パピとママ映画のblog

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ライジング・ドラゴン ★★★★

2013年04月14日 | アクション映画ーラ行
ジャッキー・チェンが世界を駆け巡るトレジャー・ハンターに扮し、目もくらむ体当たりアクションの数々を見せる大型アクション・アドベンチャー。

ジャッキー自身が制作・監督・脚本も手掛け、共演には韓国の人気スター、クォン・サンウの他、ヤオ・シントン、ジャン・ランシン、リャオ・ファン、オリヴァー・ブラッドらが顔を揃える。
あらすじ:清朝時代、贅の限りを尽くして建てられた円明園。だが欧州列強の侵攻により邸は破壊され、美術品はことごとく略奪されてしまった。そして現在、円明園の遺物で国宝級とされる“十二生肖”は、その一つ一つがオークションで巨額で取引されていた。十二体すべてが揃ったらどれほどの値がつくのか?・・・。美術品ディーラー大手の社長ローレンスは、世界中のコレクターの元に散らばっているすべての像を手に入れるべく、伝説のトレジャー・ハンターJC(ジャッキー・チェン)に仕事を依頼する。注意:全篇ネタバレで書いています。ご了承ください。

<感想>ノースタントの本格アクションはこれが最後だと公言した58歳のジャッキー。本作は一片の悔いも残すまじという彼の気合が伺えるジャッキー・アクションの集大成を見せてくれます。まず度肝を抜くのが、冒頭のJC率いるチームが外国の軍事施設に潜入するシーン。まずはチームの紅一点でテコンドーの達人ボニー(ジャン・ランシン)がお色気で守衛を騙して潜入するんですが、サングラスで死角を見る。そして守衛室にある車の鍵を盗む時、わざわざ手ではなく足を使うんですが、ああ彼女は足技キャラなんだといっぺんで分かる。こんなのもジャッキー映画ぽいです。

でも手間暇かけて盗んだ鍵を使うシーンは一切描かれていない。次のカットでは、すでに潜入したジャッキーが、施設を警備する軍人たちに追い掛けられているシーンですから。何の目的で施設に潜入したのか分からないところがジャッキー映画っぽい。ここは、ジャッキーが全身に特殊ローラー・ブレード・スーツを装着して繰り広げる逃走アクションを堪能してくれってことなんですね。
ジャッキーがガラス窓を突き破って施設から脱出するところなんて「シティハンター」(93)のスケボーに乗ったジャッキーが、ガラス窓を破壊するシーンを思い出します。

人間ロケット状態で坂道を疾走。自分の身体スレスレに通り過ぎる車に手をバタバタ添えるアクション。これも「ナイスガイ」(98)でやっていた。カーブではバンクに膨らみ、爆走するトラックの下をすり抜ける。これは「五福星」ですよ。ほんの数センチのコントロールミスが命の危険に繋がるフルスピード・スタント。ジャッキーは意識していないと思うんですけど、こういう過去作を踏襲しつつもグレードアップしているところが凄い。

次のアクション・シーンの舞台はフランス。ジャッキーが上流階級の屋敷が所有する十二支の一体を盗み出すミッション。ここで、ジャッキーは宙に放り投げたガムを口でキャッチ、屋敷に忍び込むシーンとこれは「サンダーアーム」からのお約束ですね。そして巨大な書庫に入り、灯りをつけるわけにはいかないから、懐中電灯を使うのですが、そこへメイドが入ってくる。すかさず口の中へ懐中電灯を隠す。「ダブル・ミッション」でもやっている、頬っぺた越しに薄らと灯りが見えるのが素敵!彼には懐中電灯をポケットに隠すという選択技はないんですね。

財宝の場所なんですが、書庫にはからくりが仕掛けてあったのです。本棚のある部分に、隠し部屋に通じるスイッチがあって、ジャッキーはこういう仕掛けが大好き。ジャッキー・アクションで人気が高いのが、するするっと壁を登ったり窓から窓へと飛び移ったりする軽業スタント。ほんのわずかな突起や飾りだけを利用してあっという間に上階まで登ってしまう。それに屋敷の庭に作られた迷路で、番犬のドーベルマン軍団との追いかけっこ。

