風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

野毛・野毛山・駅裏石段-1

2018-02-20 | 神奈川
● prologue

きっかけは、仕事仲間との会話からでした。
「週末に知人の結婚式に参列しに、横浜迎賓館まで行くけれど、道がよくわからない」とのこと。
「京急日ノ出町駅からどうやって行くんでしょう?」
「迎賓館のある野毛山は、結構な急坂ですよ。バス通り沿いに坂を上って、野毛坂の交差点を左に曲がり、更に坂を上ります」
黄色のルートを説明すると、その人は地図検索をして
「あれ、まっすぐ行ける道があるみたい」と言いました。
「どこに?」
画面をのぞくと、確かにグーグルマップは、もっと近いアクセスルートを表示しています。
駅の裏から、長い階段サインがギザギザに書かれていました。(点線部分)
「こんなところに階段があったなんて、知らなかった!」



日ノ出町駅の裏側に何があるのか、これまで一度たりとも考えたことがありませんでした。
駅の周辺は、昼は場外馬券場で夜はネオン街になる、横浜でも結構きわどい界隈。
野毛山に行く時には、いつも桜木町駅を使い、この辺りはあまり通らないようにしていました。
それでも、この駅裏から伸びる階段のことが、気になるわ~。

元町っ子のミライさんに聞いてみても「日ノ出町駅の裏…?知らない」とのこと。
浜っ子でも、知っている人は少なそう。
そこで次の週末、散歩がてら、2人で検証することにしました。

● 新幹線ロボ

朝、乗り換えにつかったJR菊名駅の駅員コーナーに、カラフルな3色のロボットが飾られていました。
えっ、これなにー?
プラレール『新幹線変形ロボ シンカリオン』だそうです。
えー、つまり、トランスフォーマーの新幹線版?おもしろい!



「正体不明の巨大な敵に立ち向かうため、日本の夢と技術が詰まった新幹線をベースに開発されたロボ」なんですって。
いいですね~。「正体不明の巨大な敵」は手ごわそうですが、このくらいの遊び心があったら楽しいですね。

● 桜木町スタート

桜木町駅でミライさんと集合して、現地に向かいます。
桜木町から日ノ出町までは、地下道の「野毛ちかみち」を通って大通り沿いに歩いて行けば、割とすぐ。
ただ、その間に場外馬券場があるため、新聞をにぎったおじさんたちで道は埋め尽くされ、よく歩行困難になります。



でも、この時は、以前ほどのおじさん大軍団はいませんでした。
というか、JRAの建物前も、人が少なく閑散としています。
「今日は競馬がない日なのかな?」
「最近はネットでできるようになったからじゃない?」

● 調査現場到着



ほっとしながら日ノ出町に到着しました。
駅の出口は大通りに面していますが、その後ろに回り込むような細道を発見。
「こっちかな?」
日の当たらない裏道に入ります。いかがわしいという意味ではなく、両側に高層マンションが立っているため、陽がさえぎられています。
「大地震の時に外に出て道にしゃがんでも、その上にビルが倒れてきそう。この道危険だわ」
そんな防災チェックをしながら、細道を奥へと入っていきます。



すると、線路沿いに石段を発見しました。
「これね!」
途中で方角が変わっているらしく、先まで見えません。

● ピンクの外車

後ろを振り返ると、ピンクなお店がありました。
「ピンク・・・!」
ピンクといっても場所が場所だけに、カワイイ方かイカガワシイ方か、わかりません。
(ところで、イカガワシイの中にカワイイって入っているんですね)
後者だったら、こわい人が中にいるかもしれません。
2人でおそるおそる、近寄ってみます。



Pink Holidayという店名で、壁にトランザムが埋め込まれていました。
横から見ると、埋もれているわけではなく、スパッと切られているのがわかります。
ああ、この車にはもう乗れないのね~。
お店の中はどうなっているんでしょうね。



こわごわ近寄ってみると、メニューが見えました。バービー人形のマークも見えます。
「わかった。これはカワイイ方だわ!」
前にTVで、バービー人形カフェを見たことがあります。
出す料理すべてがピンク色で、ピンクのカレーが紹介されていました。
(バービーファンが多いのは知っているけど、ピンクすぎ~。都会ってこわい~)と思って見ていましたが、このお店だったみたい!

