パピとママ映画のblog

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全員死刑 ★★★

2017年11月24日 | アクション映画ーサ行

前作「孤高の遠吠」で映画界にセンセーションを巻き起こした注目の新鋭、小林勇貴監督が記念すべき商業映画デビューを飾った衝撃の問題作。2004年に福岡で発生し、加害者である家族4人全員に死刑判決が下された“大牟田4人殺害事件”を巡る次男の獄中手記を基にした鈴木智彦のノンフィクションをモチーフに、行き当たりばったりに次々と4人もの命を奪っていった一家の狂気の暴走を、“家族のため”とためらいなく凶行に走る実行犯の次男の視点から鮮烈に描き出す。主演は「トリガール!」「劇場版 お前はまだグンマを知らない」の間宮祥太朗。共演に毎熊克哉、六平直政、入絵加奈子、清水葉月。

あらすじ:首塚タカノリは弱小ヤクザ一家の次男坊。一家は莫大な借金を抱え、上納金も払えず追い詰められていた。そこで小心者の父テツジ、ヒステリックな母ナオミ、小狡い長男サトシは、近所の資産家パトラから金を奪う計画を立てていた。ところがサトシはその金を独り占めしようと、両親に内緒でタカノリをたき付け、パトラ家へ現金強奪に向かわせる。しかしクスリでハイになっていたタカノリは、居合わせたパトラの次男をいきなり絞殺してしまうのだったが…。

<感想>実話をベースに主人公次男のタカノリ、間宮祥太朗が演じているというので鑑賞した。2004年に福岡県大牟田市で実際に起きた、ヤクザ家族による殺人事件のことはニュースやワイドショーを見て知っていたので、まさか獄中で次男が手記の「我が一家全員死刑」を書いていたのは知らなかった。

このタイトルからして陰惨なイメージがチラつき、観るのを迷ったが、映画では実際の話とは違っていた。主人公の次男タカノリ役を「帝一の國」「トリガール!」の間宮祥太朗が演じるほか、長男役を毎熊克哉、両親役を六平直政、入絵加奈子、タカノリの恋人役を清水葉月がそれぞれ演じる。

まともに働かないで、他人の金を盗んで暮らす極道たち。ヤクザ一家の父親がダメ男で、長男のサトシを連れっ子で再婚した母親のナオミ、それにその後に生まれた次男のタカトシの4人家族が計画する、近所の資産家パトラ(鳥居みゆき)から金を奪うこと。

初めに、近所の資産家パトラの家に長男と次男のタカトシが押し入り、息子のショージがユーチューブに載せるため、ビニールプールの中にカレー粉を入れ、その中に入ってアクションをするのだが、すかさずタカトシが首をロープで締め上げる。長い時間クビを絞めるのだが、生きているし、車のトランクに入れても生きている。そして、金庫を見つけて、バールやトンカチでこじ開けると、中にはジュエリーだけしか入っておらず、札束を当てにしていただけにがっかりの兄弟。それでも宝石を質屋に入れて現金化して分け合う。

その後に、父親がそのパトラの家に泥棒に入って、台所の床下から金庫を探すも、中は何も入ってなかったのにがっかり。まさか、先にも兄弟で強盗に入ったとは言えずに、家探しをする兄弟の滑稽さも笑える。ギャ~ギャ~と騒ぐ母親の入絵加奈子、歳のわりには若く見える。

次々と人を殺すのだから、随所におバカな感じが付き纏うのだが、それは殺人を思い立つのも安直なら、実行するのも行き当たりばったりで、後始末のことも念頭に置いてないで殺してしまうから。

しかし、人間は首を絞めても直ぐには死なず、睡眠薬を飲ませても死なないから、ずべて二度手間がかかるという、おバカな野郎たちの殺人計画。その成り行きは滑稽でもあり、どこかコメディになっていて。それにリアル感もある。だから、意外なことに面白くて、殺人は肉体労働であることを執拗に描く可笑しさを、主人公の間宮祥太朗くんもノリノリで殺しをやっているのだから。

タカノリが首をロープで必死に締め上げる役周りであり、力がないのか首が絞まらなく、失神状態で暫くすると生き返るのに笑いがある。それに、とうとう、幻覚なのか黒い煙の中に死んだはずの男が幽霊となって現れるのだから。誰にも見えないし、自分にだけ見える幽霊に恐怖を感じている間宮祥太朗。

連れっ子の長男は、何故か次男のタカノリに言葉巧みに殺しの仕事をさせて、刑務所へは次男に入ってもらうように頼むところ。女が妊娠していて、子供ができるので刑務所には入れないというのだ。自分勝手な兄貴の頼みに、頼まれると断れない4人殺し実行犯の、次男坊の主人公のタカトシが、可哀そうに見えて来るのだ。そのことに気づかない弟もバカである。

ちなみに、兄貴の女と、次男のタカトシの女かおるのHシーンが、途中、途中で挿入されており、女も彼氏が殺しをやっていることを知らないのかどうか、刑務所に入ることを言うと、その間は他の男とよろしくやっているので、なんて軽口を言う女も女だ。スタイル抜群の清水葉月ちゃん、全裸シーンも厭わずにベッドシーンをするのに感心した。

資産家パトラに睡眠薬を飲ませて、車ごと川に沈めようとと言う作戦に、車の中で目を覚ますパトラ、慌てて次男坊が後ろから首を締め上げる。車を川に沈めるも、中々沈んでくれないのだ。タカトシが裸になって車を押そうとすると、車が沈んでいくではないか。このシチュエーションの可笑しさは異常だ。

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