プロ野球 OB投手資料ブログ

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長田裕之

2017-05-02 21:27:48 | 日記
1963年

試合が終わると長田はベンチをとびだす。リリーフした徳久のところまで走っていき、帽子をとって「どうもありがとう」とていねいに頭を下げた。そのお返しに徳久の荒っぽい祝福がかえってきた。長田を抱きかかえ、腕を首に巻きつけて頭をポンポンたたいている。たたく方もたたかれる方もニコニコしながら酔ったような顔つきで帰ってきた。調子はどうだったと長田に聞くと、その返事より先に、横からうしろから二本も三本も毛むくじゃらの腕が長田の方にのびてきた。若い長田はそれにいちいち帽子をとり、頭を下げながら受けていた。あとからきた伊香が「オレにも手を握らせて・・・」とおどけた口ぶりでいうと、神妙に長田は「ハ、ハイ」あわてながら手をだす。ニコニコ笑って祝う長田の握手風景がほほえましかった。伊香が去ると「吉沢さんにまかせっきりでした。きょうの1勝は二年ぶりなんです。たしか二年まえの八月十五日、大毎戦で勝っていらい・・・」と前の1勝をなつかしそうに思いだしていた。「先日の東映戦で調子がよかったのでちょっぴり自信はありました」といいながら歩きはじめた。食堂の前までくると近鉄・永江代表が待ちかまえていて黒い顔をクシャクシャにして「きょうはお前よく投げたやないか。おめでとう」と肩をぽんぽんたたいた。恐縮した長田。小さくなってピョコンと頭を下げると走ってひきあげた。

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