風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

出流・蕎麦と座禅と鍾乳洞-3

2015-04-12 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
その2からの続きです。

○ コンビニであら塩

お寺を出て山を下り、山桜そして石灰の土地を抜けていくと、ようやく道が増え、車通りの多い普通の世界に戻ってきました。
国道293号に面した大きな交差点沿いに、だだっ広い駐車場を有するファミマがあります。
境内でお団子を食べられず、座禅の衝撃をまだ引きずっていた私たちは、「ここでスイーツを買おうか」と寄りました。
デザートコーナーに行った私は、アコリンがあら塩の袋を持っているのを見て「!?」と驚きます。
「えっ、塩?それ、今、買うの?」
「ちょっとお祓いしようと思って」
「へっ、お寺に行ってきたばかりなのに?」

座禅の時から、ずっと寒気が続いているという彼女。
変なものが憑いていないように、念のため塩で祓っておくそうです。
車の暖房で、私はかなり温まってきていますが、彼女はまだ寒いのだそう。
確かにお寺にいるのは、いい霊だけとは限らないかも。
レジを済ませて、彼女はてきぱきと塩で身体をはらいます。それをぼんやり眺めていた私も、はらってもらいました。
これもまた 見えない世界の 危機管理。(五・七・五)

○ コンビニパーキング衝突現場

一安心したところで、寒さが残る彼女はおでん、私はプリンをイートインコーナーで食べました。
田舎のコンビニは駐車場がだだっぴろいなあと思って外に目をやると、いつのまにか警官がいて、なにやら事情聴取をしています。
あれ、どうしたのかな?
そばにある車のドアがヘコんでいます。どうやら、パーキング内で車同士が衝突したようです。
都心ではありえない広々としたスペースでも、事故は起こるものですね。

すでに書いた通り、この辺りを走る車は、かなりの確率で埃をかぶっています。
石灰の土地を走ってきたわけではないと思いますが。
こんな風に。ワイパー部分さえ見えればいいという、合理的な考えなのかしらー。



地元神奈川にはないけれど、北関東他県で見かけるばんどう太郎が、ここにもありました。

○ 栃木市とは

時間は4時半近く。次のプランを考えます。
「佐野厄除け大師は?」「時間的に無理だねー」
「あしかがフラワーパークは?」「6時に閉まるから、30分くらいしか見られないね」
「渡良瀬貯水池は?」「特に何もなさそうだよ」
うーん。

ここは栃木市。栃木市には、なんのイメージも持っていません。
「前からあったっけ?」「最近合併してできたんじゃない?」
いいえ、私たちが知らなかっただけで、以前からある市でした。2010年3月に、周辺の町との新設合併で新しい栃木市になったそうですが、かつては県庁所在地だったとか。
県庁が宇都宮に移転してからは、宇都宮、小山に次ぐ県内三番目の町となったそう。
ネット検索をして、栃木市が「小江戸」「蔵の町」と言われていると知りました。
「駅の近くに蔵の町があるらしいから、そこに行ってみよう」

○ 蔵の町の蔵はどこ?

両毛線栃木駅前が見える場所まで来ました。が、目指す蔵はありません。
公園の駐車場に車を停めて、辺りを散策することにしました。





目の前には川が流れていて、きれいに整備された橋がかかっています。



ちょうど桜が咲いていて、きれい。向こう側には、川にかかった鯉のぼりも見えます。



電話ボックスが、蔵の形をしていました。でもこれは、形だけですよね。



本当の蔵はないかと公園内をさがしましたが、地図がないため、情報がつかめません。
日曜なのに人通りもほとんどなく、公園内も閑散としていて、なかなか聞ける人に出会いません。
歌麿通りという洒落た名前の小路で、小学生を見つけて聞いてみましたが、「わかりません」と言われました。
次に、買い物帰りのおばあさんに聞いてみると、「大通りにはちらほらあるけれど、少し歩きますよ」と言われました。
ちらほら?

教えられたとおりに大通りに出ましたが、車がびゅんびゅん行きかうだけ。
通りの両側には学習塾が並んでいて、いかにも現代の住宅地です。
蔵はどこ?



マンホールがすてきなデザインでした。これを見ると、やっぱり蔵はあって、町の自慢のようです。
蔵や~い。

○ コンビニパーキング衝突現場(2)

大通り沿いに歩いて行ったら、茶色のファミマがありました。
(景観に注意して、目立たない色にしているのね、蔵の町ということで、景観保護地区なのかしら)と思ったら、ここのファミマの駐車場でも、お巡りさんを発見。
数名の人たちと、現場検証をしていました。



ここでもまた衝突事故?さっき見てきたばかりなのに。
栃木のファミマは、衝突事故多発地帯なんでしょうか。びっくりです。



この辺りにはいくつか、昔ながらの建物が並んでいました。
おそらく、先ほどのおばあさまが教えてくれた界隈なんでしょう。
渋いですね~。今でも商店として開いているのがいいですね。



ただ、古めかしいお店は思ったよりも少なくて、(ほかにないのかな)と辺りをぐるぐる散策しました。
栃木駅近くなのに、とにかくひとけが少なく、レンガ調にきれいに整備された通りも、売家の表示が並ぶシャッター街となっています。

○ アシカが銀行

足利銀行がありました。あれ、この銀行、いったんなくならなかったっけ?
無事復活していたんですね。
かつてのアシカのCMがかわいかったのを覚えていますが、県内でアシカは飼育されていないそうです。
海なし県ですからね・・・。
熊本にはクマがいないのにくまモンがいるのと、まあ同じようなことでしょうか。



