風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

夏休みには庄内の風(鶴岡) 1-(2)

2015-10-12 | 東北
その1からの続きです。

○ 朝の宿坊の隣へ

マリエさんの車で、千葉からの参加者を鶴岡駅まで送ってから、アコリンと私の3人は、再び朝の宿坊前に戻りました。
隣の宿坊、大聖坊では修験道の修行が行われており、偶然にもアコリンとマリエさん、それぞれのお知り合いが参加しているのだそう。
私が早朝に駆け寄っていった、山伏の立っていた宿坊です。
もうすぐその修業が終わるということで、会いに行ったのです。



○ 山伏の方々がずらり

宿坊の庭で待っていると、儀式が終了し、中から手招きしてもらったので、上がりました。
大広間に、お膳がずらりと並べられて、大勢の人々が集っています。
こんなに山伏修行をした人がいたなんて。

その中を緊張しながら歩いていき、山伏の先達、星野文紘さんにご挨拶しました。
「似ているような3人がやってきたなあ」
と言って、迎えてもらいます。
一度拝見したら忘れられない、仙人のような風貌。
修行終了直後ということもあってか、現実離れしたほど野性味と精悍さに満ちていましたが、とてもきさくに歓迎していただきました。

数日に渡る厳しい修行をこなして、晴れて山伏と認められ、白装束から私服に着替えたところなので、誰もが達成感で喜びに満ちた顔をしています。
忍耐を重ね、ひたすら自分を鍛え続けた時を経たところで、全員が放つ強力なエネルギーに圧倒されます。
天井や床が抜けるんじゃないかと思うほどの、炸裂するパワフルネス。
皆さん、晴れて山伏になれたので、操る力が半端ないのかもしれません。

互いの健闘を称え合う彼らは、口々に大変だった修行エピソードを教えてくれます。
修行中は私語は一切禁止だったそうで、解禁となった今、話は怒涛のように続きましたが、そのうちにみんなで外にかき氷を食べに行く話になったので、そのタイミングで私たちはおいとましました。

車に戻っても、3人ともすぐには声が出ません。
「・・・いやー、すごかったねー・・・」「ほんとに・・・」
人が溜め込んでいた力を発散する時のパワーたるや、すごいものです。
それが何十人も一気に放出したわけですから、それはもう圧倒されるばかり。
カメラなど取り出す余裕は、全くありませんでした。
みんな、白装束で集合し、顔だけしか見えないまま、大変な修行を重ねたため、修験者同士気楽に話すのも、すべての行が終わったこの時がほぼ初めてだったそうです。

いろいろなお仕事を持つ人が参加しており、東京ではまずお会いする機会がないようなすごい方もおいででした。

○ 本当に大きな大鳥居

再び鶴岡駅まで向かいます。窓の外には庄内平野が広がります。



駅と宿坊の間を往復したため、この大鳥居の下をくぐるのはこの日4回目。
「何度見ても、つくづく大きいわ~」と言うと「この辺りは、大きな鳥居が多いよ」とマリエさん。
「地方は、大きいことはいいことだっていう考えなんじゃないかしら」
なるほど・・・と、何故か牛久大仏を思い浮かべました。



○ 風光明媚な鶴岡市

鶴岡駅からは、一路西を目指します。
午前中にいた緑深い山の中から、一気に開けた海までやってきました。
鶴岡は、山も海も近い、自然豊かな街ですね。



○ いよいよ水族館

海だわ、うみー。もう山伏の姿はありません。
そういえば山伏はいても、海伏っていませんね。
見晴らしが良すぎて、隠れる場所がないからでしょうね。



じきに、加茂水族館が見えてきました。
ここは、今回の旅でぜひとも訪れたかった場所。
日本どころか世界で唯一の、クラゲ水族館です。

前に行ったという友人に、熱心にお勧めされたし、クラゲを見るのはとても好きなので、楽しみにしてやってきました。
米沢在住のマリエさんは、前にも来たことがあると、ガイドをしてくれます。
「クラゲの水族館にする前は、こっちが建物だったんですって」
とても小さな建物がありました。
もともと、経営不振でつぶれそうになったところをクラゲで建て直したというこの水族館。
かつての建物は、とても集客を望めなさそうなほどの小ささでした。

○ 好みのタイプはそれぞれ

クラゲが売りですが、クラゲ以外の魚たちもたくさんいます。
私は、ひれが青く輝く魚に目を奪われました。
ちょうちん袖の女の子みたいでかわいいわ。



マリエさんは、水槽を覗き込んで「この魚、いいわ~。好みだわ~」と、つぶやいています。
よっぽど気にいったみたい。どれどれ・・・んん?
「えっ、あの赤いコブつきの魚?」「そうそう♪」
うーむ・・・マリエさんの好みが心配です。



○ クラネタリウム

魚たちを見ながら、案内標識にそって進んで行くと、「クラネタリウム」の表示がありました。
クラネタリウム!クラゲのプラネタリウム?
いよいよです。期待に胸がふくらみます。



たくさんの種類のクラゲがいました。





えのすい(新江ノ島水族館)も、クラゲの展示は多いですが、ここは「クラゲ水族館」を名乗るだけあって、50種ほどのクラゲがいるそうです。
クラゲって、そんなに種類があるんですね。





途中で、クラゲ実験室のような部屋があり、生まれたてのクラゲから、1日ごと、一週間後までの小さな小さなクラゲが、水槽別に並べて展示されていました。
kらべてみると、毎日少しずつ大きくなっているのがわかります。
解説員がおり、クラゲに関するいろいろな質問に答えてくれました。



