パピとママ映画のblog

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新宿スワン ★★.5

2015年06月01日 | アクション映画ーサ行
ベストセラーを誇る和久井健の漫画を実写化したドラマ。新宿の歌舞伎町を舞台に、スカウトマンの青年がさまざまな女性を水商売、風俗、AVといった世界へと送り出しながら奔走する姿を追う。監督は『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』などの園子温。『そこのみにて光輝く』などの綾野剛、『闇金ウシジマくん』シリーズなどの山田孝之、『ヘルタースケルター』などの沢尻エリカ、『あしたのジョー』などの伊勢谷友介と豪華な面々が結集。彼らが織り成す濃密な展開に加え、園監督ならではの鮮烈なタッチにも注目。
あらすじ:一文なしだが野心だけは人一倍ある白鳥龍彦(綾野剛)は、新宿・歌舞伎町に乗り込んで一旗揚げようと決意する。ひょんなことから彼は、名の知れたスカウトマンとして数々の伝説を持つ真虎(伊勢谷友介)に誘われてスカウト会社バーストの社員に。歌舞伎町をゆく女性たちに声を掛けては、水商売、風俗、AVの仕事をあっせんし、その紹介料をつかんでいく龍彦。さまざまな人物や出来事と対峙(たいじ)しながら、彼はスカウトマンとして、一人の人間として大きく成長していく。

<感想>舞台は新宿の歌舞伎町、もちろん歌舞伎町には、昔は飲食店の他に演劇をするコマ劇場や映画館にボーリング場もたくさんあった。東京在住の時には、北新宿に住んでいたこともあり、土、日はミラノ座のオールナイトで、映画をみたりボーリングをしたり、ショッピングもと、眠らない夜の新宿という感じでしたね。
今では歌舞伎町浄化作戦の効果もあって、街は閑散として、昔のようにスカウトや客引き、ストリートガールの数は減っているのでしょう。この作品は明らかに、時代は90年代の世界観であり、ゴージャスだった時代の新宿をイメージしたものですね。

物語の主人公である、スカウトマンの白鳥龍彦という主人公名前にちなんでいるタイトルの「新宿スワン」。一見、華やかに見える新宿という街で、強く生きる人々を映しだし、もちろんそこで働く女性たちの逞しさも描き出しています。
龍彦の所属するバーストが、ライバル会社のハーレムを吸収合併し、対立していた両方のスカウトマンが、初めて一堂に会する決起集会の場面では、昨年の暮れに閉館した新宿ミラノ座の屋上で撮影されており、歌舞伎町が一望できる広々とした屋上に黒スーツ姿の屈強な男たちがずらりと整列する画は圧巻でした。

それに、龍彦と中学時代に喧嘩をした同級生だった秀吉の山田孝之が、最後に降りてくる階段も、ミラノ座の裏階段で撮影したそうです。この二人が昔の中学時代の土砂降り雨の中での喧嘩シーンは、もろ「クローズ」でありまして、他にも龍彦がことあるごとに、喧嘩するシーンも多くあり大人版の「クローズ」にもとれる作品のようにも見えました。
驚いたのが、秀吉との喧嘩で、ビルの屋上から向かいの屋上へ飛び移るシーンに、これはスタントマンか、もしくわ別撮りか、なんて。とにかく歌舞伎町の裏路地で、風俗店でと所構わず暴れまくります。卑怯なのが、秀吉が必ず中学時代から、ナイフで切りつけるところ、スカウトマンたちの喧嘩は、普通は身体での格闘技なので、病院送りになることはない。最後に秀吉が、麻薬の売人に待ち伏せされて、拳銃で撃たれてしまうのが残念。

それに、アゲハという名前の沢尻エリカの風俗嬢と、手を取り合って新宿の街をエリカがランジェリー姿の裸足で走るシーン。アゲハが仕事がハードで、シャブ中毒になり壊れていくエリカ様の演技も、前より汚れ役にハマっていく姿が似合って見えたのは何故かしら。

して、龍彦の面倒をみてくれる真虎役の伊勢谷友介のキリリとした一見ヤクザ風の出で立ちと、同じく秀吉の山田孝之は、見た目も仕草も、「闇金ウシジマくん的な、お得意の成り上がりのボスという感じ。

新宿の華やかなゴールデン街を牛耳るスカウトマンの裏には、ヤクザの親分と思われる天野に吉田鋼太郎が、そして、ライバル会社、ハーレムのボスには安田顕が演じている。
女性で目についたのは、クラブの涼子ママに山田優が、久々にスクリーンに出ていて着物姿が綺麗でした。

ですが、残念ながら共感できなかったのは、女の子に身体を張る仕事させといて、幸せだなんて言わせるのは、ある種の洗脳とも言える。女の子たちが、「いいお店を紹介してくれてありがとう」なんて笑顔で言っているシーンにも。
スカウトマンたちは、女の子に声をかけて、上手く行ったらクラブか、キャバクラか、風俗かと選別して店に紹介する。もちろん、紹介料も女子の労働賃金の何%かは彼らの懐に入るのであり、女子たちの借金も肩代わりをして、その借金の分も働いて返してもらうという寸法である。
中でも、沢尻エリカのアゲハは、風俗嬢で、何時かは白馬に乗った王子様が助けに来てくれると信じている。まさにファンタジーというか、頭が弱いんじゃないの。夢を見てどうする、現実をしっかりと見ろといいたい。
それと、上映時間が139分と長尺なので、途中でカットしてもいいようなシーンが多いような気もしました。
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