あれは,あれで良いのかなPART2

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日本製紙の再生紙偽装疑惑,やはり環境ビジネスはまやかしだった?

2008年01月15日 23時59分51秒 | 社会問題
年賀再生紙はがきの古紙配合率を無断で仕様より低くしていたことが問題となった日本製紙が,実は再生コピー用紙についても100%古紙を使用していなかったのではないかという疑惑を,JNNTBS系のニュース)が独自調査で明らかにしたようです。日本製紙は,現時点では特にコメントはしていないようです。

年賀再生紙はがき、無断で古紙配合率低く 日本製紙(朝日新聞) - goo ニュース

球場に名前が付くとみんな問題が起こる

日本製紙といえば,東北楽天の本拠地である宮城球場のネーミング権を得たばかりですが,なぜか球場の名前の権利を取った企業は,どこもその後社会的問題を起こしてしまいます。
それはさておき,今回の問題,実は簡単そうでいくつかの争点が複雑に絡んでいます。そこで若干整理しましょう。

1 コピー用紙の単価は古紙よりもパルプ紙の方が安い。当然,販売単価も古紙の方が高い。
2 したがって,パルプから作った紙を古紙として売れば,粗利が増える。
3 古紙よりもパルプ紙の方が当然白色度が高い。
4 一方で,「グリーン購入法」により,国や地方自治体は,高いということは百も承知の上で「古紙100%かつ白色度70%以上」のコピー用紙を購入しなければならない。
5 ここでパルプ紙で入札に参加することは,要件違反で本来は失格。
6 しかも,単価に違いがあるため,競争入札の前提条件に違反するばかりか,高い単価のふりをして入札していながら安い紙を納入しているため,詐欺の可能性すらある。
7 ところで,一部学者からは「100%古紙の再生の方が実はCO2排出量が多く,地球環境に優しくない」という指摘がある。
8 また,100%古紙といっても,いわゆる「ミスコピー用紙」など印刷された用紙は実はほとんど再生紙に回されずに処分されているというリサイクル業者からの内部告白もあり(インクの洗浄に多額の費用と水を使うため,割に合わないのが理由。100%古紙の古紙とは,製本ミミなどの「白紙」のみを使用するがほとんど。)。
9 また,前述の単価の問題から,グリーン購入法の足かせが財政悪化の遠因であるという指摘もあり。

とまあ,実は再生紙に関してはいろいろと複雑な問題が絡んでいるのです。
ただ,仮にJNNの報道が事実であるとしたら(TBSvs楽天という構造も見え隠れしている案件なので,真偽のほどはもう少し慎重に見極めた方がよいですが),大きな問題は1,4,5,6に関してです。平たくいえば,「不正入札と納品物の偽装」なのです。
おそらく,これに対しては,「再生紙は実は環境に良くない」という7,8,9あたりを強調する抗弁が出てくると思われますが,これは筋違いの論点なのです。もちろん,この点も真剣に議論するべきテーマではあるのですが,それと「入札して納品したものが違う」という点は全く次元の違う話なのです。

このあたりを整理した上で,今後の日本製紙の発表に注目しましょう。
なお,環境省もこの点を重視し,グリーン購入法の要件緩和の見直しを凍結しました。また,他の製紙業界も同様なことをやっているとの内部告発もあるようなので,下手すると「製紙業界全体の問題」にまで発展するかもしれません。
そうすると,コピー用紙の納入がすべて制止,なんて笑えないオチになるかもしれません。
繰り返しますが,リサイクルの是非の問題と,「だから100%古紙なんか作らない」という話は別物です。作らないのは企業の勝手ですが,ならば100%古紙のフリを絶対にしてはいけません。それこそ,「偽装問題」そのものなのです。

(1月16日追記)
真偽不明としていましたが,どうやら日本製紙を含めた主要製紙企業において同様の偽装行為をやっていた模様です。
今年もやっぱり「偽」が続きますね。