レンタルスペースもやっているそう。今度ここで女子会をやってみようかな…(おそるおそる)
謎の石段と、謎のピンクのカフェというシュールな組み合わせは、のっけからパンチ力効きすぎです。

● 未知の駅裏エリア



すぐそばにある京急の高架をくぐってみました。
裏日ノ出町となるその先は、ちゃんとした家が立ち並ぶ、普通の町でした。
日ノ出町駅の徒歩5分圏内に民家があるとは思っていませんでしたが、見方を変えれば駅チカで便利ですね。

「石段、登ってみる?どうする?」と2人で考えましたが、そろそろお昼の時間。
野毛山の上はお店が少ないので、ひとまず下界でランチを取ることにします。



にぎやかな日ノ出町駅の表側に出ました。
駅前のオルガン広場の地図を見ると、先ほど見た石段は天神坂といい、もう一つ山へと続く急な階段があることがわかりました。



「日ノ出町のポチ公だって」
「なんちゃってハチ公かな」

● 静かな野毛の散策

ランチを取ろうと、野毛の洋食屋さんに行きますが、まだ開店準備中。



そこで、野毛界隈を散策しました。
のんべえのパラダイス野毛。ここも相当ディープなエリアで、ネオンの輝く夜に一人でここに入る勇気はありません。
昼でもためらうくらいですが、ミライさんは結構慣れている様子。
シャッターがおりて寝静まった町を案内してもらいました。



都橋のたもとにある、川に出っ張っている場所が、前から気になっていました。
ここは都橋商店街というそうです。



ミライさんのガイドで2階に上がり、川を眺めながら通路を歩いちゃいました。
うわあ、敷居が高い。
酔っぱらって、気持ちよーくここから川に落ちた人が何人もいるんだろうなあと考えます。



前に、野毛のジャズ喫茶「ちぐさ」に行ったことを思い出します。
小さな店内に入ると壁いっぱいに巨大なスピーカーがせり出しており、客のリクエストに応えて古いLPを回してくれます。
ジャズを聴くのが目的なので、私語厳禁で、かつメニューはコーヒーのみ。
コーヒーは飲めないのに、無言の店主がすぐそばにいるので残すこともできず、目をつぶって必死にゴクゴク流し込んだビターな記憶。
その場の空気に緊張しっぱなしで、ジャズの音色を楽しむどころではありませんでした。
そんな野毛は、私にとってディープすぎる町~。

(ところでジャズ喫茶ちぐさは2007年に閉店し、2012年に野毛の別の場所に復活しました。
最初の店舗とは異なり、今のお店はドリンクも充実しており、アルコールも出すそうです。)

そんな苦い思い出を語る私に「でも野毛って安いしおいしいよ」と控えめにフォローするミライさん。
それはわかりますが、まだきっかけがなくて~。ツウになれたらほんとに楽天地だろうなと思います。

● 福音喫茶メリー

「野毛で一番気になる場所がここ」と連れてきてもらったのが、「福音喫茶メリー」。
うーん、たしかに気になる!



「福音って、あの福音よね?」「ほかにないよね」
つまりは「神の声カフェ」ってこと?何をするんでしょう。
メリーという名前も気になります。
聖母マリアのことなのかなとは思いますが、横浜でメリーというと、どうしてもハマの伝説「白いメリーさん」を連想します。
野毛というアヤシサもあいまって、ちょっと腰が引けそう~。



でも、建物の上にちゃんと十字架があったので、ひと安心。
あやしくはなさそう。教会が経営するような、きちんとしたところなのでしょう。
以前行った早稲田の預言カフェよりも、本格的な気がします。



カフェメニューは、コーヒー、紅茶、ジュースなどがあり、以前のちぐさよりもテンパらずに済みそう。
とはいえこの日は日曜日。クリスチャンの安息日なので、カフェももちろん閉まっていました。

● 100円コインロッカー

ほっとして隣の空き地をのぞいたら、100円コインロッカーがありました。
「えっ?なぜここに?」唐突さに驚きます。
「安全なの?」ミライさんもあやしみます。
いろんな意味で、やっぱりなんかこわい~。



NHKの「72hours」で採り上げて、3日間カメラを固定してみてほしいですが、TVに映せないものばかりになったらアレですからね~。

● カフェ・カルディ

ミライさんから「夜更けになると忽然と姿を消す」という謎の焼き鳥屋さんの話を聞きながら、先程の洋食屋さんに行きましたが、まだ開店していません。
そこで、カフェ・カルディという別のお店に入りました。

入ってから、店内でタバコOKだと気づきました。わざわざサインまで出ています。
禁煙の輪が広がるこのご時世で、真逆のスタンスを貫いているんですね。
一瞬ためらいましたが、店内はそれほどモウモウとしておらず、座った席の横に空気清浄器があったので、大丈夫でした。

店内には、競馬新聞を開いて難しい顔で考え込んでいるおじさんたちがたくさん。
そういう人達のためにタバコOKなんでしょう。

今ではカルディコーヒーがあちこちにありますね。
カルディってどんな意味だろうと思ったら、コーヒーを発見したとされるエチオピアの羊飼いの名前だそうです。
お酒のバカルディとは関係ありませんでした!



ここで、イカ明太子チャーハンのランチセットを頼みました。
いくつかあったチョイスの中で一番謎のメニューでしたが、辛さはなくおいしく食べられました。
ガラス張りの店内から外を通る人たちを、紅茶を飲みながらしばらく眺めてから、お店を出ました。
では、野毛から野毛山に歩いていきましょう。

その2に続きます。



最新の画像もっと見る

post a comment