パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ナイトピープル ★★

2013年08月06日 | DVD作品ーな行、は行
直木賞作家、逢坂剛の短編小説を基に、2億円をめぐる男女の駆け引きをスリリングに描くクライム・サスペンス。2億円強奪の犯人だという謎めいた女を『CUTIE HONEY キューティーハニー』の佐藤江梨子が、女に翻弄(ほんろう)されるバーのマスターを北村一輝が、さらには女を執拗(しつよう)に追う刑事を杉本哲太が演じ、心理戦を絡めた危険な攻防を繰り広げる。メガホンを取るのは、『棚の隅』『休暇』で高い評価を得た門井肇。二転三転するストーリーや激しい銃撃戦など、一瞬たりとも観る者をとらえて離さない展開に魅了される。
あらすじ:ワインバー「NightPeople」に現われた、知的で美しい女性、杉野萌子(佐藤江梨子)。バーの店主、信治(北村一輝)は、かつて愛した人に似た萌子を雇うことにする。やがて常連客に親しまれるようになった萌子に信治は徐々に惹かれていく。

そんな中、刑事の曾根(杉本哲太)が来店し、不気味な笑みを浮かべながら信治に告げる。3年前、萌子は大石という男と共謀し、大物国会議員から2億円を奪った前科者だという。大石は行方不明で、奪った金はいまだに発見されていない。萌子はその2億円を隠し持っているに違いない。
困惑した信治だが、「金の在り知らない。罪は償ったのに曽根に酷い目に遭わされている」と嘆く萌子の言葉を信じて、曽根の暴挙から萌子を守ろうとする。そんな信治に古い付き合いのホテル経営者の花宮(若村麻由美)が、ある写真を突きつける。そこには、萌子と曽根が密談をしている姿が写っていた。誰が嘘をつき、何処からが偽りなのか、見る者を裏切り続ける物語の顛末とは。

<感想>小さなバーのマスターと、パート募集のビラを見てふらりと店にやってきた若い女。その女に何故かつきまとう不気味な中年刑事。ワケあり風な3人の、大金をめぐる騙し合いがどう転がるのか、先が読めない面白さがあります。それを演出が現代的なリアリティの側に引きつけようとする。
逢坂剛の原作「都会の野獣」は新宿が舞台だが、それを田舎町に置き換えているので、夜型キャラとひなびた商店街の風景が溶け合っていない。原作が短編なので、登場人物やストーリーを膨らましたのは分かるが、二転三転するストーリーと、信用ならない女と裏切りと銃と金。
この映画は二重底になっていて、二億円の物語と、復讐の物語が同時に並行して進んでいることがその後で分かるのだが、・・・。それは確かにどんでん返しであって、意外性を生む反面、登場人物、特に女について二重性を感じさせることにもなる。女の性格が前後で変わってしまうので、その点で見る側は戸惑わないこともない。

前半のファム・ファタル的造形よりは、後半の復讐のために近づきながらもマスターに惚れてしまう弱さや、意外な展開に戸惑っているような風情の方が印象的に見える。自分だけ逃がそうとする男に、「別れるつもりなら何故私を抱いたの」となじる場面や、逃げ延びた後、入ったホテルのエレベーターで最善の言葉を思いだして笑いあうシーン。

もうこれ以上何を望むかという詰め込み方で、男と女、拳銃に大金、どんでん返しを満載してジェットコスターのように展開する90分。
前半の激しい振り幅はどうかといった問題や、物理的な移動の疑問などもあるが、今の邦画の制作条件を見ればまぁまぁであると思う。寄る辺なさを漂わせ、寂しげな佐藤江梨子に、このヒロインは似合う。
そして、ショットガンをぶっ放す若村麻由美、彼女が足を撃たれる描写、その手下のおっさんも渋くていい。ラストは、思っていた通りの筋書でした。
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