この星では政権与党に投票するのが暗黙の了解となっていることにしよう」とするのです。あくまでUWPの(わかりづらい)解説文はヒントとして捉えて、「それならば政治形態はBでないとおかしい」とは考えない方がいいです。独裁制だからといって住民が弾圧されているとは限りませんし、自由な社会を標榜していても実際には金がなければ何も出来ない社会なのかもしれません。
 他にも、「治安レベルが低いように見えるのは農村部で害獣対策に重火器の所持が許可されているためで、都市部では銃器の所持は禁止されている」というある意味「逃げ道」を作ってしまうのも十分ありだと思います。少なくとも『Cepheus Engine』は文明人をロールプレイするゲームなのですから、治安レベルの表で持ち歩きが許されているからといって常に銃器を持ち歩くような者は野蛮な人、という認識でいいでしょう。もちろん逆説的に「銃を堂々と持ち歩くのが許可されている」ことでその星の異文化感を出していく、という演出は効果的です。

 「技術レベル」はその世界の一般的な水準として捉え、特定分野はそれを上回ることがあってもいいと思います。例えば「TL10のこの星だが、医学の水準はTL12相当で…」ぐらいは理由がしっかりしていれば許される範囲でしょう。また、恒星間社会で外世界の物品が全く流入していない、ということもありえないです。低TL世界でも一部の金持ちが他の星から高度な技術製品を高額で輸入して見せびらかしていることもあるでしょう。それが儲けのネタになるかもしれませんし、逆にトラブルの種になるかもしれません。

 また「貿易分類」からイメージを掴むのもいいでしょう。この場合も拡大解釈は有効で、例えば「貧困」一つ取っても「経済発展から取り残されて貧しい」「資源が乏しくて貧しい」「貧富の格差が酷すぎて全体的に貧しい」など色々考えられます。「農業」でないからといって農業をやってないということはなく、人口が多すぎるせいで輸出に回す余力が無いだけなのかもしれません。


 次回は宇宙旅行の実際について。
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