ラックストーン・レコード雑記帳 - アート・和菓子・音楽

ラックストーン・レコード主人、山口'Gucci'佳宏がアート、和菓子、音楽などなど、徒然なるまま書き綴る、まさに雑記帳。

今日の美術展 [平成二十年十一月三十日]

2008年11月30日 | fine arts
風が冷たいですね。あんなに青々と繁っていた蓮の葉もすっかり枯れ、不忍池も冬景色 (写真) となりました。

知ってる? 子どものむかしの遊び 於: 台東区立下町風俗資料館
昔懐かしい子供の遊びを紹介した展示でした。主に昭和期に子供達が興じていた遊びです。自分が子供時分に実体験した懐かしい遊びがあり、もっと前の遊びも展示されていて、とても興味深く、そして楽しく見ることが出来ました。まず、メンコやベーゴマは自分辺りが最後の世代ではないでしょうか? 勝ったら相手のものが取れる、今では道徳上、よろしくないのでしょうが、そうして社会と言うものを幼心に学んだものです。しかしながら野外でよく遊びましたね。今考えれば、かなり危険なこともしていました....。でも今では危険なことでも、昔はそんなに危なくない環境でした。今は道路でキャッチボールひとつ危なくて出来ない世の中ですから。展示品は本当に懐かしいものばかりでしたが、中でも特に「うつし絵」、久しぶりに再会しました。水に濡らして絵の付いたフィルム状のものを何かに貼り付ける、シールやステッカーの様なもの、雑誌の付録やお菓子のおまけに付いていて、よく遊んだものです。でも、昔の玩具には創造性のあるものが多かった様に思いますね。遊びや玩具を通して物事を工夫することや社会の様々なことを学びました。現代のディジタル社会は否定はしないしませんが、昔の遊びや玩具の様なアナログなものには大きな発想を産む力があると思います。

↓ 台東区立下町風俗資料館 ↓
http://www.taitocity.net/taito/shitamachi/

千年の美 平成の表装展 花音・風信 於: 新宿靍島屋10階美術画廊
日本画の脇役でありながら、作品の見栄えを左右する大きな存在である表具にスポットを当てた展示でした。自分は表具好きで、いつも表具には注目をしています。作品にそぐわない表具であれば、その作品が良いものでも死んでしまう訳ですから。今回のこの展示では、14名の名日本画家の方々が「花音」と「風信 」と言う主題で、それぞれ二幅の絵を描き、名表具師の方々が作品を引き立たせる表具を仕立て、素晴らしい作品に仕上げています。どれも趣深い作品でしたが、中でも土屋禮一氏の二幅に惹かれました。絵と表具が互いに引き立て合っていましたね。ちょっと余談ですが、日本画の展覧会を見終わり展示内容が良かったので、図録を購入しようかなと思い図録を見ると軸物はもちろん表具部分が省かれ絵の部分しか掲載されていません。何だか違う作品の様に見えてしまい、いつもガッカリします。誌面が限られているので、表具まで載せられないのは分かりますが、表具あっての軸物、それだけ表具の大切さが分かりますね。なので、自分は日本画展の図録を購入することがほとんどありません....。

↓ 新宿靍島屋 ↓
http://www.takashimaya.co.jp/shinjuku/index.html?header

井上光太郎展「サンデーモーニング、湿った夢の続き」 於: 新宿眼科画廊
ついこの前も此処を訪れましたが、何だか興味をそそられる展示を行っている画廊です。今回はアップライジングな若手画家、井上光太郎氏の作品展でした。今っぽいペインティング作品ではありますが、何か引っ掛かるものがあって惹き付けられる絵画です。ほとんどが建物を描いた作品なのですが、何でしょう? 色彩でしょうか? 筆のタッチでしょうか? 質感でしょうか? 見た感じの居心地の悪さでしょうか? とにかく何だか気になるのです。井上氏のこれからの動向、どう展開して行くのかに注目したいですね。楽しみです。

↓ 新宿眼科画廊 ↓
http://www.gankagarou.com/

今日の美術展 [平成二十年十一月二十九日]

2008年11月29日 | fine arts
すっかり冬らしい晴れた日、あまり訪れる機会のない相模原へ。此処、市民ギャラリーでは時折、良い企画展が開催されます。写真は歩いていて、たまたま見かけた工事現場にそびえ立つクレーン塔。青い空に映える姿に惹かれました。結構、自分は重機フェチかも?!

