あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

市町村合併,やっぱりやっちゃった無駄遣い

2005年07月29日 00時24分43秒 | 市町村合併
市町村合併を推進するために創設した総務省の「市町村合併推進体制整備費補助金」が,案の定というか予想どおりというか,当初の目的とは明らかに異なる使い方をしていることが,財務省より指摘されて判明したそうです(ニュースソースはこちら)。

ポリシーないからこうなっちゃうんだよねえ!!

財務省から指摘された代表的なものは次のとおりです。
1 合併記念「のど自慢」誘致事業(長野市、三百万円)
2 職員住宅借り上げ事業(長崎・対馬市、三百万円)
3 ETC車載器設置費助成(愛媛・今治市、四千万円)

これに対して,総務省側は,合併事業にいずれも欠かせないものであると反論しているということです。
しかし,客観的に見た場合,これらの事業はどう見たって市町村合併には関係がないのじゃないでしょうか。
この補助金は,元をたどれば沸いてきたお金ではなく,「税金」です。言い方を変えると,適当な合併をすることにより,さらなる無駄遣いを敢行したといわれても仕方がないのではないでしょうか。
今回の場合,補助金という性格から,使用用途が限定されていたことによりここまで財務省も指摘できました。しかし,合併特例債となると,この補助金よりもかなりフリーに使えることになります。とすると,この問題以上に,かなりめちゃくちゃな使い方が想定されます。そして,この特例債も,元は税金です。
ポリシーなき市町村合併のツケを結局全国民で負担することになります。
これを最小限にするためにも,合併特例債の用途については,各市町村とも完全公開をするべきでしょう。そして,これはさすがにひどい,という使い方が発覚した場合は,速やかにその市町村は全額返金(繰り上げ償還)するべきでしょう。もちろん,交付税措置は無しでです。

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市町村合併について(まとめ)

2005年05月20日 23時25分51秒 | 市町村合併
市町村合併についてまとめをしたいと思います。

第1 市町村合併の必要性を明確にする。
1 市町村側から見た合併の必要性

  どのような町にするのか,明確にしなければいけません。
  少なくとも,赤字解消という理由だけでは,合併は失敗します。
2 住民に対する情報開示
  合併におけるメリット及びデメリットを客観的に情報提供する必要があります。
  多くの場合,市町村側に有利な情報のみの提供や,また不利な情報も適当に修正したり独自の解釈を加えて提供している場合が大半ですが,これでは住民は正しい判断ができません。
  住民が正しい判断ができない合併は,どこかで必ず破綻します。
3 住民の理解を高める
  メリット,デメリットを提供した上で,なおやはり「合併が絶対必要である」ということを住民に対して時間をかけて分かりやすく説明し,理解を求めます。
  この際,「このままでは町がつぶれる」程度の説明では,およそ理解は得られません。1で述べた明確なビジョンを提示することが必要となります。

第2 市町村合併制度の問題点
1 住民不在であること

  住民が参加する機会が法律上皆無です。
  この点は,究極的には法改正により住民投票制度等を法定制度化することが望まれます。
  しかしながら,地方自治体としては,住民投票を行うことはもちろんのこと,定期的にアンケートを採るなどして住民の意向を把握しうる体制を取る必要があります
2 住民からのアクションが困難であること
  合併に消極的な住民もいます。これについても直接請求権等を法定化することが望まれます。
  しかしながら,やはり反対意見が出ている場合,町として十分な説明を実施し,また反対理由をよく吟味した上で説得または方向の修正を図るなど,住民本位の合併政策にしなければなりません。

第3 あるべき市町村合併の姿
1 明確なビジョンの策定(地方主権に向けて)

