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バビロン★★★

2023年03月14日 | アクション映画ーハ行

              

「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーら豪華キャストを迎え、1920年代のハリウッド黄金時代を舞台に撮り上げたドラマ。チャゼル監督がオリジナル脚本を手がけ、ゴージャスでクレイジーな映画業界で夢をかなえようとする男女の運命を描く。

あらすじ:夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。

共演には「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイア、「レディ・オア・ノット」のサマラ・ウィービング、監督としても活躍するオリビア・ワイルド、ロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のフリーら多彩な顔ぶれが集結。「ラ・ラ・ランド」のジャスティン・ハーウィッツが音楽を手がけた。

<感想>デイミアン・チャゼル監督が15年前から温めていた企画で、「ラ・ラ・ランド」以来6年ぶりに自身で脚本も執筆した極上のエンタテインメント。舞台はゴールデンエイジ(黄金時代)と呼ばれた1920年代のハリウッド。サイレント映画からトーキー映画へと移り変わる時代。富と名声、野心に彩られた映画業界で夢を叶えようとする男女を描いている。

現代のロサンゼルスを舞台にした「ラ・ラ・ランド」(16)で、女優を目指す女性とジャズピアニストの男性との恋愛を軸にしながら、ハリウッド黄金期からの人気ジャンルであったミュージカル映画への敬愛を作品に散りばめたもの。新作「バビロン」もまた、ロサンゼルスを舞台にしながら、女優を目指す女と映画製作を夢見る男との恋愛が描かれてゆくという共通点がある。

但し今作の時代設定は、サイレントからトーキーへと移行する端境期である。タイトルの”バビロン”は古代都市の名称だが、巨大な城壁のセットは、作品を代表するビジュアルでもある。柱の上部には、石膏で制作された白い象の像が起立している。「バビロン」はハリウッドの狂宴時代を描いているという共通点見出せるのだが、偶然にも今作では巨大な象をパーティ会場へと運送する場面で幕が開く。

ここではこの象を運ぶ青年マニーが語り部のような役割を担い、彼が目撃した激動のハリウッドが描かれてゆく。登場人物の多くは、複数の実在の人物から着想を得ながら人物造形がなされているのも特徴であります。マニーは機転を利かして、薬物を過剰摂取した女優をパーティー会場から秘密裏に連れ去ることを提案したことで、映画業界での仕事を得てゆくことになる。

マニーが恋する新人女優のネリー(マーゴット・ロビー)と、彼を映画界に引き入れる大スターのジャック(ブラッド・ピット)にもモデルはいる。トーキー映画の時代が到来し、ネリーが慣れない”音”を伴った撮影現場で悪戦苦闘するシーンとか。モニタールームにいる録音技師が、ネリーの声の大きさに対して苦言を放つのと、同様のプロセスがミキサーのボリュームを下げていなかったため、真空管がぶっ飛んだというのだ。

ブラピのジャックという役柄の俳優とか、その他の大スターたちは、庶民の手の届かないスター(星)のような存在であったという時代背景を匂わせている。初めてのトーキー映画への順応が上手くいかず、ダンディで端正な外見とは相反する甲高い声に観客が爆笑し、映画スターにとって”声”が重要になっていく時代の変還は、「バビロン」と同様にサイレント映画からトーキー映画への端境期でもあるのだろう。

やがては「モラルを重視する」という台詞があるように「バビロン」は、映画史の流れを描いた作品でもある。アメリカではテレビが一般家庭で普及し、映画産業が斜陽化に向かった時代のこと。映像の革命を起こした作品だということ、映画に記録された映像は記憶として永遠に残るということなのだ。

映画は主に3人の人物に焦点が合わさる。夢を抱いてハリウッドへやってきた若き青年のマニーの導きにより観客は「バビロン」の世界へと入ってゆく。メキシコ出身のディエゴ・カルバである。一方、物語を引っ張ってゆくのは新人女優のネリーである。良く働き、パーティーでは全力で騒ぎ、あらゆる面で懸命に生きている。演じるのは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19)のシャロン・テート役のマーゴット・ロビー。そして、ハリウッドの王者として君臨する頂点を極めた俳優、ジャック・コンラッド。演じているのは説明不要のブラット・ピット。

ーWOWOWにて鑑賞ー

 

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