風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-8 真夏の四国自然堪能記3

2012-08-07 | 四国
[中村→大歩危→かずら橋→大歩危峡→岡山→神戸]

この日は落ち着いた宿でくつろげましたが、日中あまりに暑い思いをしたせいか、思ったよりもあまり寝つけませんでした。
朝も急がないことにしたため、のんびり過ごして、9時前に車で駅まで送ってもらい、お茶目な女将さんとお別れしました。
香港ガールズは、もう一泊するとのこと。ジョージは、早朝足摺岬に向かったとのことで、もういませんでした。
さようなら、中村駅~。

 

○ 大歩危駅

 

バースデーきっぷではグリーン車も乗れるため、大歩危までグリーン車に乗って行きました。
快適~。

 

 

途中、山あり海あり川ありの風光明媚な景色をたくさん通り抜け、高知駅に止まります。
高知駅の龍馬・慎太郎・半平太像を、電車の窓からパチリ。
後ろ向きですが、大きな像なので、かなり近くに見えました。

 

後ろを向いたら、隣のホームにはトラトラ柄の電車が留まっていました。
目にも鮮やかなタイガース電車!
なぜ四国を走っているんでしょう?安芸にキャンプ場があるからでしょうか?

 

高知駅を出てから、後免駅にも止まりました。
今度はアンパンマン電車が止まっていました。
「ごめん」と謝るアンパンマン…。高知の電車って、バリエーション豊かで面白いですね。

 

徳島の大歩危駅まで、乗り換えなしで向かいました。
ホームには、ミニかずら橋がかかっており、待合室には何人も人がいました。
バス停の時間を見ていたら、おじいさんが顔を出して「それじゃなく、向こうの表示だよ」と教えてくれたため、てっきり駅員さんかと思いきや、ここは無人駅とのこと。
おじいさん、あなたは土地の人だったの?

 

バスで祖谷まで向かいます。すごい急カーブの道を、かなりのスピードでぐいぐい走っていき、走行中に立つとよろめいてしまうほど。
室戸岬へのバスでも思ったけれど、四国のバスはスピード狂のように、ガンガン攻める感じ。
フルスロットルのような速度のままにバスは山の中へ。
みるみるうちに、山奥へと入りこんでいき、車窓の変わりように驚きました。

 

この、慣れない者には強引とも無茶とも思える運転で、どんどん秘境へと入りこんでいく感覚に、覚えがあります。
それはマチュピチュへと向かう山道の中。
ガードレールがないくねくね山道をガンガン走っていくバスには、肝を冷やしたものです。
つまりここは、日本のマチュピチュなのかも!

 

○ かずら橋

30分ほどバスに乗り、かずら橋で降りました。バス停を降りたところからは橋は見えず、川沿いへと少し歩いていきます。
谷向こうには、コンクリの巨大な建物が見えて、観光地っぽいなと、なんだかがっかりしました。
視線を横から前にずらすと、どこかで見たような人物が。
暑さによる蜃気楼かしら。いいえ、リアルのようです。
あっ、昨日の観光バスで一緒だった、個性的なラブラブ関西カップル!
まさか今日もバッタリ会うなんて!
驚いてユキと固まりました。
今日も昨日に劣らない、強烈なファッションでした。
でも、ツアーじゃなく、フリーで周っているところに、気概(?)を感じます。

 

ようやくかずら橋に着きました。ああ、今日のハイライト。
楽しみでなりません。浮き立つ心のままに、橋のたもとへと向かいました。
でも、橋の上だけ激混みで、芋の子を洗うようなラッシュ状態。
これまで四国で、人混みを見たことがなかったので、あっけに取られました。

 

若者のグループが写真撮影に興じて、ずっと前に進まずにいたり、ふざけて橋をユサユサ揺らしたりしているためでした。
あとからの人たちで、どんどん橋が混んできます。
せっかく、混雑を避けようと、休日ではなく平日を選んで来たのに、こんなに混んでいるなんてー。
私は、先が進まないのをいいことに、じっくりと橋を堪能することができてよかったと思いましたが、後ろからは「こんなに人が乗ったら橋が落ちちゃう~」という悲鳴も聞こえてきました。

 

見晴らしはとってもいいんですが、この橋、隙間が空きすぎなんですね。
そこがこわいんです。ちゃんと板の上に足を載せ、踏みしめて進まなくちゃ、とみんな足元を見ながら歩くため、ソロソロになってしまうんでしょう。
これは、ミッキーマウスのように、足が大きい人ほど、恐怖が和らぎますね。
私のスニーカーは、ぎりぎり踏み外さずに済む大きさでした。危なかったー。
子供靴だったらスポスポ隙間に足が入り込んでしまうでしょう。