  合併したら町がどうなるのか,又どうしたいのかを明確に示さなければなりません。ゴール(目的)のない合併は,迷走するだけで終わります。
  また,住民も一番関心があるのは町の未来よりも自分の生活です。自分たちの生活がどうなるのか,明確に示してあげなければ,合併に対しては消極的となります。
2 住民生活の確実な向上
  合併の理由として,市町村の財政破綻をいくら説明しても,現実味のない話となってしまう以上,なかなか納得することは困難です。
  やはり,合併により何がどう変わるのかを具体的に提示する必要があります。
  特に,1でも説明したとおり,やはり生活がどうなるのかについて説明することが一番理解が得られやすいです。
  住民税が安くなる,上下水道が安くなる,上下水道の範囲が広がる,医療施設が増えるなど生活に関連することのメリットを説明しなければなりませんし,そのための合併でを考えなければ意味がありません。
3 住民とともに合併を検討する
  合併の一面として地方自治体の地位向上(地方分権の推進)があるため,ある程度は官主導による合併もあると思います。
  しかしながら,その場合であっても,まず住民の意向を十分調査,検討する必要があります。
  また,協議会への住民参加や住民投票制度を活用するなどして,住民が積極的に合併に対して意見を述べる場を提供しなければなりません。
  強硬な合併は,末代にまで影響を及ぼしかねません(昭和30年代の合併のしこりが未だに残る実例もかなりあります。)。
4 合併後の利益は住民に還元する
  合併により特例債や地方交付税措置など,財政面の一時的な負担軽減が図られます。また,合併による人件費軽減や効率化などにより,それなりに財政負担が軽減するはずです。
  この軽減分については,もちろん財政再建のために用いることも重要ですが,一部は住民に還元しなければなりません。
  住民税の軽減が,一番分かりやすく,理解が得られやすいと思われますが,住民税に限らず,各種施設利用料の軽減や国民保険税などの軽減という方法も可能ではないかと考えます。
5 国や都道府県と対等に歩む
  3でも説明したとおり,合併の主眼には,やはり地方分権の推進があります(やがては地方主権に向かうことも視野に置く必要があります。)。
  合併により職員が増えるため,相対的により優秀な職員も増加することになります。
  これにより,従前国や都道府県からのいいなりにすぎなかった各種施策について,むしろ積極的に行うようにし,逆に国や都道府県に対して意見ができる(問題提起ができる)ようにしなければなりません
  特に,政策法務の考え方(単に条例を作るだけではなく,法律や通達等を独自に解釈,判断して,市町村としての条例化する)を取り入れ,準則をまるごと条例化することから脱却する必要があります。

以上,市町村合併についての考え方をまとめました。
結局,今回もロングランとなってしまいましたが,最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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参考(私の過去の合併ブログ)
1 市町村合併が本格的に始まりました
2 市町村合併について(良いこと編)
3 市町村合併について(悪いこと編)
4 市町村合併について(お金の話)
5 市町村合併について(地方交付税に気を付けろ!)
6 市町村合併について(住民からみた合併)
7 市町村合併について(手続上の問題点)
8 市町村合併について(住民の対応策その1)
9 市町村合併について(住民の対応策その2)

市町村合併について(住民の対応策その2)

2005年04月30日 01時44分26秒 | 市町村合併
前回に続きます。

第2 議決後の対応策
1 議会解散請求
  民意を反映していないと思われる決議に対して,住民の審判を仰ぎます。
  利点,欠点は前回のとおり。
2 県議会への陳情,請願  市町村議会の決議後,合併については県議会で決議します。そこで反対をしてもらうよう陳情や請願をします。
 利点:県議会で否決されれば,合併は凍結される。
 欠点:県議会の最大派閥を納得させる必要がある。かなりのコネがないと実際は無理。
3 住民監査請求
  合併協議会等への公金支出が違法である疑いが高いとして,住民監査請求します。
 利点:前述の監査請求と異なり,一人でも請求できる。住民訴訟を起こすつもりであれば,前提として必ず必要な手続。
 欠点:公金支出の観点に限られるため,すべての手続が適法であれば,「問題なし」と判断される可能性が高い。合併の判断の可否については監査の対象とならない。
4 議会決議無効確認の訴え
  議会の議決が手続違反であること等を理由に裁判所に提起する(住民訴訟)。
 利点:裁判所という第三者機関で審理が可能となる。
 欠点:そもそも議会の議決に対しては原則裁判所は審理を行わないため,訴え却下(門前払い)となる可能性が高い。議会の手続違背であっても,同様の可能性が極めて高く,実際には99%無理な方法か?
5 合併無効確認訴訟(商法)を準用した訴えの提起
  究極的には合併それ自体が無効であるとして争います。現在地方自治法等にその旨の条文が存在しないため,商法にある同規定を準用して訴えを提起します。
 利点:うまくいけば合併自体をひっくり返す可能性がある。
 欠点:こんなこと言っている学者や実務家は一人もいないため,3以上に裁判所がこの訴え自体を認める可能性が低い。百歩譲って裁判所が訴えを認めたとしても,請求を認容する可能性はかなり低い。
6 住民運動
  中国のような過激なものはいけませんが,住民の世論を盛り上げるため,合法的なデモ行進や要請行動等をおこないます。
 利点:世論が高まれば議会や首長が議決を再検討する可能性がある。
 欠点:基本的には無視されやすい。

