仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

海よりもまだ深く

2018年10月08日 | ムービー
『海よりもまだ深く』(2016年/是枝裕和監督)を見た。
物語は、「15年前に小説の島尾敏雄文学賞を受賞した経歴を持っている篠田良多(阿部寛)。その後は鳴かず飛ばずで、現在は小説のリサーチと称し山辺(リリー・フランキー)の興信所で探偵業をしていた。同僚の町田(池松壮亮)に金を借りながら競輪をするほどのギャンブル好きな篠田は、出版社からギャンブルものの漫画の原作をやらないかと勧められたが、純文学作家というプライドから二の足を踏んでいたのだった」という内容。
離婚した元妻の響子(真木よう子)には毎月50,000円の養育費を支払うことを条件に息子の真悟(吉澤太陽)との面会を許されている良多だが、実際その金額を用意するのも大変で、姉の千奈津(小林聡美)や、年金暮らしの母親・淑子(樹木希林)を頼ることも度々。
興信所の調査で掴んだ情報を元に、対象者をゆすることもする仕事の仕方は何とも酷い。
これは長くは続かないだろうと想像できる生活ぶりだ。
響子に出来た恋人・福住(小澤征悦)のことも調べあげ、まるでストーカーのようにも見えて、気持ち悪くもあるほどで、どうしようもない人間に見えてくるのだった。
(^_^;)
母親が住む団地のベランダに、良多が高校生の時に植えたミカンの木の鉢があり、「花も実も付かないんだけどね、あんただと思って毎日水をやってるのよ」と言われる時のエピソードは少し情けない。
また、疎遠だった父親の話をしてくれる質屋の主人・二村(ミッキー・カーチス)が良い感じだった。

海街diary

2016年05月31日 | ムービー
『海街diary』(2015年/是枝裕和監督)を見た。
物語は、「15年前に父が家を飛び出し、母も再婚して家を去って以来、その鎌倉の家で祖母と暮らしていた香田幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)の三姉妹。7年前に祖母が亡くなってからもそこで3人で生活をしていた。ある日、父の訃報を受け、葬儀のために訪れた山形の小さな温泉町で腹違いの妹・浅野すず(広瀬すず)に出会う。3人の父を奪ったすずの母はすでに他界し、頼りない義母を支えるすずの姿を見て、彼女の境遇を察した幸は、別れ際に"鎌倉で一緒に暮さない?"と声を掛ける。そうやって4人姉妹の新しい生活が始まったのだが・・・」という内容。
血のつながりがあるとはいえ、彼女達は初めて会った人同士。
発車する電車のドアがいつ閉まるか分からないという瀬戸際に突然思いもよらない同居を誘われ、躊躇せず「行きます!!」と答えるすず。
父が亡くなり、これからの義母や義弟達との生活に対する不安が迷わずそう答えさせたのだろう。
転機というのは、いつどこで訪れるのかまったく分からない。
人生というのはホント不思議なものである。
また、これはほぼ全編を通して、"生死"に関係するエピソードが展開していく物語だ。
そもそもの始まりが父親の死であるし、母・佐々木都(大竹しのぶ)は祖母の法事の場面で登場する。
馴染みの海猫食堂店主・二ノ宮さち子(風吹ジュン)などは、一番ヘビーな"生死"にまつわるエピソードを背負わされる登場人物で、自身のことや家族のことで苦しむ様子にはどうにも切なさを感じる。
さて、この作品は、第68回カンヌ国際映画祭に出品された際に『Our Little Sister』というタイトルでも紹介されていたようなのだが、英語のタイトルというのは、大体において、それ以上ないほどに分かりやすくつけられていることが多いように思える。
日本語タイトルとのギャップには笑ってしまうこともあるのだが、逆に、直線的かつ説明的なタイトルでは日本国内だと今一つウケが良くないということなのかもしれない。
やはり、日本では何か情緒的なタイトルをつけることが人気を得る秘訣ということなのだろう。