近・現代の絵画には余り関心がなく作家の名前を知る程度。
これまでに訪ねた美術館は、ゴシック期以降印象派までの作品を収蔵するところが殆どだった。
ただ、カタリナは、フランス象徴主義のルドンは 「好きな画家」と言い、オルセー美術館のパステル画を保護するため太陽光を遮った薄暗い展示室で彼の作品を堪能したことがある。
昨秋、シ-レの 「死と乙女」、クリムトの 「接吻」、ベックリンの 「死の島」やフリードリヒの 「氷海」などに出会い、彼らの 作品が高い評価を得ている訳を垣間見た。
ハンブルク美術館のノイエマイスターに、スイス表現主義の奇才パウル・クレーの 「金色の魚」(写真)が架かる。
この作品、海藻が繁茂する深海を舞台に、赤や紫の魚を脇役に赤い目とヒレをもつ主役が金色の光を発し、泰然とする様が描かれている。
胴体の文字が神秘的な雰囲気を醸し出しているが、それは、カリカチュアライズされた尊厳と孤独? ()
ペトロが期待したこの作品、広い館内をくまなく歩いたものの見当たらないらしい。
うろうろと探す姿を見かねたのか、物腰の柔らかい女性係員が 「お手伝いができることあれば」と彼に言ってくれたらしい。
それで、走り書きをした彼の拙い絵?を見せ 「何処にありますか?」と彼女に尋ねた。
誰の作品か即座に判ったとみえ 「貸し出し中なの」と申し訳なさそうに教えてくれた。
落胆の気持ちを隠せない様子の彼と出口へ向かったが、その途中、「ちょっと!」と言ったかどうかは判らないが声が追いかけてきた。
振り向けば件の係員で、「ベルリーナ!」と教えてくれた。
私たちは、今日そのベルリンから来て明日はカッセルに向かう、そのタイミングの悪さを嘆く彼を慰め、彼女に 「ありがとう」と伝えて別れた。
この旅では、フェルメールの 「絵画芸術」(ウィーン)、「真珠の首飾りの女」(ベルリン)が貸し出されていて随分と悔しい思いをした。
このようなことは旅のごとにあって、ノベッラ教会のマザッチョの 「聖三位一体」に対面できたのは、三度目のフィレンツエの時だった。 ()
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