結論:これ,という決定打はありません。しかし,本当に住民の思いが議会や首長の考えと大きく乖離しており,かつ議会がおかしな手続(議論のすっ飛ばしや議決方法の問題)があった場合であれば,複数の方法を駆使することにより本当に僅かですがそれをひっくり返す可能性も否定できません。
でも,一番良いのはやはり「立法による解決」これに限ります。

次回は,まとめとして,結局合併ってなんだろうという点に焦点を当てたいと思います。

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2 市町村合併について(良いこと編)
3 市町村合併について(悪いこと編)
4 市町村合併について(お金の話)
5 市町村合併について(地方交付税に気を付けろ!)
6 市町村合併について(住民からみた合併)
7 市町村合併について(手続上の問題点)
8 市町村合併について(住民の対応策その1)

市町村合併について(住民の対応策その1)

2005年04月30日 01時09分32秒 | 市町村合併
前回に引き続き,市町村合併自体に反対または合併エリアに異を唱える住民の対応策について検討したいと思います。始めにお断ります,中にはかなり強引なものもあり実効性が乏しいものが含まれています。これは,「こういう考え方もあり得る」という材料を提供したという程度でご覧いただければと思います。

第1 議会議決前の対応方法
1 陳情,請願
  首長に対する陳情や,議会に対する請願の採択をおねがいする。
 利点:一人でもできる。費用がかからない。
 欠点:握りつぶされる可能性が高い。議員を知らないと請願は事実上できない。
2 住民投票条例案の作成請求
  住民の意思を反映するべく,住民投票条例の作成を請求します。有権者50分の1以上の署名が集まれば,請求可能です。
 利点:条例制定の可否について議会で審理してくれる。成立すれば住民投票の実施が可能となる。
 欠点:議会が合併賛成多数派の場合,否決される可能性が高い。
3 合併協議会設立の請求  合併特例法(新法)に基づく法定協議会の設立請求をします。有権者50分の1以上の署名が集まれば可能です。
 利点及び欠点は2と同じです。
4 監査請求  合併のための各種事務に対し,その適否についての監査を請求します。有権者50分の1以上の署名が集まれば可能です。
 利点:監査委員という第三者機関が事務監査を実施する。
 欠点:この請求は住民監査請求と異なり,ほとんど前例がない。事務自体が一応適正に行っていれば,問題ないと判断される可能性が高い。
5 議会解散請求または首長解職請求
  住民の意見を反映していないと判断される場合は,議会の解散又は首長の解職を請求し,住民の審判に仰ぎます。有権者3分の1以上の署名で請求可能です。
 利点:民意を反映できる結果になる。
 欠点:署名集めが大変。地縁の濃い地域では,署名はもちろんのこと,解職,解散投票の時に住民が賛成に回るか疑問。
6 駅前ビラ配り
  とにかくこれで世論を作ります。
 利点:すぐにでも活動できる。
 欠点:知名度がない人が配っても読んでくれる保証がない。すぐに世論が形成されないため,時間がかかる。

次回は議会議決後の対応について説明します。

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2 市町村合併について(良いこと編)
3 市町村合併について(悪いこと編)
4 市町村合併について(お金の話)
5 市町村合併について(地方交付税に気を付けろ!)
6 市町村合併について(住民からみた合併)
7 市町村合併について(手続上の問題点)

