なんでも日記

出かけた時気付いた事や、身の回りのニュース等をとりとめも無く書きます。

映画「おとうと」

2011年05月11日 | 映画・ドラマ
TVで放送していた山田洋次監督の映画「おとうと

社会が抱える問題を描いた話題の作品だったのですが
公開中に、見に行きそびれた映画でした

物語は、東京で堅実に生きてきた
大阪で何かと問題ばかりを起こしてきたとの
再会と別れを、笑いと涙を交えて描いた作品です



東京の郊外で、夫亡きあと小さな薬局を営み
一人娘の小春(蒼井優)を育ててきた姉・吟子(吉永小百合)
大阪で何ひとつ成し遂げないまま歳を重ねてしまった弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)

音信不通だった弟が突然、小春の結婚式に現れます
以前も吟子の夫の十三回忌で、酔っ払い大暴れした鉄郎

今日は一滴も飲まないと約束しますが
酒を目の前にした鉄郎は我慢できず、酔っぱらって大騒ぎ
披露宴を台無しにしてしまいます

肩身の狭い思いの小春は、夫ともしっくり行かず
離婚してしまいます

激怒する身内の中、鉄郎をかばうのは吟子だけでしたが
後日、鉄郎の借金を肩代わりしたのがきっかけで
吟子は鉄郎に絶縁を言い渡してしまいます

へんな咳をして、肩を落として出ていく鉄郎の背中に
不吉な予感を覚える吟子でした

やはり、ほっておけない姉は捜索願を出し
居所をつかんだ時には、手遅れの状態で
大阪の施設に、入っていました

そんな状態でも、軽妙洒脱なしゃべりで周りの人を笑わせ
無邪気な笑顔で好かれながら
時折見せる傷ついた男の険しい表情
最後を悟っているようでした

様子を見に、わざわざ東京から来てくれた吟子には
悪態をつき、甘える鉄郎です

でも、流石に最期の時は、一人の寂しい人間です
東京から、新しい彼氏の運転する車で
駆けつけた小春にも看取られ、穏やかに逝きます

冗談ばかりの弟と真面目な姉の
微妙にかみ合わないおかしさと
家族への優しさと温かみのある愛情をにじませる
賢い姉であり母である吟子

家族の絆を描き、それと共に社会が抱える問題にも
鋭いまなざしを向けている作品です

これから益々高齢化する社会
避けて通れない問題です

誰しも出来るだけ
周りには、世話を掛けない様にとは思いつつ
一人では寂しいのが人間です