大きさもピンキリ、形もいろいろと異なっています。
生息地域も、南や北と、幅広く分布しているんですね。
室蘭水族館とここにしかいないという珍しいクラゲや、天草地方のクラゲなどもいました。





光を放つクラゲもいます。とてもきれい。
毒の度合いも示されていますが、概して発光クラゲの毒素は弱いようでした。





○ 夢のような大水槽

そして圧巻は、5mの巨大な丸い水槽の中でゆらゆらとうごく無数のクラゲたち。



すぐには声が出ません。遠くから見ると、白い羽毛がゆっくりと風に揺れているようですが、近くに寄ると、まぎれもなくクラゲだとわかります。





3人で見とれていると、「きれいでしょう」とすぐ隣から声がしました。
飼育員のお姉さんでした。
どんどんクラゲは増えて行き、この水槽の中にどれだけの数がいるのか、数えられないのだそうです。
水質や水温管理をしているこの水族館の中では、クラゲは普通の寿命の倍以上長生きするんだとか。

でも、まだ始めたばかりの挑戦のため、水族館側もわからないことが多く、「日々、楽しみながらも、緊張してクラゲの飼育にあたっています」とのことでした。
がんばってください!応援しています。





○ アシカやアザラシ

この水族館では、アシカショーなども行われています。この日のショーはすべて終了し、アシカたちはくつろいで水辺でまどろんでいました。
小ぶりのゴマアザラシは、カメラのそばまで寄ってきて、私たちに愛嬌を振りまいてくれました。



そんなに大規模ではないものの、観どころたくさんの水族館。
とても満足して外に出ます。
ふわふわと気持ちよさそうに浮いているクラゲを見て、自分も混ざりたくなっていたところ、出口にクラゲの顔出しパネルがあったので、なりきりました。(画像掲載は・・・やめときます!)

マリエさんは、先ほど見た小さなナポレオンフィッシュのようなコブの魚が、いたく気に入ったようです。
「あの魚、いいわ~。私好み♥」と何度も幸せそうに言っているので、「男性の趣味はまた別よね?ね?」と、ちょっと不安になりました。
数週間後に、オーストラリアへヨガの修行をしに旅立つ彼女。
向こうでナポレオンフィッシュ顔の彼氏を作ったりしないかしら・・・。

○ 「よ」つきの店名

まち中に入ると、気になるお店がありました。
"ママ・クリーニング小野寺よ"と建物に書いてあります。
クリーニング店なんでしょう。気になるのは「よ。」です。
「よ。」って、なに?女言葉?呼びかけ言葉?



ひそかに写真を撮っていたら、二人も気づきました。
「ネーミング(笑)!」と、やはりアコリンも引っかかりましたが、マリエさんは「この辺にはけっこうあるお店だよ」と、動じませんでした。

○ マリエさんとのお別れ

マリエさんに鶴岡駅まで送ってもらい、そこでお別れしました。
米沢に帰る彼女を見送り、私たちは駅に入ります。
近々、オーストラリアに居を移す彼女。次に会えるのはいつになるのだろうと思いますが、「オーストラリアに会いに行けばいいね!」とアコリンと盛り上がります。

以前エアーズロックに登った時、山頂でゼイゼイと呼吸を整えていたら、一人あやしいポーズを取る欧米人のおじいさんがいました。
目が合ったら「私はカンフーをやってるんだよ。記念にどうだい」と誘われ、二人でカンフーポーズで記念写真を撮ったことがありました。
ぜひ、マリエさんにも、エアーズロックの上でヨガのポーズを取ってもらいたいわ。

○ おしどりミルクケーキ

JR羽越本線で30分の酒田駅まで向かいます。
ホームでアコリンにおしどりミルクケーキをもらいました。
ラ・フランス味!ダブルで山形特産です。
ミルク味しか知りませんでしたが、いろんな味バージョンがあるそうです。
それにしても、なぜミルクケーキっていうんでしょうね。
そしてなぜに、こんなに固いんでしょうね。山形の人はみんな歯が強いんでしょうか。



○ 2両の羽越本線

立派な名前の割に2両編成の羽越本線に揺られて行きます。
乗客は学生がほとんど。しかもなぜか女子ばかり。
隣の車両には男子が乗っているようです。分かれている訳ではなさそうですが、友達同士で乗っていたら偏るのかしら。
窓の外には、ずーっと水田が続いていました。
途中、余目駅を通ります。「よめ」だと思ったら「あまるめ」と読むんだそう。
鉄橋のある余部駅を思い出しました。あれは鳥取ですけれど。

○ 酒田駅

酒田に到着しました。酒田といえば、おしん!(ふるー)
さすがに古すぎるのか、駅前におしんゆかりのものは見当たらず、大きな獅子頭がふたつ、デンデンと置かれていました。

巨大で、怖いくらいの迫力。よく見ると、耳はかわいいですね。
これは「銀山獅子」と呼ばれる酒田の魔除けの獅子頭で、市のシンボルだそうです。



○ 最上川そばのホテル

駅からはタクシーでホテルに向かいました。
宿泊先のリッチ&ガーデンホテル酒田は、駅から離れた場所ながら、シャトルバスは出ていません。
この辺りの宿泊客はみんな、車で行くのかもしれません。

今回は、お盆休みということで、ホテルは満室。
部屋からは最上川が見えます。天気が良かったので、美しい夕景が望めました。





チェックインして部屋に入り、お風呂に入って、リラックスしました。
前日は夜行バスで、日中は羽黒山登山をした、体力を使った一日だったので、コテンと寝につきました。

2日目に続きます。


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