12月23日(読んだ本、『雲』)

 @rinakko
 【雲 (海外文学セレクション)/エリック・マコーマック】
 
 隅々まで堪能した。もうプロローグを読んだ時点で薄気味悪い歪みにふっと捕り込まれていく感覚に、ああマコーマックだ…と。
 語り手を追想へと誘う端緒となったのは、思いがけない場所で手に入れた一冊の黴臭い本『黒曜石雲』だった。その表紙には、遠く離れたスコットランドはアップランドの小さな町の名があり…。
 この『黒曜石雲』に書かれた内容に触れている個所はとても短いのだが、何とも呑み下しにくい不可解な印象がいつまでも残って物語の底に凝り続ける。そしてその“空の鏡”の存在は、途中で語られる幾つもの夢
とどこかで繋がっているようにも思われてきた。…そんなことをねぶねぶと反芻してしまう。

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