パピとママ映画のblog

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ザ・コンサルタント ★★★★

2017年01月24日 | アクション映画ーサ行

ベン・アフレックが天才的な会計士にして凄腕の殺し屋という異色のアンチ・ヒーローを演じるクライム・サスペンス。共演はアナ・ケンドリック、J・K・シモンズ。監督は「プライド&グローリー」「ウォーリアー」のギャヴィン・オコナー。

あらすじ:田舎町で小さな会計事務所を構える物静かな男、クリスチャン・ウルフ。他人とのコミュニケーションに問題を抱える一方、数字に対して超人的な能力を発揮する彼は、裏社会と繋がりを持ち、彼らの仕事を請け負っていた。アメリカ政府当局もその存在には気づいていたが、なかなか正体を掴めずにいた。そんな中、ウルフのもとに大手メーカー、リビング・ロボ社の財務調査という依頼が舞い込む。しかし、同社の経理担当デイナとともに使途不明金の解明に乗り出した矢先、調査は一方的に打ち切られてしまう。そしてその日から、何者かに命を狙われるウルフだったが…。

<感想>表の顔は庶民に優しい会計コンサルタント、裏の顔は悪人たちの裏帳簿を仕切る“闇社会の掃除屋”とは、普通ならばその二つで物語が展開するところなのだが、本作の主人公クリスチャン・ウルフはそれだけではなかった。物語に深味を与えているのは、彼が高機能自閉症スペクトラムであり、計算能力に加えて卓越した暗殺スキルまで持っているという、回想シーンが随時挿入されることが多いのだが、趣味が射撃という彼の性癖も良く分かり、居住環境の異様さも、美術の巧妙さとともに説得力があって良かった。

主人公が文武両道の天才なのであります。と聞くとヒーローのようだが、ウルフは正義のためには戦わないのだ。彼が闘うのはあくまでも「すべてを完璧にしたい」という自身のポリシーのためだけ。つまり、ハンディキャップを乗り越えた人々の物語である点も、感動的で励まされる。
今、監督として俳優としてハリウッドのキーマンとして活躍するベン・アフレックは、ウルフという新しいアンチ・ヒーローを演じているが、彼が何者かを判断するためにも、複雑な過去や多面性を抱えてなおクールな彼が、何を倒し何を救うのかしっかりと見極めようではないか。そんなウルフのヘッドショット連発のガンアクションが見ものですよ。

父親が軍人であり、幼い頃の兄弟は、マーシャルアーツを教わって戦い方を習っていた。だからこそ、瞬時に敵を倒すマーシャルアーツの達人である主人公の、正確無比な戦いぶりはすこぶるカッコよくて、クールで殺陣をダンスのように熟しており、アクションが迫力満点でした。ちなみにベン・アフレックは本作で「ザ・レイド」でおなじみのインドネシアの武術シラットを披露していたのですね。

それに、脚本に恵まれたことで監督が本来の演出力を発揮したことで、主人公の本業でもある会計士の仕事を面白く見せる工夫も素晴らしかった。何日もかかって女性会計士が、会社の不正を見つけた資料を、ウルフは徹夜で解明するという離れ業もあり、数字オタクの女性会計士のアナ・ケンドリックとの間にも、愛情が生まれて行く過程もいい。

そして、主人公の闇の部分を追いかける財務省の捜査官J・K・シモンズは、怖いながらも優しさのある人物を好演している。

幼い頃に別離した弟がその会社の傭兵となり、兄弟での闘いが始まるのかと思いきや、懐かしやで抱き合い敵同士にはならない。それに、話は破天荒の極みであり、それでいて、殺し屋、傭兵、切れ者捜査官が入り乱れるわりには、肝心の悪玉が進める陰謀がショボ過ぎるのだ。
ですが、主人公の抱える“ある障害”が、狙撃を含む超人的な戦闘力の習得に繋がっている設定は巧いし、面白く納得できます。是非ともシリーズ化を願いたいものです。

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