コピー用紙なども「偽装」 日本製紙、社長が引責辞任へ(共同通信) - goo ニュース

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8 コメント

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エコ的偽装 (時評親爺)
2008-01-16 10:17:54
おはようございますよ(コーシー終了汗)

これ「エコは費用がかかる」と言う典型例でありますね。巷間仄聞するところでは、PETボトル等のリサイクルも思うように進んでいないとか?(PETな汗)

> いわゆる「ミスコピー用紙」など印刷された用紙は
> 実はほとんど再生紙に回されずに処分されているという

これ実はボンクラめの会社でもそうでありますが、コピー書面の内容では、メモに再利用は無論のこと資源ごみとして出せない(機密的)書類(FAX含む)が多く、結果シュレッダーより確実な消滅手段として「焼却」しなければならないものが結構あったりします(焼く汗)

> リサイクルの是非の問題と,「だから100%古紙なんか作らない」という話は別物

御意にございます(御意汗)。

当初から相手方の要求する古紙配合率では品質を維持できないことが判っていてその古紙配合率での要件で契約しながら、それを満たさずなおかつ相手方の許可を得ずに納入したとするならば由々しき問題であります(リサイクル問題ではない不法な問題汗)

ボンクラめがちと分からないのが・・・

> 一部学者からは「100%古紙の再生の方が実はCO2排出量が多く,
> 地球環境に優しくない」という指摘がある

これは結局のところ、製造工程がかかる?ということなのでありましょうか?(謎汗)
時評親爺さま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-01-16 20:50:42
こんばんは。
環境産業って,実はかなりの金食い虫なので,コストだけを考えるのであれば,「むしろ邪魔」といえます。
とはいいながら,やはり地球のことを考えるとむげにできないわけでして,その点で「足元を見る企業」が存在するのも事実です。
ペットボトルも,本当に地球のことを考えるのであれば,「溶かすより再利用」がベストなのですが,この辺もいろんなしがらみがあるみたいですね。

でもって,再生紙事業ですが,これは「コストがかかる上にきれいに作れない」という点から,各企業とも本音ベースでは「撤退したい」みたいですが,国のグリーン購入法もあることや企業イメージという点から,やむなく再生紙事業に取り組んでいるというのが本音のようです。
それ故,再生紙といっても費用がかからない「無地用紙」を使ったものに限定しちゃう場合が多いのです。インク付きは洗わないといけませんからねえ。

