8月21日(読んだ本、『あとは切手を、一枚貼るだけ』)

 @rinakko
 假象の森ひらけしあひに水ありきひたひたとわが足を浸すも──葛原妙子
 無月の夜〈月〉は海下を泳ぎいたり──折笠美秋
 #詩歌蠱術函






 @rinakko
 【あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本)/小川 洋子他】
 
 ふと寄り添い合うかにも見えて何処か遠い言葉たちが通う。手繰り寄せてはまた押し返す、似ている温度と違う湿度の思いを湛えて…。ふたりはこれほどに離れてしまったからこそ、互いを照らし照らされる唯一の灯台のような存在になり得たのだろうか…と、思いは尽きない。
 ドナルド・エヴァンズの切手の世界、ジョゼフ・コーネルの箱の記憶、封じこめることと閉じこもること、やさしさと残酷さ、暗闇で見えてくるものについて。私はかつて小川作品に導かれて『アンネの日記』に再会した読者なので、アンネ・フランクに触れる件は殊に沁みた。

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