パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

オブリビオン ★★★★

2013年06月01日 | アクション映画ーア行
トム・クルーズが「トロン:レガシー」のジョセフ・コシンスキー監督と初タッグ。48カ国でNO.1のオープニング成績を記録した注目作。
映画はトム・クルーズ扮するジャック・ハーパーのナレーションから始まる。時は2077年。今から60年前、スカヴと呼ばれるエイリアンが地球に侵略戦争を仕掛けてきた。人類は核兵器をもってこれに対抗、侵略は逃れたものの地球は完全に汚染され、すべての人類は故郷を捨て土星の衛星タイタンに移住した。スーパーボウルで賑わったスタジアムも2077年には廃墟となり、自由の女神やエンパイア・ステート・ビルは朽ち果て、NYはもはや見る影もない。 
    注意:ネタバレにてレビューしています。

ただしタイタンにはエネルギー源がないため、地球に巨大な採水プラントを設け海水をエネルギーに換えて送っている。いわば採水プラントは全人類の生命線。スカヴの残党はこの採水プラントの破壊を企んでおり、それを阻止するために攻撃型の無人偵察機ドローンが24時間監視体制を敷いている。
「トロン:レガシー」でコンピューターの中の世界をかつてない斬新なビジュアルで描き出したコシンスキー監督が創造した、近未来の地球の描写。それはどこまでも続く荒れ果てた大地と廃墟、砂漠とわずかに残る緑のバランス、刺すような陽光と雲がかかった空のコントラストが鮮やかで、独自のセンスを発揮している。

ジャックとヴィクトリアが生活しているのは、スカイタワーと呼ばれる地上1000mの高さにある塔の最上部。ここにはリビングやキッチン、寝室、バスルームなどが完備されスケルトンのプールまである。環境が破壊された地上に比べると、雲の上に位置するここでは快適に過ごせるようだ。ヴィクトリアが詰めるモニター室や、ジャックがパトロールする飛行艇バブルシップの発着場もある。この宙に浮かぶ無機質な建造物の不気味な対比に目を見張ります。

トムが演じるのは、ドローン管理のために妻のヴィクトリアと二人地球に派遣され、宇宙にあるマザーステーションの司令官サリーからの指示に従い行動する。ヴィクトリアは一日も早く任務から解放されたいと願っているが、ジャックは失われた時の痕跡が残るここが嫌いではない。密かに隠れ屋にしている地上の小屋には、NYヤンキースの野球帽にレイバンのサングラス、そして80年代のレコードまでこっそりと隠してたりする。前作の「アウトロー」でもそうだったが、最近のトムはアナログな男のイメージが強い。

ある時ジャックは、NY図書館の廃墟跡の暗闇の中でスカヴの集団に襲われる。天井に大きな穴が開いた図書館跡、穴からロープで降下するジャックは、ロープを切られて地面に叩きつけられる。16mの高さに吊られ、急降下するスタントを、いつものように自分でこなし、爆発の起こる中でテイクを繰り返した冴えわたるトムちんのアクション。

彼らはジャックを殺すのではなく生け捕りにしようとしていた。数日後、謎の飛行物体が地上に墜落。何とそれは60年前に発進した地球の宇宙船オデッセイ号だった。駆け付けたジャックは、飛行士たちの冷凍睡眠カプセルを発見。だが、飛んできたドローンは彼らを敵と識別し破壊する。助かったのはジュリアという女性だけだった。その女性を見て混乱するジャック。それは彼が任務のために着任する前の記憶を抹消させられていたのだが、そんな彼の夢に夜ごと現れる女性、それがカプセルの中にいたジュリアなのだ。しかもその夢の背景は地球が滅亡する前の、すなわち60年前のNYなのだ。
夢に出て来るジュリアが実際に目の前に現れたことで、物語の展開が一層面白くなる。というか何だか結末が予想できてしまう。

夢の中でのジャックとジュリアは、ロマンチックなムードを漂わせ二人が向かったのはNYのシンボルともいえるビル、エンパイア・ステートビルの展望台。そこで、ダイヤの指輪をジュリアにあげてプロポーズするということは、ジュリアは恋人であり未来の妻だったというわけですよね。それと、廃墟となったNY図書館でジャックがふと手にする一冊の本も、それらが後になって大きな意味やエモーションを生み出すのです。
宇宙船オデッセイ号のフライトレコーダーを回収しようと墜落現場に戻るジャック。
しかし覆面姿の何者かに殴られて気を失う。気付けば廃墟の屋内に拘束されていた。彼はそこで人間の生存者を目のあたりにする。ビーチと名乗る老人は、「ずっと君を観察してきた」と、そしてビーチの口から驚くべき真実が語られる。ビーチ老人にはモーガン・フリーマンが演じてます。

ならば人類の生命線と言われていた採水プラントは誰が何のために作ったのか。ジュリアが乗っていた宇宙探査船の目的は何だったのか?・・・その答えは、オデッセイ号のフライトレコーダーの中にあった。
脚本も巧妙に練られており、信じていたものが180度ひっくり返る中盤からは目が離せませんね。観終わった後に、「月に囚われた男」を思いだし、最後のどんでん返しを楽しむSF映画で、それに灰色の宇宙服のせいか、トムちんが若く見えて、50歳になってもこういう映画に違和感なく出られるのが凄いと思った。

美術的、ストーリー的にSFらしいSFは久しぶり。4K映像によって、壊滅し紫外線降り注ぐ地球の風景や廃墟をくっきりと映し出し、時速192キロで走行するモトバイクで荒野を突っ走るトムちんの姿。彼の得意とするバイクでのアクションの動きもスムースに追い、それぞれのこだわりを追求した映像を観るだけでも本作を観る価値アリです!
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