パピとママ映画のblog

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新感染 ファイナル・エクスプレス★★★★・5

2017年09月02日 | アクション映画ーサ行

ソウルからプサンへと向けて走る高速鉄道KTXの車内で繰り広げられる壮絶なゾンビ・パニックを描き、本国韓国のみならず世界中で大きな話題を集めたノンストップ・サバイバル・アクション。謎の感染爆発に直面した登場人物たちによる、愛する者を守るための決死のサバイバルの行方を、極限状況であぶり出される人間ドラマを織り交ぜつつ、圧倒的テンションのスリルとともに描き出す。主演は「トガニ 幼き瞳の告発」「サスペクト 哀しき容疑者」のコン・ユ、共演にキム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソク。監督はアニメ出身で実写デビューとなる本作で一躍世界的注目監督となったヨン・サンホ。

<感想>ゾンビ×鉄道パニックという新機軸を打ち出し、韓国で興行NO・1ヒットを記録し、世界中の観客の度肝を抜いたアクション・ホラーがついに日本に上陸。凶暴化した感染者の1人がソウル発プサン行きの高速鉄道「KTX」の車内に乗り込んだことから、1人また1人と感染者が増大し、車内は地獄絵図と化していく。

何者かに足をかまれ、命からがらKTXに乗り込んだ女性が、みるみるうちに正気を失い、凶暴化して乗務員を襲うさまが何とも恐ろしい。これから巻き起こる壮絶なサバイバルを予感させる。この感染者の女性を演じているのは、「怪しい彼女」「少女は悪魔を待ちわびて」と話題作に次々と出演する若手実力派シム・ウンギョン。

数カ月間アクションスクールに通って役作りに励み、劇中では振り切った演技と奇怪な動きで感染者になりきっているのが凄いのだ。いや、彼女だけではない、他の感染者たちも、ゾンビ化していくさまは、もう演技というよりも体全体で動きを演じてるので、恐怖である。

そんななか、妻のもとへ向かう主人公の二枚目俳優のコン・ユと、幼い娘スアン(キム・スアン)を抱えて線路を必死に走る姿など、観客の心拍数を高めるシーンが続けざまに描かれるのだ。

そして、出産間近の夫妻には、ソグと共闘する勇敢なサンファ(マ・ドンソク)と妊娠中の妻ソンギョン(チョン・ユミ)。乗客たちは、時速300キロで走行する密室の中で決死の戦いに身を投じる。感染者がKTXの屋根に飛び乗り乗客を襲おうとする驚がくのシーンや。

野球部の部員たちが感染してしまい、高校生カップルが絶望の表情を浮かべるさま、仲間思いの野球部員ヨングク(チェ・ウシク)と恋人のジニ(アン・ソヒ)といったメインキャラクターがボロボロに傷つきながらも生き延びようともがくさまが切り取られている。
親子に夫婦、高校生カップル、それに老姉妹といった乗客の極限状況におけるそれぞれの“絆”、を情感豊かに描写しつつも、それぞれの姿からは、男性が女性をかばおうとしているさまが確認でき、愛する者を守るために危険を顧みない彼らの行動に、家族の絆を描くドラマチックな展開を予感させる。一方、エゴ丸出しのバス会社の常務の悪役ぶりに、きっとこいつは感染するに違いないと願った。

駅で途中下車した乗客たちが、ようやく安全地帯にたどり着いたと思いきや、感染してしまった軍隊に襲われるダイナミックなシーン、主人公のファンドマネージャー、ソグ(コン・ユ)が娘を抱えて全力疾走し、追いすがる感染者の大群から逃れようとする姿など、必死な見せ場があります。そして、大量の感染者に追いかけられ、車内にまたもや戻る羽目になるとは。

あっと言う間に、感染者は爆発的に増え、車内からも車外からも猛スピードで乗客たちに襲いかかる!ゾンビも怖いし、感染していない人間も怖い。逃げ惑う乗客たちに、自分たちだけ助かろうとするオヤジたちもマックスであり、テンションもアップする。もはや車内は全員が謎の病原体感染者ばかり、逃げても助からない。しかし、恐怖に打ち勝つのは愛なんですよね。