 

水面に映った橋の影から、板がスカスカなのがおわかりいただけるでしょう。
多少なりとも揺れるため、バランスをとるために、みんな橋にしがみつきながら、そろそろと歩いていくのです。

 

太いかづらが、何重にも編まれており、平家の落人たちがこうやって世を忍んで生きていかなくてはならなかったんだと思うと、切なくなります。
下の水は透明度が高く、きれいですが、ごつごつした岩場のため、うっかり落ちたら、流血沙汰になりそう。それはイヤだわ~。

 

 

私たちが渡り終わった頃には、橋の混雑もすっかりなくなっていました。まあ、タイミングが悪かったのね。
でもその分長い間、橋の上にいられました。

 

本当は、すぐそばにある琵琶の滝にも行って、涼を取りたかったんですが、「ここで残念なお知らせです。バスの時間まであと20分しかありませーん」とユキが教えてくれたため、急いでバス停へと戻りました。
「さっきのカップルにまた会ったりして」「まさかあ。前のバスに乗ってるでしょう」と笑っていたら、本当に二人はバス停にいたため、「一緒のバスを待ってるんだ」と気づきます。
二人の世界を壊さないように、少し離れたところでバスを待ちました。

 

それにしても人が多すぎて、辺境のつり橋という冒険的な雰囲気を堪能しきれなかったのが残念。
吊り橋好きは私ですが、ユキも「奥祖谷にも行きたーい!」と言っています。
もちろん私もー!
「だけど、暑くない時にね」というのが共通意見でした。

○ 大歩危峡川下り

 

またバスに乗り、今度は駅を越えて、大歩危峡へと向かいます。
ここから川下りをしました。オレンジのライフジャケット着用が義務付けられており、(そんなに激しいの?)と少し不安になりましたが、まったくおだやかな川面でした。
船頭さんが腕カバーをしているのが珍しく、男性では見るのは初めだったので、ついちらちら見てしまいました。

 

吉野川の両岸にそびえるダイナミックな巨岩を眺めながら、舟景色を楽しみます。
川底にも大きな岩が見え、運転する場所を間違ったら、岩に激突してしまうだろうとひやひやします。

 

 

前にTVで紹介した時には、川の水量が多くて運航停止になっていました。
川の流れ次第で、危険になるんでしょうね。
私は昨日の四万十川下りの方が好きですが、ユキは吉野川がとても気に入ったようでした。

 

 

昨日の佐田沈下橋でもそうでしたが、台風による洪水が、相当高いところまでやってきたようで、その時の写真を見て、戦慄を感じました。
この土地の人々は、荒々しい自然と共に生きているのでしょう。

遊覧船乗り場から数百メートル離れた道の駅まで歩いていきましたが、ほんの少しの距離だったのに、暑さにすっかり参ってしまいました。
でも、念願の祖谷そばを食べられて、満足しました。
今度は間違えずに、熱いものではなく、ざるそばにしました。
う~ん、これがこの場所でしか食べられない秘境の味ね。
ざるそばはしっかりコシがありましたが、つゆ蕎麦はほぼコシがないということで、ユキと食べ比べっこしました。

 

食事を済ませたら、さらに駅まで歩いていき、暑さにのぼせました。
途中、「国境山岳武士の里」という看板を発見。
国境山岳武士!なんだかとってもカッコヨイんですけど。
どんな人たちなのかしらー?会ってみたーい。

 

さらに進むと「伝説の里」という表示を発見しました。
これも謎めいているわー。私たち、ドラクエの世界に迷い込んだ勇者なのかしら?
でも、看板の向こうは、普通の私有地のようでした。なおさら気になるぅ~。

 

大歩危駅近くから。土讃線と並行して、吉野川は走っており、窓からも見えて楽しめます。
橋の上からも川底が見える、澄んだ清流に見とれました。

 

 
 
電車に乗り込み、車内の駅員さんの検札を待って、グリーン車に移動します。
いつのまにか徳島から香川に入り、琴平を通りました。
今日、早い電車に乗ったら、高松まで行って、そこからフェリーに乗る予定でしたが、今回は残念ながら、香川は素通り。
金毘羅さんにも行きたかったのですが、この季節、とても石段を登りきる自信がありません。
でも讃岐うどんは食べたかったー!昨日土佐で食べたあのうどんは、讃岐じゃないと思うし。
まさに通るだけ~。車窓から眺めるだけ~。ジャスト・ルッキング、サンキュウ。
うとうとしていた私、琴平の次に多度津で目覚めて、(いけない、このままだと、香川の写真が一枚も無いままだわ)と、写真をかろうじて一枚撮りました。

