9/16の観劇は第二部まで。その大詰めがこの七段目。
【七段目 祇園一力茶屋の段】
大星由良助は祇園で放蕩に明け暮れる日々を過ごしている。同志たちは仇討ちの意思を確認にくるが由良助はのらりくらり。裏で敵方に寝返っている斧九太夫も由良助に罵詈雑言を投げつけながら真意を探りにくるが腹は割らない。
力弥が顔世からの密書を由良助に渡し、由良助は密書を読む。そこを向かいの棟の2階にいたおかると縁の下に隠れていた九太夫とに盗み見されてしまう。それに気づいた由良助はおかるを身請けして自由にしてやるといい喜ぶおかる。だがそこに兄・寺岡平右衛門が現れて父と勘平の死を告げる。平右衛門はおかるの身請けが密書を読んだことの口封じであることを見抜き、おかるを自分の手で殺そうと斬りかかる。そこに由良助が現れておかるを救い、二人の忠心を褒める。そして勘平の代りに手柄をたてよとおかるの手を刀を持ち添えて床下の九太夫を成敗させる。
先刻の辱めへの怒りを虫の息の九太夫にぶつけ、死後は川に投げ捨てるように平右衛門に命じる。
祇園一力茶屋での仲居さんのツメ人形がぞろぞろ出てくるところやそれを追いかけての由良之助の登場。全体が明るくない物語の中で少しは心が浮き立つ感じ。六段目で身売りしたおかるも傾城姿で登場してきて花柳界らしい華やかさがある。
おかるが二階座敷から手紙の内容を鏡で読んでしまうというのはまともにはありえないことだが、床下の九太夫と由良之助の上下に配置されている構図が絵になっている。
梯子を後ろ向きになって降りるおかるを遣う時の動きをしっかりチェック。こういうあまりない場面は趣味的に観てしまう(^^ゞ勘十郎の顔はいつも無表情といってもコワイくらい。それでも遣い方はけっこう好き。
今回の公演を前にしたメトロ文楽で観た玉女の平右衛門がかけつける場面。一回観ているとついつい「待ってました」モードになる。こういう力強い立役は本当にピッタリだと思う。勘十郎と違って玉女は表情が出る。それは目をしっかり閉じてしまったり顔に力が入ったりしているが、抑えようがないという感じで嫌な感じではない。身体つきもだいぶ違うのでとても対照的で面白い。勘十郎・玉女の兄妹のやりとりは観ていて「このお二人が次世代を担うんだなぁ」としみじみしてしまう。
さて、この段は義太夫が左右の掛け合いを見せる。平右衛門を語る大夫が下手に仮床にいて見台も床本もなしに語る。そして人形と同じ柄の肩衣をつけるのだという。人形遣いは同じ柄の袴。こういうところもとても面白い。おかるの大夫との若手ふたりのかけあいもなかなか気合が入っていて頼もしかった。
この段の由良之助はとても難しいのだそうだが、玉男休演の今回、蓑助は十数年ぶりに由良之助を遣うという。『AERA』の「現代の肖像」でもこの役にかける意欲を語っていたようだが、しっかりと座頭の役割を果たしていたと思った。
千穐楽に玉男さんが逝去されたが、その遺志は残された後輩たちがしっかりと継承していっていただけると思っている。
写真は公式サイトより今回の公演のおかる版のチラシの画像。
関連の感想記事はこちらですm(_ _)m
9/16「仮名手本忠臣蔵」第一部
9/16「仮名手本忠臣蔵」第二部(五・六段目)
9/16「仮名手本忠臣蔵」第三部
【七段目 祇園一力茶屋の段】
大星由良助は祇園で放蕩に明け暮れる日々を過ごしている。同志たちは仇討ちの意思を確認にくるが由良助はのらりくらり。裏で敵方に寝返っている斧九太夫も由良助に罵詈雑言を投げつけながら真意を探りにくるが腹は割らない。
力弥が顔世からの密書を由良助に渡し、由良助は密書を読む。そこを向かいの棟の2階にいたおかると縁の下に隠れていた九太夫とに盗み見されてしまう。それに気づいた由良助はおかるを身請けして自由にしてやるといい喜ぶおかる。だがそこに兄・寺岡平右衛門が現れて父と勘平の死を告げる。平右衛門はおかるの身請けが密書を読んだことの口封じであることを見抜き、おかるを自分の手で殺そうと斬りかかる。そこに由良助が現れておかるを救い、二人の忠心を褒める。そして勘平の代りに手柄をたてよとおかるの手を刀を持ち添えて床下の九太夫を成敗させる。
先刻の辱めへの怒りを虫の息の九太夫にぶつけ、死後は川に投げ捨てるように平右衛門に命じる。
祇園一力茶屋での仲居さんのツメ人形がぞろぞろ出てくるところやそれを追いかけての由良之助の登場。全体が明るくない物語の中で少しは心が浮き立つ感じ。六段目で身売りしたおかるも傾城姿で登場してきて花柳界らしい華やかさがある。
おかるが二階座敷から手紙の内容を鏡で読んでしまうというのはまともにはありえないことだが、床下の九太夫と由良之助の上下に配置されている構図が絵になっている。
梯子を後ろ向きになって降りるおかるを遣う時の動きをしっかりチェック。こういうあまりない場面は趣味的に観てしまう(^^ゞ勘十郎の顔はいつも無表情といってもコワイくらい。それでも遣い方はけっこう好き。
今回の公演を前にしたメトロ文楽で観た玉女の平右衛門がかけつける場面。一回観ているとついつい「待ってました」モードになる。こういう力強い立役は本当にピッタリだと思う。勘十郎と違って玉女は表情が出る。それは目をしっかり閉じてしまったり顔に力が入ったりしているが、抑えようがないという感じで嫌な感じではない。身体つきもだいぶ違うのでとても対照的で面白い。勘十郎・玉女の兄妹のやりとりは観ていて「このお二人が次世代を担うんだなぁ」としみじみしてしまう。
さて、この段は義太夫が左右の掛け合いを見せる。平右衛門を語る大夫が下手に仮床にいて見台も床本もなしに語る。そして人形と同じ柄の肩衣をつけるのだという。人形遣いは同じ柄の袴。こういうところもとても面白い。おかるの大夫との若手ふたりのかけあいもなかなか気合が入っていて頼もしかった。
この段の由良之助はとても難しいのだそうだが、玉男休演の今回、蓑助は十数年ぶりに由良之助を遣うという。『AERA』の「現代の肖像」でもこの役にかける意欲を語っていたようだが、しっかりと座頭の役割を果たしていたと思った。
千穐楽に玉男さんが逝去されたが、その遺志は残された後輩たちがしっかりと継承していっていただけると思っている。
写真は公式サイトより今回の公演のおかる版のチラシの画像。
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9/16「仮名手本忠臣蔵」第一部
9/16「仮名手本忠臣蔵」第二部(五・六段目)
9/16「仮名手本忠臣蔵」第三部
★お園さま
「おかるの着物の裾をペロン」の絵が気に入りました~。こういうの大好きなんですよ、私。エッチ大歓迎、猥雑なのって好きです。そういうのが苦手な友人もいて下ネタ満載の作品は楽しめていないみたいです。勿体ないな~。文楽のこういう庶民性がまた私に合うんだなって(笑)
★ツチ子さま
>玉女×勘十郎コンビに弱いです.....同感です。勘十郎さんと玉女さんは同い年なんですね。いいライバルがいるとお互い切磋琢磨していくことができます。今回は兄妹も由良之助・本蔵も両方なかなかいい感じでした。次の12月公演が楽しみです。