市町村合併について(手続上の問題点)

2005年04月22日 01時12分04秒 | 市町村合併
前回に引き続き,今回は現行制度の問題点を住民側の立場から説明したいと思います。
その前に,まず大前提として,地方自治制度は「住民自治」と「団体自治」から成り立つと憲法では説明しています。簡単に言えば,「住民自治」とは地域のあり方の最終決定権は住民にあるということ(民主主義です),「団体自治」とは地域のことについて他から口出されず運営できるということ(独立性です)になります。
それを踏まえて,次の点を指摘します。

住民が合併に関する意見を主張する機会がないこと。

市町村合併は,自分の生活する地域が大きく代わるため「団体自治」の観点から,また地域のあり方を最終的に決める必要があるため「住民自治」の観点から,住民にはそれに対して何らかの意思表示をする機会が必要となります。ところが,現行法では,議会の議決により決定され,住民投票等の手続は法定化されていません。
もちろん,合併に際し住民投票を行っている市町村も多いですが,いずれも各自治体で住民投票条例を制定し,かつその結果には法的拘束力が認められません。そもそも,住民投票条例案自体否決されている市町村さえあります。
このように,住民には合併に関して直接意見を述べる機会が認められていません。これが最大の問題点です。
以下,この内容をさらに具体的に説明します。

1 合併に関する直接請求権がないこと。
  現在,住民の直接請求制度として,首長の解職請求,議会解散請求,条例制定請求,監査請求があります。ところが,合併に関しては,僅かに合併特例法による「法定協議会設立」について直接請求が認められているにすぎません。
  したがって,合併を希望したい人はこの制度を活用することができますが,合併に積極的に反対である,または別のエリアとの合併を考えているという場合,その住民の意思を直接請求する手段はありません。
2 住民投票制度が法定化されていないこと。
  住民投票は,住民の意思表示を投票により示す,いわば直接民主主義の典型例であり,住民自治の要請を満たすものです。
  しかし,住民投票が法定化されていないことにより,住民投票なくして合併するという事例も多く見られます。
  また,住民投票には法的拘束力がないため,その結果に反した合併が行われたとしても,首長の政治責任しか問われません。しかも,その首長が合併後の選挙で落選するか立候補しなかった場合,もはや攻める矛先を失います。
  住民自治の観点から,合併に際しては住民投票は必須といえるでしょう。
3 議会の議決に対する異議をいう手段がないこと。
  地方議会は,間接民主主義の典型例であることから,議会の議決に対して異議を述べる制度を認めることは,議会制民主主義の要請に反するばかりか,民主主義の崩壊にもつながりかねないため,原則的には否定されてしかるべきです。
  しかし,合併の場合は,上記事情から,議会が議決したものであっても,住民としては生活が大きく変わりうる事柄だけに,何らかの意思表示をする機会を設ける必要があると思われます。
  もちろん,公聴会等議会の議決前には一応の手続保障が住民に与えられていますが,議決されてしまった以上お手上げというのは合併に関してはかなり乱暴ではないかと思われます。
4 裁判所にて争う手段がないこと
  通常,行政処分に異議がある場合は,最終的には行政訴訟等により裁判所に救済を求めることができます。しかし,市町村合併に関しては行政処分とはいえないこと等から,行政訴訟を提起することができません。また,議会の議決無効確認訴訟等も,そもそも訴えの利益無しとして門前払いされる場合がほとんどです(ちゃんとした理由がありますが,割愛します。)。つまり,裁判所への救済手段も事実上閉ざされています。

これらの問題に対応するためには,それなりの法改正しかありません。しかし,これは合併を進める国側にとって極めて不利な内容です(これらを制度に取り込むと合併が推進されないため。)。
そこで,次回はこれらに対応する方策について検討したいと思います。

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6 市町村合併について(住民からみた合併)

市町村合併について(住民からみた合併)

