た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

鷲が峰とマルタイラーメン

2019年08月09日 | 怪談

 仕事と仕事の合間を縫って、夫婦で鷲が峰に登る。前回悪天候で断念した山である。

 牛が背中を丸めた、その背中の稜線を登る感じの山である。険しくはないが木立もない。眺望はいいが、夏の盛りには木立が欲しい。天日に晒され、危うく熱射病になりかけた。

 往復で二時間とかからない山だから、時間を持て余し、麓の八島湿原まで歩く。

 空き地の前を通りかかると、ちょうど昼時で、四方から約束しあったように人々が次々と集結し、弁当を広げ始めた。コンロを焚いている人もいる。ああ、ここならと、我々も携帯コンロを取り出し、念願のマルタイラーメンを作った。隣では魔法瓶の湯でカップラーメンを啜っていた。離れたところでは缶ビールを二、三本空にしている年寄り衆もいた。みんなそれぞれだが、なぜか寄り集まって食事をするのである。こういう暗黙の了解のような場所がどの山にもあるらしい。こんな風景を見ていると、みんな本当は歩きたいのではなく、食事がしたいのだ、それも、自分たちの献立をさりげなく見せ合いたいのだと思ってしまう。つくづく不思議な人種である。我々夫婦ももちろんその仲間である。

 マルタイラーメンはあっさりして美味しかった。

 

 食事を終え、再び歩き出す。次回は何を作ろうか、リゾットにしようか、などと言い合いながら歩いていたら、突然の大雨に打たれた。全身濡れ鼠である。あまりよこしまな考えで歩いていたから、天罰が下ったのかも知れない。

 

 次回は乗鞍か。

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