片野湘雲とその一門展 於: 相模原市民ギャラリー
片野湘雲氏は中央画壇には名を残すことがなかったのですが、優れた画力を持った昭和初期の日本画家でした。「湘雲画塾」を作り相模原の美術文化に貢献した方でもあります。自分は今日、初めて湘雲氏の作品を見ましたが、素晴らしいものばかりでした。緻密に描き込んだ作品、シムプルに筆を走らせた絵、どれもが典型的な日本画の技法を踏襲していながら、全てに独創性を感じます。特に単純な筆使いの作品と可愛らしい雀の姿が描かれた多くの絵が良いですね。どの世界にも隠れた逸人は居るものですが、片野湘雲氏もそんな中のひとり、凄い方でした。

↓ 相模原市民ギャラリー↓
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/profile/gallery/museum/gallery/gallerytop.html

今日の美術展 [平成二十年十一月二十八日]

2008年11月28日 | fine arts
午後から雨も上がり、暖かくなりましたね。そんな中、新宿に行く用事があったので、花園神社の酉の市「大酉祭」三の酉前夜祭 (写真) に寄りました。熊手を扱う露店や的屋が沢山出ていて賑わっていましたよ。明日の本祭はもっと盛り上がることでしょう。

茶人のまなざし 森川如春庵の世界 (後)  於: 三井記念美術館
近代茶の湯界の重鎮、三井物産初代社長・益田孝氏 “鈍翁” と愛知県の素封家・森川勘一郎氏 “如春庵” との付き合いを通し、森川如春庵と益田鈍翁ゆかりの茶の湯にまつわる品々の後期展示でした。森川如春庵は優れた審美眼を持つ方だったそうで、10代にして本阿弥光悦氏の名碗をふたつ所有していたそうです。今回並んでいた、いろいろな品々も本当に良い佇まいの趣深いものばかりでした。特に、やはり多くの茶碗は素晴らしいかったです。森川如春庵や益田鈍翁の様な数寄者の方々が居るからこそ、芸術が育まれる訳ですね。

↓ 三井記念美術館 ↓
http://www.mitsui-museum.jp/index2.html

佐野洋平個展「花を描く絵」 於: cafeユイット/galleryユイット
ここはイイ感じのカフェに併設されているギャラリーです。カフェで待ち合わせをしていたので、展示も見ることにしました。佐野洋平氏による花を線で描いた抽象画です。白地に黒く細い線で花の輪郭が描かれ、淡い彩色がされたシムプルで素朴、ほのぼのとした作品で良い雰囲気でした。会場で配っていた作品を描く為の思考を記したメモ書きが、なかなか面白くて、それによると絵を描く (未来への) ベクトルと、その時間、花と恋を形にした作品だそうです。ファイルされていた他の作品を見ると、これがまた良い感じで、実物を見てみたいと思いました。

↓ cafeユイット/galleryユイット ↓
http://www.tokyoartbeat.com/venue/34DFEDBD

今日の美術展 [平成二十年十一月二十七日]

2008年11月27日 | fine arts
久々の雨模様、寒い一日。原チャリ移動はあきらめ、電車で出掛けました。そう言えば渋谷駅構内に岡本太郎氏の「明日の神話」(写真) に招致・設置されましたね。まぁ、絵の主旨から言って渋谷でなくてもよかったとも思いますが、素晴らしい作品をいつも見ることが出来るのはありがたいです。

