パピとママ映画のblog

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猿の惑星:新世紀(ライジング)★★★.5

2014年09月16日 | アクション映画ーサ行
名作SF『猿の惑星』の前日譚(たん)『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の続編。ウイルスによって滅亡状態に陥った人類と、遺伝子の進化を経て知能や言語を得た猿たちとの対峙(たいじ)が思わぬ事態を引き起こしていく。前作に引き続き、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアンディ・サーキスがモーションキャプチャーを駆使し、猿のリーダーとなるシーザーを熱演。その脇を『ホワイトハウス・ダウン』などのジェイソン・クラークや『裏切りのサーカス』などのゲイリー・オールドマンが固める。人類が衰退した世界の衝撃的なビジュアルに言葉を失う。
あらすじ:自らが生み出したウイルスによって、人類の90パーセントが死滅した2020年代の地球。サンフランシスコでは、かろうじて生存している人類と驚異的な遺伝子進化を遂げた猿たちのコミュニティーがゴールデンゲートブリッジを挟んで存在していた。人類のコミュニティーでは、衰退を食い止めるためにも、猿たちと対話すべきだとする者、再び人類が地球を支配するべきだとする者たちが、それぞれの考えに従って動き出す。一方、猿たちを率いるシーザー(アンディ・サーキス)は、人類と接触しようとせずに文明を構築していた。

<感想>人間との生活を完全に諦め、仲間のサルを率いて逃亡したシーザーは、どんな運命を辿ったのか?・・・。この続篇では、シーザーをリーダーにした猿たちが、さらに知性を進化させ、人類との激戦に突入することになる。
人間と同じ言葉を話し、馬や銃も使う猿たち。一方、ウイルスによって人間は絶滅の危機に。あらゆる要素がショキングな上に、猿と人間、それぞれの熱いドラマがアクションと絶妙に絡み、怒涛の感動も約束されます。

人間のキャストや監督は一新されたが、前作の意志は確実に受け継がれたと言って良い。そしてビジュアルの進歩には驚くばかりだ。2000頭もの猿の群れが襲ってくるバトルシーンを始め、前作とは比較にならないほどハード。
なす術もない人間の姿に目を覆うばかり。さらに猿の世界も内部分裂し、猿同士のバトルも壮絶を極める。それは、一瞬たりとも息つく暇のない展開に目を見張ること請け合いですぞ。
舞台は前作から10年後の地球。猿たちはサンフランシスコ近くの森で社会を形成。地球上では猿インフルエンザというウイルスが蔓延し、生き残ったのはわずかな人間たち。通信網や電気も途絶える。

猿と人類はそれぞれ社会を形成していた。ある日のこと、資源を求めてマルコムら人間が森の中へと侵入する。そこで、猿と人間が遭遇するわけ。
シーザーは人間に森に来ないように警告するが、森の中にある水力発電所の修復こそ人間の生きる術。マルコムは交渉の末、シーザーの協力を得るのだが。人間を受け入れ、共存の道を探っていたシーザーだったが、猿のコバは人間への増悪を募らせていた。そしてある事件が起こり、・・・。

コバ一派が暴走し、猿と人間の社会はパニック状態になる。そして、コバの銃撃で瀕死の重傷を負っていたシーザーは、運よくマルコムたちに助けられ、仲間を守るために、苦渋の決断を迫られるのだった。
その時に避難した家が、あの「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」で、射殺されたチンパンジーの赤ん坊シーザーを、こっそり自宅へ連れ帰って育てる科学者のジェームズ・ブランコ。二人の写真があり、ジェームズの愛情を受けて成長した思い出の家だった。
本作の特徴をわしづかみするならば、それは家族の問題に尽きると思う。前作が猿の知能増進や人類絶滅ウイルス開発など、SF的アイデアが溢れていたのに、今回は、どちらかというと異種族間闘争の色が強いかもしれない。だが、あらゆる国家、あらゆる民族の基本となる家族の問題を回避しては、民族間、国家間の戦争が相次ぐゆえんを理解するのが不可能であると思われます。

例えば、人間側の主人公となるマルコムは、妻に先立たれ今は恋人のエリーがいて、息子のアレキサンダーを溺愛している。一方では、猿の指導者シーザーの方も、妻のコーネリアスとの間の息子ブルーアイズを可愛がり次期指導者として育てている。双方の家族は平和を愛するも、その近辺には闘争を好む存在がいるのだ。

マルコムの傍らには猿の殲滅をもくろむドレファス(ゲーリー・オールドマン)がおり、シーザーの腹心には人類との正面衝突を望み指導者の地位を奪うべく謀略をめぐらすコバがいる。必然的に巻き起こった激戦なる闘争の果てに、人類と猿の未来に対して深い洞察がなされていく。
いや、ドレイファスのタワーに猿たちを集め、そこをダイナマイトで爆発するという計画には、驚きとともに、シーザーがコバが自分を殺してまで指導者になろうとする野心に、死闘を繰り返す様は圧巻であった。

猿と人間、どちらが地球の支配者として神に選ばれているのかという問いには、人類は同類殺しをするので「核戦争で地球を終わらせてしまう」という不安感ゆえの問いであろう。しかし、生存のため、無意味な衝突は、「戦争をやめられない人間の業」への問いかけには、そこにあるのは理念や正義のためではなく、「生き残りのための戦いでしかない」それは、これからも続くのであろうと考えられる。
人類滅亡への着実なカウントダウンは始まったのだが、・・・しかし、まだ最終局面には至らないところで、さらなる続篇への、・・・おそらくは前日譚三部作完結編への期待を高めつつ、ドラマは終わるのでしょう。
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