あと,一部学者の見解ですが,再生紙はすべてをどろどろに溶かすのにかなりの石油を使うそうですが,パルプの場合,木が持っている油自体を利用できるため,そんなに石油を使わないということのようです。
もちろん,パルプにしたことで減少する木を含めてのCO2という計算まではしていないので,本当の損得は微妙といえますが。
ぬるま湯業界 (好々爺)
2008-01-17 08:19:45
粗利を得るために、わざわざ古紙配合率を下げた商品を作ったという風に聞こえますが、TV報道ですか?
ちょっとうがった見方というか、いかにも視聴者ウケしそうな話しですね。
実際は、そんなしたたかな手の込んだ話しなんかじゃなくて、古紙100%白色度70%以上の再生紙など製本の断ち耳など希少な原料で作らない限り作れっこなかったというのが実情です。
(そんな原料は僅かしかないし、とてもコスト的に見合いません。)
古紙というと皆さん「新聞古紙」が頭に浮かぶでしょう?
一番手に入り易いのが新聞古紙です。
でも、新聞古紙の白色度は50%くらいしかないんですよ。
どうやって70%にします?
多額の費用と手間をかけ、大量の漂白剤を使って排水を汚しながら漂白します?
それでなんとか70%くらいはいけるかも知れませんが、古紙はどうしてもチリだらけになります。
白くても斑点がぽつぽつあったら使えません(買ってくれません)よね?
古紙配合偽装は、どうしても100%再生古紙に真っ先に食い込みたかった日本製紙が、バージンパルプ品を古紙100%と偽って先陣を切ってしまったため。
負けじと他社も同じようなものを古紙100%として参入したことから始まります。(今から15年くらい前の話し)
その後、少しずつ再生パルプの品質を改善しつつ、やっと10%とか30%とか入れれるようになってきたというのが実情です。
業界全体がゆるゆるで甘いんですねー。
少なくとも私は (ともっち)
2008-01-17 22:53:39
気にして買っていませんでした。はっきりいってしまえば、ふーん、あっそう。の世界です。鈍感ですかね。私って。環境問題、意識しているようでしていないというのが実情のように思います。
好々爺さま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-01-17 22:56:02
こんばんは。
テレビ報道ではありませんが,紙の単価が大きく異なるところから考えられる問題点です。
この問題は,おっしゃるとおり「古紙リサイクル」自体にも大きな欠陥があるのです。新聞古紙では白色度70%はつくれません(むしろ,新聞紙自体が古紙ですから)。白色度70%の古紙を作るためには大量の水と漂白剤,さらにはお湯を作るための石油を必要とするなど,「本当にエコなのか」という点に疑問が呈されています。
ただ,今回一番まずいと思ったのは,「古紙100%」と偽った点です。はっきりいえば,グリーン購入法の足かせがかなり厳しいのですが,だからといって「古紙100%」を偽って実際は古紙割合を減らすのは,少なくとも契約違反行為です。契約は「きれいな紙を作る」よりも「エコを主眼におく」という点にあるからです。だから,高い金を払ってでも古紙100%を調達しているわけです。
無理ならば「作らない」という選択をすればよいわけです(実際,グリーン購入法に関係ない企業は,安くてきれいなパルプ紙を購入してるため,商売として成立します。)。
100%の振りをして高い料金をもらったこと,ここが問題だと感じました。
もちろん,グリーン購入法自体も「本当に環境のためになるのか」という点を考え直す必要があるのかsもしれません。
ただし,残念なことに,リサイクル産業,環境産業は,今やかなり「ブラックボックス」状態になってきており,いわば「利権の固まり」になりつつあります。地球のことより己のことを考えている企業が多く,これに群がるハイエナ(政治家や大手企業)がそれを取り巻いているという構造ができつつあります。
ともっちさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-01-17 22:57:46
こんばんは。
前にも書きましたとおり,「再生紙=地球に優しい」とは必ずしもいいきれない面があります。
だから,再生紙を使わないことが直ちに環境問題に疎いとは言い切れないでしょう。
ただ,「無駄な紙は使わない」ということが,一番環境にとってよいのではと思います。
使い方を考えれば・・・ (てるりん)
2008-01-18 13:47:14
こんにちは。
再生紙について、偽るのはいけないことですね。しかし、再生紙を作るのにどれだけ大変なのかというのが明らかになってよかったのかな?って。
私も、再生紙かどうかなんて気にして買ったことありませんし、再生紙だからって、環境配慮に貢献している意識もありませんでした。
おっしゃるとおり私達はいかに紙を無駄遣いしないかが大事ですね。でも個人的には手紙や年賀状文化は無くしたくありませんが。
そういえば、昔あった「わらばんし」って今も使われてるのでしょうか?
てるりんさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2008-01-18 23:29:49
こんばんは。
今回のニュースを通じて,「環境を銘打っている事業が必ずしも地球環境に優しいとは限らない」ということが認識できただけでも,大いに意義があったと思います。
もちろん,地球環境に優しいと称する事業がすべて悪いことなんて言う乱暴なことを言うつもりは全くありません。しかし,「地球環境のため」と言われた瞬間に,思考停止になる我々自身,ここで考え直した方がよいでしょうね。
あと,紙文化ですが,もちろんこれを失ってはいけません。一方で,「念のためコピー」とか,「電子データがあるけど,打ち出しておこう」などという紙は極力減らせるかなあ,と思います。オフィスではこういう無駄紙がかなりあると思います。

ちなみに藁半紙ですが,今では素材が異なりますが,ちゃんと存在しています。まさしく「再生紙」で作られているものがほとんどです。

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