今はアシカではなく、モビルスーツのポスターが貼られていました。
ガンダム・・・?
いえ、「あしぎんロボ」だそうです。
顔が出ているから、こっちは着ぐるみなんですねー!
中の人は、とってもビッグなようです。

○ 残るはコーヒーのみ

町を散策しているうちに、休憩したくなってきました。
「カフェで温まりたいね」「蔵カフェとかないかな」と探しましたが、それらしいものはありません。

普通のカフェでさえ、閉まっている店がちらほら。
「日曜なのに開いていないなんて」「日曜だから休み?」
歩き疲れてきたところに、営業中の喫茶店を見つけたので「普通のカフェだけど、もうここにしよっか~」「あんみつにしようかな、ケーキかな」と、二択のメニューをチェックしながら入りましたが、お店の人に「もうコーヒーしかないんですよ」と言われました。

カウンターには、お店の人と同年代のおばさまグループがいて、話が盛り上がっている様子。
あの人たちが、スイーツを全部食べつくしちゃったのかも!

「この辺に蔵ってありますか?」と聞くと、「ちらほらありますが、川越のようにまとまっていないんですよ」と言われました。
そうですか・・・。
北関東独特のイントネーションでした。



雰囲気のある和菓子屋に入ってみました。
アコリンが塩大福を購入している間に、お店の建築を見学します。



ふすまの位置などを見るに、昔ながらの住居をお店に改装したようです。



端午の節句の武者人形が飾られていたり、床の間がきれいに整えられていたりと、すてきな雰囲気でした。



ここのように、古い店舗を元にして現在も使っている歴史あるお店も多そうです。

○ 川沿いの黒い蔵

川沿いにたどり着きました。橋のたもとにある資料館が、一番蔵らしい風格がありました。



そう、「蔵の町」と聞いて、こういう光景を想像していたんです。
先程のカフェの人が言った通り、川越のように町並みが統一されているわけではないため、そんなに知られていないのでしょうか。



川にはこいのぼりが無数に飾られており、絵になりました。



この光景が見られるのはこの季節だけ。ちょうどいい時に来られて、ラッキーです。



しんと静まり返ったシャッター街の中で、一カ所だけ活気のあるスポットを発見。
そこは銭湯でした。人気なんですね。
金魚湯という名前から(浴槽に金魚が泳いでいるのかな?お湯大丈夫かな?)と想像して、勝手に気をもみました。



小江戸というにはもう一息という感じ。
どうしても、川越と比べてしまいます。
あとちょっと整備すれば、観光の町として人を呼べそうなのに、と、観光業シロウトの私でも思います。

駅前シャッター街がどんどん広がっていきやしないか、なんだか心配。
アピールポイントは十分にあるのですから、栃木の観光地は日光以外にもあるんだと、街並み整備をすすめていってほしいものです。

栃木市の蔵を見られたので、それから一路東京へ向かいます。
座禅の緊張が解け(ようやく!)、身体もほどよくあたたまったため、少し眠くなってきた私たち。

○ 羽生の鬼平

途中、眠気覚ましにコーヒー休憩しようと、羽生SAへ寄りました。
わーい、鬼平ワールド。前にアコリンに連れてきてもらった以来です。



このお詫び福助人形が好き~。ここまで謝られたら、許さないわけには行きませんね。
単に居眠りをしているだけでも、かわいいからいいわ~。



ここは相変わらずの人気で、外国人親子も大喜びで写真を撮りまくっていました。
しかし君たちは、鬼平の世界まではわかるまい。(実は私より詳しかったりして~)



アコリンはコーヒーを頼み、私はお茶にしようとしましたが、お茶系ドリンクが売られていません。
甘酒はありましたが、それを飲んだら眠さが倍増しそう。
鬼平らしさということなら番茶でもいいんですが、売り物にするのは難しいのかしら。
ソフトクリームや冷やしキュウリなら売られていましたが、夜は冷え込んできて、もう寒くて無理~。
結局、常温のミネラルウォーターにしました。

高速で少し混んだところはありましたが、渋滞にはまらずに済みました。
新しい中央環状品川線を通っていきます。



新しい高速にさしかかりました。ここは、3月に山手トンネルウォークで歩いたところです。
ほんのひと月前に、この分岐点を歩いたのー!そしてここからトンネルに入ったんだわー!
高速道路の開通前に歩くなんて、いい体験が出来ました。
→ 体験ブログ「山手トンネルウォーク-1」(~3)
そうして都内に戻り、この日の旅は終わりました。



○ epilogue

のんびりしたドライブになるかと思いきや、思ったよりも盛りだくさんだった一日。
古き良き時代のものを、楽しめた気分です。
満願寺では、奥の院といい座禅といい、あんなにワンダーな体験をするとは思いませんでした。
出流は、知る人ぞ知るといった場所ですが、それだけに観光色の少ない、のびのびとした休日を過ごせました。

坂東観音巡礼では、これでようやく、栃木のお寺をすべて巡り終えました。
やったわ~。残すは、群馬と茨城のみ!
行きにくいところばかりですが、ゆるゆると続けていこうと思っています。

蕎麦はおいしくて、その土地の味を求めて旅に出るグルメの気分がわかった気がします。
去年は兵庫の出石、今回は出流で蕎麦に舌鼓を打ちました。またどこかに、美味しい蕎麦を食べに行きたいな。



最新の画像もっと見る

post a comment