仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

なす娘 / 入船亭扇辰

2021年08月01日 | エンタメ
落語『なす娘入船亭扇辰
噺は、「東海道は戸塚の宿から一里ばかり在野に入った鎌倉山の山あいに曹源寺という小さなお寺があり、当年四十六歳で独り身の崇然という和尚さんが、寺男の庄作と二人で住んでいた。朝夕のお勤めの他は暇な身体なことから、本堂脇の畑で好きな野菜作りに余念がない和尚さん。ある夏の日、和尚さんが蚊帳に入って横になっていると、蚊帳の裾のほうに友禅の着物姿の十七~十八歳になろうかという女性が座っており・・・」という内容。
そこに座っていたのは、なすの精だった。
和尚さんがいつも「早く大きくなれ。大きくなったらわしのさいにしてやる」と話し掛けていたので、お礼にきたのだという。
勘違いがあったとはいえ、何て律儀ななすの精だ。
(^_^)
さて、演者の入船亭扇辰師匠は、ギターが趣味なのだそうだ。
三代目橘家文蔵師匠、五代目柳家小せん師匠と組んでいるユニット "三K辰文舎"(さんけいしんぶんしゃ)は、もう10年ほども落語&ライブの公演を行っているらしい。
これは楽しそうだ。


雪とん / 入船亭扇辰

2018年03月25日 | エンタメ
落語『雪とん』入船亭扇辰
噺は、「日本橋の小網町にある船宿。はるばる江戸見物に出てきた田舎の若旦那・庄之助が二階にやっかいになっていた。ところがどうしたことか、この二~三日ふさぎ込んでいる様子で部屋に籠っている。心配した女将さんが事情を聴き、お医者さんでも呼びましょうかと言ってみたところ、三日ほど前に偶然見かけた若い娘のことが忘れられずにいるのだという。恋煩いというわけだ。その本町二丁目の糸屋のお嬢さんにどうしても会いたいと言う若旦那に、口利きを約束した女将さんは・・・」という内容。
「無理だと思いますよ」と言いながらも、井戸に身を投げて死んでしまうという若旦那に約束をした女将さんは、女中のおきよに二両を包んでお願いする。
二両だなんてナカナカの金額だと思うのだが、若旦那の父親にはよほど世話になったのだろう。
どうしても若旦那の思いを叶えてあげたかったわけだ。
ただ、「私はお金で動く女じゃありませんよ」と言いながら早速二両を懐にしまい込んだおきよの早とちりで、話はそうそう上手くは進まない。
そもそも、着ぶくれしたうえ、さらに蓑を着て行こうとする田舎の若旦那が、本町こまちに気に入ってもらえるわけなどないことは、おかみさんもきっと想像できていたはずだ。
(^。^)
『雪とん』という題目は、落語家の仲間内で"府庁"として使われていたものが近代になっても改題されず、そのまま残っている珍しい演目のようで、下駄の歯に挟まった雪を落とす音だなんて、現代では聞くことができない音。
これは分からない。
さて、演者の入船亭扇辰師匠は、"扇辰日和"という独演会を続けているようで、入場料ではなく木戸銭と表記しているところがにくい。
(^_^)

藁人形 / 入船亭扇辰

2017年12月24日 | エンタメ
落語『藁人形入船亭扇辰
噺は、「神田にある大店、糠屋の遠州屋。器量良しで町内小町とも呼ばれていた一人娘・お熊だったが、好きな男ができて大阪へ逐電してしまった。数年後に江戸へ戻ってきた時には、店・両親共すでになく、自棄を起こして自ら女郎屋・若松屋へ身を落としていた。そこへ月に一度お参りにくる西念という坊主に、"こんな私にも上方の旦那がいて今度見受けしてもらえることになった。その上、絵通し屋を居抜きで買ってくださることになった"と喜んで話をした。その際には、亡き父にうり二つの西念を引き取り、親孝行の真似事をしたいとも言っていたのだが・・・」という内容。
糠屋というのは、糠漬けの"糠"を専門に取り扱っている店なのだそうで、江戸時代にはその専門店が存在するほど町人の需要があったようなのが驚きだ。
かつての日本では、それぞれの家でそれぞれの糠漬けを楽しんでいたということなのだろう。
そういう店の一人娘が登場する物語なので、枕では、"糠"にまつわる話をいろいろされていた扇辰師匠だが、「~という糠漬けの話を枕で申し上げようと思っていたんですが、あますことなく本日のプログラムに書いてございました」ということで、少しばかり悲しい枕なのだった。
(^。^)
演者の入船亭扇辰師匠は、九代目入船亭扇橋(1931年~2015年)師匠の弟子。
新潟県出身ということもあり、よく新潟県内の学校でも公演を行っているようである。
学校で生の落語の空気感を楽しめるとは、何とも贅沢な生徒達だ。
(^_^)