天井にルカ・ジョルダーノ(1634-1705/イタリア/バロック)によるフレスコ画が描かれている聖具室、その、次の間が絵画館になっている。
そこに、エル・グレコ(1541-1614 /スペイン/マニエリスム)の運命を決めた傑作「聖衣剥奪」が架っている。
ちなみに彼、画題も同じ「<聖衣剥奪>」(アルテ・ピナコテーク蔵)も描いている。
燃え上がるようなイエスの衣服は受難のシンボル、また、崇高に描かれたその姿はトレドの人々の信仰心をかきたてたとも言われている。
〈 ローマを去った彼は、自らの力を頼りにトレドの街にやって来たのです
〈 そして描いた一枚が「聖衣剥奪」でした
〈 新天地を目指したグレコが、全身全霊を込めて描いた絵です
〈 イグナティウス・デ・ロヨラが著した「心霊修養」というグレコが愛読した
〈 本があります
〈 手の指を開き、中指と薬指だけを閉じなさい
〈 罪が犯されるとき、困難に出会ったとき、絶望の淵に立たされたとき
〈 その手を、痛み続ける胸に当てなさい
〈 困ったときには、この手の形、誰かがあなたを救ってくれる
絡み合う路地のように陰影に満ちた人生を送った彼、73歳でその生を終えるまで描き続けたという。
ギリシャのクレタ島は生と絵筆を彼に授け、トレドは最上の祖国となり、死とともに永遠に生き始めるとも。
いつしか忘れられた画家となった彼の絵が再評価されたのは、300年後の19世紀半ばのことだったと。
〈 スペインの日差しは強烈、日陰が恋しくなったらこちらへどうぞ
〈 トレドのシンボル大聖堂、この絵が、あなたを待っています
〈 ところで、この手の形、あなたは出来ますか・・・?
〈 聖衣剥奪、エル・グレコ、光と影の一枚 《 「美の巨人たち」から 》
この絵の主題は、新約聖書(ヨハネ福音書・19-23)の “ 兵士たちは、イエスを十字架につけてからその服を取り、四つに分け各自に一枚ずつ渡るようにした。(略)下着も取ってみたが、それには縫い目がなく上から下まで一枚織りであった ” 。
そこで “ 兵士たちは「くじ引きで決 めよう」と話し合った。それは、「彼らはわたしの服を分け合い、わたしの衣服のことでくじを引いた」という聖書(旧約聖書/詩篇・22:19)の言葉を実現するためであった ” に拠る。
ちなみに、今まさに十字架につけられようとするイエスを見つめる三人の女性は左から、十二使徒のひとり小ヤコブの母マリア、聖母マリア、マグダラのマリアと解釈されているらしい。
付け足せば、絵画館にはゴヤ(1746-1828/スペイン/ロマン主義)やルーベンス(1577-1640/フランドル/バロック)などに並んで、あの無頼の画家カラバッジョ(1573-1610/イタリア/バロック)の絵も架かっていた。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.577
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