ブローニュの森へと続くラグラヌ公園のなかほど、マルモッタン美術館があることはこれまでにも書いた。
この日の午後、ストラスブールに移動する。
それで、少し早くホテルを出たのだが、美術館に着いた時、扉は固く閉まり(上)何人かが待っていた。
1840年、狩りのため建てられた小屋を、ジュール・マルモッタンが息子ポールのため建直したとされるこの館、外観は石造りだが内部は素朴な木造り、歴史を感じさせる。
エントランスホール左手、円形のサロンにナポレオンの 「地理時計」があり、芝生の庭が望め、その庭を囲むように逆L字型に展示室がある。
サロンの向かいに階段。
上階には、ジヴェルニーの彼の工房の花と水の庭を描いた 「連作・睡蓮」(中)などが架かっていた。
1階右手の廊下、照明が落とされた展示室にスポットライトに照らされた絵が並ぶ。
ここに 「アルジャントゥイユの小道」 「積みわら」などともに目指す名作 「印象 ‐ 日の出」(下)があった。
この作品は、セーヌ川がイギリス海峡に流れ込むノルマンディー地方の港町、ル・アーヴルの港を描いたものとして知られている。
画業半ばにしてパリを離れジヴェルニーに工房を構えたモネ、画題を、アルジャントゥイユ、ルーアン、オン・フール、ル・アーヴルなど、セーヌ流域の町の風景にしばしば求めた。
彼の画家としての人生が、セーヌ川と深く関わっていたことが判る。
印象派というスタイル、この絵に拠ることは有名だが、その謂れは、批評家ルイ・ルロワが、“ 印象?確かに私もそう感じる。しかし、この絵には印象しかない ” と、日刊紙上で嘲笑したことに始まるという。
当時、パリのバティニョール街にマネのアトリエがあって、近くのカフェに若い芸術家達が集まり芸術について論じていた。
そのグループ、バティニョール派が開催した最初の展覧会に出展したモネを始め、ルノワール、ピサロ、モリゾ、シスレーなどを、“ 印象派 ” と呼ぶようになったという。
一番上の写真、カタリナ 美術館の前で、開館を待つ人の中にいる。(続く)