パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ルーム ★★★★.5

2016年05月14日 | アクション映画ーラ行
アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。監禁された女性と、そこで生まれ育った息子が、長らく断絶されていた外界へと脱出し、社会へ適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマ。第88回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、息子とともに生きようとする母を熱演した「ショート・ターム」のブリー・ラーソンが、主演女優賞を初ノミネートで受賞した。監督は「FRANK フランク」のレニー・アブラハムソン。7年前から施錠された部屋に監禁されているジョイと、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャック。部屋しか知らない息子に外の世界を教えるため、自らの奪われた人生を取り戻すため、ジョイは全てをかけて脱出するが……。

<感想>2015年のトロント国際映画祭で観客賞を受賞して注目を浴び、今年度アカデミー賞では低予算製作のハンデをものともせず、母親を演じたブリー・ラーソンが主演女優賞を獲得した注目の作品です。以前から観たいと思っていたので、やっと東北でも上映され嬉しくて初日にて観賞しました。
物語は、女の子のように髪の長い少年ジャックが5歳の誕生日を迎えたところから始まります。母親のジョイがケーキを焼いてくれたことを喜んでいて、ローソクがないことにすねるジャックだったが、何処にでもいる母親と息子のように彼らは強い絆で結ばれているんですね。

ですが、彼らが置かれた状況は決して普通ではありませんでした。幸せそうに見える母子の一室での風景は、やがては奇妙な違和感を帯び始めてきて、何故に母子は天窓しかないこの粗末な“部屋”から出ないのだろうか?・・・。

幼くも聡明なジョイの息子ジャックは、生まれて以来部屋の外に出たことが無い。天窓からの風景とかTV番組だけが外界との接点だった。この息子役のジェイコブ・トレンプレイのなんと言っても演技が上手いし可愛いのだ。トラックの荷台のシーンでは、外の世界に出たあとの恐々としながらも次第に慣れ始めていく子供らしい仕草がなんとも可愛らしいのだ。
夜中に部屋にやってくる男は何者なのか?・・・、母親のジョイを監禁した男、オールド・ニックは、夜になると部屋にやってきて、ジョイを慰み者する。彼女の反抗には、部屋の電気を切り暖房が使えず寒いという罰を与える。異常犯罪の被害者である彼らの運命は、どこに向かおうとしているのか?・・・。

夜になるとジャックは洋服ダンスの中で眠る。そこへ男がやってきて、2人が喧嘩をし、次の日から電気が切られ寒さに震える二人。そして、母親はある決意をするのです。息子のジャックに外には広い世界があることを話し始め、外の世界に興味を持ちだした息子に向かって、ママはある計画を持ちかけるのです。それは、ジャックをカーペットに包んで何度も死んだふりの練習をさせ、運び出された後の行動も息子に覚えさせなければならない。
それからが、異常犯のニックに息子が死んだことを伝え、嘘を信じたニックはトラックで運び出す。だが、それが失敗しかけた計画は、ジャックが機転を利かして通りがかった外界の人の助けで、思わぬ結末に辿り着くのだ。

意外性に富んだサスペンスフルな展開に加えて、一人の人間の“世界”との対峙というテーマが確かな答えを残し始める。“部屋”という世界に縛られ、苦しんできた母親と、この世界を疑問も持たずに受け入れてきた少年。幼い子供の目には狭い部屋も無限大の世界に見えることを示すカメラにまず驚嘆させられます。
そんな彼らが部屋の外へ解放された時、どうやって広い世界を受け入れるのだろうか?・・・。脱出シーンのスリルも素晴らしいのですが、本当に驚かされるのはその後であること。特別な絆で結ばれた母と子の特異な体験であり、言葉少なにつづられるすべての場面、すべてのショットに胸が締め付けられような思いがした。

翌朝、病院で目覚めたジャックと母親、そこに両親が駆け付けて来た。ですが、それで終わりかと思うと、それからが大変んだったのですね。奪われた現実の世界に戻ることができた母親のジョイとジャックですが、予想もつかない困難が次々と親子に訪れるのですから。
娘ジョイの母親にはジョアン・アレンが扮しており、娘が監禁されていた間に、長年連れ添った夫と離婚をしていた。解放された娘のジョイと孫のジャックを受け入れようと努力するのだが、・・・。父親にはウィリアム・H・メーシー。
何と言っても、ジョイ役のブリー・ラーソンは「ショート・ターム」で脚光を浴びた注目株であり、本作では体脂肪を12%落として、隔離された部屋で役つくりに努め、撮影に臨んだという。母親としての責任と、抜け殻のような放心状態の間を行き来する内面の演技も絶妙で、ヒロインの傷ついた心情がリアルにかつ切実に、伝わってきて涙がこぼれるくらいグット胸に響きます。

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