 

そして再び寝入ってしまい、宇多津で目覚めた時には、半分寝ぼけながら、駅の表札を見て
「う・た・づ。ここはうたづ?うだつじゃないの?」と聞きました。
ユキの「違うよ」という答えを聞いて、「そうなんだ、ムニャムニャ」とまた眠り、再び目を開けた時には、電車は瀬戸大橋を渡っていました。
うわあ、きれいな瀬戸内海。静かに凪いでいます。
やっぱり内海は穏やか。室戸の荒々しさとは対照的でした。

 

というか、「たどつ」「うたづ」「うだつ」この辺の駅名、わかりづらいですよね。
あ、うだつは駅名じゃなかったかしら。お粗末さま~。

 

児島までいったん降りました。バースデーきっぷの有効範囲はここまでなので、ここから先は切符の買い足しが必要となります。
岡山の友人は「児島はなにもない駅だよ」と言っていましたが、海がのぞめる、いい雰囲気のホームでした。

 

さらに、日本食研のポスターを見つけて、浮足立ちました。
「あーっ、宮殿工場だー!」
♪~宮殿、宮殿、焼肉のタレ~♪本当に宮殿で作ってる~♪ の、アレですよ。
はじめは、この宮殿工場のホテルに泊まって、工場見学をしようとも計画していた私たち。
最後に絵だけでもみられて、嬉しくなりました。

 

ここで乗り換えて、岡山まで行き、そこから新幹線で新神戸まで向かいました。
車内はかなり混んでいたのが、意外でした。人の多さに、もはや四国ではないと実感します。
ホームに止まっているまだ真新しい新幹線を見て、「あ、さくらだ、乗ってみたいなあ」とユキ。
私は初めて見たため、(いつか乗る時があるかしら…)と、しげしげと見つめました。

 

本州に戻って、ほっとしたようなつまらないような感じ。
四国はあまりにダイナミックで、なんだかすごかったです。
訪れた場所のどこも、想像の範疇をはるかに越える迫力でした。

○ 大倉山

新神戸に着いた頃には、もう夕方になっていました。
ユキにつきあってもらって、メトロで大倉山駅まで向かいます。
東横線の大倉山駅と記念館をこよなく愛している私。
神戸にも同名の駅があることを知り、かねがね訪れてみたいと思っていたからです。
駅だけでなく、公園があるところも一緒。
やっぱり横浜と神戸は共通点が多いのね。

 

ここは神戸の中心地で、県庁そばの、神戸大学の最寄り駅。
公園も、横浜の大倉山よりもはるかに大きく、モダンでした。
「これはかなわない」と衝撃を受けたせいか、ほかの画像はどれもブレブレになってしまいました。

 

三宮で食事をして、旅の解散。ユキは阪急で大阪に帰り、私はバスで東京に帰りました。
本州へ戻ってしまえば、夢のように思える四国の旅。
毎日ワクワクしてとても楽しく、自然たっぷりで刺激的な三日間でした。

○ 貝と石

 

歴女は(おおむね)封印して、龍馬にも長宗我部にも目を向けず、ダイナミックな自然ばかり追っていた今回の四国旅行。
気がつけば、お土産店にさえ寄りませんでしたが、私の手には、室戸岬の貝と、四万十川の小石が残りました。
ロクシタンの半円デザインのシアバターハンドクリーム30mlとほぼ同じ大きさの小石。
じっと握りしめると、たしかな重みとともに、旅の思い出がよみがえります。
そして、サガン『悲しみよ こんにちは』の一フレーズが、思い出されます。

 私は海の底に水色とバラ色の美しい貝のような石を見つけた。
 私はそれを採るためにもぐった。
 私は昼食まで、優しいすりへらされた石を手の中ににぎっていた。
 私はそれが幸福のマスコットで、夏じゅうこれを離さないでいようと思った。
 私がどうしてこの石を失くさなかったかわからない。
 なぜなら、私は何でもみんな失くしてしまうから……。

 今日、この石は桃色に、暖かく私の手の中にあって、私を泣きたくさせる。

 

繊細な文章と、自分の思い出が重なっていきます。
素晴らしい自然の織りなす四国にまた行きたいわ!今度はぜひとも、暑くない時に!!


(追記)
今回、私たちがとりわけ暑さが苦手だったために、暑い暑いと書きすぎてしまったような気がします。
夏の四国も、いいものでした。(これは本当)
どこまでも突き抜けるような空の青さが海や川に映えて、それは美しかったです。
なので、暑さが好きな人には、この季節をお勧めしまーす。


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