近世初期風俗画 ~ 躍動と快楽 於: たばこと塩の博物館
江戸時代初期に於ける風俗画屏風の名品を一堂に集めた展示、きらびやかな装いの作品がこれだけ揃って並ぶことは稀だと思います。会場全体が素晴らしい見栄えでした。遊楽図・洛中洛外図・歌舞伎図・四条河原図などの屏風絵、どれもが当時の栄華さが伝わってくる美しいものです。また、庶民の生活や風俗がよく分かります。大きな画面に緻密に描かれた人物の動きや表情、様々な場面がひとつの画面に収められ絵の流れがどの作品も見事、様式美ですね。今回はたばこと塩の博物館で開催されているだけあって、煙草が登場する場面が描かれた風俗画が多いのが興味深い展示でした。

↓ たばこと塩の博物館 ↓
http://www.jti.co.jp/Culture/museum/WelcomeJ.html

写真三銃士 – 写真新世紀2007 優勝賞受賞三人展 於: 新宿眼科画廊
写真三銃士 – 写真新世紀2007 優勝賞受賞三人展 於: 新宿眼科画廊
2007年「キャノン写真新世紀」で優秀賞を受賞した若手写真家3名、田福敏史氏、青山裕企氏、中里伸也氏による合同新作展でした。 田福敏史氏「MISSING」はアジアを旅して撮影した写真、エキゾティックさと人々の生の生活感が伝わってきます。 青山裕企氏の「pack・age」は以前に見た「undercover」の続編的な作品シリーズ。「undercover」が結構、イムパクトのある作品だった為に、今回のシリーズには、そんなに惹かれませんでした。ですが、そこには少女達の若さ (歳) 故の危うさや儚さ、そしてフェティシズムがヴィニールに包まれて写っていると思います。中里伸也氏「Things Scattered」はペインティングされたオブジェを撮影した作品。とても不思議な感じを覚える画面、写り込んだものの質感が面白いです。絵画の様にも見える新感覚の興味深い作品でした。3名の作品、全てに勢いを感じましたね。

↓ 新宿眼科画廊 ↓
http://www.gankagarou.com/

今日の美術展 [平成二十年十一月二十六日]

2008年11月26日 | fine arts
今日も良い天気、空がきれいな一日でした。写真は中原街道・多摩川に架かる丸子橋から見た夕空。

人間国宝 濱田庄司展 於: 川崎市市民ミュージアム
川崎生まれである最初の人間国宝 (重要無形文化財技術保持者) である陶工、濱田庄司氏の軌跡が分かる展示です。濱田氏が行ってきた様々な作陶を見ることが出来て興味深い作品展でした。濱田氏はやはり天才と言える方でしょう。氏が作成された陶器の数々を見ると、しっかりと陶芸の基礎を踏まえながらモダンで独創的、大胆且つ繊細、美しくものばかりです。高い創造力による、そんな素晴らしいものを産み出すことは努力だけでは無理、やはり素質だと思いますね。今回、本当に多くの趣のある素敵な作品を見ることが出来ました。特にいろいろな釉薬に彩られた大皿がずらっと並んだ様は圧巻、あと小さくて素朴なものでしたが、ひとつの丸鉢にとても惹かれましたよ

ともに生きる 欲望・矛盾・創造 於: 川崎市市民ミュージアム
同時開催されている展示も覗いてきました。こちらは現代アートを中心とした展示です。テーマは面白いと思いますが、内容がちょっと散漫な感じがしました。「ともに生きる」と言うテーマに対して「都市」・「自然」・「人」・「食」・「メディア」と言う五つのキーワードに因んだ作品が展示されています。パラモデルのプラレールを空間いっぱいに張り巡らせた「都市」のインスタレーションは迫力ものでしたが、他の現代アートに自分は、あまり関心が持てませんでしたね。それよりも数名の写真家の方々によるリアリティが写し込まれた写真作品に興味を覚えました。かなりのイムパクト、真実の力は凄いと言うことです。

