パピとママ映画のblog

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フェア・ゲーム★★★

2023年05月14日 | アクション映画ーハ行

               

イラク戦争に隠された衝撃の実話の映画化。2007年10月、アメリカで一冊の本が出版され大きな話題を呼んだ。実在する元CIAの女性エージェント:ヴレリー・プレイムが、政府との戦いを綴った回顧録であり、当時「プレイム事件」としてアメリカのみならず全世界で話題をさらった。

あらすじ:03年3月に開始されたイラク戦争のきっかけとなった大量破壊兵器の存在。米外交官ジョセフ・ウィルソンはその存在そのものを否定するレポートを発表したが、米政府はそれを無視。さらに報復としてウィルソンの妻バレリー・プレイムが現役のCIAのエージェントであることマスコミに暴露する……。イラク戦争開戦をめぐり実際に起こった「プレイム事件」を「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマン監督が完全映画化した実録サスペンス。出演は、バレリーにナオミ・ワッツ、ウィルソンにショーン・ペン。

<感想>本作ではCIAの敏腕エージェントでありながら、身分を暴かれ、自らの掲げる正義と職務の間で苦悩する一人の女性という難しい役どころを見事に演じきったナオミ・ワッツが素晴らしい。バレリーを支えるその夫には、ショーン・ペンが演じている。先に脚本を読んだナオミ・ワッツが、ジョー役には是非ショーン・ペンにと監督に進言、この豪華な競演が実現した。そのほかにもヴァレリーの父親にサム・シェパードが登場して、物語に一層の深みを与えている。

ダグ・リーマン監督のスピード感あふれる演出と、巧みな心理描写は観る者の心を鷲づかみにし、画面に引き込んでゆく。アメリカ政府が現在までひた隠しにするイラク戦争の裏にあった、「衝撃的な実話」を基に、スリリングかつドラマチックに描かれている極上のクライム・サスペンスであります。

2001年9月11日~世界を震撼させた同時多発テロ以降、アメリカのブッシュ政権は イラク政府が大量破壊兵器をひそかに保有し、世界にテロを”輸出”する「悪の根源」の一つだとして、世論を動かしながら攻撃の準備を進めていた。極秘にこの疑惑を調査していたCIAの秘密諜報部員バレリーは、潜入捜査の末に、イラクに核兵器開発計画がないことを突き止める。

その一方、ヴァレリーの夫で元ニジール大使のジョー・ウィルソンも、国務省の依頼でアフリカ・ニジールへと赴く。イラク政府が核兵器開発に必要な濃縮ウランを密かに買い付けているとの情報の真偽を確認するためなのだ。そして彼もまた、イラク政府によるウラン購入の事実はないとの結論に達する。

ところが、ブッシュ政権はヴァレリー夫妻の報告を無視して、2003年3月20日・・・遂にイラクへ宣戦布告をした。その4か月後、ジョーは自身の調査報告を元にイラク戦争の”真実”をニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、ブッシュ政権を揺るがす大戦争を巻き起こした。

なぜならば、核兵器開発計画が最初っから存在しないならば、イラク戦争を始めたブッシュ政権の正当性が疑われかねないからだ。ところが、その直後にワシントンの有力なジャーナリストたちに、ヴァレリーがCIA CIAの秘密諜報員だという情報がリークされる。情報漏洩を指示したのは、なんとチェイニー副大統領の首席補佐官のルイス・スクーター・リビーだった。

身分を暴露され、たちまち世間の好奇の目に晒されるヴァレリー。家族や各国に散らばる協力者にも危険が迫り、彼女のキャリアと私生活は崩壊しはじめるわけ。匿名で送られてくる脅迫状や無言電話、容赦のない世間の中傷等々、今まで証券会社勤務だと偽っていた彼女からは、友人も離れていった。

追い打ちをかけるように、メディアに登場して自身の正義を論じる夫のジョー。沈黙をつらぬくヴァレリーに夫のジョーは、公の場にて事実を明かすべきだという。ジョーと対立し、唯一の安らぎの場所だった家庭さえも崩れ落ちそうになった時に、彼女はいつも温かく見守ってくれた両親のもとへと向かう。家族との穏やかな時間を過ごす中で、大切なものとは何かに気づくヴァレリーは「絶対に負けはしない」という強い信念をもってついに戦うことを決意する。自らの名誉と家族を守るために、強大な国家に戦いを挑んだ彼女の運命は・・・いかに。アメリカの正義とは何だったのか、、超大国の素顔を知る秀作情報の収集だろう。

 

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