ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/03/08 「歌舞伎役者 十三代目片岡仁左衛門」 1【若鮎の巻】

2008-03-12 23:53:15 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

上の写真は下北沢トリウッドの公式サイトから、記録映画「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」6作品上映企画のチラシ画像。
初日に3本続けて観た。そもそも13代目仁左衛門にここまで興味を持ったきっかけは、ご贔屓の愛之助が部屋子になっていた13代目を尊敬を持って語っているのを聞いたり読んだりしたからだ。木挽堂書店で絶版となっている松島まり乃著『歌舞伎修業―片岡愛之助の青春』も手に入れてしっかり読んでいる。松嶋屋の雰囲気もある程度把握していたので初めて観ても合点できることもあって良かったと思った。


ウィキペディアの「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」の項はこちら

自由工房のサイトの羽田澄子監督の説明のコーナーはこちら

第1部【若鮎の巻】(102分)
<出し物>「一条大蔵譚」奥殿、「傾城反魂香」吃又
上方の若手歌舞伎俳優たちは「若鮎の会」をつくり(後に「上方歌舞伎の会」に継承される)、勉強会を続けていた。
若鮎の会の自主公演記録はこちら

1987年(昭和62年)夏の第8回公演における13代目の演技指導を記録。京都嵯峨の仁左衛門邸の広間での稽古から始まる。義太夫が身体にしっかり入っている丈は若手に口三味線をしながら義太夫にのった台詞回しを指導。一条大蔵卿役の若手は公家言葉に不可欠の‘が’の鼻濁音を直され、「いなしゃませ」(去れということを“いね”と言い、その公家言葉)の音使いとリズムを何度も直されるが、ちっともできないので客席からも笑いがもれるほどだった。公家言葉の難しさ、義太夫狂言のためには浄瑠璃を勉強しないといけないということを何度も繰り返している。

おとくは千次郎時代の吉弥と確信を持った(公式サイトでも確認)が、吃又役がわからず、家でネットの歌舞伎俳優名鑑を検索して照合すると片岡當十郎とわかった(この人が最晩年の仁左衛門丈にずっと付いていることが後の巻でわかる)。この二人のコンビはまずまずの感じ。
板敷きの広縁には部屋子の千代丸時代の愛之助がしっかりと13代目の指導を見つめていた。
劇場の稽古場で稽古をつける様子。前日の稽古の指摘どうりに直っていないという丈の指摘に長男の我當が出てきて、前日の稽古の後に自分がみた稽古でどうしてもできないので今のやり方にしたと説明にきている。大先生と小先生みたいだなぁと思った。我當が父の指導をきちっと補佐しているのに感心してしまった。その補佐のタイミングのよさ。まさに息が合っている。

仁左衛門丈は三味線の弾き方、義太夫の語り方にも自分で語って合わさせている。上方歌舞伎専属の大夫三味線がもういなくなっていて、東京から来てもらっているので昔ながらの上方歌舞伎の演奏が継承されていないという。三味線も江戸弁風に訛ってしまっているという。

公演本番は最前列でジッと見守る様子を舞台とともにカメラがしっかりとらえている。問題の箇所は本番でもできていなかった。丈も挨拶にたち、「お目まだるい舞台でございましたが・・・・・・」という出来。それでも若手に乞われて稽古をつけてきた経過や、年に一度こういう大きなお役で舞台にたてるこういう機会を大事に支えていただきたいというようなことをお話していた。

84歳のこの頃の13代目は目もまだ見えていて、自宅の中を歩くときもゆっくりとだが一人で歩いていた。若手に対する指導もご自分の中にあるものを全てぶつけていて、それを受けとめきれないでいると、いかにもじれったいという表情としぐさに情熱がこもっている。ご自分でやって見せるその台詞回し、しぐさに13代目の舞台のイメージが広がる。
淡々とした記録映画なのに、こんなに面白いとは予想以上だった。この1本目で残り5本をしっかり観る決意が固まった。

花粉と黄砂でヘロヘロで、ここまで書くのに2日がかりになってしまった。マイペースで2以降に続く・・・・・・。
3/8 第2・3部【人と芸の巻(上・中)】はこちら
3/9 第4部【人と芸の巻(下)】、当代のビデオレターはこちら
この映画で下北沢デビューしたという記事はこちら


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
道真 (hitomi)
2008-03-13 23:48:51
道実演じるときは精進潔斎でしたか。特別なんですよね。立派です。

松島さんの本、絶版ですか。持っています。
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★hitomiさま (ぴかちゅう)
2008-03-13 23:54:45
当代も菅丞相を演じるときは精進潔斎して、お肉も断つそうです。羽田監督が13代目を最初に撮られた「菅丞相片岡仁左衛門」の記録映画も是非ぜひ観てみたいです。
松島さんの本、愛之助の子どもの頃からの写真も若い頃の写真もいいのがたくさん載っているのも有難いです。今や貴重本ですね。
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ビデオレター (かしまし娘)
2008-03-18 11:55:05
ぴかちゅう様、まいど!
ビデオレターのラスト。
当代の満面の笑みにちょっと恥かしかったりして…。
気分は”2人っきり”なもんで。場内暗いし(笑)

13代目の映画に再び巡り会うとは思っていなかったので、
幸せなんですが、前に観た作品をまた観てしまったり、無計画で、
私はまたしても無理かもです。トホホ。
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★かしまし娘さま (ぴかちゅう)
2008-03-18 21:43:30
当代仁左衛門のビデオレター、毎回上映前につくので私は2日連続で通ったので6回も観てしまいました。思わず、後ろの胡蝶蘭の贈り主の名前までチェック!中村メイコさんからのがありましたね。
花粉に負けていて、感想のアップはちょびちょびのペースですが、頑張りたいで~す。
(注)かしまし娘さんの記事は名前をクリックすると読んでいただけますのでご紹介(^O^)/
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TBさせていただきました。 (どら猫)
2008-08-25 01:30:21
ぴかちゅう様
コメント&TBを有難うございました。
どら猫なんぞは不勉強ですから、とにかく見たいの一心で全部、拝見してきました。
今回のビデオレターは松嶋屋の一族の方々のが休憩時間にロビーで流れておりました。
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★どら猫さま (ぴかちゅう)
2008-08-28 21:10:32
TB返しとコメントを有難うございましたm(_ _)m
どら猫さんが6本を一日で通されたとは脱帽ですm(_ _)m
「若鮎の巻」は一番最初に見ると一気に引き込まれ、残る5本もガンバロウという決意が固まる作品でしたねぇ。
「いなしゃませ」の関西弁のイントネーションに苦労していた若手さんがどなたかも、どら猫さんの記事のコメント欄のやりとりの中で教えていただきまして有難かったです。
続けてどら猫さんにいただいた「人と芸の巻」のコメントにお返事しますね!
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Unknown (hitomi)
2009-02-24 13:43:45
ようやく名古屋にこの映画が来ました。1年も遅れてます!引用、参考にさせていただきました。よろしくお願いします。
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★「猫と薔薇、演劇、旅ファン」のhitomiさま (ぴかちゅう)
2009-02-24 21:45:53

拙ブログの記事をご紹介いただきまして有難うございますm(_ _)m
東京や大阪の上映企画も「仁贔屓会」の皆様が奔走されて実現してくださったものです。名古屋は新作映画「Beauty」との抱き合わせ上映企画だったんですね。ご覧いただけてよかったです。
明日は歌舞伎座千穐楽の夜の部に行ってきます。このところの不安定な天気で風邪をひいたかもしれないのですが、なんとか行ければいいなと思っています。
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