↓ 川崎市市民ミュージアム ↓
http://www.kawasaki-museum.jp/

美ジャケ#42

2008年11月25日 | musics
連休明けの為、仕事の打ち合せの他、いろいろとすることがあって今日は美術展へは行けず仕舞い。良い天気だったのに残念でした....。

引き続きツイストもののアルバムです。トラムペッター、レイ・アンソニー率いるブックエンズ (洒落たバンド名です!) によるゴキゲンなツイスト・ミュージックが満載。1962年のリリースです。”TEQUILA”、”PETER GUNN”、”HOUND DOG”など、ツイストにアレンジされたお馴染みのナムバー・カヴァー多数、女性コーラスがフィーチャーされた曲も収録されメチャ楽しい内容の一枚。アルバム・カヴァーは地味めですが、モノクロ写真の美女が踊る姿とタイポのコントラストが美しいです。

THE TWIST WITH RAY ANTHONY AND HIS BOOKENDS (Capital/ST1668)

今日の美術展 [平成二十年十一月二十四日]

2008年11月24日 | fine arts
今日はサクッと一軒、展示を見に行ってから、午後のライヴ仕事へ向かいました。写真は今日の仕事場、雨の東京国際フォーラム。もうすぐクリスマスですね。

2008 秋のコレクション展「Composition コンポジション」 於: ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
浜口陽三氏の作品に於いてコンポジション=構図に焦点を当てた展示でした。確かに浜口氏の版画はどれも構図が絶妙。サクランボ、ブドウ、レモン、くるみ、瓶と言った静物が画面の中に大胆で、尚かつ整然と佇んでいます。斬新で奇抜、それでいてバランスが良く、素晴らしいですね。今回、並んでいた作品は選りすぐりの本当に凝ったコンポジションのものばかりでした。浜口氏と言えばメゾチントですが、今回は何点かのリトグラフも展示されていて、また違った質感で素敵でした。メゾチントは静けさをリトグラフには動きを感じます。そしてメゾチントを作成する為のパステル画の習作も興味深いものでした。自分は、いろいろな作品の中、特にカラー・メゾチントの小作品が好きです。

↓ ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション ↓
http://www.yamasa.com/musee/

今日の美術展 [平成二十年十一月二十三日]

2008年11月23日 | fine arts
今日も小春日和と言える様な穏やかで暖かい一日でしたね。そんな陽気の中、鎌倉へ赴きました、が....、行楽シーズンの今、うんざりすすほどの人出、もの凄い賑わい振り (写真の小町通りの様に) でした。

鎌倉の精華 鎌倉国宝館開館八十周年記念 於: 鎌倉国宝館
主に鎌倉時代に作られた仏像、絵画、書跡、工芸の名品を集めた展示です。国宝や重要文化財は多数のとても貴重な品々が並んでおりました。展示品の中で徳を感じる仏像の数々、そして、やはり国宝のとても美しく手の込んだ細工が施された「籬菊螺鈿蒔絵硯箱」に惹かれましたね。日本の歴史を感じる興味深い品々を見ることが出来た展示でした。

↓ 鎌倉国宝館 ↓
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kokuhoukan/index.htm

岡村桂三郎展 於: 神奈川県立近代美術館 鎌倉
現代日本画作家、岡村桂三郎氏の近年の作品からさし新作の展示です。薄暗い会場内に立込まれた巨大な屏風状の作品は、とにかく威圧感があり、ド迫力、驚きものでした。板を張り合わせ、焼きを入れたパネルに描かれた作品は岩絵具で描かれてはいるものの、もはや日本画の範疇では捉えることの出来ない岡村桂三郎氏独自の作風と言えると思います。だからこそ、今回もその中から数点が出品されていますが、現代美術の「高橋コレクション」に収められているのでしょう。ですが、しっかりと伝統的な日本画を踏襲している面もあり、描かれた対象物は伊藤若冲氏等の絵画も思わせます。鱗の様なものに覆われた鳥、象、そして空想上の動物やインドの伝説上の動物達は禍々しく、そして神々しくもあります。自分には鱗の様に描かれた動物達の肌の質感が深海魚や化石を想い起こさせ、何だか「古代」と言うイメージを強く感じさせましたね。とにかく凄い、と思わず言ってしまう作品群でした。

