ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/03/08 「歌舞伎役者 十三代目片岡仁左衛門」 2・3【人と芸の巻(上・中)】

2008-03-17 23:59:39 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

84歳から88歳までの13代目仁左衛門の舞台、芸談、生活の記録は、「人と芸の巻(上・中・下)」として3本にまとめられている。芸談の多くは13代目の長年のご贔屓の女性グループ「芸談をきく会」での話を撮影している。
上と中までを初日で鑑賞。

第2部【人と芸の巻 上】(94分)
<出し物>1987年(昭和62年)6月「伊賀越道中双六」の沼津の平作。今回の6本の中では一番最初に撮影されたという大阪・中座での舞台。こじんまりした小屋という感じがしていい雰囲気。大阪にいた頃に道頓堀をよくブラブラしたが、中座に行ってみればよかったなぁと今更ながら思う。孝夫が初役の重兵衛とのことだがそうは思えない出来。秀太郎のお米も若々しい。今年の初芝居中継の我當の平作と脳内でだぶらせて観てしまうが、13代目の平作のよたつきぶりは自然だし可愛らしい。沼津でもう泣ける(13代目の平作を褒めているサイトもみつけたのでご紹介)。
10月国立劇場での「紙子仕立両面鑑」大文字屋の助右衛門。父の11代目が人形浄瑠璃から歌舞伎に移して初演したという演目だが、馴染みがないのでここで睡魔に襲われてどんな話かは覚えていない。しかし舞台稽古の場面で實川延若片岡我童の動く姿を観ることができたのが大きな収穫。この間に読んだ本で写真は見たことがあったが映像はやはり有難い。「河内屋は・・・・・・して」とか13代目が座頭として芝居をつけていく様子も興味深かった。

12月南座での「寿曽我対面」の工藤祐経は座頭役で立派。五郎を富十郎、十郎を扇雀。この時13代目は京都南座顔見世連続35年出演で表彰され、私が今あるのもご贔屓の皆さんが私を可愛がっていただいているからで有難いというような挨拶をされていた。「可愛がっていただく」という表現がとても13代目に似つかわしい気がしたし、この笑顔が本当に魅力的。昨年亡くなられた松竹の永山会長の動く姿もここで初めて見た(^^ゞ

第3部【人と芸の巻 中】(101分)
1988年(昭和63年)2月の歌舞伎座百年記念公演「通し狂言 菅原伝授手習鑑」。歌舞伎の「筆法伝授」はまだちゃんと観ていないのでそこも興味深く観た。13代目はかなり目が見えなくなってきていて、歌舞伎座の舞台の大きさを身体に刻み込むために介添えなしで歩き階を降り、大道具に階の幅の調整を頼んでいた。そうして演じた菅丞相は秀太郎の苅屋姫との別れの場面など、娘との永久の別れを覚悟した深い悲しみの姿にすごく人間味を感じた。もっと神様的な演技かなぁと予想していたのだが、そのあたりはよくわからず。ますます「菅丞相片岡仁左衛門」の記録映画を観たい気持ちが募る。他の配役は以下の通り。覚寿(7梅幸)、輝国(8福助)。
5月歌舞伎座「妹背山婦女庭訓」の花渡しの場面。吉右衛門の大判事と芝翫の定高を恫喝する13代目の入鹿の公家悪の立派なこと。

6月には朝日新聞社から写真集「風姿」が出版された。楽屋に届けられ全てのページをめくっていくが、どんな写真なのかはご自身ではわからなくなっていて喜代子夫人の解説にうなづく。とても嬉しそう。

京都嵯峨の片岡家での8月のお盆の様子が興味深かった。13代目は信仰深く、神仏、祖先に毎朝祈りを捧げており、その様子の映像もあった。お盆の墓参り時にご先祖様に迎え火の時間まで伝えているのには驚いた。特別な祭壇を設け、夜7時には玄関で迎え火を焚き、一族が皆集まっての法事。13代目の子どもは3男5女ということで、母の指示で娘たちが台所では特別の料理の用意。おはぎの大量のあんこづくりにびっくりした。小豆からつくるのだという。

それともっと驚いたのは祇園のお座敷で太棹三味線を弾く13代目の姿。浄瑠璃を語っているのは秀太郎。「役者が花柳界に行く時は芸妓さんたちに楽しんでもらわなくてはいけない」とさらりと言ってのけられていたのが、こういうことだったのねと納得。しかしここまで義太夫を本格的にやっている役者さんはもういないだろうなぁ。何を語っていたのかはオフ会でマイミクの「すの字」さんに「卅三間堂棟由来」だと教えていただいた。感謝m(_ _)m
この映画にふれた秀太郎さんのお話が載ったサイトもご紹介しておこう。

写真集の表紙写真画像を見つけたのでアップしておく。「夏祭浪花鑑」の三婦のようだ。この笑顔がいいなぁ。
【人と芸の巻 下】までまとめてアップするつもりだったが、花粉も黄砂も飛散多しで気力体力続かず。記憶も薄れてきてしまうのが悔しい。ボチボチ続く・・・・・・。
3/8 第1部【若鮎の巻】はこちら
3/9 第4部【人と芸の巻(下)】、当代のビデオレターはこちら
この映画で下北沢デビューしたという記事はこちら


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
延若 (hitomi)
2008-03-19 00:31:07
写真で観ただけなのか、御園座で観たのかはっきりしないのですがあのお顔は印象深いし、好きです。名を告ぐ方がいないのは残念です。
秀太郎の女形もいいですね。浮舟の好色っぽい母とか、女将さん、上手いですね。

仁左衛門はOSKの大津皇子など指導されていました。東雲あきらのファンでした。
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★hitomiさま (ぴかちゅう)
2008-03-19 00:45:35
いろいろと資料を読んでいると實川延若が上方に伝わるケレン芸をよくし、猿之助に継承されているということが書いてあったので、動く姿を観る事ができてよかったです。
私は歌舞伎役者の名前の継承ということにはこだわりがないです。坂田藤十郎だって二百数十年ぶりの襲名だったのですから、どうしても継ぎたい人継がせたい人が出てきて期が熟すことも大事だと思うようになりました。
13代目とOSKの関係は初めて知りました。長谷川一夫が宝塚の演出指導をされたような感じでしょうか。
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コメントをありがとうございます (どら猫)
2008-08-27 08:52:57
コメント&TBを有難うございます。こちらからもTBさせて頂きました。
三回とも拝見しているのは当代の舞台です。十三代目さんのは一度、拝見しているかと思います。
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★どら猫さま (ぴかちゅう)
2008-08-28 21:18:50

こちらの記事にもTB返しとコメントを有難うございますm(_ _)m
>三回とも拝見しているのは当代の舞台......13代目さんのと私が早飲み込みで勘違いしてのコメント、失礼しました。
当代の菅丞相、私は下記の一度だけ観ました。もう本当に感動ものでした。
http://blog.goo.ne.jp/pika1214/d/20060326
「菅原伝授手習鑑」、建替え前の歌舞伎座で一度通し上演してほしいです。もちろん当代仁左衛門丈の菅丞相で!孝太郎→我童の襲名も歌舞伎座でやってあげてほしいので、その襲名公演というのは駄目かしら。
どら猫さんの感想、次も楽しみにしていま~す(^O^)/
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