2005年04月16日 02時02分24秒 | 市町村合併
前回までは,行政側から見た合併の問題点でしたが,今回は住民の視点から見て見たいと思います。
これまでの話のとおり,合併は決せて悪い話ではなく,きちんとしたビジョンを考えているならば,町にとって有用であるといえます。
しかし,一方で,住民投票を行った結果,合併反対が多数を占めてしまうことがかなりあります。
この理由はなぜでしょうか。これまでと重複しますが,おおむね次のとおりでしょう。
1 住民の感情論(歴史,文化的感性)
2 行政からの説明不足
3 合併のメリットが理解できない


1については,前述のとおり感情論でありながらもかなり高い壁になるといえます。しかし,行政側がきちんと説明をするならば,この点はクリアできると思われます。
2についてですが,これは行政側に問題があります。前提として,ほとんどの住民は別に合併を望んでいません。ところが,合併に関する資料を見ると,「まず合併ありき」の内容になっている場合が多いです。
しかも,その内容が,総務省の想定問答案そっくりの内容です。すなわち,地域の実情に合わせた説明をしていません(この点は,合併協議会のHPを何カ所かはしごしてみればおわかりになるかと思います。)。
さらに,説明の内容が,「町は間もなく財政破綻する,合併すれば財政破綻がなくなって豊かになる,だから合併する。」というものです。すなわち,住民生活側から見た説明がほとんどありません。住民に地方交付税や財政の説明を長々としても,当然関心は低いです。
3については,2とかぶりますが,結局合併によって何が変わるのか,住民は今ひとつ理解できないということです。
財政健全,地方分権の推進などといっても,日常生活に全く支障がない以上,これらをメリットとは感じません。かえって,町名が変わることで表札を作り替えるとか,免許などの書き換えが面倒になるなど負担感しか感じない人の方が多いのではないでしょうか。

以上を踏まえると,地方自治体は何をどのように住民に説明すればよいのでしょうか。
実は,これも難しい話ではありません。1,2枚のビラを1,2回配布してすべて知ってもらおうとするから,かえって訳分からなくなるのです。時間をかけてじっくりやればよいだけの話です。例えば毎月広報誌の1,2ページを使って,合併のビジョンや将来像などいろいろなことを説明すればよいのです。
また,その内容についても,もちろん財政が大変だということもある時は必要でしょうが,住民が一番関心をもつのは,「で,生活はどう変わるの?」ということです(中には,「特に変わりませんのでご安心ください」と書いちゃった町もあるみたいですが,これでは合併に賛成するはずがありません。)。
合併によりこういうサービスが可能となる,この料金が安くなる,税金が下がるなど生活に密着する具体的な説明をすればよいわけです。
しかし,これを記載している地方自治体は結構少ないです。ということは,やはりビジョンなき合併なのかも知れませんね。

次回は,合併に対する手続の問題点を指摘したいと思います。

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市町村合併について(地方交付税に気を付けろ!)

2005年04月10日 23時48分55秒 | 市町村合併
前回は合併特例債の話をしましたが,今回も引き続きお金の話として地方交付税について説明をしたいと思います。

合併特例法のもう一つの目玉として,地方交付税優遇措置があります。地方交付税についての説明は割愛しますが,簡単にいえば,国からの義捐金です。
この優遇措置について,ごく簡単な例で説明します。
人口5万人のA市は,現在交付税1億円,人口4万人のB市は交付税2億円,人口9万人のC市は交付税2億5千万円,この3市はいずれも財政規模がほぼ同じと仮定します。
この場合,A市とB市が合併して人口が9万人になった場合,本来は翌年以降の交付税が2億5千万円となるところ,向こう5年間はA市B市だった場合にもらえる金額,すなわち3億円を交付します,ということになります。10年後以降もいきなり2億5千万円に減らさずに,5年間かけて少しずつ減らしていきます。

めでたし,めでたし,とお考えの方,おりませんか?