速い速い速い! 口から血をまき散らし、全速力で追いかけてくる感染者軍団に凍り付く。病原体は肉体まで強化してしまうのか? 痛みを感じさせないのか、それまでの肉体の限界を超える動きが、可能になっているのが感染者たちの特徴。異様に走るのが速く、ジャンプ力まで発達しているのだ。

そして、感染者の弱点はと、こんな凶暴で俊敏なヤツらに弱点はあるのか? そのひとつが暗闇では動きが止まってしまうことだ。トンネルの中では、暗い場所でぼーっと立ちすくんでいる。暗闇だと動きが止まる感染者だが、その分、音には敏感。ほんの小さな音でも反応し、一斉に襲いかかってくる。何か物を投げて別の場所で音を発生させるのがベストな手段。最初はスマホの着信音、次はボストンバックと。
すさまじい身体能力と凶暴性、視覚は弱いが聴覚が鋭い感染者たちだが、意外にも複雑な動きには対処できない。ドアを開けることすらできないのだ。追いかけ、飛びつき、かみつく。この本能的な動きだけが、感染者のできること。それでも怖いのは間違いない。
感染すると腕力もケタ違いにパワーアップ! 骨が折れても関係なしに飛びかかってくるし、知能は落ちるが身体能力は人間以上! とにかく逃げて逃げて逃げる、それしか道はないのだ。

生存者たちは、別車両にいる家族を助けるために決死の作戦に出る。だが、ゾンビたちがいる車両を駆け抜ける恐ろしさ、トンネルの中に入った時に移動開始。だが、9号車へ行ってみれば、そこには、あの自分本位の男、バス会社の常務がいて、「お前らは感染している、こっちへ来るなと」喧嘩になる。なんという人間のエゴと己の保身。それが災いして、その車両にゾンビが押し寄せて来るのだ。(ざぁまぁみろ)

ラスト近くで、やっと電車をプサン駅まで走らせるのだが、ゾンビたちがズルズルと引きずられながらも電車に連なるのだ。ここまで追ってくるんですか? 体ちぎれてますけど!? 感染者のポテンシャルに脱帽ですから。
家庭をかえりみなかった仕事人間が、“父性”に目覚めていく熱いストーリーが展開するのに感動しました。極限状態で試されるきずな! 夫から妻へ、父から娘へ……強い愛が見る者の胸を打ちます。

ラストには、ソグがまだ赤ん坊のスアンをいとおしげに抱く映像が流れ、自分はすでに噛まれて感染しているし、自分で死を選ぶしかないのだ。自然に涙が出る。
一瞬にして“食う者”と“食われる者”に、最後まで誰が生き残るのかさっぱり分からなかった。それに、感染者の中には、友人や家族の姿も……助けて上げたい、扉を挟み感染者とそうでない人間たちの心の葛藤、さまざまな別れを描く悲しくも切ないドラマも本作の特長であります。
こんなに感動して泣けるなんて、最後が生き残ったあの娘の歌声に勇気ずけられて、軍隊は感染者だと思い「銃殺をしろ」と命令するのだ。そこへ、あの女の子が泣きながら歌を歌って、「アロハ・オエ」それが良かった。泣きながら歌う少女の歌に感動を覚える。よくぞ頑張って生きていてくれた。
あんなに車内に人間が生きていたのに、プサンの駅に着き、生き残ったのが2人の女の子と妊婦の女性だけ。全編に渡って、超人的なわけでもなく、武器を持っていない人間が、限られた空間の中でゾンビとどのように戦うのか?・・・スリルと恐怖にアクションだけでなく人間の醜さや、エゴに欲など、感染映画の好きな要素がすべて詰まっており、あるあるネタも満載であり、それでいて家族愛を感じる泣ける映画になっていた。

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