小宇宙への情熱 美浦康重版画コレクション展 於: 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
別館の方では柄澤齊氏による作品を中心とした美浦康重氏、蒐集の版画コレクションが展示されていました。柄澤氏の作品は今までにも、いろいろと見てきましたが、何と言っても超絶技巧による微細な木口木版は、いつ見ても感嘆しきり、舌を巻く思い。線と点、そして面の妙技、想像力・発想力の豊かさ、凄い才能です。本当に其処には小宇宙がありますね。とても小さい作品の中にとてつもない奥深さを感じます。柄澤氏の90年代後期、和テイストの作品は今回が初見で、何処となく浮世絵版画を想わせる、味のある作品で気に入りました。他の作家の方々、長谷川潔氏、浜田知明氏、日和崎尊夫氏等の作品も興味深かったです。とにかく素晴らしい版画コレクションでした。

↓ 神奈川県立近代美術館 ↓
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/index.html

真葛香山展 於: 吉兆庵美術館
明治から昭和時代にかけて、四代にわたり創作活動を行い、数々の名品を産み出し活躍した横浜の陶工、真葛香山氏。この展示は当館が収蔵している歴代の作品が展示されています。どれもが溜息が出るほど、手の込んだ造作が為された素晴らしい陶磁器の数々で、とても佇まいの良い形、美しい色、いろいろな作風の全ての作品が素敵なものでした。中でもやはり初代の作品は目を惹きます。自ら、様々な技巧を試し、素晴らしいものを作り出していったことが分かります。初代による代表作のひとつである東京国立博物館に収蔵されている蟹の彫刻が施された壺と同型のものも展示されていて、それは迫力があり、緻密に作り込まれた蟹の造形は凄い迫力がありました。自分は美しい彩色による磁器の数々に魅せられましたね。

↓ 吉兆庵美術館 ↓
http://www.kitchoan.co.jp/museum/

今日の美術展 [平成二十年十一月二十二日]

2008年11月22日 | fine arts
良い天気が続いています。嬉しいですね。

広重名品展 (前) 於: 川崎・砂子の里資料館
いつも良質な浮世絵を無料で公開してくれている、とてもありがたい川崎にある砂子の里資料館が開館八周年を迎えた記念展です。収蔵作品から歌川広重氏の浮世絵名品の数々を集めて展示してありました。中でも今回の展示では多くの美人画と、かの有名な「月に雁」を含めた短冊形の作品が目を惹きました。広重氏はやはり風景画の絵師と言うイメージがありますが、華やかな美人画も良いものです。それを改めて感じましたね。今回は天童藩が広重氏に依頼して描かせた肉筆画、一般に「天童広重」と呼ばれる軸物で「箱根二子山・箱根権現社」の二幅が初公開されているのも見どころのひとつ。後期展も楽しみです。

↓ 砂子の里資料館 ↓
http://www.saito-fumio.gr.jp/

野中ユリ展 於: ポスターハリスギャラリー
1970年代から創作活動されているアーティスト、野中ユリ女史の作品展です。コラージュ、デカルコマニー、オブジェ、その全てに野中女史の宇宙が広がっていました。澁澤龍彦氏、瀧口修造氏等と交流があり、共に活動していた野中ユリ女史の作品は、やはりその時代を感じさせる雰囲気があって興味深いです。近作にも変わらない世界観がありました。

↓ ポスターハリスギャラリー ↓
http://posterharis.com/gallery/

鈴木雅明展 – Untitled 2008 於: Bunkamura Gallery
昨日見た「シェル美術賞展」の2005年にグランプリを受賞した作家、鈴木雅明氏の作品展です。温かみのある画面に描かれている風景は何故か概視感がある様で不思議な気分になりました。どの作品にも描かれている滲んだ光が印象的で、また構図のバランスが絶妙です。とても良質なポップ・アートだと思いますね。

↓ Bunkamura ↓
http://www.bunkamura.co.jp/index.html

今日の美術展 [平成二十年十一月二十一日]

2008年11月21日 | fine arts
良い冬空です。冬は空気が澄んでいて景色が綺麗に見えますね。夜景も素敵です。

小林孝亘 遠い光 於: 西村画廊
バンコクと東京で創作活動をする作家、小林孝亘氏の新作展です。ほんわかした雰囲気のある作品の数々,多くの部分に使用されている緑色がとてもきれいで目にやさしいペインティングでした。静けさ、淡い光のイメージ、不思議に思える奥行き感、何だかその絵の中に自分が佇んでいる様な気分になります。見ていて良い心地となるポップ・アートでした。

↓ 西村画廊 ↓
http://www.nishimura-gallery.com/

野又穫展 – 遠景 SKY GLOW 於: 日本橋靍島屋6階美術画廊X
野又穫展 – 光景 SKY GLOW 於: 新宿靍島屋10階美術画廊

空想上の建築物を描く作家、野又穫氏の新作展が百貨店、靍島屋の日本橋店・新宿店の画廊に於いて同時開催されています。その二箇所を続けて見てきました。以前、オペラシティアートギャラリーで多くの作品を見て以来、野又穫氏はちょっと気になる作家ではありました。先ず日本橋の方では「遠景」と言うタイトル通り、空想上の風景、ランドスケープが描かれた数々の作品、巨大な建築物は画面にはなく、湖か沼の様なものが描かれた広大な風景など、今までの建築物の絵画とはまた違った様相の作品が並んでいます。今までの野又氏が描いてきた作品は「静かさ」を思わせるものでしたが、俯瞰する様な視点で描かれたこの「遠景」では、どの作品にも何処となく「動き」を感じる気がしました。新宿では「光景」と題し、光を放つ空想上の建築物が描かれた作品が展示されています。光が見えると言うことは夜の風景で、こちらも今までにない画風の作品の数々で、とても興味深いものでした。どれも描かれた光の様子が綺麗で良い雰囲気の絵画ばかり、緻密に描いた作品はもちろんですが、雰囲気を前面に出しているこんな野又氏の作品もイイですね。今回の展示は野又氏の新境地かもしれません。

↓ 靍島屋 ↓
http://www.takashimaya.co.jp/

シェル美術賞展2008 於: 代官山 ヒルサイドフォーラム
去年もこの時期に訪れた若手作家を紹介する公募展です。昨日、CASHIに於いて見たサガキケイタ氏も出展しています。今回はグランプリの該当作品はなし、準グランプリが2名ですが、自分はその2名の作品はともかく審査員賞の中嶋威仁氏「山火事」、渡邊順子女史「循」がとても気になりました。どちらも何処か自分の琴線に引っ掛かるエネルギーを持ったペインティングです。他の作品では西尾真代女史の天上と照明を真下から見上げた視点で描かれた着眼点の面白い「室内風景天井」、絹本を用い、その作品を台紙には貼らず枠に浮かせて展示した安藤陽子女史の作品「portrait」、ポップでほんわかした画風の松下英樹氏「真夏の光」などが興味深かったですね。もちろん、サガキケイタ氏の大作も良かったです。どの作品も勢いを感じる作品ばかりで、最近のペインティングの傾向として技術力は元より、パッと見の印象が強いものが多いと改めて感じました。

↓ ヒルサイドテラス ↓
http://www.hillsideterrace.com/