風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-5 五浦・天心の六角堂1

2012-05-27 | 北関東(茨城・栃木・群馬)
週末、北茨城の五浦に行ってきました。
ここには、岡倉天心が建てた六角堂があり、(津波で流されちゃったんじゃないかしら)と、母がずいぶん気にしていました。
Google Earthで見ると、果たして、元にあった場所は、波にさらわれて、土台しか残っていませんでした。

松島の五大堂も、海に突き出た場所にありますが、あそこは東松島や湾内の島々に守られて、壊滅的な被害を受けずに済んでいます。
母がとても残念がっていましたが、先日、六角堂の再建復興の話を耳にして、驚きました。
震災からたった1年で?

目下、この建物は茨城大学が保管していますが、大学が海底調査を行って破片を探したり、津波でさらわれた建物の木片等を見つけたら、届けてほしいと大々的に呼び掛けたところ、続々破片が集まり、加えて寄付金もたくさん集まったため、ほぼ以前と同じ姿で再建できたとのことです。
すばらしいですね!

おりしも今、日本橋高島屋で『五浦六角堂再建記念 五浦と岡倉天心の遺産展』を開催中ということもあり、観に行ってみようと思いました。

五浦は、岡倉天心が、日本美術院を移転した場所。
北茨城にさえ行ったことがないため、どんな場所なのか気になります。
いづら、と読むんだそうですね。茨城読みということでしょうか。



今回はazさんの車で出かけます。水戸よりさらに遠い北茨城。
どれくらいかかるのか、見当もつきませんが、高速は空いていて、スイスイと快調に北へと向かいます。
ドライブ日和のとてもいい天気なのに、車の少なさに驚くほどでした。



こんな楽しい車を見かけました。どこに行くのかな?



途中、スカイツリーが見えます。オープンして初めての週末。初日は雨降りだったから、この日は晴れてよかったですね。



本当にすいた道路を飛ばして、友部SAで休憩。
モダンな石庭があって、ビックリしました。
この辺りは潮来が近いんですね。ああ、あやめ祭りの季節だわ。



高速を降りたら、すっかり田園風景が広がっていました。
ナビに六角堂はないようですが、道路表示をみながら問題なくたどり着けました。



近くには「黄門の井戸」がありました。
湧水が汲めたそうです。ここは黄門さまのおひざ元ですか。水戸からそう遠くないですからね。



井戸のそばに「天心の墓地」がありました。
墓石はなく、こんもりと土が盛りあがっており、自然にとけこんでいました。

六角堂のある、五浦美術文化研究所の敷地に入ると、大勢人がいました。
これまでの行程がずっとガラスキだったため、突然の混雑ぶりに面食らいます。
バスガイドさんも数名見かけたので、ツアー客が大勢訪れているようです。
この辺りは、そろそろ福島との県境なので、風評被害で観光客が激減していると聞いていましたが、大盛況ぶりに安心しました。

天心記念館で、由来をふむふむと読んでいたら、BGM風に流れつづけていた館内ナレーションが
「天心は、上司の妻との不倫が元で東京美術学校校長を辞職し、ここ五浦の地に移り住みました」と淡々と語っていました。
えっ!?うっかり聞き流しそうになりましたが、さりげなくすごいことを言っているではありませんか。
天心は、スキャンダルを起こしたため、東京にいられなくなり、隠遁場所としてここに移住したということだったんですね。
のどかなこの地とあまりに結び付かなかったので、驚きましたが、そういえば、私の好きな九鬼周造が「幼い頃、天心を父だと思っていた」と言っていたことを思い出しました。
果たして、天心は九鬼男爵の妻と噂になったとのことでした。
う~ん、きらびやかすぎて、ついて行けない!
azさんも「華麗なる人々のことはよくわからないね」と言っていました。



庭には、彼の横顔が刻まれた、大きな石碑がありました。
読んでみると、「亜細亜八一な里(アジアは一つなり)」とありました。
なんだか亜細亜大学にありそうな文言です。



平屋の天心邸も見学できました。そう広くはない家ですが、縁側が大人一人、縦に寝転んでも十分スペースがあるほど、ゆとりがありました。
眺望を最大限取り入れた作りになっているようです。

床上の辺りに「ここまで津波がきました」という表示がありました。
(立入禁止の札の下のシールです)
ここよりもぐんと下がった岩の突端にある五大堂は、建物すべてが津波に呑まれてしまったことになります。
木をメインに作られているため、自然の猛威にはひとたまりもなかったことでしょう。



今回の旅の目的地、六角堂は、敷地からぐっと下がった、本当に海に突出した岩の先端にあります。
思ったよりも小さくてビックリ。
茶室というか瞑想室のよう。



海を望む4面は、すべて洋風の窓となっており、波が打ちつけるの様子が手に取るように分かります。
とても開放的です。
この辺りは、波にえぐられたような浸食海岸のため、打ちつける波の音も大きく響きます。
ここで塩の音を聞きながら寝たら、海にいだかれているような気持ちになることでしょう。



ただ、そこに大勢の人々が押すな押すなでやってきているため、あまり落ち着いて長居はできませんでした。
また、狭い場所に立っているため、どうにも写真に収まりきれません。
すると、azさんが岬の向こう側の断崖に、人が立っていることに気づきました。
係の人に聞くと、果たして公園があり、良い眺望が望めるとのこと。
さっそく行ってみることにしました。



その2に続きます。


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