パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

神様メール ★★★★

2016年07月25日 | アクション映画ーカ行

「トト・ザ・ヒーロー」「ミスター・ノーバディ」のベルギーの鬼才ジャコ・ヴァン・ドルマル監督が、神様は退屈しのぎにパソコンで人々の人生を弄ぶ意地悪なおっさんという過激な設定で贈る奇想天外ファンタジー・コメディ。そんな神様の10歳になる娘が反乱を起こし、人々の余命をメールで知らせてしまい、世界中に混乱が広がる中、人間界に舞い降りた娘が悩める人々と繰り広げる奇跡の数々を、シニカルかつ遊び心あふれる筆致で描き出す。出演は神様役に「ココ・アヴァン・シャネル」のブノワ・ポールヴールド、その娘役に「サンドラの週末」のピリ・グロイン。共演にカトリーヌ・ドヌーヴ、ヨランド・モロー。

あらすじ:世界を創造した神様はブリュッセルのアパートで家族と暮らしていた。神様はパソコンで世界を操り、人々の生活を面白半分に引っかき回して楽しんでいた。10歳の娘エアはそんな父に反発し、父のパソコンで全人類にそれぞれの余命を知らせるメール送信してしまう。そして兄JC(イエス・キリスト)のアドバイスに従い、そのままアパートから家出すると、大混乱の街に繰り出し、6人の使徒を探す旅に出る。こうして、冒険家になりたかった会社員や殺し屋に転身した元保険セールスマン、夫との関係が冷え切った主婦など、悩める人々と巡り会い、小さな奇跡を起こしていくエアだったが…。

<感想>もしも神さまが実在して、その家族と共に人間界で暮らしていたら、という奇抜な設定の下で、旧約・新約聖書の矛盾を皮肉たっぷりに、ブラックユーモア交えた心温まるコメディ作品であります。
このアイデアの映画は、日本人にはちょっと理解出来ない展開の内容であり、ブラックジョークだからっていっても笑えないところもあるし、宗教が色濃いので途中でダメな人には眠くなってくると思う。
しかし、とらえようによっては素晴らしく面白い設定でもあり、ベルギーに住んでいる神様が、自分の気まぐれで天災や事故を世間にばらまく、飛んでも親父であり、人を不幸にしては喜んでいるのだ。

一人娘は父親がパソコンで、人間の世界を牛耳っている様子をみて、神さまの呪縛から人間を解き放ってやろうと、何ならみんなに人々の死期をメールで知らせてしまおうとやってしまうんですね。

さぁ、下界では大混乱に陥るわけで、メールをもらった人間たちが、自分の余命の短い人間は、毎日を好きなように時間を使ってと、死期が長い人間は何度も自殺をためすのですよ。でも死にきれないって、まだ寿命があるから。とにかく余命宣告の荒治療は国際紛争を休戦に追い込むし、何だか平和な世界になってるのが不思議です。

そんなこんなでメールを出してしまった神様の娘のエアちゃんは、洗濯機の中へ入り下界へのタイムトラベルをします。そして、下界へ行き6人の使徒を探して、それぞれに遺言を書かせることで全く新しい新約聖書を作る使命を遂行しようとするという話ですが、ストーリー自体にはそれほど深い意味はなく、ユーモア溢れる会話とエピソードを楽しむ作品です。

物語は架空のファンタジーの世界ですから何でもありな設定で、一番面白かったのが、夫との愛に冷めてゴリラを愛してしまうカトリーヌ・ドヌーヴの美しさ。ジャコ・ヴァン・ドルマル監督は、ゴリラのキャスティングについて「夫と冷めた関係の寂しい主婦が余命を宣告され、それをどう乗り越えられるのかを見つけようとした。そこで、ゴリラと禁断の恋に落ちる展開を思いついた」とコメント。これはこれでとってもいい絵面でした。

そして、古株社員は北極圏へ鳥を追って行き、性的妄想症の男は運命の女と巡り合い、殺し屋は孤独な片腕美女と恋におちる。
父親の神様が驚いて、娘を追いかけて下界へと同じ洗濯機の中へと飛び込んでいきます。ですが、可愛い女の子とガウンを着た変態爺では、下界の取り扱いが違うんですよね。
全知全能の神様だからって、ただパソコンで遊んでいるような男なので、奇跡を起こすわけでもなく、警察でもただのオジサン扱いですから。家庭の中では、自分は偉いと思っている世界のお父さん方へのメッセージでもあると思いますよ、これは。
部屋に閉じこもって下界へ出ない神様の妻は、女神として扱われていて、夫に従順であり良妻賢母という設定なので、掃除機で夫の部屋を掃除するのに、PCの電源を切ってしまうし。

またもや掃除が終わるとPCの電源を入れる。まさか、PC操作ができるとは思ってない夫、でもいじってしまう妻。女神のする世界の綺麗なことといったら、空は花、花、が咲き誇っている綺麗な空であり、みんな幸せに生活できる生活。

昨今、テロ騒動で全世界が暗黒の事態へと、だからせめてもの映画の中だけでも、豊かなイメージと細部に気を配った心地よい演出、映画的なセンスのさじ加減一つで、人々にはささやかな救済になりうるのだ。
2016年劇場鑑賞作品・・・147映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング