ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

続・トゥール ‐ 回り道ルーヴル(3)

2015年10月16日 |  ∟フランスの美術館

 カラヴァッジョ(1573-1610/イタリア/バロック)と見紛うほどの絵を描くフランス人画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652/バロック後期・古典主義)の続き。

 その彼の今回の作品は、「悔悛するマグダラのマリア ‐ 聖なる炎の前のマグダラのマリア」(左) 。

 彼はこの主題で 「悔悛するマグダラのマリア ‐ ゆれる炎のあるマグダラのマリア」(中左/LA・カウンティー美術館蔵)、「 悔悛する――  ‐ ふたつの炎の前のマグダラのマリア」 (中右/メトロポリタン美術館蔵)、「 悔悛する――  ‐ 鏡のマグダラのマリア)」(右/DC・ナショナル・ギャラリー蔵)を描いている。

    

 彼は 「書物のあるマグダラのマリア」(下左/個人蔵)など、少なくとも八点を同主題で描いたとされている。

 話はそれるが、前号の 「いかさま師」がカラヴァッジョの 「 トランプ詐欺師」(フォートワース/キンベル美術館蔵)の強い影響を受けているように、トゥールの 「女占い師」(中/メトロポリタン美術館蔵)も、ここルーブルが所蔵するカラヴァッジョの 「女占い師(ジプシー女)」(右)の影響が顕著とされている。

    

 取り分け 「 悔悛する――  ‐ ふたつの炎の前のマグダラのマリア」(上中右)での、床に装身具を打ち捨てさせる描写、拡大すればよく判ります。など、カラヴァッジョの 「<悔悛するマグダラのマリア >」(ローマ/ドーリア・パンフィーリ美術館蔵)の強い影響が見て取れ、彼の画業にカラヴァッジョが大きな位置を占めていたかが窺い知れるのである。

 とまれ、キアロスクーロ・明暗対比を用いるがゆえに “ 夜の画家 ” とも呼ばれるに相応しく、イエスに最後まで仕えた聖マグダラの罪を悔い改める仕草、憂いを帯びた表情が深い闇の中にあって、見るものを贖いへと誘うのである。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1046

 ※ 「回り道ルーヴル(2) ‐ トゥール」へは、<コチラ>からも入れます。


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