パピとママ映画のblog

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沈黙 -サイレンス- ★★★★★

2017年01月23日 | アクション映画ータ行
遠藤周作が信仰をテーマに、世界の不条理と人間の本質に深く迫った日本文学の金字塔『沈黙』を、長年映画化を熱望してきた巨匠マーティン・スコセッシ監督が、原作との出会いから28年の時を経て遂に撮り上げた渾身の歴史ヒューマン・ドラマ。非情なキリシタン弾圧が行われている江戸初期の長崎を舞台に、自らの信仰心を極限まで試される若いポルトガル人宣教師の壮絶な葛藤の行方を力強い筆致で描き出す。主演は「アメイジング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールド。共演にアダム・ドライヴァー、リーアム・ニーソン。また浅野忠信、窪塚洋介、塚本晋也、イッセー尾形はじめ日本人キャストも多数出演。
あらすじ:17世紀、江戸初期。日本で布教活動を行っていた高名なポルトガル人宣教師フェレイラ(リーアム・ニーソン)が、キリシタン弾圧を進める幕府の拷問に屈して棄教したとの知らせがローマに届く。さっそく弟子のロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)が真相を確かめるべく日本へと向かい、マカオで出会った日本人キチジロー(窪塚洋介)の手引きで長崎の隠れキリシタンの村に潜入する。そして村人たちに匿われ、信仰を通じて彼らと心を通わせていく。やがてロドリゴたちの存在は、狡猾にして冷酷な手段を駆使して隠れキリシタンをあぶり出しては、彼らに“転び(棄教)”を迫る長崎奉行・井上筑後守(イッセー尾形)の知るところとなり…。

<感想>まるで夢のような企画でありながらも長年実現しなかった作品が、ついに完成した。約50年にも及ぶ監督のキャリアにおいて、彼が探究し続けてきた大きなテーマの一つである「信仰心」であります。

17世紀の長崎を舞台に、キリスト教弾圧の真っただ中に飛び込んだ若きポルトガル宣教師が、過酷な現実を前にして“信仰の意味”を問われる。主演が「アメイジング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールド。それに名優リーアム・ニーソンにアダム・ドライヴァー。浅野忠信、窪塚洋介、塚本晋也、イッセー尾形ら一流の俳優による演技合戦も印象的な極限の人間ドラマが展開する。
キリシタンへの激しい弾圧を目のあたりにし、真の聖職者として生きる道を試されていく宣教師のアンドリュー・ガーフィールド。人々がこれほどまで苦しむのに、なぜ神は沈黙を守り続けるのか?・・・

そしてイッセー尾形扮する井上筑後守や浅野忠信演じる通辞が、ことあるごとにロドリゴに問いかける英語のセリフの流暢なことといったらない。後半では、ロドリゴにキリスト教の棄教を迫る役どころ。

浅野が日本にはキリスト教が根付かない現状を語り、仏教の優位性を説くシーン。「神を信じることは人を救うことなのか?信仰を守ることよりも弾圧の犠牲者を見過ごすことの方が神を裏切る行為なのではないか?」と、問いかける。

ロドリゴにとって自らの存在意義である信仰と教会への忠誠心に殉じることはむしろ本望なのだから。しかし犠牲者が増え続ける現実を前にして、教会への忠誠を貫き続けることはできるのか。しかし、そこで辿り着いたのが、イッセー尾形演じる井上筑後守と同じく、通辞もかつてはキリシタンであったという結論だった。自分や嫁、子供他のキリシタンを助けたいと思った時、神が何も答えてくれなかったことに怒り、神とは何かと苦悩したからなのだ。

だからこそ、ポルトガルからはるばるとやって来た君ならば、その意味を教えてくれるのではないかと、ロドリゴに期待してたのでは。信仰の力を見せてみれるのではないかと。
だが、ロドリゴもまた神の沈黙にただただ苦悩するしかない。やはり神は何も答えてはくれないのか。一番誰よりも神に絶望を感じていたのは通辞だったのかもしれません。

ロドリゴをマカオから長崎まで手引きをしたキチジロー。演じる窪塚洋介は、恐怖に屈してロドリゴを密告するユダであり、何度裏切ろうと自分が悪かったと泣いて告悔をする。まるでキチジローは、勇気がなくて卑怯で弱い人間なのだから。

それに、モキチ役の塚本晋也が殉教者になり海辺で十字架に張り付けになり、海水に何度も体を洗われ4日間も死に至らなかったという苦悩が描かれる。
そして、“踏み絵”のシーンである。一番の見せ場は宣教師ロドリゴの命を助けるために進んで死に向かっていく村人たちの姿に感動して、木の陰から「踏み絵を踏め」と心で叫ぶシーン。キリストだって許してくれるに違いないと信じるからである。絵や彫刻の踏み絵を人が踏むシーンが、この映画の中には何度も出てくる。所詮それらはモノでしかないのだから、人の命には代えられない。

しかし、宣教師を死なせてしまったら自分たちは、天国へゆけなくなる。そう判断した時にこそ彼らは死を選ぶのだ。崇高でもあり哀れでもある。何故かしら、特攻隊で死んでいった若者たちのことを思ってしまった。
ラストのロドリゴの埋葬のシーンでは、何度も「踏み絵」を踏まされて、棄教を強いられ、日本人の女と結婚をさせられて、死よりも辛い生きることを選んだ彼の、キリストへの信仰を抱きながら生をまっとうしたことを暗示するかのように、手に握りしめていたのがモキチから貰った木彫りの十字架のキリストであったことを。これは感無量であった。
長時間、高いテンションのまま見入ってしまった。外国人監督の描く日本の風俗や芝居は、とくに不自然さが目立つのにキャスティングが的確であった。

現代の日本に生まれ育った人々の多くにとっては“信仰”は身近なテーマではない。浅野忠雄扮する通辞が言うように、「踏み絵くらい何でもないこと」かもしれない。しかし、貧困な17世紀の時代の境遇をあぶり出し、隠れキリシタンの彼らが、死後「天国」に行くことを望むことを。その状況を見事に映像化しているのに驚いた。この倫理的な矛盾と葛藤こそが“宗教”そのものよりも、スコセッシ監督が魅入られてきたテーマなのだと思った。
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