実は,ここには重大な問題が隠れています。
1 10年間の間に,しっかりとした財政計画と財政再建をしておかなければ,5年後に町の財政は破綻する(これは,おそらくほとんどの町でも議論済み)。
2 三位一体改革を忘れていませんか?(忘れている町が多いです,はい。)。


特に大きな問題は2にあります。上記例は,地方交付税が全く減らないことを前提に説明しています。現に,総務省のホームページでも,上記例の場合,あたかも向こう5年間は3億円を確保できるような記載になっています。
しかし,よく条文を読むと,合併特例法11条2項は,合併したときの交付税を維持するというのではなく,その年の交付税で合併しなかった場合の交付税を維持する,といっているに過ぎません(総務省HPでは,これが10年間同じ金額を維持しているように記載してありますが,明確な誤りです。)。
つまり,総務省の説明は,「今後地方交付税が同額であれば」を前提にしているに過ぎませんが,実際は三位一体改革により,地方交付税は減少していきます。つまり,向こう10年間はおろか,4,5年後には,相当額の交付税が減ることになります。
もちろん,合併しなければさらに減少することになるわけですから,結果は同じともいえますが,私が一番問題にしたい点は,「地方交付税が確実にもらえるから,10年間は安泰だ」という前提で市町村合併をしてしまったとしたら,その町は数年後に破綻する,ということです。
合併に対するビジョンを明確に持ち,かつ財政的な問題を十分に認識した上で合併を行っているのであれば,むしろこの制度は有用であるといえますが,そこまで理解して合併をしている町がどの程度あるでしょうか。この結果は,数年後に判明するでしょうが,財政破綻する町が0件,すなわち私の心配が杞憂に終わることをただただ祈るばかりです。

次回は,住民から見た現在の合併制度の問題点を指摘したいと思います。

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4 市町村合併について(お金の話)

市町村合併について(お金の話)

2005年04月07日 23時56分08秒 | 市町村合併
前回に引き続きまして,今回は「合併特例債」について。

なぜ,この4月1日に市町村合併が集中したか,それは「合併特例法」による優遇措置が受けられるからです。
おおざっぱにいいますと,3月31日までに「合併します!」と申請すれば,地方交付税の優遇措置(合併前の金額を維持するというものですが,ここには大きな問題があります。それは次回以降に),そして合併特例債が受けられることになります。
合併特例債とは,簡単にいえば「借金」です。ただ,普通の借金と違うのは,その7割を国が返済してくれる(正しくは,地方交付税としてその町にお金を配布する)ものなので,実質3割の負担でいろんなものが作れる,ということになります。
「よーく考えよう,お金は大事だよー」の格言(?)どおり,財政難にあえぐ市町村の最後の切り札として合併をしよう,というわけで,合併が一気に進んだということになります。

しかし,よく考えてみてください。なんだかんだいっても,合併特例債は所詮「借金」,すなわち私たちの税金から支払われているのです。もっというと,合併に関係ない町の人の所得税等の国税から,合併をする人の町の借金返済として支払われている,という構造になるわけです。
また,合併特例債の趣旨は合併により基盤整備が必要となる場合が多いことから,その費用として使われることを想定しています。しかし,現実には,必ずしもそうとはいえず,意味不明な施設やガス抜き道路(住民感情を緩和するために施設,という意味)に使われるのが大半であるようです。もっとも,新聞報道では,満額使う自治体は少ないということなので,本当に無駄遣いする町が少なかった,という点が救いといえるでしょう。
もちろん,合併自体は決して悪い話ではないため,町の発展のために使われるのであれば,結果的に日本全体が大きく発展するため,合併特例債を効果的に使用することについて文句を言う人は少ないでしょう。

しつこいですが,合併特例債はあくまでも借金です。よって,すくなくとも合併特例債によって財政が良くなる,という方程式は成立しない,ということだけはご理解ください。

次回は,地方交付税のまやかしについて説明したいと思います。

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市町村合併について(悪いこと編)

2005年04月04日 22時46分27秒 | 市町村合併
前回は市町村合併に夢のある話を書きました。
今回は,合併のデメリットを述べたいと思います。

1 ふるさとがなくなる
  地名がなくなることについての感情的なものです(住民投票では,意外とこれを理由に反対する人が多いのも事実。感情論といっても馬鹿にできない問題です。)。
2 椅子がなくなる
  首長,議員,役所職員(管理職)の椅子取りゲームとなり,私利私欲に走る人が出てくるおそれがあります(これは,人件費抑制というメリットの裏側になります。)。
3 きめ細かいサービスが期待できない
  前回の良いこと編では正反対のことを言いましたが,大きくなりすぎることで従来は行われていたサービスを切り捨て,又は目が届かなくなるという懸念があります。
4 合併のための費用がかかる
  コンピュータシステムの統合や看板,庁舎,基本インフラの整備などに費用がかかってしまいます。一応,このために特例債が出ると言いますが,これも所詮税金ですから・・。

