宇宙の歩き方

The Astrogators' Guide to the Charted Space.

蘇る「ガシェメグ宙域」

2016-06-19 | Traveller
 ご存じの方もおられると思いますが、Travellermapに描かれたグシェメグ(Gushemege)宙域のXボート網は『The New Era: 1248』の帝国暦1248年設定のものです。本来、HIWG(History of the Imperium Working Group)内部で起こされた設定があったはずなのが失われ、それを補うかのように載せられているわけです。
 しかしそもそも帝国暦1248年設定は「一度『大崩壊(Collapse)』で全てが灰になってから蘇った」宇宙像なので、「安定した大帝国」が存在する黄金時代(帝国暦1100年代初頭)とは重要星系の位置付けは当然異ならなくてはなりませんし、Xボート網も違ったものになっていなくてはおかしいのです。また、1248年に「第四帝国」領外となる2星域に関しては当然ながらXボート網が全く敷設されていない、という問題もあります。

 無いものは自分で作る、という手もありますが、公式に公開されているものを使うのが一番楽でしょう。オールドファンの人にはご存知だと思いますが、このグシェメグ宙域は別設定が存在します。西暦1991年、マーク・ミラーからお墨付きを貰って、日本独自展開が『RPGマガジン』誌で行われた「ガシェメグ宙域」がそれです。
 この日本版「ガシェメグ宙域」は、サプリメント『Atlas of the Imperium』を底本にして独自にUWPとXボート網と少ないながらも星域設定が起こされ、1991年4月号から10月号にかけて7星域分が掲載されました。後に予定されていた単行本で全星域が載ったかもしれませんが、結局立ち消えとなりましたが(まあ出たとしても買ったかと言われれば…(苦笑))。

 では、現存する7星域分のXボート網を再現してみましょう。UWPについては日本版を再現するには手間が掛かり過ぎるので(カタカナで書かれた星系名をアルファベットに「復元」するのは無理ですし)、HIWG版のデータをそのまま使用します。


 宙域外に出るルートは他宙域設定との兼ね合いを考えて一旦削除し、連載段階で隣の星域と噛み合っていない航路は(どうしてこうなった…?)独自に補正しています。

 設定が起こされなかった残る星域はどうするか。やはり自分で作ってもいいのですが、ファンサイトjtas.net(現在はドメイン失効により閉鎖)に掲載されていたXボート図を継ぎ接ぎしてみようかと思います。
 jtas.net版のXボート網は「AクラスBクラスの宇宙港が固まる星団」があると妙に各駅停車ならぬ「各港停船」したがる癖があるのですが、それも味だと考えて下手に均したりせずにそのまま採用しました。
 ということで、日本版とjtas.net版のXボート網を合成したものがこれです。



 この宙域図の制作にあたり、以下の補正を施しています。

  • 日本版設定とjtas.net版設定で接続が噛み合わない部分は、妥当と思われる範囲で修正を施した。
  • 周辺宙域との接続部分は、周辺の「公式」(コリドーとレフト宙域はDGP及びマングース版、ダグダシャアグ宙域はHIWG版、イレリシュ宙域は(いつの間にか出来ていた)T5SS版)設定に合わせた。ただし座標3240から通じる航路はHIWG版設定にはないが、これがないと途方も無い迂回を強いられることと、T5SS版やjtas.net版に存在することから設けた。座標3211に通じる航路も、HIWG版設定では座標3212に通じるように見えるが流れを考慮して補正を行った。
  • HIWG版UWPに存在する明らかな誤植を修正した。同時に、『Atlas of the Imperium』では高人口世界ではないのにHIWG版UWPでは高人口世界となっている星系の人口を8に減らした。
  • HIWG版UWPと『Atlas of the Imperium』で何故か名前が変わっている高人口世界の2星系は、『Atlas of the Imperium』に合わせた。
  • 『Atlas of the Imperium』では高人口世界とされている座標0237の星系は、『Challenge』誌69号に「高人口世界ではない」設定が掲載されてしまっている(単純にHIWG版UWPを引き写したと思われる)以上、高人口世界に補正するのは適切ではないと考えてそのまま残した。
  • Xボート航路の「飛び越え」(α星系からβ星系へ飛ぶXボート航路の真下にγ星系が存在してしまう問題。60の倍数の角度でジャンプ-2以上の線を引くと発生する場合がある)については、「星域首都の星系」「Aクラス宇宙港の星系」「基地のあるBクラス宇宙港の星系」「Cクラス宇宙港以上の高人口星系」は停泊、それ以外は飛び越す、と定める。
  • 座標2202と2305の間は日本版設定では航路がないが、HIWG機関紙『AAB Proceedings』第13号(1991年)によると航路が存在するため、この部分だけでも失われたHIWG版設定を再現するものとする。
  • 星域首都の位置はHIWG版設定を採用する。ただし『メガトラベラー』以降の宙域首都の位置交換(2224⇔1015)に伴い、座標1013を星域首都とする設定は過剰となるので削除(宙域首都と星域首都が同一でないといけないという設定はないが、見た目がややこしいので…)。
  • 星域首都をXボートが通過しない2星域に関しては、日本版・jtas.net版共に元来別の星系を星域首都とする航路設定のため、星域首都に繋がる航路を追加する。座標0230から0529・0530の両星系に航路を引くことによって0630から0428までXボートが各駅停車する理由も作れる(※Xボート航路は原則として交差させないので、最短距離に航路を引くことができなくなる)。一方、0725から0724の1本だけにしたのは日本版設定から見た目を大きく変更させないため。

 これで別に何かしようというわけでもないのですが、そこそこ様になったものが出来上がったので公開しました。自分だったら「飛び越え」が発生しないようにしながらジャンプー3~4を基本とする航路を引くと思うので、他の人の癖を見るというのは新鮮かつなかなか良い勉強になりますね。
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