3番目に忍び込んだ邸宅の令嬢キャサリンがJCチームに加わり、南太平洋にある無人島へ。海賊相手のアクションはコミカル度満点。悪党の海賊の衣装がヒドイ。ジャック・スパロウのパロディがいたり、彼らが持っている武器もマシンガン、ロケットランチャーもチープで、暴力的にしたくないというジャッキーの意向かもしれませんね。海賊たちの顔が蜂に刺されて腫れ上がるメイクも笑える。深い穴に落ちたり、不発弾が落ちてきてハラハラしたり、崖から落ちそうになったジャッキー、ココ、キャサリン、の3人が足を掴んで数珠つなぎにシーンなんて、完全に「プロジェクトA2」で、マギー・チャンとロザムンド・クワンとやったことと同じ。せっかくお宝をゲットしても、海の中へと消えてゆく残念なシーンも。往年のハリウッドのドタバタ・アクションを彷彿とさせる楽しさ溢れる見せ場が続きます。

一転して、贋作工場でのクンフー・アクションは、これぞジャッキーの真骨頂ともいうべき迫力。ライバルのトレジャー・ハンター、ハゲタカに扮する「アルティメット」のアラー・サフィと、本格クンフー対決。ここでの戦いは二人がソファに座ったまま戦いが始まるんですよ。「ソファから離れたヤツが負け」というルールで。ソファからソファへぴょぴょんと移動していく、戦っていくうちにルールがユルクなる展開は本当にジャッキーぽい。

さらには次々と襲い来る敵を、ロールペーパーやストロボスタンドなど、様々な小道具を利用して撃退。目にも止らぬ技の応酬に思わず息を飲み、そのアイディアに感嘆してしまう。またこのシーンでは、ボニー役のジャン・ランシンの華麗なアクションの見せ場にも注目。実は彼女は中国テコンドー選手権のチャンピオンだそうです。工場内での戦いの最後は、巨大な機械にスイッチが入って爆発する展開もジャッキー映画ならでは。

そしてクライマックスは、地上数千メートルの上空で繰り広げられるスカイダイビングをしながらのバトル。火山口の上空でジャッキーとハゲタカ軍団が十二支の竜生肖を奪い合うシーン。以前はスカイダイビングだけだったのが、空中での格闘もやっている。凄い進化を遂げています。最後は、ジャッキーが火山の頂上から傾斜を転げ落ちてくる、デスウィッシュ・スタント。さすがに特殊効果も加わっているようだが、新たなアクションにも果敢に挑んで見せるチャレンジ精神こそが、ジャッキーの魅力の神髄なのだろう。

そして、本作にはあっと驚く人気スターたちがほんの小さな役で友情カメオ出演してます。ココの弟で敵に捕らわれてしまう青年には台湾のイケメン、チェン・ポーリン、ラストで産まれるって~病院へ運ばれるデビッドの妻には、香港映画界の女優スー・チー。映画の中でジャッキーが電話で口喧嘩している相手、誰なのかなぁ~と顔見せないんだと思っていたら、ラストに1カットだけ映るJCの妻役には、ジャッキーの実際の奥様であり、30年ぶりに映画出演となる女優ジョアン・リンが扮しているのも素敵。
本当に面白かった!どこを切ってもジャッキー映画の魅力が詰まっている金太郎飴みたいな映画でした。だから最初に観たときは、あえてセルフ・パロディをやっているのかな、って思ってたくらい。でもジャッキーはセルフ・パロディ的な部分もあるとは思うんですが、彼はこういう映画しか作れないんだと。つまり体に染みついたリズムで映画を作っているのだと、ゴキゲンなまでにワンパターンをやり続けるジャッキーが大好きです。
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