と,このあたりまでは,よく耳にしますが,実は本当の問題点はここからです。
5 実は財政が豊かにならない。
  合併特例債については,別途改めて問題点を呈示したいと思います。
  それ以外についても,合併により抑制できる経費は,実は人件費程度で,しかも合併直後いきなり職員や議員がいなくなるわけではないため,人件費を抑制できるのは数年後になります。しかも,1%程度にしかなりません。
  合併で財政が豊かになる,これを理由に合併を進めている市町村は,実は要注意です。
6 二頭政治,三頭政治の到来
  市町村合併により,県会議員や国会議員の選挙区と市町村の規模がほぼ一致する場合が出てきます。その場合,民意を反映する気のない議員が台頭しているような街では,彼らが市長と同じことをやり出します。
  結果,首長が2人,3人,4人と現れることと同じ状態になります。すると,あっというまに市政は停滞します。
7 派閥の誕生
  強引に合併を行った場合,住民間に「旧A村」「旧B町」などの派閥ができてしまいます。この派閥は単なる感情論に止まればよいが,各派閥から市議会議員を誕生させるという不思議な慣習や,何をやるにも市政に一切協力しないなど様々な副作用をもたらす場合があります。

以上の通りですが,合併のデメリットは,すなわち「住民への情報提供不足」と「住民の意向に添わない合併」による結果,すなわち人災です。
言い方を変えると,ちゃんとした段取りを取れば,デメリットは限りなく軽減できると言うことになります。

次回は,合併政策自体の問題(特に特例債のあり方など)について説明したいと思います。

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市町村合併について(良いこと編)

2005年04月03日 11時43分52秒 | 市町村合併
前回の予告どおり,できるだけ簡潔に記載したいと思います。説明不足などもあると思いますが,その際はコメントなどいただければと思います。

合併のメリット(建前)
1 行財政の効率化
  職員を減らしたり,施設を共有できるなどの利点がある。
2 充実した行政サービスが行える
  人口が増えることで,税収などが増加し,また職員数も増えることから,これまでできなかったサービスが実現できる。
3 (国の本音)市町村の管理が楽  市町村の数が減れば,当然,指導という名の統制がしやすくなる。

これが建前ですが,この建前だけを貫こうとしても,住民は誰も合併に賛成しません(これしか言ってない市町村は,だいたい合併が破談になっています。)。

では,本当のメリットは何でしょうか。
4 市町村の権限強化(地方政府の誕生)
  上記3の前提は,市町村にはたいした力もなければ,それをできる首長や職員はいない,という前提でものを見ています。
  しかし,合併により街の規模が大きくなれば,当然それなりの首長や職員が増えてきます。結果,国と対抗できるくらいの力を持てるようになり得ます。
  もっというと,国の通達や指導を鵜呑みにするだけではなく,その通達や指導のおかしなところを指摘し,独自に改良した内容での行政運用も可能となり得ます(政策法務の考え方です。)。
5 きめ細やかなサービスの実現
  私のテーマでもありますが,国の政策が全体主義であれば,市町村の政策は個別主義を十分に尊重するべきものです(家の前の道路を直すなどいうことは,国レベルではあまりありませんから。)。
  市町村が合併により権限と優秀な職員が多くなることにより,より細かなことにまで行政サービスを及ぼすことができます。
  上記2との違いは,2は行政サービスの幅の話であるのに対し,ここでは質の話であるということです。
6 住民税等住民負担の軽減
  こんなこと,誰も言ってないと思います(^_^;)。
  でも,規模が大きくなり,かつ職員が増えると言いながら合理化が進めば,論理必然的に住民負担が減ります。実はここが一番重要なメリットだと考えています。

結局長くなってしまいましたm(__)m
次回は,デメリットについて説明する予定ですが,気が変わったらごめんなさい。

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