仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

男はつらいよ 寅次郎恋歌

2017年08月14日 | ムービー
シリーズ第8作『男はつらいよ 寅次郎恋歌』(1971年/山田洋次監督)を見た。
物語は、「母親が危篤との電報を受けた諏訪博(前田吟)は妻・さくら(倍賞千恵子)と共に故郷・岡山県高梁市へと向かったが、臨終には間に合わなかった。"母さんは幸せだった"と言う長男・毅(梅野泰靖)、次男・修(穂積隆信)に対し、"母さんは不幸な人生を送った。まるで家政婦だった"と反論する博。一人になった父・飈一郎(ひょういちろう/志村喬)は、たまたま近くにいたことから弔問に訪れた車寅次郎(寅さん/渥美清)と数日を過ごし、自身が幸せについて考えるきっかけになった話をする。"りんどうの花が咲き乱れ、夕げの明かりとともに笑い声が聞こえてくる・・・"と聞かされた寅次郎は故郷・柴又へと帰り・・・」という内容。
とらやの近所に新規開店した喫茶店の経営者・六波羅貴子(池内淳子)の存在を知ってしまえばまた一騒動が起きてしまうからと、何とか寅さんと出会わないように仕向ける車竜造(おいちゃん/森川信)と堤梅太郎(たこ社長/太宰久雄)だったが、それは無理な話。
出会ってしまうのは時間の問題だ。
(^_^;)
案の定すっかり貴子に惚れてしまい、何とか彼女の役に立ちたいと奮闘する寅さんなのだが、やはりどうにもうまくいかないのだった。
さて、本作撮影時のメイキング映像には「しっかりした自分が演じているおっちょこちょいで馬鹿な寅次郎に対しては、役者として優越感を持っていたんですが、最近は渥美清とフーテンの寅はあまり変わらないのではないかと思い始め、もっとしっかりしないと寅次郎に置いてきぼりにされてしまうのではないかという気がしてるんです」とか「寅と切っても切れない何か血の繋がりのようなものをだんだん感じてくるようになってしまった」という(確かそんな感じの)渥美清(1928年~1996年)のインタビューが収録されている。
観客側はいつしか、俳優・渥美清と映画の登場人物・車寅次郎を同一化するようになってしまったのかもしれないと思っていたが、永年演じ続けた役者さんの中にも作品のキャラクターがすっかり住み着いてしまっていったのかもしれない。
また、テレビ版からおいちゃんを演じていた森川信(1912年~1972年)の「ばかだねぇ・・・」という台詞は何とも味のある表現がされていたが、残念ながらこれがシリーズ最後の出演だったようだ。