ペトロとカタリナの旅を重ねて

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それは、想い出という名の心の糧 

ベックリン 「死の島」

2017年09月08日 |  ∟ドイツの美術館

 ※ ドイツ ‐ ベルリン/アルテ・ナツィオナールガレリー編 (7) ‐ 中欧美術館絵画名作選 (89)

 ベルリンを離れる前に、会いたかった画家の作品があって立ち寄ったアルテ・ナツィオナールガレリー。
 そのひとりがフリードリヒ(1774-1840)、そしてもうひとりが、その彼の影響を受けたとされるドイツ・象徴派を代表するアルノルト・ベックリン(1827-1901)である。

 ちなみに象徴派とは、文学、神話、聖書などを題材に、想像の世界を画布に表そうとする一派のこと、世紀末芸術とも称されるようだ。

 ガレリーの二階のさして広くもない展示室に静かに・・・と思いきや、聊か難解な彼の作品にも関わらず、かなりの人がある作品を半円に取り囲んでいた。 

    

 その作品とは 「死の島」、彼はこのテーマで、1880年から86年までの間に五点描いている。

 最初に描いたのがスイスのバーゼル美術館が収蔵する 「死の島」(上左/May 1880年/111×115cm)、次にNYのメトロポリタン美術館収蔵の 「死の島」(上右/June 1880年/74×122cm)。

 そして、三番目がアルテ・ナツィオナールガレリーが収蔵する 「死の島」(下左/1883年/80×150cm)。
 ちなみに本作、ベックリンの信奉者として知られる彼のヒトラーが入手、総統官邸の壁を飾ったとか。

 四番目の 「死の島」は、第二次世界大戦中に焼失(1884年/81×151cm)、最後に描いたのがライプツィヒ美術館から依頼された 「死の島」(下右/1886年/80×150cm)、五点ともほぼ同じ構図で描かれている。

    

 手漕ぎの小舟が、湖沼のような漣ひとつたたない暗い水辺に浮かぶ小島の水門に着いたばかり。
 小舟には白い布様のものを纏って立つひとりの姿があって、そのすぐ傍には、同じく白い布で覆われた箱のようなものが置かれている。

 狭い島には、暗い糸杉の木立を囲むようにそそり立つ巨岩があり、そこには穿たれた石室が並んでいる。
 それらから、死者が墓所へと葬送される場面だということは容易にイメージできる。

 この画題は画家自身が付けたものではないともされるが、彼が伝えようとするものを理解するのは難しいものの、作品の前でしばし厳粛な気持ちにさせられることは間違いないようだ。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1374


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