ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/11/24 演舞場花形歌舞伎夜の部①「馬盥」で松緑を見直す

2006-11-24 23:59:06 | 観劇
歌舞伎座の顔見世歌舞伎を昼夜観てしまってから演舞場の歌舞伎を観るとどうも分が悪い。しかしながら若手を見守りながら、しっかりと私も勉強しようと思う。

1.『時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)』
明智光秀が毛利攻めに赴く途中の織田信長を本能寺で討った史実を踏まえた四世鶴屋南北作による演目。明智光秀→武智光秀、織田信長→小田春永、羽柴秀吉→真柴久吉と言い換えられている。
【本能寺馬盥の場】
春永は諫言を繰り返す光秀にいらだち、先日も蟄居を言い渡していた。本能寺に宿所を構えた春永に陣中見舞いが続々と届いているが、光秀妹桔梗が兄への勘気を解いてもらおうと花を届けるが花の意味を悪く読まれてしまう。それを春永の愛妾園生の局や森蘭丸などの取り成しにより、春永は光秀の目通りを許す。
真柴久吉が届けた馬盥に轡で錦木を生けたものを褒めた春永は、目通りした光秀にその馬盥を杯にして酒を飲めと強要。それでも動じない光秀。毛利攻めに加わるならば久吉の配下になれとも言う。いろいろな嫌がらせをして光秀を成敗する機会をうかがっているのだ。最後に春永は光秀にあるものを掛け軸と言って与える。北陸の地で浪々していた時期に光秀の妻が客をもてなすために髪を切って売ったものを入手しておいたもの。その箱を開けさせて満座の中で辱める。ひとりになった光秀はある決意をかため、宿所のある愛宕山に戻っていく。
【愛宕山連歌の場】
光秀の帰りを待つ妻皐月は連歌師丈巴や安田作兵衛らと連歌の会を催していた。春永の光秀への仕打ちのひどさに家臣たちは主君討つべしとはやるが、皐月は夫の辛抱を理解していた。ところが戻った光秀は切り髪の恥辱を受けたことまでを話し、ついに謀反の決意を語る。
そこに上使があらわれ、領地替えを下知。光秀は死に装束となり、主君の勘気に触れたことを覚悟しての切腹と見せかける。辞世の句として「時は今雨がしたしる皐月かな」の短冊をかざしたところに鬨の声が上がり、上使2人を切り捨てる。四王天但馬守が鎧姿で現れ、すでに光秀の軍勢の先触れが本能寺を囲み落とす勢いであることを報告。光秀はこれまでの忍耐と春永を討つ覚悟を高らかに宣言して幕。
今回の配役は下記の通り。
武智光秀=松緑 小田春永=海老蔵
光秀妹桔梗=松也 園生の局=春猿
光秀妻皐月=芝雀 連歌師丈巴=寿猿
安田作兵衛=薪車 四王天但馬守=亀蔵

松緑の光秀は初役。冒頭の花道に登場する場面の台詞が間延びしすぎて聞き取りにくかった。舞台に上がって春永とのやりとりになるとよくなった。しぐさもきれいで馬盥で酒を飲む場面もなかなか立派なもの。彼の風貌は写楽の絵のような雰囲気があってこういう役は存在感が出ていいなぁと思った。昼の部の播磨よりもこちらが気に入った。元三之助の中でも一番の年長者。この頃かなり大人の雰囲気が強くなってきたのでじっくりと台詞にも磨きをかけて芝居達者になってほしい。

海老蔵の春永はどうにもエキセントリック一辺倒で気持ちが悪かった。この話では春永を極端にひどい主君として描いているのだが、それにしてももう少し天下人の度量の大きさ的なところを出せるといいなぁと思ったが、まだまだこれからなんだろう。
松也の桔梗はきりっと美しくけなげだし◎。春猿の園生の局は権力者の愛妾としての色気十分だけど、これだけしか出番がないの~という寂しさあり。
芝雀の皐月は浪々時代からの苦労を支えたという控えめな妻の感じがよかった。落ち着いた感じが松緑とのコンビでは姉さん女房的雰囲気があっていていいと思う。これからもいろいろな役で組んでいっていただくと楽しみだ。

写真はポスターから松緑の光秀部分のアップ画像。古代紫の衣装に白い桔梗の紋。眉間の傷は前回の春永の勘気を蒙った時に受けたものということだった。いじめられマークだったのね。
関連の感想記事はこちらm(_ _)m
11/4昼の部①ヒートアップの「勧進帳」
11/4昼の部②菊之助の「弁天小僧」
11/4昼の部③奴隷と主人の恋「番町皿屋敷」
11/24夜の部②菊之助の「船弁慶」
11/24夜の部③海老蔵の澤潟屋型「四の切」!
演舞場の感想の全部を書き上げてはいないが、歌舞伎座の顔見世の方を書きたいので次はそちらを書くことにしたい。


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2 コメント

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そう。温かい目で。 (るるる)
2006-11-29 13:36:09
そうそう。
思ったことがそのまま表現されていて、うんうん。
温かい目で見てゆきませう♪

書きたい記事がありすぎて書けないです。私も頑張って書かなくちゃ。
ブックマークさせていただきました。よろしくお願いいたします。
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★るるる様 (ぴかちゅう)
2006-11-30 03:02:47

ブックマークしていただきまして恐縮です。これからもどうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m
松緑くん、大河ドラマの『葵三代』で家光をやった時にけっこういいじゃないかぁと思ったのですが、歌舞伎ではこれまでイマイチという感じでした。
どうやらお子さんができて父としての自覚が芽生えたということのようですね。
>温かい目で見てゆきませう♪.....ハイ私も同感でございます(^O^)/
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